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  まどか「おじさん、何を作ってるの?」【後編】



これは、まどか「おじさん、何を作ってるの?」【前編】の続きです。

さきにそちらをお楽しみください。

それでは、まどか「おじさん、何を作ってるの?」【後編】をどうぞ!


149:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 10:51:05.84 ID:s242xTP60

—— 朝 ——
ショウ(これからどうすんだよ… なんだって信用取引なんかに手出しちまったんだよ!)

ショウ(ああ…… 仕事行きたくねぇなぁ……)

魔女『だったら、死んじゃおっか? ラクだよ~』

ショウ(それもアリだよな…)

魔女『せっかくの貯金も四日で溶けちゃったもんね』

魔女『生きてても損したお金のことばっかり気になって、ツラいだけだよね』

ショウ(そうなんだよ… いつか独立する時の開店資金にするつもりだったのに)

ショウ(…ところで、お前誰だ? じゃないな。何なんだ?)

魔女『私は救済の魔法少女! みんなに希望を振りまくの!』キキキキキッ

ショウ(俺、そうとうキテんのかね)

魔女『ウソじゃないよ!』キキッ





151:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 10:55:58.96 ID:s242xTP60

ショウ(でも少女っていうか……)

魔女『おばけみたい… かな?』

ショウ(いや、バケモノにしちゃあ、なぁ)

 モッフモッフ
ショウ(かわいいな。さしずめ妖精さんってトコか)

ショウ(……ナニ言ってんだ俺は… やっぱ疲れてんだよ)

魔女『ホントに!? ありがとう、そんなこと言われたの久しぶりだよ!』

ショウ(そうなのか? こんなモコモコしてるのに)

魔女『うん。私が見える人って少ないの。しかも、困った人を助ける魔法少女だから……』

ショウ(心に余裕ないヤツが多いのか。俺もだけどさ)

魔女『あとは他の魔法少女ね。私を見ただけで襲ってくるの』

ショウ(なんだそりゃ? 物騒だな。仲間じゃないのかい?)

魔女『本当はそうなんだけどね。なかなか話を聞いてくれな…』



さやか「間に合ったぁ!」 グジャア!!





152:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:00:18.44 ID:s242xTP60

ショウ(うおあっ! おい、大丈夫か!?)

魔女『いきなり来た…! お願い、力を貸して!』

ショウ(冗談じゃねぇ! とっとと逃げるぞ!)グイッ

さやか「魔女め… 普通の人を利用して!」クワッ!!

ショウ「なんだよお前は! コイツと同じ、魔法少女なんだろ!?」

さやか「……同じ?」ザッシュウ!!

ショウ(盗られた!?)

さやか「あたしと、このバケモノが?」ググググググ

魔女『ピキャアァァァアア!!!!』

ショウ(何か武器は… あった、マンホール!)

ショウ「バケモノはテメェだろ! 食らえ!」ブンッ!

 ガコン   グギ

さやか「なにすんのさ? 首が中で外れちゃったじゃない」

さやか「でも便利なもんね。痛みは全然ないや」プラン

ショウ「ウソだろ……!」





153:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:03:05.41 ID:s242xTP60

——同時刻——

ピッコロ「これが最後の一体!」

杏子「待った! なぁ、その使い魔さ… 逃がしてくれないかな……」

杏子「さやかの分のグリーフシードを作ってもらわないと…」

ピッコロ「一時しのぎにはなるでしょう。だからといって、人を襲わせて作ったグリーフシードを、さやかが受けとりますか?」

QB「真相を知ったら、それこそ一気に魔女化しかねないよ」

杏子「だけどさぁ」

 フシュゥゥゥ

杏子「消えちゃう」

QB「誰かが本体の魔女をたおしたんだね」

杏子「さやかは……」





154:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:06:53.84 ID:s242xTP60

さやか「グリーフシードは… あったあった! じゃあまずは首を治して、と」

ショウ「返せよ」

さやか「あんた、まだいたの?」

ショウ「それはアイツのなんだろ… 希望を振りまく魔法少女って言ってた、アイツが落としたものなんだろ!」

さやか「そうよ。こうして、あたしの穢れを吸わせるの」シュルッ

ショウ「……」

さやか「なんだぁ。これしか吸ってくれないのか。全然足りないよ…」

さやか「浄化しても、いくら浄化しても、また穢れてくる…… 穢れ落ちない…」

ショウ(……当たり前だろ…… バケモノのくせに……)





155:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:08:42.18 ID:s242xTP60

——ほむホーム——

ほむら「また切らしたの?」

さやか「ごめん… どんどん穢れてくるんだ……」

ほむら「余計な穢れを増やさないようにしないと、いつまでたっても焼け石に水よ」

まどか「おねがい、ほむらちゃん。さやかちゃんもまだ立ち直れてないんだよ」

ほむら「もういい加減にして!」

まどか「」ビクッ

さやか「そんなあたらなくても」

ほむら「あなたに言ったのよ! 次から次へと消費するグリーフシードを確保するの、どれだけ大変だと思ってるの!」





156:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:11:09.92 ID:s242xTP60

杏子「まぁまぁ… ほむらが言ってた決戦の日って、今日なんだろ? でも外見てみろよ」

ほむら「晴れてるわね」

杏子「そんなすごい嵐なんてすぐには来ないって」

QB「ぼくの仲間たちも、未だワルプルギスの夜を発見できていない」

杏子「そいつが来ないんだったら、あんまピリピリすることないだろ、なぁ」

ほむら「だけど…… このペースで消費していったら、どうなるかわかる?」

ほむら「魔女は何もない所から無尽蔵に発生する訳じゃない。供給が追いつかなくなるのも時間の問題だわ」

マミ「美樹さん。辛いかもしれないけど、私たちにとって無駄な穢れを増やすのは死活問題なのよ」

さやか「わかってる… でも……」

ほむら「『大丈夫』『平気』『わかってる』 口ではそう言い続けて、出した結果がこれじゃないの!」

ピッコロ「さやかを隔離しましょう」


一同「……」


杏子「オイ」

杏子「今取り消せば、聞かなかった事にしてやる」





158:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:15:22.80 ID:s242xTP60

ピッコロ「冗談ではありません。皆で共倒れを避ける、唯一の方法です」

まどか「さやかちゃんはどうなるの?」

ピッコロ「魔女の多い地域を探して、しばらく専念してもらいましょう」

QB「いいアイデアかもしれないね。ここから近くて、手薄になってる場所をピックアップしておこうか」

杏子「さやか。お前はどうする?」

さやか「うん… QBの言う通り、いいと思うよ。気分転換にもなるし、今度こそちゃんと吹っ切って帰ってくる!」

まどか「でも一人で行っちゃうなんて…」

杏子「あたしも行くよ。ここの魔女は、マミとほむらがいればもう充分だろ」

ピッコロ「いけません」

杏子「なんでさ!?」

ピッコロ「もしものことがあれば、魔女となったさやかと戦う可能性があるのですよ」

ピッコロ「先日の魔女が使ったような虚像ではなく、本物のさやかを、あなたが手にかけられますか」

杏子「さっきから皆が考えたくないことを言うなぁ」





159:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:18:18.88 ID:s242xTP60

さやか「だけど、確かにここまで悪化しちゃったからには、最悪のことも考えておいた方がいいかもしれない」

さやか「ほむら。悪いけど一緒に来てくれる?」

ほむら「えっ、あの… 私でいいの?」

さやか「いざとなったらガツンとやってくれそうだからね」

ほむら「そうじゃなくて… 私と二人きりなのよ。イヤじゃない?」

さやか「? どこが?」

ほむら「どこって、それは……」

ほむら(てっきりもっと嫌われてるものと思ってたけど、意外と根に持たないのかしら……)





160:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:22:05.94 ID:s242xTP60

マミ「暁美さんはワルプルギスの夜に備えなくていいの?」

ピッコロ「それについても考えました」

ピッコロ「以前ほむらに聞いた話の中で、ワルプルギスの夜が複数の魔女の集合体である可能性が指摘されていました」

杏子「街一つ壊滅させるほどの魔女なんて聞いた事ないからな」

まどか「でもこの世界にはいないんでしょう」

ピッコロ「これから生まれるものだとしたら?」

ピッコロ「もしさやかを助けるのが遅れていれば、連鎖的に四人全員が魔女になることも考えられます」

マミ「四人合体して一つの強大な魔女になると…」

ピッコロ「あなたたちの結束はそれほど強いのです。裏目に出たら、何が起こってもおかしくない」

ほむら「しかも、今日は決戦の日。奇妙に符号が合うと言えなくもないわね」

さやか「自分で言うのもおかしいけど、あたしをきっかけにそこまで起こりうるんだ……」

まどか「大丈夫だよ! ほむらちゃんもついてるんだから!」

ほむら「せっかく指名されたんだもの。やり遂げてみせるわ!」





162:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:25:53.03 ID:s242xTP60

QB「ちょっと遠くなるけど場所も見つかったよ。地図を出すから、ちょっとモニター借りていいかな」

ほむら「いいわ。どこかしら」

QB「ここみたいだよ」パッ

QB「既に一人魔法少女がいるけど、なかなかうまく戦えないみたいだ。ほむらは彼女のフォローもすることになるね」

ほむら「縄張りにいさせてもらう分くらいは働かせてもらうわ」

マミ「そこなら確か見滝原から夜行バスが出てたはずよ。アクセスしやすくてよかったじゃない」

さやか「バスなんか出てるんですね。マミさん詳しいなぁ」

マミ「昔からある温泉地なのよ。ついでに骨休めしていらっしゃい」

さやか「ハハ、なんだか傷心旅行も兼ねてるみたい」

まどか「ほむらちゃんも疲れてるでしょう。のんびりしておいでよ」





164:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:28:21.14 ID:s242xTP60

マミ「ネットでバスの予約しちゃいましょうか。早速今夜出発でいいかしら」

さやか「いいですよ~ あ、どうかな。いきなり二人もいなくなったら、騒ぎになるんじゃない?」

杏子「そこはあたしが何とか辻褄合わせとくよ」

マミ「得意の魔法でね~♪」

まどか「バンバン♪ バンバン♪」

杏子「やっつけねーよ!」

杏子「ハッ ///」

まどか ヒソヒソ「乗ってきましたね」

マミ ヒソヒソ「意外と、前はこういうの好きだったのよ」





166:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:30:11.79 ID:s242xTP60

杏子「…と、ともかくさやか! 気にしないで行ってこいよ。帰ってくるの、皆で待ってるから」

マミ「今夜発で二人分、予約できたわ」

さやか「早いですね」

マミ「会員登録してあったの」

マミ「このメンバーなら、ワルプルギスの夜が本当に来ても、きっと乗り越えられる」

マミ「そしてら皆でお祝いに旅行でもしようかって、調べたりしてたのよ」

ほむら「この一ヶ月が終わった後のこと… そうね、無事に乗り切れたら、その先もあるんだった……」

マミ「特に暁美さんはずっと戦ってきたんだもの。盛大にお祝いしないと!」





167:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:34:24.58 ID:s242xTP60

——夜——

杏子「さやか、ちゃんと治して帰って来たらいいな」

ピッコロ「先ほどはすみませんでした。つい熱くなって、語りすぎました」

杏子「誰かが言わなきゃいけなかったことだ。でも、誰も言えなかった」

ピッコロ「わたしはあなたの心配をしただけです。さやかに入れ込みすぎではないかと」

杏子「そうかもな。何にせよ、おかげでさやかは助かるんだ」

杏子「…いつも、ありがとう」

ピッコロ「いいえ…」

杏子「ハハハッ! あたしがこんなこと言うなんて、自分でもおかしくなってくるな! 今のは貴重だぞ~」

杏子「でもな、マミに呼ばれてから、変わった気がするよ。前のあたしだったら、さやかをどうにかしようなんて思わなかったかもしれない」

杏子「さっきもだ。オッサンがあたしのこと気にかけてくれたっていうの、嬉しかったよ」

ピッコロ「ならあまり心配させないでください」

杏子「そこで最後の一仕事、さやかのお餞別にグリーフシードを持たせてやろうと思ったけど、この辺の魔女も減ったなぁ」

ピッコロ「それはそれで、二人も安心して旅立てるでしょう」

杏子「まだ時間がある。見送りの時間ギリギリまで探してこう」





168:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:39:58.18 ID:s242xTP60

——ほむホーム——

ほむら「旅行の用意なんてしたことないから、いざとなると何を持っていけばいいやら」

マミ「とりあえずはお菓子ね! さっき買っておいたわ」

ほむら「まっさきにお菓子?」

マミ「だって夜光バスも初めてでしょ。眠れなかったら、お腹空いちゃうじゃない」

ほむら(だからって、夜食にスコーンなんか買って来るから……)

ほむら「朝まで乗ってて酔わないかって方が心配だわ」

マミ「薬も持ってく? こんな姿、鹿目さんが見たらガッカリしちゃうかしらね」

ほむら「どうしてそこで急にまどかが出てくるのよ?」

マミ「暁美さん、ただでさえ張りつめてるのに、二人も面倒見るわけでしょう」

マミ「私がそう心配してたら、鹿目さんが『ほむらちゃんなら、できないわけないんです!』ですって」

ほむら「嬉しいけど期待しすぎね」





170:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:43:59.13 ID:s242xTP60

マミ「教えてよ。前に言ってた『諦めてない』相手は鹿目さん?」
  ※>>72のことです

ほむら「あれは勢いで言っただけよ。 …そういうのよくわからないから」

マミ「と言ってはぐらかしても、この部屋にだって鹿目さん宛に書き貯め  ほむら「どうして知ってるのよ!!」

マミ「何も知らないけど?」

ほむら(……やられた)

ほむら「まどかは特別… だけど、他の皆だって、憧れの人だったのよ。前の私は助けてもらってばかりいたから……」

ほむら「特にマミさんはまどかと同じ、私が最初に出会った魔法少女なんだからね」

マミ「その頃から続いてた戦いが、ようやく終わるのね」

マミ「これまでは怒ると怖い子を演じてたみたいだけど、帰ってからは少しずつでいいから、可愛いところも見せてほしいな」

マミ「今、私をマミさんって呼んでくれたみたいにね」

ほむら「調子狂うなぁ、もう…」

マミ「あまり美樹さんに厳しくしないであげてね、ってことよ」

ほむら「気をつけるけど、手がかかる子ほど可愛いものよ」フフッ





172:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:47:34.54 ID:s242xTP60

QB「困ったなぁ~ 困ったなぁ、もう。ほむらがいないんじゃ、ぼくは寝る場所に困るなぁ」

マミほむ「」イラッ

ほむら「わたしがいない間、ここにいてもいいわ」

QB「それじゃ夜一人で寂しいしなぁ」

ほむら「まどかの所へでも行ったら? 契約できない今なら許してあげる。お友達も沢山いるでしょう」

QB「全部ぬいぐるみじゃないか」

ほむら「なら杏子の所は? 刺激的な生活をおくれそうだし、ピッコロさんもいるから寂しくないわ」

QB「それはあまり『住居がない』という問題の根本的解決になっていないよね」

QB「あ~あ、どうしようかなぁ~」チラッ

マミ「……ウチに来る?」





174:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:50:15.57 ID:s242xTP60

——電車内——

まどか「荷物重そうだね」

さやか「着替えがとりあえず四日分、いつもの乳液にドライヤーと、学校行けないから教科書も… って慌ててたら、こんなになっちゃった」

まどか「洗濯とかできるかな。その前に、住む場所見つかるかな」

さやか「むこうにいる子も、マミさんやほむらと同じく一人暮らしなんだって。QBの紹介で、居候させてもらえることになったの」

さやか「だからさしあたって困ることはないかな」

まどか「もしあっても、ほむらちゃんがなんとかしてくれるよ」

さやか「まどかはほむら好きだなぁ。さっきも似たようなこと言ってた」

まどか「うん、大好き!」

さやか(あんなエピソード聞かされちゃあね…)

さやか「悪いね。しばらくほむら借りてっちゃう」

まどか「その分、帰ってきたらたっぷり甘やかしてあげるの」

さやか「逆じゃないの?」

まどか「ないの!」





175:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:54:24.46 ID:s242xTP60

さやか「ったく、こんな時に妬けるなぁ……  ん? あれ今朝の」

まどか「どうしたの?」

まどか(向かい側の席に誰かいるのかな?って、あの人どう見ても…)

ホストB「捨てる時もホント厄介っすよね。ショウさんその辺うまいから羨ましいっすよ」

さやか「ねぇ」

ショウ「…また会ったな」

さやか「聞かせてよ。その人の話」

ホストB「知り合いっすか?」

ショウ「ああ、そんなとこだ」

ショウ(どうする…… こんな所で暴れだしたら、逃げ切れねぇ)





176:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 11:58:08.60 ID:s242xTP60

まどか「さやかちゃん、やめようよぉ」

ショウ(…仲間か? こんなおとなしそうな子が? このバケモノ女の正体に気付いてないんだな)

ショウ「ここじゃ何だな。次の駅で降りるぞ」

ホストB「いいんすか?」

ショウ「お前は先に行け。あんたもそれでいいだろ? コイツの知ってることは代わりに俺が話す」

さやか「いいよ」

ショウ(よし… 魔法少女でなければ無差別に襲う訳じゃない。これで確認できた)

ショウ「それから、お友達もだ。俺たち大事な話があるんだよ。悪いけど外してくれないかな」

まどか「いえ、わたしも行きます。さやかちゃんを一人にできないから…」

ショウ(ちっ、バカヤロウ…!)





178:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:02:47.06 ID:s242xTP60

ショウ「はぐれるのが心配かな。携帯くらい持ってるだろう」

まどか「…は、はい……」カタカタ

ショウ「それとも、その子から眼を離すと何かあるのかな」

まどか「それは……」

ショウ(ただの『お友達』じゃねぇな。何か知ってる… だがどこまで?)

ショウ(震えててもついてくるってことは、よっぽどの事情があるのか)

ショウ(となると、迂闊に引き剥がせばバケモノ女を刺激するリスクがある)

ショウ「いいよ。三人で降りよう」

まどか「はい! さやかちゃん、バスの時間…」

さやか「出発まではまだ時間あるよ。間に合わせる」

ショウ(この時間に出るバス、あの荷物… 夜行か?)

ショウ「だったらバス停で待ちながら話せばいいだろ。どこだい」

さやか「駅前の高速バスターミナル」

ショウ(荷物はカバン一個。ちっこいのがこの女を見送りに来ただけだとすると、出発時間になればこの二人は別れる)

ショウ(それまで地雷を踏まないように、おとなしくさせておくには……?)





179:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:07:06.42 ID:s242xTP60

——バスターミナル——

ショウ(しばらく探ってみてわかった)

ショウ(ちっこいのは時間までテコでも動かないつもりだな。まだ震えてるってのに、大した度胸だ。こりゃいい女になるぜ)

ショウ(それとバケモノ女の方もだいぶ読めて来た。その潔癖な性格、曲がった事は許せないタイプ……)

ショウ(以上を踏まえて俺とこのチビちゃんが生き残るには、だ)

さやか「じゃああなた、その子たちが捨てられてくのを見て、どうとも思わなかったの?」

ショウ「思う事なんかないさ。奴らは決まってやっちゃいけないことに手を出すからな」

ショウ「『捨てられた』って言うけどな、追い出されて当然のヤツらが居座るのを黙認してたら、悪くない人が報われないだろう」

さやか「その子たちがどんなことをしたっていうのよ! みんなあなたのために…」

ショウ「それがいけないんだ… お嬢ちゃんたちに、ちょっとロマンチストなことを聞こうか」

ショウ「『愛』ってのは金で買えるものだと思うかい?」





181:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:10:55.83 ID:s242xTP60

さやか「いきなり何言ってるの? 買える訳ないでしょ!」

ショウ「そっちのちっこい方は?」

まどか「わたしも、買えないと思います…」

ショウ「何故そう思った?」

まどか「わたしにはパパとママと、3さいの弟がいます。みんな仲が良くて、とっても優しくしあえています」

まどか「でも、代わりに何かそういうやり取りしてるわけじゃない。だから反対に、物とかお金とかを持ってきても…」

まどか「うまく言えないけど… きっと噛み合わないんだと思います。もし何か必要だとしたら、もっとこう… 形のないものなんですよ」

ショウ「素晴らしいねぇ、子供の言いそうなことを言ってくれる」ハハハッ

さやか「いけないっての? 何がおかしいのよ!」

ショウ「俺だよ。俺を含めた大人たちがおかしい。子供にわかることも忘れちまった大人が……」





182:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:12:44.83 ID:s242xTP60

ショウ「その通り、愛ってのは何かと引き換えに手に入れるものじゃないのよ」

ショウ「しかしあの女たちはこう言うんだ。『あんなに尽くしてあげたのに』ってな」

さやか「それは、お金とかとは違う…!」

ショウ「金で払うか、行動で払うか。つまるところ、かけたコストに結果が見合ってないと言ってるんだ」

ショウ「やってることは金で買ってるのと変わらないのに、まぁそこまではいいんだけども、これぞ無償の愛でございってツラしてんの」

さやか「さっきから言ってるのって……」

ショウ「何かを手に入れるのに、それに値しないものを「値する」ものとして与え、見返りだけは求める。言ってみれば善意の粉飾決算だな」

ショウ「詐欺は良くないことだとわかろうとしない → どこが悪いのかわからない → 反省しない → 改善しない」

さやか「…あたしのこと?」





183:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:16:34.25 ID:s242xTP60

—— 一方 ——

マミ「時間が止まるって、こういう状態になるのね…」

ほむら「手を放さないでよ。マミさんも止まっちゃうから」

マミ「したら二人で探せないもんね」

ほむら(待ち合わせ場所にさやかたちがいない。魔女の気配もする…  無事でいるといいけど)

マミ「! いたわ、あそこよ! そばにいる人、苦しいのかしら?」

ほむら「時間停止を解除するわ」

ほむら「その人は?」

まどか「ほむらちゃん! さやかちゃんが大変なの!」

ショウ「なんだ、いきなり来て… お前らも、こいつの… 仲間…… 魔法 少女……」

さやか「あたしなら、まだ…」

ほむら(さっきから反応してる魔女の気配はこれ?)

杏子「どうなってんだ!? そいつ、あたしらのことを知ってんのか? それよりさやかは!」

ショウ「また来た… なぁ、俺とそこのチビちゃんも殺すのか…? 昼間ツブした、魔法少女みたいに……」





184:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:19:42.23 ID:s242xTP60

さやか「違う! あれは魔法少女じゃない!」ダッ

まどか「さやかちゃん! どこへ行くの!」

ほむら(手遅れだった…… 最後の最後で…)

杏子「ほむら! まどかを見ててくれ」

杏子 小声「これがバレないようにな」

ほむら(魔女の口づけ!? 今できたものなの?)

杏子「マミとオッサンはその人を頼む。できそうなら浄化もだ」

ピッコロ「しかし、さやかはもう…」

杏子「絶対に死なすなよ。そんなことになったら、今度こそさやかは戻ってこられないぞ!」





185:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:22:47.21 ID:s242xTP60




杏子「やっと見つけた。時間ないんだから、探させるなよ」

さやか「来たんだ…… ちょうど良かった。これ持って」

杏子「ソウルジェム? 真っ黒じゃないか。でもごめんな。グリーフシードはもうないんだ」

さやか「ごめんね。あたしがみんな使っちゃったから」

杏子「一個くらい持たせてやりたかったんだけど、この辺の魔女もあらかた狩り尽くしちゃったみたいだ」

さやか「もういいんだよ。あたしさ、これ砕いちゃおうとしたんだ。魔女になる前に」

さやか「でももうそんな力も残ってないや… だから杏子、それ壊しといてくれないかな」

杏子「……」

 グッ

杏子「どうかな? あたしの手の中」





186:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:25:55.69 ID:s242xTP60

さやか「気持ちいいよ… ぬるま湯にひたってるみたいだ……」

杏子「あたしでさえ誰かにそう言ってもらえるようになった。そのきっかけを与えてくれたのは、さやかなんだよ」

杏子「いざとなったらソウルジェムをブッ壊すことも考えてたけどさ、やっぱやめだ」パッ

杏子「このまま魔女になっちゃいなよ」

さやか「嫌だよ… そんな…」

杏子「もう疲れただろ」

杏子「人の幸せを願ったはずなのに、心のどこかに自分も救われたらって欲が出て来て、そんなの出しちゃう自分のことがイヤになる」

杏子「どこかで挽回しようとしても、不器用なもんだからうまくいかなくて、そのせいでまたイヤになる」

杏子「いっそ開き直っちゃえばラクになれるのに、そしたらお前の場合、魔法少女としてやってく目的がなくなちゃうもんな」

さやか「どっちに転んでも結果は一緒だったんだ… ほむらが何度繰り返しても変えられなかったみたいに……」

杏子「一緒なら、最後くらい思い切っちゃったらどうだい。今まで我慢しすぎだったんだ」





187:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:29:13.29 ID:s242xTP60

さやか「でも……」

杏子「怖いか? ならこれでどうだ!」

 ぎゅっ

杏子「昔さ、これからずっと戦ってくんだと思って怖くなった時、マミがこうしてくれたんだ」

さやか「…あんた、けっこう細いんだね。痩せちゃったの?」

杏子「頼りないかもしれないけど、お前にはあたしが一緒にいてやるよ。たとえ魔女になったって止めてみせる」

さやか「ごめんね…… 最後まで… みんなに迷惑かけて……」

杏子「またそうやって! QBが言ってた。魔法少女が絶望に陥るそう… ナントカはエネルギーになるんだって」





188:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:31:11.34 ID:s242xTP60

杏子「希望と絶望は差し引きゼロなんだ」

さやか「ああ…… だから幸せを祈った分、恨みや妬みも溜まっていく……」

杏子「反対にもなるんだよ。その絶望は、いつか希望になって… 生まれ変わるんだ」

さやか「…そんなの無理だよ……」ハハッ

杏子「でもね、本当に出来ちゃうかもしれないよ。なにせあたしら、条理を覆す魔法少女なんだからな!」

さやか「できるかな… でもありがとう、ちょっとラクになった……」

さやか「じゃああたし、行ってくる。ちゃんと受け止めてよね」ムクッ

杏子「任せろって」





杏子「またな」





190:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:35:20.28 ID:s242xTP60

——ターミナル——

ほむら「あの光!」

マミ「まさか……」

QB「でも間違いない。あれはさやかだ」

ピッコロ「間に合わなかったというのか…」


杏子「そんなもんじゃないだろ!? もっとだ! もっとブチまけろ、さやか!」

杏子「誰にもぶつけなかった憤り! 思った通りの自分になれなかった悔しさも!」

杏子「お前の溜め込んで来た絶望、全部出し切っちまえ! 一つ残らず潰してやるよ!」





191:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:36:06.25 ID:BLr8z7FqP

松岡修造がいる





192:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:39:41.05 ID:s242xTP60

——ターミナル——

ショウ「んっ…… どうしてたんだ? 俺…」

まどか「おじさん! 気がついたみたい」

ピッコロ「無事だったようですね」

まどか「みんなは今ちょっと出かけているの。あなた、魔法少女のことを知ってるんですか?」

ショウ「知ってるも何も、最初に背の高い子と二人でいたろ。あいつが他の魔法少女を殺すとこを見ちまってる」

まどか「それは誤解です! 相手はどんな子でした?」

ショウ「『子』っていうか、なんだか動物みたいなのだったぞ。このくらいのサイズで、モコモコしてた」

ピッコロ「どうやら魔女のようですね」

ショウ「似たようなもんじゃねーか」

まどか「魔女は危険なんです。もしかしたら、あなたが殺されてたかもしれないんですよ」

ショウ「ああ、そう言ってた。死んじゃおうか? って」

まどか「わかってたんじゃないですか」

ショウ「俺もあの時、死んじまってもまぁいいかと思ってたんだよ。わざわざ聞きに来てくれる分、人間の女よりよっぽど良心的だぜ」

まどか「今まで、ひどいめに遭っていたんですね」





193:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:46:01.31 ID:s242xTP60

ピッコロ「何故殺すのでしょうか…」

ショウ「難しいことを聞くな。それに、失礼だがその体、あんたも魔法少女の仲間かい?」

ピッコロ「いえ、わたしは修行の途中で彼女たちに出会いました」

ショウ(修行と言ったのか? 坊さんみたいなヤツだ… そういえばどことなく似てるな、あの時の)

ピッコロ「魔女も魔法少女も、人間も、元をたどれば一つの血のものだというのに…」

ショウ「人間は欲に生かされてるからさ」

ピッコロ(自らの『悪』を認めたくないという欲がその身を滅ぼすと、悪意の魔女も言っていた)

ショウ「とはいえ、決して悪いことばかりじゃない。誰かさんの欲のおかげで文明は進歩して、俺たちはこんな便利に暮らせるわけだ」

ショウ「より便利に、より豊かで幸せになろう。もしできれば他の誰かもっていう気持ちが、誰にだって少しはあるだろ」

ショウ「いい方向に捉えればそうなるものが、時と場合によっちゃあ人も殺すおっかないもんと、根っこの部分で結びついてんのよ」

ショウ「いや、もしかしたら同じものなのかもしれない。俺が昔聞いた話の受け売りだけどな、子供の頃、近所に教会があって」





194:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:49:11.07 ID:s242xTP60

杏子「そんな話をしてる場合じゃないぞ!」

まどか「杏子ちゃん! さやかちゃんは?」

マミ「美樹さんは……」

ほむら「消滅したわ」

杏子「さやかならいるだろ、すぐそこに!」

QB「もう追いついて来た!」

ショウ「な、なんだ!? おい、どこだよココは!」

まどか(この人、結界に引きずり込まれて来た… さやかちゃんに呼ばれてるの?)

まどか「おじさん、この中でヘタに動かないで! わたしたちといれば安全だから」





195:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:53:05.28 ID:s242xTP60

まどか「大きい…」

ピッコロ「あれが、ワルプルギスの夜……?」

ほむら「違うわ。確かにいつもより手強いけど、あれはさやかだったものよ」

杏子「本来ならもうちょっと楽勝だったのね」

オクタヴィア「」ブンッ!

ショウ「うおあああ!!」

マミ「騒ぐんじゃありません!」

ショウ「この子ら、あんなのと戦ってたのかよ…」

杏子「おいオッサン、あいつはさっきまでの戦いで、マミのティロ・フィナーレを至近距離から二発食らってごらんの勢いだ」

杏子「何かないか? 突破口を開けそうな技は?」

ピッコロ「一つだけ。ただ、実戦で使うのは初めてです」

杏子「贅沢言ってる場合じゃなさそうね。ぶっつけ本番だ」

ピッコロ「気を溜めるのに時間がかかります。それまで注意を引きつけられますか?」

杏子「しょうがない、また分身か… マミも魔弾を増やせるかい?」

マミ「やってみるわ!」





196:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 12:55:50.13 ID:s242xTP60

ピッコロ(……まだか)

『良かったなぁ』

ピッコロ(お前は、使い魔の! 生きていただと?)

『今のわたしは使い魔ではない。あの魔女との接触がきっかけで目覚めたのだよ。お前の中に潜む魔族のサガが』

『それより良かったではないか。とっておきの大技でさやかを始末できるぞ』

ピッコロ(なんと……!)

『目障りだった。せっかく皆で稼いで来たソウルジェムを食い尽して、危うく杏子まで引きずりこむところだったさやかが』

ピッコロ(そんな理由で、わたしがさやかを撃つと思っているのか)

『よせ。わたしに隠し事は通用しない。お前が溜め込んでるその『気』のことも手に取るようにわかる』

ピッコロ(やめろ……!)





198:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:01:48.76 ID:s242xTP60

『素直になれ、ピッコロよ。邪魔者は消してしまうに限る。見てみろ』

杏子「まだか!?」

マミ「こっちも長くはもたないわよ!」

『撃てばあの二人も助かるぞ。何も憎しみだけで撃てと言っているのではない。ほんの少し混ぜてやるだけだ』

ピッコロ(仕方ないか… 充填完了だ! 発射する!)

『それでいい! 『助けるためなら仕方ない』よなぁ!』

『お前も仲間だ! 立派な魔族になれる! さぁ撃て! 悪魔の光で、魔女を貫く…!』

ピッコロ(しまった、口車に!)

『これが『魔貫光殺砲』だ! 受けてみろ、さやか!!』 ズォビッ!!

 ギャルル……!!!

マミ「鎧に穴が! …なんて威力……」

杏子「中身を直接叩くぞ! 分身を集中させる!」





199:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:04:40.60 ID:s242xTP60

杏子「さやか! 今行くからな! ラクにしてやる!」

オクタヴィア「グオオオオオ!!!」ガシッ!!

杏子(捕まった!!)

  ググググググ

   グシャッ

杏子「ぐあああああっ!!」

マミ「佐倉さん!」ドシュウッ!!

  ドサッ

杏子「ありがとう、マミ…」

マミ「そのケガでは無理よ! 治るまで後退して!」

杏子「いや、まだ行ける… 今ので勝機が見えた!」 ダッ

オクタヴィア「!」





200:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:07:53.89 ID:s242xTP60

杏子「二度も捕まるかよ!」

 ブォン!
杏子(しまった、さっきのはおとり……!?)

 バギャアッ!!
杏子「ぐっ…!!!」

杏子(魔法で治るのか、これ…? だけどな、完全に潰さなかったのはお前のミスだ!)

マミ「佐倉さん! 何をしてるの! 戻って来て!」

杏子「ウデ一本残ってれば何とかなる! オッサンの開けた穴はあそこだな!」

 ドサッ
杏子「さやか! いいこと教えに来てやったよ!」

オクアヴィア「グオオオオオオ!!!!」

杏子「騒ぐなっての。傷に響くんだから」

杏子「見ろよこの体! お前が生んだ絶望の魔力だか何だかのせいで、全身ボロボロだ!」

杏子「でもその痛みを消さずにここまで来られたんだ。いいことってのはな、さやか!」

杏子「絶望を受け止める覚悟から、新しい希望が生まれて来る……」

杏子「あたしら魔法少女ってそういう仕組みだったんだよ!」





201:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:12:10.15 ID:s242xTP60

まどか「さやかちゃんが……」

ほむら「たおされていくわ。この世界でも…」

ほむら(何か落とした? グリーフシード? ……それだけじゃない。あれは) タッタッタッタ

ほむら「やっぱり」

マミ「暁美さん、それってもしかして、美樹さんの剣かしら?」

ほむら「そうみたい。持ち主の魔力を失っても、剣だけが残るなんて…」

杏子「死んでもまだ、あたしらと一緒に戦ってくれるのかな」

ほむら「ねぇ杏子、この剣は私が使っていいかしら?」

杏子「なんでこっちに聞くんだよ」

ほむら「あなたが一番、彼女の事をわかってる気がしたから」

杏子「いいよ。さやかもほむらを信頼してたからな。ちゃんと使いこなしてやってくれよ」

ほむら「ありがとう。では盾にしまっておきましょう」

ほむら(美樹さやか…… まったく、最後まで手のかかる子だったけれど)

ほむら(あなたの魔法少女としてのプライド、決して忘れはしないわ)





204:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:16:33.17 ID:s242xTP60

——それから半年後のほむホーム——

マミ「それでは、いただきま…」 ピンポーン

ほむら「…またいいタイミングで来るわね」

杏子「あの野郎、まさか狙ってたのか?」

まどか「出てくるね」ガタッ

まどか「いらっしゃ~い」

ショウ「よぅ、いい匂いするな」

まどか「今夜はすき焼きなんですよ~」

ショウ「ありがてぇ… ありがてぇ……」

  杏子「ヤクザに食わせる分はないぞ! 何の用だ!?」

まどか「…すいませんね。杏子ちゃん、お肉久しぶりだから気が立ってて」

ショウ「上がっていいかな?」





205:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:17:29.53 ID:YBsww7ov0

は?





206:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:17:37.55 ID:KqO988xN0

えっ





207:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:17:55.77 ID:PCJLInZm0

おぉ?





208:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:18:29.57 ID:cH/M++PD0

どうしてこうなった? いやいいんだけど





209:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:18:40.90 ID:s242xTP60

ショウ「それで今回の魔女らしい情報ってのがだな… 地図でいうとこの辺だ」

マミ「普段見回りに行く範囲からだいぶ外れてますね」

ほむら「そこまで行くと、他の魔法少女の縄張りになっていそうね」

杏子「あー、思い出した。小さい頃、その辺へは近づくなってよく言われてたわ」

ショウ「いかがわしい外人のたまり場で、半ばスラム化してるような地域なんだ。ここ何ヶ月かで急に自殺者が増えてるらしい」

杏子「言っちゃ悪いけどさ、それ普通に連続殺人事件じゃないの?」

ショウ「と思うだろ? でもこの間死んだ人が現場にこんなのを書き残してた」

ほむら「これ…! 魔女の文字に間違いないわ」

ショウ「やっぱそうか。という訳でさ、調べてみてくれないかな」





212:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:21:11.83 ID:s242xTP60

ほむら「珍しいわね。いつもだったら、そんなとこにいる人なんて放っておいていいとか言いそうだけど」

ショウ「近頃、見滝原の魔女も増えてきてるんだろ? もしかしたら、発生元はここかもしれないんだぞ」

杏子「けっこうじゃねぇの。どうせ死ぬのは不良外人だろ? ちゃんと管理して、グリーフシードの養殖場にしちゃえばいいんだ」

マミ「またそんなこと言う… いいわ。調査は私が行く」

ショウ「ゴメンな。本当だったら、女の子に行かせるような場所じゃないんだけどな。俺も行って魔女の所まで案内するよ」

杏子「そういう時こそあのオッサンに行かせりゃ張り切ったろうになぁ」

まどか「ピッコロさん、どこにいるんだろう。あれから連絡とかないの?」

杏子「ないね。半年前、さやかと戦った後に姿を消して、それっきりだ」





214:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:26:07.41 ID:s242xTP60

——翌日——

マミ「魔女狩りに行って、興味深い子に会ったわ。その子も魔法少女なの」

杏子「やっぱり誰かの縄張りだったんだな」

まどか「どんな子だったんですか?」

マミ「ダージリンから来た子でね、けっこうベテランみたいだから、いろいろ聞かせてもらったわ」

杏子「なんだ、紅茶の話か」

ほむら テレパシー(ダージリンって地名だったの?)

まどか(インドにある紅茶の名産地なんだよ)

ほむら(ああ、あの……)

マミ「むこうにいた頃、彼女にも何人か仲間がいたようだけど、ケタ違いに強力な魔女があらわれて、皆やられてしまったの」

ほむら「まさか…!」

マミ「その魔女の特徴を聞いて来たわ。上下逆さまで、火を噴く攻撃をしてくるって」

杏子「ほむらに見せてもらった資料の通りだ」

ほむら「ワルプルギスの夜… ついにあらわれたわね!」





218:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:30:32.02 ID:s242xTP60

まどか「大丈夫かな…? 三人だけで」

ほむら「三人じゃない。四人よ。さやかの剣も力を貸してくれる」

ほむら(そう。いざとなったらこの四人でかかれば……)

杏子「ワルプルギスの夜、か… 本当に来るのかな?」

ほむら「来るでしょう。きっと」

杏子「だって、今までほむらが戦ってたワルプルギスの夜って、いつもなら半年前に来てたんでしょ?」

まどか「今度のは遠くに出たみたいだし、もしかしたらここまでたどり着かないとかは…?」

マミ「そうだといいけど」

ほむら「都合良くいかないケースを想定しておくにこしたことはないわ」

ほむら「それはそうとQB」

QB「ごめんよ…… まさかもう出ないだろうと思って、捜索を打ち切ってたんだ……」

ほむら「今はどこにいるの?」

QB「それもわからないね。目撃情報らしいのを集めてみたけど、出現する場所も時期もバラバラだ」

杏子「いつ来るかわからないのがもどかしいな」

ほむら「念のため、下準備をしておくわ」





220:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:33:22.24 ID:s242xTP60

——結界——

  ズドォォォォ……!!
マミ「またダミーだったようね」

杏子「本体は上だ!」

ほむら「おあつらえむきね。空中戦用のフォーメーションを試すわよ。打ち合わせ通りに!」

マミ&杏子「了解!」



杏子「今度こそ!」 ズバァッ!!

杏子(踏み込みがきかない!)

魔女「ウォォォオオオオ!!!」ブォン!!

杏子「身動きもか! これだから空中戦は」





221:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:34:47.13 ID:s242xTP60

マミ「佐倉さん!? リボンを出すわ!」

ピッコロ「それには及びません!」バッ

杏子(!? …飛んでる… あたし、落ちてないの?)

ピッコロ「間に合いましたね」

杏子「おいオッサン! 帰って来たのか? 今までドコ行ってたんだよ!」

ピッコロ「話の前に、まずはあの魔女を片付けます!」

 ドゥン!!

マミ「今の、見えた?」

ほむら「…何も」





222:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:36:40.86 ID:s242xTP60

——ほむホーム——

まどか「おかえりなさい! あれ、みんなも一緒?」

ほむら「ただいま。今日はマミと杏子だけじゃないわよ」

まどか「ダージリンの子… じゃない、ピッコロさん!? 帰って来てくれたんですか?」

ピッコロ「はい。もう戻ることはないと思っていましたが」

杏子「ここで始めるなよ。あがらせてもらうぞ」





223:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:39:49.99 ID:s242xTP60

杏子「さて、まずはどうしていきなりいなくなったのか、からかな」

ピッコロ「さやかを撃った時のことです。わたしは自分の中に巣食う、悪の気と対面しました」

杏子「そんなもん、誰にだっているよ」

ピッコロ「しかし、わたしの『悪』は魔法少女だったさやかを手にかけたのです」

まどか「でも、あの時さやかちゃんを止めなかったら……」

ピッコロ「憎しみの『気』をこめてしまった、ということです。もう皆さんと一緒に戦ってはいけないと思い、旅に出ました」

杏子(そんなの気にしなくていいのに)

まどか「杏子ちゃんと会う前もずっと一人旅だったんですよね」

ピッコロ「そうです。また旅に出て、わたしは出会いました。この地球の神と」

杏子「……また変なのが出てきたな」

ピッコロ「変ではありません。本物です」

杏子「それが変なヤツだっての」

ほむら「杏子の言う通りだけど、話が進まないわ。一通り聞いてからにしましょう」





224:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:44:16.47 ID:s242xTP60

ピッコロ「残念ながら神にも寿命があるのです。わたしは後を継ぎたいと思いましたが、断られました」

ピッコロ「神はわたしの中にある『悪』の気を見抜いておられたのです」

まどか「おじさんがダメだったら、他の人もみんなダメなんじゃない……?」

ピッコロ「わたしは厳しい修行の末、『悪』をこの体から分離させる事に成功しました」

マミ(サラッと言うけど、そんなのどうやったのよ……?)

ピッコロ「『悪』を分離させた事でわたしは認められ、この地球の神になりました」

まどか「じゃあ今日はお祝いに…? じゃ、なさそうだね……」

ほむら「魔女化したさやかを倒した日は、本来なら私たちの決戦の日」

マミ「分離した『悪』の部分って、まさか」

ピッコロ「ワルプルギスの夜…… あれはわたしのことだったのです」





226:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:46:02.94 ID:s242xTP60

まどか「なら良かったじゃない」

杏子「うん。なんか肩の力抜けちゃったよ」

ピッコロ「?」

まどか「おじさんの『悪』の部分でしょ? そんなのきっと大して強くないよ」

杏子「神様に会ったのが、あたしみたいなのじゃなくてよかったな!」

マミ「でも、ダージリンに現れたのは強かったって」

QB「それはおそらく完全体だからだね」

ピッコロ「ワルプルギスの夜は他の魔女を襲い、その力を吸収し、今や通常の魔女よりも遥かに強くなっています」

杏子「で、でもさ、この四人でかかって倒せないほどじゃないだろ?」

ピッコロ「しかし… わたしにはあれと戦えない事情がありまして…」

杏子「そっか、だから弱いうちに倒しておかなかったんだな」

QB「その事情というのを、ちゃんと彼女たちに話しておいた方がいい」





227:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:48:19.82 ID:s242xTP60

QB「君も地球暮らしが長いだろう。ここでのルールには従っておいて損はないんじゃないかな」

ほむら「引っかかる言い方ね」

杏子「まるでオッサンがお前の仲間みたいじゃないか」

QB「そうだよ。彼は地球から遠く離れたナメック星で生まれた、君たちの言い方をするなら異星人さ」

マミ「異星人…!?」

ほむら「QBの他にも、地球へ来ていたというの?」

ピッコロ「わたしが異星人…」

杏子「自分でも知らなかったのかよ!?」

ピッコロ「ええ… どおりで皆と少し違うと……」

QB「その昔、ナメック星は天変地異で壊滅的な打撃を受けた」

QB「生き残ったわずかなナメック星人が、ひとまず子供だけでも逃がそうと、送り出したのが地球へ着いたようだね」

まどか「その通りだとしたら、すごいですね! 宇宙人なのに地球の神様になっちゃうなんて」

杏子「アウェーで優勝しちゃったんだもんな」

ピッコロ「ほめられる資格などありません… ワルプルギスの夜を生み出したわたしには」





229:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:53:02.15 ID:s242xTP60

ピッコロ「くわえてもう一つ。あれは私の化身であり、殺せばわたしも消えてなくなります」

杏子「戦えない事情ってのはそれか。神様が自殺するわけにもいかないって」

ピッコロ「わたしは地球人に、地球の神を殺すという重荷を背負わせてしまった……」

ほむら「なら私が引き受けるわ。あれとは因縁があるもの」

ピッコロ「いいえ、今度現れた時には、わたしが戦います」

まどか「戦ったら、おじさんも死んじゃうのに…?」

ピッコロ「殺さずに封じ込める方法を教わったのです」

ほむら「では明日の訓練でその方法というのを見せてもらえるかしら」

マミ「私たちもピッコロさんを援護するフォーメーションを考え直しましょう」

杏子「……封じ込めちゃっていいのかな?」

ほむら「当たり前でしょう。あんなもの、野放しにしていいことなんて一つもないわ」

杏子「いや、どうしてかな… うまく言えないんだけど…… 何か大切な事を見落としてるような」





230:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:56:15.78 ID:s242xTP60

杏子「なぁオッサン、さっき言ってた『悪』の部分を切り離すのって、神様になるためなんだよな?」

ピッコロ「はい。たとえわずかでも『悪』の気を持つ者が神の座については行けませんから」

まどか「切り離すなんて、よくできたね」

QB「ナメック星人は温厚で礼儀正しいと言われていたんだ。おそらく地球でいう『悪』というのが彼らになかった精神なんだろう」

QB「とはいえ、長らく地球人に混ざって暮らしていた彼は例外だったようだけどね」

ほむら「『悪』が後付の精神だから、どうにか切り離す事ができた、というわけかしら」

QB「ナメック星人に悪意を抱かせるなんて、君たち地球人は最高の研究材料だよ」

マミ「元を正せば、私たちの影響だったというわけね……」

杏子「う~ん、まだスッキリしないなぁ……」





231:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 13:58:48.67 ID:s242xTP60

——そしてピッコロも混ぜた訓練が始まり——

まどか「この子たち、みんな魔法少女なの?」

QB「頼みの綱はピッコロの魔封波だけど、使い魔との戦いもあるから、協力を呼びかけたんだ」

杏子「へぇ、QBも張り切ってんだな」

QB「地球で好き勝手に暴れられたら、僕たちだって困るんだよ」

杏子「まどかと契約しないってのと同じ理由か。にしてもよくこんなに集まったな」

QB「この作戦が成功したら、特別にぼくがストックしてるグリーフシードをわけてあげる約束をしたんだよ」

杏子「マジで!? あたしらにはそんなこと言ってなかったのに!」

QB「君たちはこの街を守るという使命を果たせればそれでいいじゃないか」キリッ





233:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:05:06.74 ID:s242xTP60

ほむら「私たち以外には、本当だったらワルプルギスの夜と戦わなきゃいけない理由はないのよ」

ほむら「報酬を与えて協力してもらった方が信頼できるでしょ」

杏子「まぁ、一理ないでもないな……」

魔法少女A「あれ、杏子じゃない? あんたも来てたんだ」

魔法少女B「QBがあんな気前いいと怪しいけど、なんだかんだで魅力だよね」

杏子「うるさいな、あたしはタダ働きなんだよ!」

ほむら「誰?」

杏子「風見野の魔法少女。何度か会った事あるんだ」

魔法少女A「へぇ… 巴マミにとりいってそっちの縄張りに入れてもらったって噂、本当だったんだ…」

杏子「そんな話になってんの!?」

ほむら「あながち間違いでもないじゃない」

杏子「大間違いだよ! …ったく、誰だよ変な噂広めるのは…」

マミ「ウワサは乙女のビタミン剤だもの、仕方ないわ」

マミ(私もひとりぼっちじゃないってアピールしたことあるけど……)

マミ(どうやら変に尾ひれが付いちゃったようね。気をつけないと)





234:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:10:17.89 ID:s242xTP60

杏子「お、いつかのインド人も来てるのか」

まどか「ワルプルギスの夜について教えてくれた子たちだね」

マミ「向こうのエリアのお友達も一緒みたいね」

魔法少女 印「マミ~! 久シブリね!」

魔法少女 中「ナカマ いぱい きたよ~!」

魔法少女 米「私たちはピッコロさんの補欠みたいね。でもいざって時は任せて!」

魔法少女 巴「ありがとう! これだけいれば、もう何も怖くないわね!」

魔法少女 焰「よろしく。ずいぶん大所帯になってきたわね」

杏子「……いやお前らは普通にマミとほむらのままでいいんだよ」





236:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:12:39.72 ID:s242xTP60

——合同訓練開始から二週間——

魔法少女A「天気予報で情報をつかめるなんて、珍しい魔女もいたもんだな」

ほむら「でも間違いないわ。今までもワルプルギスの夜は嵐になってやって来た。それに」

ピッコロ「通常の魔女とは比べ物にならない気を感じます」

魔法少女A「本人が言うならアテになる、か」

魔法少女B「オジさん、神様なんでしょ? こんなとこにいてもいいの?」

ピッコロ「ワルプルギスの夜を封印するまでの間は、わたしの付人が代理を務めてくれています」

マミ「必ず成功させないとね……」





237:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:14:55.56 ID:s242xTP60

——上条家——

杏子「……」

 パチパチパチ
杏子「いい演奏だったよ。違いのわからないヤツに言われても、ありがたくないかもしれないけどね」

上条「わざわざ聴きに来てくれたんだもの。嬉しいよ」

杏子「ここんとこ、ずっと考えてるけど、わからないことがあってさ」

杏子「さやかならどうするかって思ったら、急に聴きたくなったんだよ」

上条「……君はさやかのこと、どこまで知ってるんだい?」

杏子「おしかけといてゴメン、話していいのかわからない」

上条「ぼくのケガのことは知ってるんだね。さやかのことを考えててこれを聴きに来るくらいだから」

杏子「聞き返していいかな、そっちこそさやかになんて聞いてるの?」

上条「詳しいことは何も。ただ、僕はこう思うことにしてる。この手はさやかが恵んでくれたんだって」

杏子「……いつ気付いた?」





238:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:17:24.94 ID:s242xTP60

上条「さやかが亡くなってからかな。でも確信に変わったのはたった今、事情を知ってそうな君の反応を見て」

杏子「相変わらずタチの悪いヤツめ…」

上条「どうやったのかはわからないけど、彼女の言葉を借りるなら、奇跡か魔法のどっちかなんだね」

上条「それで考え事の方はどう? 何かわかりそう?」

杏子「全然だね……」

上条「ならもう一曲聴いていってよ。今度はもっと心をこめて弾く。さやかが遺してくれた、この手で」

杏子(この演奏を守るために、さやかは魔法少女になって、死んでいった。起こるはずの無い奇跡のツケを清算したんだ……)

杏子(ならやっぱり、ワルプルギスの夜も、どこかで誰かが清算しないといけないのかな)

杏子(封印じゃなくて、倒しちゃえばいい…? 殺すの?)

杏子(そうなるとわかってて、なんで前の神様は『悪』の気を地上に置いて来させたんだろう……?)





239:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:19:01.79 ID:s242xTP60

——当日 避難所——

ショウ「この嵐も魔女の仕業なんだろ? そんなケタ違いのヤツに勝てるのかい?」

まどか「どうなのQB?」

QB「今回の目的は封印だよ。万が一失敗したとしても、マミ・杏子・ほむらの三人と」

QB「応援に来てくれた魔法少女も合わせて12人。計算上、ワルプルギスの夜の戦闘力を上回るね」

まどか「どうにかなるみたいですよ」

ショウ「ならこっちはこっちの仕事に専念しますか」

QB「そうだよ。ワルプルギスの夜より、君は債務の心配でもしてたらいい」

まどか「ショウさんの借金の方が問題みたいです」

ショウ「そっちは半年がかりでこの間完済したよ。俺、今日はボランティアで来てるの」

まどか「わたしも何か手伝いましょうか?」

ショウ「弟ちゃんと遊んでなよ。でもまた後で会おう。QBに戦況を聞きたいから、通訳してくれ」





240:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:22:48.56 ID:s242xTP60

杏子「こいつら、使い魔と思ったら全員魔女なのかよ…」

マミ「グリーフシードを落としてくれるから回復できるけど、こう多いとキツいわね」

ピッコロ「これでは本体に近づけないな…」

杏子「あんたはなるべく手を出すな」

ほむら「そうね。魔封波の前に余計な体力を消耗しない方がいい」

マミ「魔弾とリボンの魔法で道を作るわ! ピッコロさん、ついてきて!」

ピッコロ「すまない、マミ!」

マミ「この程度でワルプルギスを封印してもらえるならね!」

杏子「」ハッ!

ピッコロ「決着をつけるのは、元凶であるこのわたしの役目ですから!」

杏子(違う……!)





241:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:23:50.40 ID:s242xTP60

ほむら「ボーッとしてる場合じゃないわよ! 援護しないと」

杏子「反対だ! 止めてくる!」

ほむら「ちょっと! どこ行くのよ!?」

ピッコロ「ワルプルギスの夜よ! お前を殺さずに倒す方法を、地球人が教えてくれたぞ!」

杏子「やめろ!」

ワルプルギス「!!!?」

ピッコロ「魔封波だ!」カッ!

 ズオオオオ……!!

杏子「そいつに手を出すなーっ!!」

ワルプルギス「ギャアアアアア!!!!!」





243:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:30:08.81 ID:s242xTP60

まどか「あれが魔封波? おじさんたちは勝ったの?」

QB「安心するのはまだ早いよ。あれを閉じ込めてようやく完成なんだ」

まどか「でもワルプルギスの夜が捕まって、逆さになってる」

QB「元々逆さまだったのが、元に戻る? まさか!?」

まどか「6を逆さにすれば、9になる… そんなの……」

QB「撃ち返す気だ! ピッコロ! 早く逃げて!」



ピッコロ「!!」

杏子「待ってろ、今助けるから!」

ほむら「離れなさい! 巻き込まれたいの!?」

 グアアアア!!

ピッコロ「わ、わたしは死んでも構わない……」

ピッコロ「誰でもいい、こいつを倒すのだ! 世を清めてくれ!」

 ボッ!





246:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:34:27.69 ID:s242xTP60

ほむら「杏子、確認しておきたいことがあるのだけど」

杏子「なんだい?」

ほむら「魔封波が通用しなくて、ピッコロさんが封印された以上、私たちが戦うしかないわ」

ほむら「ワルプルギスの夜を倒せば、神様も死ぬ事になる。それでいい?」

杏子「今更死人を出さずにどうにかしようってのは、都合が良すぎる」

杏子「それにあれは、人間の手で倒さなくちゃいけないものだ」

マミ「でもそうしたら、ピッコロさん… 神様まで」

杏子「ワルプルギスの夜は、人間の持っていた『悪』の気がナメック星人に溜め込まれて出来上がったもの」

杏子「地上に災厄を起こして、『悪』を与えた人間に、悪の報いを与えてまわる」

杏子「きっとそれが神様の役目なんだ…… だからあれは神様じゃなくて、人間が受け止めて、倒さなきゃいけない」





247:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:36:27.68 ID:s242xTP60

ほむら「それを聞いて安心したわ。心置きなく戦えるもの」

杏子「今度こそ、皆でほむらのループを終わらせような!」

ほむら「私一人でやるわ。あれとは因縁があると言ったでしょう。それにね、切り札を使うの」

ほむら「でもコントロールできる自信はないわ。あなたたちまで巻き込んではいけない。さがっていて」

マミ「暁美さん、何を使うつもりなの?」

ほむら「まず最初にミサイル攻撃をしかける。ワルプルギスの近くにいる魔法少女は全員退避を」

ほむら「それと、あなたたちはちょっとソウルジェムを貸して」

杏子「どうするつもりよ?」

ほむら「二人の穢れをわけてもらうわ」





248:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:39:17.68 ID:s242xTP60

——ワルプルギスの夜 足下付近——

魔法少女A「ほむらからテレパシーだ! 印にも通訳頼む!」

魔法少女 米「やってるわ! でも」

魔法少女 印「魔封波は失敗したんでしょう? この手で仇を討つチャンスなの! やらせて!」

杏子『まだいたのか!? 早く逃げなよ! ほむらは手加減する気ないぞ!』


 ゴオオオオオ……

魔法少女A「魔女がもう一体! 誰がやられた!?」

杏子『コイツは味方なんだ! それより逃げなってば!』

魔法少女 米「了解! 行くわよ、二人とも!」





249:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:42:05.38 ID:s242xTP60

——避難所——

まどか「あれは、さやかちゃんの……」

QB「魔女オクタヴィア。間違いないね」

まどか「さやかちゃん、生きてたの?」

QB「違うよ。あれはおそらく、彼女の剣に宿った魂とグリーフシードから再生したものだ」

QB「しかし膨大な魔力が必要になるはず。ほむらのソウルジェムでは供給が追いつかないくらいの」

まどか「ならどうやって?」

QB「ほむらのソウルジェムは限界を越えている。あれはおそらく、魔女の力だ」

QB「マミと杏子の穢れを引き受けて、許容量を突破させたみたいだね」

まどか「そんな…… ほむらちゃんまで!」

QB「でもおかしいよ。ソウルジェムは文字通り『限界を越えている』のに、グリーフシードへ変質しない」

QB「かろうじて魔法少女としての自我を保てるよう抑えて、魔女の力だけを取り出している」

まどか「ソウルジェムって、そういう使い方もできるんだ」

QB「まさか! 完全に想定外だよ! 幾度となくワルプルギスの夜と戦い続けて来た彼女の、執念がなせる業だ……」





250:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:45:48.72 ID:s242xTP60

——オクタヴィア コックピット——

11人の魔法少女たちからひっきりなしにテレパシーが飛んで来る。
けれども、その中の一つとして、今のほむらに理解できるものはなかった。

(人間の言葉がわからない…… 本当にもう半分以上、人間じゃなくなっている)

ボディに合わせて巨大化した剣を一振りし、手応えを確かめる。

(ということは、うまくいったようね)

限界を超えたソウルジェムの魔力でオクタヴィアを再生し、中枢に収まる。
魔女の力と、魔法少女の魂を融合させるというアイデアは以前からあったものの、元に戻る方法がないため、使い物にならなかった。

(さやかが遺してくれたものなんだからね、大事に使わせてもらうわよ!)





251:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:47:10.23 ID:s242xTP60

ループを繰り返し、幾度となく戦ってきたが、今回のオクタヴィアはいつになく手強かった。
その巨体は今、完全にほむらの制御下にあり、意のままに動く兵器と化している。
突然現れた魔女を敵と認識したのか、直立したワルプルギスの夜がこちらを向き、悲鳴に似た雄叫びをあげた。
体格は互角、しかし白兵戦に持ち込めば武装と技量の差で優位に立てる。

(行くよ、オクタヴィア)

かすかに震えたオクタヴィアへ呼びかける。出来る限り優しく、小さいな子供を諭すように。

(怖がることはないわ。あれは地上の人々が生み出した悪意……)

優しく。魔女を優しく扱うのも奇妙な感覚ではあったが、彼女を乗りこなせなければ勝ち目は無い。

(おまえを作った美樹さやかは、そういうのを相手にしてたんだから!)





252:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:49:17.15 ID:s242xTP60

ワルプルギスとの直接戦闘を想定した上であらかじめ調査していた武器に『合図』を送る。
魔女の力も借りて増幅したテレパシーが電子部品に入り込み、『彼ら』にまるで人の手で操作されているような錯覚を起こさせる。

(市街地を通るから高度をとらせるように…… それと距離がある分、着弾までタイムラグがあるわね)

その間、余計に動き回られるわけにもいかない。かといってまだ間合いを詰めるのは早い。
ほむらが車輪の魔法で牽制しつつ、左腕の盾を構えると、直後にワルプルギスの火炎放射がオクタヴィアに襲いかかった。
魔女の力を集めてきたワルプルギスにとって、魔女との戦いは手慣れたもの。
その炎は魔力を帯びた熱線の塊であり、盾で防いでいようと、人魚のボディに悲鳴を上げさせるには充分すぎた。

(このままじゃ持たない!)

後退し、追って来るワルプルギスの位置情報を送信すると、彼らはすぐ目と鼻の先から反応を返した。

(速かった!)

音速を超えて飛来したミサイルの群れが上空で赤外線画像誘導のシーカーを目覚めさせ、ハイダイブで炎の発生源へ一斉に降り注ぐ。
彼らは陸上自衛隊の地対艦ミサイルで、その前身となった空対艦ミサイルASM-3は、
開発中、あまりにもオーバースペックだったため予算申請を却下されたほどの代物だった。
直撃すれば米海軍の世紀空母でさえ一撃で戦闘不能に追いやるミサイルが、
超音速でなだれ込んで火球を広げ、ワルプルギスの夜を押し潰す。
火球にまた後続のミサイルが突入し、絶え間ない爆発による轟音は
ワルプルギスのあげる悲鳴を呑み込んでかき消し、避難所にも届いて、建物全体に振動を這わせた。





255:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:52:27.15 ID:s242xTP60

—— 避難所 ——

ショウ「今の爆発、マミちゃんがやったのかい?」

まどか「わかりません。あんなの、わたしも聞いてないから」

ショウ「核じゃないよな……?」

まどか「……たぶん」

QB「だけど、通常兵器じゃ魔女には致命傷を与えられない」





257:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:54:08.76 ID:s242xTP60

「うろたえさせれば!」

間合いを詰める隙は存分にあった。
地上では機動力に制限のあるボディを跳ねさせ、無我夢中でオクタヴィアの剣を振り下ろす。
確かな手応えを感じると、頭に血が上ったほむらも冷静さを取り戻し、続く第二波、第三波を正確に繰り出す。
美樹さやかの剣を手にしてからの半年間、以前は心のどこかで『来ないもの』と思いかけていた半年間の成果だ。

(それもこれで終わる!)

ほむらはくずおれたワルプルギスの頭をつかみ、全身をふるわせて雄叫びをあげた。
その魂の鼓動はオクタヴィアにも伝わる。
解放されたパワーがワルプルギスの夜を無人となったビルへ叩きつけ、壁を崩し、鉄骨をねじ切る。
倒壊するビルが巻き上げる粉塵の中、二体の化物の闘争本能が燃え盛り、完全な魔女化を抑えているほむらを引きよせる。

(まだよ… 理性を失うには早すぎる!)





259:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:56:02.96 ID:s242xTP60

杏子「ほむらの様子、おかしくない?」

マミ「このままなら勝てるわ。きっと」

杏子「確かにほむらが押してはいるよ。でもワルプルギスがしぶとすぎのかな… トドメをささないよね」

マミ「ピッコロさんがいるからかしら?」

杏子「あのオッサンを殺すことにもなるんだ。抵抗あるのかもな」

杏子「だからさ、あたしも手伝ってくるよ。辛い役目ばっかりさせられない」

マミ「それなら私の方が適任だわ。佐倉さんはここで待ってて!」

杏子「おいマミ! 一人で行くのかよ!」





260:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 14:57:53.94 ID:s242xTP60

まどか「マミさん!? 危ないよ!」

ショウ「一人で行った! ほむらたちの間に入る気か?」

QB「無謀すぎるよ!」

まどか「テレパシー中継できる? 早く戻るように言わなきゃ!」

ショウ「間に合わない、見るな!」ガバッ

まどか「ああっ……」

ショウ(ウソだろ? 魔女って人を喰うのか……?)

まどか「ショウさん、マミさんはどうなったの?」

ショウ「…あの子はな……」

ショウ(おいQB! 余計なこと言うなよ!)

QB(黙ってた方がいいみたいだ)

QB(……あれ?)ピコン

QB(これも黙ってた方がいいのかな?)





262:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:00:27.55 ID:s242xTP60

杏子「ほむらが言ってた。マミは魔女に頭から喰われて死んだことがあるって」

杏子「変えられない運命ってヤツなのか……?」

マミ『ちょっとくらいなら変えちゃってもいいのよ! 『ティロ・フィナーレ』!!』ズドォォオムッ!!!

マミ「脱出成功ね!」

杏子「生きてた!?」

マミ「QBの言う通り、便利なものね。頭のソウルジェムさえ無事なら再生できるのよ」

マミ「中でピッコロさんを探して連れて来たわ!」





263:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:03:33.61 ID:s242xTP60

——オクタヴィア 内部——

ほむら(誰だろう? 金髪の子が、ワルプルギスから出てきた)

ほむら(知ってる子だったはずなのに… いけない、もう時間がない……)

さやか『あれはマミさんだよ。一緒に出てきたのがピッコロさん』

ほむら(そうだっけ……?)

さやか『その半分だけ魔女になる技、消耗するみたいね』

ほむら(完全にこれと同化する前に…)

さやか『うん、次ので終わりにしよう』

ほむら(いいの? あれをたおしたら、いけないような……)

さやか『死にはしないから、思いっきりやればいいんだよ。やり方はわかるよね?』

ほむら(モノマネだけど…)

さやか『あたしも手伝うよ! じゃあ行こっか!』

ほむら(これで終わらせる! 『スクワルタ・トーレ』!)

ほむら&さやか「4倍だあ——っ!!!!!」





264:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:06:19.56 ID:s242xTP60

杏子「いいぞ、ほむら!」

魔法少女B「そのまま押し切っちゃえ!」


——避難所——

ショウ「マジかよ… こりゃあ勝てるぞ!」

まどか「マミさんも無事だったし、これでほむらちゃんも報われるんだね」

QB(これだから地球暮らしはやめられないよね……)

QB「いや、残念だけどワルプルギスの夜はまだ生きている」

まどか「ほむらちゃん、あんなカラダに無茶のかかる技まで使ったのに」

ショウ「だけどむこうもかなり弱ってるぞ。あと一歩だ!」





265:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:08:56.86 ID:s242xTP60

マミ「生き残った子たちがワルプルギスに群がってるわ」

杏子「グリーフシードに目がくらんだか……」

魔法少女 B「杏子、あんたも人のこと言えるの?」

杏子「痛いトコ突くね」

ピッコロ「いけません、ワルプルギスの夜は、『悪』の気でできた化物」

ピッコロ「彼女たちのむき出しになった欲求を奪い、体力を蓄えたら」

杏子「冗談じゃないよ! 止めに行こう!」

マミ「暁美さんはさっきの大技でもう限界みたいだわ。私たちが何とかしないと!」





266:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:11:23.95 ID:s242xTP60




杏子「だめなのか……」クラッ

マミ「私たちでも、あれを倒して手に入るグリーフシードが必要である以上」

杏子「欲を完全に消す事はできない…… それも奪い取られて、あいつを回復させてるみたいだ」

ピッコロ「ワルプルギスの夜め、想像以上の化物になっていたか……!」

マミ「もう魔法も弾切れ… どうやっても、勝てないようになっているみたいね……」ガクッ

まどか「みんな、ありがとう。もう休んでて」

杏子「まどか!?」

マミ「どうしてここに? 危険よ!」





268:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:13:25.85 ID:s242xTP60

まどか「みんなが苦しんでるの、テレパシーで聞こえてたから」

まどか「わたしが契約しないと、あれには勝てないんでしょう」

杏子「やめろ! そんなことしなくたって、あんなの…」

QB「もう立っているのがやっとじゃないか」

まどか「QB、わたしの願い事、叶えてくれるよね?」

QB「言ってごらん。もう大体予想はつくけどさ」

まどか「うん、わたしの願いはね」





269:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:15:13.44 ID:s242xTP60

QB「まどか、君の願いはわかった。そして僕に願いを拒否する権利はない」

QB「だけど一つ、お願いさせてほしい。その願いは取り下げてくれないかな」

まどか「どうして?」

QB「『全ての魔女を生まれて来なかったことにしたい』それじゃあおそらくワルプルギスの夜は倒せない」

ピッコロ「やはりそうか……」

QB「あれは確かに魔女の力を取り入れて強化されているけど、元はピッコロに蓄積された、地球人たちの悪意が生んだ物」

QB「完全にトドメをさせない以上、いずれ復活してこの世に災厄をもたらすことになる」

まどか「そんな……」

マミ「QBでも手に負えないというの?」

QB「君たちも戦ってみてわかったろう。あれは魔女たちを従える王」

ピッコロ「大魔王、といったところか」





270:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:17:43.08 ID:s242xTP60

杏子「いいじゃねぇの。やりなよ、まどか」

まどか「でも、それじゃあ助からないって」

杏子「魔法少女が魔女になるって、その仕組みが気に入らなかったんだろ?」

杏子「だったら叶えたい願いを叶えればいい。思った通りに叫ばなきゃ、願いは空まで届かないんだ」

杏子「それとQB、もしまどかの願いが叶ったらさ、魔女になった子たちを魔法少女に戻してやれないかな」

QB「それはぼくの役目じゃないね。願いを叶えたまどかがやる事さ」

QB「しかし、仮に魔女にならなかったことにすると言っても、彼女たちは魔法少女として限界を迎えている」

マミ「戻れるのは最期だけなのね」

杏子「他に何が起こる? もうちょっと詳しく聞かせてよ」

まどか「杏子ちゃん、何が気になるの?」

杏子「希望と絶望のそう… 転移? だっけか」





271:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:19:22.01 ID:s242xTP60

ほむら「……? 私、元の体に戻ってる? でもここは?」

ほむら「まさか、私が倒れてる間に何もかも……」

まどか「壊されたんじゃないよ。作り替えるの」

ほむら「まどか! 契約したの!?」

まどか「ごめんね。ほむらちゃんが今まで何度も、わたしを契約させないように頑張ってきたのに」

杏子「でもほむら、まどかを責めないでやってほしいんだ」

杏子「今はやらなきゃいけないことがあるからな。ほら、あれを」

ほむら「ワルプルギスの夜! やっぱりまだ生きていたのね」

まどか「今はマミさんとピッコロさんがなんとか食い止めてくれてるよ」

杏子「これから作り替える新しい世界に、あれを連れては行けない」

ほむら「でも、魔女オクタヴィアの力を使っても勝てなかった……」

杏子「だからみんなでやるんだよ! そのために今、QBが頑張ってるんだ」





272:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:22:05.67 ID:s242xTP60

ほむら「QBも? 何をしているの?」

杏子「元に戻った魔法少女全員にテレパシーをつないでくれてる。過去も未来も、まどかが成仏させてくヤツ全員にな!」

QB「地球で稼働していた歴代QBを中継機代わりにしようとしてるんだ」

杏子「あ、それと通訳も頼むね」

QB「また面倒だなぁ」

まどか「QB、わたしも手伝うから頑張ろうよ!」

まどか「あれのせいで新しい世界が上手く作れなかったら、QBだって困るでしょう?」

QB「仕方ないか。ここまで来てエネルギーを回収できなくなったら元も子もないからね」

QB「地球の言葉でいう、『乗り掛かった船』ってヤツだ! 出血大サービスするよ!」

ほむら(ああ、コンコルド効果っていう……)

まどか(ほむらちゃん! 余計なこと言わないの!)シーッ!





273:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:25:07.70 ID:s242xTP60

QB「準備完了、と! これで全員につながったはずだよ!」

まどか「どうぞ、杏子ちゃん! わたしは行ってくるね!」

ほむら「私も、マミたちに加勢してくるわ!」

杏子「よ~し。聞こえるかい? あたしは佐倉杏子。みんなと同じ、魔法少女だ」

杏子「そして今、ワルプルギスの夜っていう魔女の親玉みたいなのと戦ってる」


杏子「こいつを倒すのに、皆の力を貸してほしい」

マミ「この声、佐倉さん?」

ピッコロ「呼びかけているようですね」

杏子「といっても大した事じゃないんだ。ちょっとずつだけ、みんなの元気をわけてくれ!」

ほむら「私たちは足止めに専念しましょう。彼女の所へは行かせないように!」

マミ「暁美さん! もういいの?」

ほむら「まどかも戦っているんだもの、いつまでも休んでられないわ」





274:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:27:42.86 ID:s242xTP60

——別の時代——

杏子「QBが言ってた。希望と絶望がエネルギーになるって」

魔法少女「なに? この声……?」

まどか「お願い、あなたの元気もわけてあげて!」

杏子「これを聞いてる魔法少女たちは、深い絶望を経験してきたはずだ」

魔法少女「うん、いいけど」

まどか「ならこうするの。両手をあげて!」

杏子「でも思い出してほしい。本当はみんな、絶望よりも得意なのがあるだろ?」

魔法少女「そうだよ… わたしには、叶えたい願いがあって」

杏子「希望を振りまく、魔法少女になったくらいなんだから!」





276:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:30:58.49 ID:s242xTP60

マミ「光る物が… 彗星? 違うわよね」

ピッコロ「過去と未来の、呼びかけに応じてくれた全ての魔法少女から分け与えられた希望」

ほむら「集まって行くわ。なんて大きさ!」

ピッコロ「巨大なソウルジェムか? そうだ、鮮烈だが温かみがある輝き…」

ピッコロ(当然のことだ。本当に優れた力を持つもの、真剣なものは美しいに決まっている)

杏子「待たせたな、ワルプルギスの夜! こいつはお前を倒すために力を貸してくれた、魔法少女たちの」

杏子「元気玉だっ!!」





277:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:31:34.80 ID:s242xTP60

ピッコロ「絶望にのまれ、魔女になっていった魔法少女たちが、元の姿へ戻って」

マミ「新しい希望に生まれ変わる!」

ほむら「今度こそ、無数に並列する時空の彼方へ!」

杏子「吹っ飛べぇっ!!」ブォン!!

まどか「さぁみんな、一緒に!」

魔法少女全員「Sparking!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」





278:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:36:11.72 ID:s242xTP60

杏子(じゃあな、ピッコロ(他の世界)の大魔王)

杏子(それと神様… 前の代の、地球の神様)

杏子(あんた本当にヒドい奴だな! 滅多に働かないし、たまに動けばロクなことしない)

杏子(……でもちょっと気が利いてた)

杏子(下界の人間がナメック星人に与えた『悪』は、下界で清算させる)

杏子(たまにはらしいことするじゃん、見直したよ)

杏子(じゃあな! 新しい世界で縁があったらまた会おうな!)





279:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:37:04.01 ID:s242xTP60

『お姉ちゃん、もう行くの?』

杏子「モモかい? どうして?」

『まどかちゃんに聞いたの。もう過去も未来もないんだって』

杏子「そうだな。いろんな時代の魔法少女が、さっき助けてくれた」

『頑張ったお姉ちゃんにいいものあげるよ』スッ

杏子「なにこれ? 透き通ってて、中に星が光ってる… きれいだね。どこにあったの?」

『どこにもないよ。これから作るものだから、この時間にはまだ存在しないの』

『7つ集めると願いが叶うんだって』

杏子「それじゃ魔法少女の契約と同じじゃないか」

『ちがうよ。神様が新しい世界に授けてくれる、新しい希望なんだから』

杏子「希望、か… だからきれいなんだ……」

『それ持ったら一緒に行こうよ、次の世界へ!』





280:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:38:13.21 ID:s242xTP60

まどか「でもね、みんな一緒には行けないの」

ピッコロ「神となったわたしたちは、本来なら下界の人間と関わるべきではないのです」

まどか「だからほむらちゃん…… ごめんね、ここでお別れしないといけないの」

ほむら「私の願い、これからも叶うのかな」

まどか「わたしとの出会いをやり直すっていう?」

ほむら「ここで別れても、またまどかのもとへ導かれて出会い、次の私が下界へ生まれて、また出会いをやり直す」

ほむら「人の一生なんて、神様に比べれば短いものよ。またすぐ会いに行くわ」

まどか「……平気なの? 寂しくない?」

ほむら「当たり前じゃない。わかったら行きましょう。お互い行くべき世界へ」





281:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:41:03.44 ID:s242xTP60

まどか「……」

まどか「でも、もう一つお願いしてたよね。わたしを守れるようになりたいって」

ほむら「過去を見たの!?」

まどか「わたしも神様の一員なんだよ」

まどか「きっと次は、今のほむらちゃんに守ってもらわなくていいくらい、立派になるから!」

まどか「ほむらちゃんも、もっと素敵な子になってなきゃ、迎えに行ってあげないからね」

ほむら「楽しみにしてなさいよ」フフッ





282:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:42:16.48 ID:s242xTP60

杏子「あたしらもまたどっかで会うの?」

ピッコロ「ええ。あなたならきっと」

杏子「なら別れはいらないな」

マミ「ずいぶんあっさりしたものね」

杏子「このくらいでいいんだよ。それにね、オッサンによく似た人を知ってんの。新しい世界でまた会うんだわ」

マミ「……誰かしら?」

『私も知ってる!』ヒョコッ

マミ「モモちゃん!!?」

『あ、マミさん久しぶりだね~!』

杏子「でも今回はこれで最後だし、言っておこうか」

杏子「ありがとな。あんたと一緒にいる間、時々あの人のことを思い出せたよ」

ピッコロ「わたしこそ、共に過ごせた時間は短いながらも、大事なことを教わりました」

『じゃあ行こっか! まどかちゃんとオジさん、またね~!』





283:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:45:43.60 ID:s242xTP60

——それから——

杏子「さやか!」

杏子「マミ! さやかは?」

マミ「いってしまったわ……」

杏子「前に言ってた、円環の理ってヤツか… せっかく友達になれたってのに……!」

ほむら(まどか… さやかを迎えに来てくれたのね)

 コロン

ほむら「何か落としたわよ」

杏子「ああ、ありがとう」

マミ「きれいね。宝石なの?」

杏子「よくわかんないんだよ。いつだったか教会の跡で拾ったんだけど、親父がこんなの持ってたなんて聞いたことない」

杏子「金目のもんじゃなさそうだけど、お守り代わりっていうのかな、きれいだから時々眺めたりしてるんだ」





284:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:47:30.79 ID:s242xTP60

マミ「不思議ね…」

まどか『それはね』

ほむら「まどか!?」

マミ「!」

杏子「まどかの声が聞こえたのか?」

ほむら「ええ、その球のこと… ドラゴンボールっていうみたい」

杏子「ドラゴンボール……」

マミ「心当たりが?」

杏子「いや、ないな。でも… いい名前だよ、ドラゴンボール」

杏子「口に出すと、なんだか勇気がわいてくる…… 不思議な響き……」

マミ「心が洗われるような、赤い星の煌めき」

ほむら「ドラゴンボール… その名にふさわしい力があるようね」





285:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:50:21.45 ID:s242xTP60

 ディナー中止のお知らせ
 本日貸切につき、ディナータイムの営業を中止させていただきます。
 あしからずご了承ください。
              ロッソ・ファンタズマ 店主

ショウ「そうか、さやかが……」

マミ「いずれはこうなるものとわかっていたけど、いざとなるとね」

ショウ「残ったのは三人とも一人暮らしか。じゃあ今夜はさやかの送別会だ! 好きなだけ注文してくれ!」

杏子「今日はあたしらのお別れでもあるんだよ。これを」

ショウ「へぇ、きれいだな」

ほむら「それと同じ物が、世界中のどこかにあと六個あるの。見つけると願いを叶えてくれるんですって」

ショウ「それを探しに行くってのかい。願い事はあるの?」

マミ「三人で考えてみたんだけど、もう出て来ないの」

杏子「願いなんかどうだっていい」

杏子「これは神様からの挑戦状だからな。できるもんならやってみろって、そう言われてるように思うんだ」





286:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:52:40.69 ID:s242xTP60

杏子「バカみたいだろ? 探すったってアテはないし、何も叶えてもらいたいワケじゃないのに、探しに行くって」

ショウ「なら結構じゃねぇの。頭カラッポの方が、その分デッカイ夢を詰め込めるんだぜ」

杏子「ほぅ…… たまにはいいこと言うね」

ショウ「俺、小さい頃風見野に住んでたんだ。今は無くなっちゃったけど、風見原に教会あったの知ってる?」

杏子(それって…!)

ショウ「日曜学校で行ったことあるんだ。そこの神父さんが変わった人で、俺はその人の話聞くのが好きだった」

ほむら(もしかして)ヒソヒソ

マミ(でしょうね)ヒソヒソ

ショウ「確かその時言われたことだ。子供の頃はおかしなこと言うなぁと思ってたけど、今になってよくわかる」

杏子「……いい人だったんだね……」

ショウ「余計なこと考えずに突っ走るのもいいもんだぜ。行ってきなよ。土産話よろしくね」

杏子「待ってろよ、すごいのしてやるからな!」





287:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:54:33.25 ID:s242xTP60

——天界——

まどか「ほむらちゃんにドラゴンボールのこと、教えちゃいました」

神様「まったく、いたずら好きな神様もいたものだ」

まどか「おじさんだって嫌いじゃないでしょう。7つも集めないといけないなんて」

神様「ドラゴンボールを探す者は、世界中を旅して、何人もの魔法少女に出会って、学んでいく」

神様「知恵と勇気と、あらゆる困難を乗り越える精神が必要とされるでしょう」

神様「それ自体が修行といえる過酷な旅の末に、七つ全てのドラゴンボールへたどり着いたような人間であれば、いいではありませんか」

神様「一度くらい奇跡を起こしたって」





289:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 15:57:36.00 ID:s242xTP60

まどか「そこまでしなきゃ、人の力で奇跡は起こせない、か……」

まどか「やっぱりいたずら好きで、意地悪な神様ですね」フフッ

神様「よく言われますよ」

まどか「だからこそ、あの子たちがどう乗り越えるか、楽しみになります」

神様「乗り越えられるかどうかは心配いらないようですね」

まどか「ドラゴンボールは神様が地上の人間たちへ贈った、七つの希望」

まどか「何度深い絶望に捉われても、その度に這い上がって、いつか全てを集められると」

まどか「そう信じさせてくれる子たちですもの」


 —— 完 ——





295:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 16:15:58.07 ID:os2rZ1J70

おつ





296:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 16:22:07.78 ID:3X/Ijzr70

乙でした





297:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 16:28:17.47 ID:sq24GGb20

杏子が後の界王様だったのか





299:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 17:04:06.42 ID:YeIOh/U90

ショウさんとはなんだったのか





300:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 17:08:31.52 ID:s242xTP60

ショウさんは作中で一人だけ、変身後の魔法少女に遭遇したことある人だったから
生き残ってもっとこの子たちと絡んでたら、違う視点で見られたかなと思って出した
でもオリジナル設定あれこれ入れすぎたのは反省してる





306:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 17:27:03.47 ID:Xw0Uhs/P0

割りと面白かった






307:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/08/12(日) 17:35:41.38 ID:GKzcl4er0

間に合ってよかった
乙、久々に面白かった






元スレ:まどか「おじさん、何を作ってるの?」

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1344691486





  

【 関 連 記 事 】


>>ほむら&さやか「4倍だあ——っ!!!!!」
界王拳かよw
[ 2012/08/22 04:44 ] [ 編集 ]
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