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  古畑「another……?」【解決篇】





これは、古畑「another……?」【出題篇】に対する続編になります。

激しいネタバレを含みますので、先に【出題篇】をお楽しみください。

果たして事件の真相は!?<いないもの>は!?

これらのナゾを解く【解決篇】、どうぞお楽しみください!





342:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:09:41.97 ID:329KWzE20

 教室

勅使河原「なぁニン、死者がわかったのは、受け止めるけどさ。俺達、大丈夫なのかな」

勅使河原「たとえば、その事実を告げた瞬間に……」

古畑「それしか方法がないんだよ。別に帰ってもいい。むしろ恐れるのが普通さ」

勅使河原「うっ……」チラッ

望月「……」

勅使河原「はぁ……わーった。どうせ乗りかかった船だ」

勅使河原「それに、仮に大丈夫だったときに立ち会わなけきゃ誰が死者かどころか、お前達の苦しみも忘れちまうかもしれねえからな」

古畑「ありがとう、勅使河原君」

勅使河原「……お前に感謝されるっていうのも、なんかむず痒いな……」

 ガラッ

一同「!」





344:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:13:01.52 ID:329KWzE20

三神「……皆、どうしたの、集まって私に用事だなんて」

古畑「えー、実は大事なことを聞いてもらいたくてお呼びいたしました。まずはこちらをお聞きください」

 カチャッ ジィィィ

松永『ええと、俺の名前は松永克己。1983年度の3年3組の生徒だ』

三神「えっ、マ、マツ?」

松永『俺がこのテープを残そうと決めたのは、2つの理由があるんだ。一つは俺自身の、罪の告白』

松永『もう一つは、後輩である君達にアドバイスを伝えたい』

三神「そ、それって……うっ」ズキッ

望月「み、三神先生!」

松永『そこで思い当たった。そいつがクラスに紛れ込んだ<もう一人>なんだって』

松永『まだ10日くらいしか経ってないけど死者も出ていないから、災厄は止まったと見て良いんだと思う』

三神「う、ううっ……」ガクッ

勅使河原「三神先生、大丈夫ですかっ!?」

古畑「……」





347:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:18:29.72 ID:329KWzE20

松永『どうやったら災厄を止められるか。死者を死に返す。<もう一人>を殺すんだ。これが唯一の方法だ』

三神「はぁ、はぁっ……」ズキズキ

古畑「お辛い思いをさせて申し訳ありません。ですが、これを聞いていただかなくては話は始まらないのです」

三神「そうね……でも、こんなこと、無理に決まってるわ……」スクッ

古畑「仮に生徒が死者ならばそうです。ですが」

古畑「死者が教師であるならば、殺しという手段に訴えなくても可能であると存じます」

三神「えっ……? ちょっと、待って、私が、死者だっていうの?」

古畑「……」コクッ

三神「そ、そんなっ……しょ、証拠は」

古畑「まず一つは職員室のことです。三神先生、4月になにがあったか思い出せませんか?」

古畑「災厄に関することなのですけれども」

三神「……ごめんなさい、思い出せないわ」





349:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:23:41.56 ID:329KWzE20

古畑「でしたか。確認しますが、災厄が<ある年>か<ない年>かを判定するには」

古畑「座席が一つ足りないという事態が起きていなければならない。そこでなんですが」

古畑「実は四月に配置が変わった時に、職員室の座席が一つ足りないという事態が起きていたそうです」

三神「……あっ」

古畑「まあ瞬時に思いだせないのも無理はない。滅多に起こらないことですから。ただ、この学校の場合は別です」

古畑「覚えている教師が何人かいらっしゃいました。最早座席は補われ、そうした証拠はなくなっておりますが」

古畑「しかしですよ、そもそも3組は今年は<ない年>だと判断されていたんです。始業式には座席が過不足なくあった」

古畑「<いないもの>も作らずに済んだ。だけど災厄は始まってしまった」

三神「……で、でも座席が足りないことを、3組の皆が確認し忘れた可能性だって」

古畑「確かに痕跡が消え、それを証明する方法もない以上この証拠は不十分です」


古畑「しかし、三神先生が死者だとする手掛かりには十分だ。何より、証拠はまだあります」





352:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:29:59.69 ID:329KWzE20

古畑「これ、覚えていらっしゃいますか?」ピラッ

三神「それは、私の家にあった……」

古畑「はい。今日望月君のものであると判明しました。こちらに『Y.M』とサインがしてあります」

古畑「もちろん上から油彩の絵具が加わっているので跡から付け加えたわけでもない」

古畑「そして、その反対側にも『R.M』との大き目のサインが。これが、何を意味するのか」

三神「……素直にいってちょうだい」

古畑「……私はこの『R.M』のサインが『三神怜子』を示していると見ています」

古畑「ということは先生に宛てたものである。しかも、今なおこの学校に通っている望月君から宛てられたものだ」

古畑「ですがなぜ、先生は作者が誰か忘れていたのか。望月君の作風をちゃんと理解しているはずの先生が」

古畑「……この絵が先生が死者となってから送られたものだからなのです」

望月「っ!」





353:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:34:49.58 ID:329KWzE20

古畑「ここからは推測です。恐らく望月君は、先生とこの絵を仕上げる約束をしていた」

古畑「しかしその矢先、なんらかのことで先生が亡くなってしまう。望月君は悲嘆にくれた」

古畑「やりきれない思いの中でせめてもの追悼としてこの絵を完成させて、先生のお宅に届けた」

古畑「だから先生が思い出せないのも当然なんです。死んでいる間に送られてきたのだから、記憶しようがないのだから!」

望月「あっ……」

三神「でも、それは偶然か何かで紛れ込んだ可能性だって……」

古畑「『R.M』というサインまでして大切に描かれたものが偶然どこかに紛れ込むとは考えにくいものです」

古畑「仮に偶然だとしましょう、紛れ込む程度のなんともない絵だとしましょう」

古畑「だとしたら易々と『R.M』という誰かに向けたサインがつくのはおかしい。望月君が取り戻さなかったのもまた」

古畑「もしかしたら、面と向かって渡された上で忘れていた可能性も否定はできません」

古畑「しかし、生徒への気配りが行き届いている先生がそこでド忘れをするとは、そちらのほうがおかしく思える」

三神「……」

望月「あっ、あぁ……」

古畑「とはいえ、これも決定的な証拠にはなりません」

古畑「先生の資質に頼み過ぎているきらいがあるので不十分だ」





360:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:39:38.85 ID:329KWzE20

古畑「最後に、お話しいただきたい方がいらっしゃいます」ピッピッ

 プルルル... プルルル...

三神「だ、誰と……?」

古畑「もしもし、おはよう。いつもこうやって起こしてるんだから、これからはやめてね、うん」

古畑「ちょっと今電話代わるから、話してもらいたい人がいるんだ」スッ

三神「……もしもし」

古畑母『あなたが任三郎ちゃんの彼女ぉ? へぇ~』

三神「ね、義姉さん?」

古畑母『ん、ねえさんってなぁに? 母さんならわかるけど』ケラケラ

三神「私よ、三神怜子。あなたの前の夫の……」

古畑母『あっ、怜子ちゃん? 久しぶりぃ、いつ以来かしら、お兄さんが亡くなってからほどんど会わなかったから……』

三神「……」ホッ

古畑母『ふ~ん、でもね、私をだまそうたって残念でした。怜子ちゃん、もう死んでるんだもの』

三神「えっ……」





363:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:44:49.05 ID:329KWzE20

古畑母『私の義理の妹の怜子ちゃんは、一年半前に亡くなりました』

古畑母『私がお葬式に行かなかったから、任三郎ちゃんは覚えていないんだろうと踏んだんだろうけど、駄目ねえ』

古畑母『で、ところであなたは誰なの? 任三郎ちゃんも聞こえてるんでしょ?』

三神「え、うそっ、私が、私が……」ガタガタ

 ガシャンッ

古畑「……」スッ

古畑母『ちょっと、任三郎ちゃん、なに今の音? 朝からお母さんを騙すなんてひどいじゃない、ちょっと……』

 ピッ ツーツーツー...

古畑「……義理堅いんだかなんなんだかよくわからない母親です。最初はきっと義理の妹のことを忘れているのだと思いました」

古畑「ですが、この現象の影響が及ぶのは、3組の生徒、教師に関係している人間だけだったようです」

古畑「それから、嘘をつけない動物と、記憶に障害をきたしてしまった人間も除外される」

三神「あっ、お父さん……!」ズキッズキ





364:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:50:24.18 ID:329KWzE20

古畑「もちろんこれも証拠にはなりません。私がハッタリを仕掛けている可能性もあるわけですから」

古畑「証拠を出そうと思えば他にもあるんです。副担任を置いた例は今年まで一度もない」

古畑「あるいは先程テープの声の主である松永さんに先生の名前を訊ねた所、お亡くなりになったと仰っておりました」

古畑「ただ、すべてが確かな証拠になりえない」

古畑「なぜなら三神怜子は生きている者だとしてちゃんと記録されているのだから」

古畑「三神怜子にまつわる全てのものが、死者は前から生きているのだということの事実を裏付けするために存在するのだから」

古畑「死んでしまったのだという証拠は消えるように、あるいは確かでなくなるように仕組まれているのだから」

三神「……」ガクガク





366:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:54:50.94 ID:329KWzE20

古畑「現象がこうした性質を持っている以上は、そして現象の性質すら推測でしか考えられない現状では」

古畑「ハッキリいって出来そこないの推理だと認めざるをえない。それに、これ以上の証拠も、もう出てこないでしょう」

見崎「……私は、三神先生が死んだ時の光景を覚えている」スッ

勅使河原「み、見崎?」

見崎「夜見山川にかかる橋の近くにある、ダムでの出来事だった」

見崎「男の人に、三神先生は放り投げられて川に転落したの。翌日の新聞には、溺死、って書いてあった」

見崎「死体は下流で見つかって、翌日全校集会で先生の死が知らされた。私は、その現場に居合わせていた」

見崎「揉み合いになりながら抵抗したけれど、あえなく川へと落ちていく、三神先生を覚えている」

見崎「犯人は、顔も恰好もあいまいだけど、私の方を見て、不敵に笑う表情だけはよく覚えている」

見崎「三年になって以来ずっと、漠然としたシーンだけが細切れに再生され続けていた」

見崎「けれど、三神先生をこの左目で見た時、おぼろげだった記憶が一気につながったの」

三神「あっ、いやっ……」ズキッズキッ

望月「そうだ、三神先生が、死んだって聞かされて、僕は……」

古畑「……」





367:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 18:59:20.30 ID:329KWzE20

古畑「それもまた証拠にはならない」フルフル

見崎「……その通りね。たぶん、それも現象の性質と思うの」

見崎「こういうことはあまり言うべきではないのかもしれない。けれど、先生、私達にはそれしか手がかりがないんです」

見崎「だから……」

三神「……もう、いいわ」

見崎「……」

三神「……思い、出せているわ、私も……」

望月「せ、先生……」

三神「そう、私は一昨年の3組の担任だった。そこで私も災厄の手によって……」

三神「……あなた達の言いたいことはわかったわ。ちゃんと伝わっている」

三神「私が何をすべきか、っていうことも、ちゃんと」

三神「だから、もう、一人にさせてくれないかしら……」

勅使河原「そんな、先生……」





370:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:05:54.92 ID:329KWzE20

三神「……さぁ、帰りなさい。もうすぐ下校時間だから。大丈夫、先生は、大人だから。生徒を、子供を守るためにいるんだから」

望月「あっ、うあっ……」グスッ

見崎「……帰ろう」クルッ

古畑「……」スッ

三神「……やっぱりごめん、任三郎君だけでも、残って。ちょっと、伝えたいことがあるから」

古畑「……」コクリ

勅使河原「……頼むぞ、ニン」

望月「先生、先生……」

見崎「行こう、望月君」スッ





373:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:11:34.69 ID:329KWzE20

 キーンコーンカーンコーン...

『下校時刻になりました。校内に残っている生徒はすみやかに……』

怜子「……」

古畑「……」

怜子「任三郎君、しきりに証拠がない推理だって、言ったけれど」

怜子「でも、そんなこと、無いと思うわ。どこからどう見ても完璧な推理。否定のしようもない」

古畑「あくまで証拠がない以上は未熟な推理です」

怜子「やっぱりあなた、探偵になった方がいいと思うわ。そんなに頭がキレるなら、きっと依頼、くるだろうから」

怜子「警察になんか収まっちゃダメよ、日本中、いいや、世界中を飛び回るすごい探偵にならないと」

古畑「私にそんな行動力はございません」

怜子「……お母さん、元気そうね。よかった、兄さんのこと、引きずってないみたいで」

怜子「でも、任三郎君は、やっぱりお母さんのこと、嫌い?」

古畑「嫌いなのか好きなのか、判じかねる時期にまで来てしまいました」





374:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:15:46.71 ID:329KWzE20

怜子「そっか……でも、お母さんとは、いつか仲直りしてあげてね。あの人、兄さんを亡くして以来、ああなったんだから」

怜子「それも私が、夜見北なんかに行ったから」

古畑「あなたのせいではありません。こんなふざけた災厄のせいです」

怜子「なんで教師にまでなって夜見北に戻ってのに、あっけなく死んじゃっていただなんて、お笑いだよね、まったく」

怜子「教師としてだけじゃなくて、人間としても……」

古畑「それ以上はいけません」フルフル

怜子「……」

古畑「……」





377:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:20:09.39 ID:329KWzE20

怜子「任三郎君、これから、大変だよね。私がいなくて、夜見山に住み続けるなんて」

怜子「母さんも、父さんを世話し続けられるかな。任三郎君、二人のこと、よろしくね」

古畑「……」

怜子「任三郎君、一つだけ、あなたを苦しませるかもしれないけれど、一つだけ言わせて」

怜子「あなたといた二ヶ月間、不幸に巻き込まれた中だけど、とても充実していた」

怜子「そして、出来るだけならもっと幸せな日々の中で、あなたと暮らしていたかった」

古畑「……」

怜子「ごめんね。暗くなっちゃったわね。家まで送っていくわ。でも、私は今日はずっと学校に残ってるわ」

古畑「……」

怜子「本当は仕事も残ってるし……さぁ、行きましょうか」スクッ

古畑「怜子さん」

怜子「……」

古畑「私もこの二カ月良い時間を過ごさせていただきました。まことに、お世話になりました」

怜子「……っ」ポロッ





379:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:26:08.69 ID:329KWzE20

 翌日 教室

風見「おはよう、勅使河原」

勅使河原「お、おう、おはよう」ソワソワ

風見「どうしたんだ、具合でも悪いのか?」

勅使河原「い、いや、そんなんじゃねえよ」

風見「ふぅん……悪い物でも食ったなら保健室に行けよ」

勅使河原「あ、ああ……」ソワソワ

風見「……?」テクテク





381:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:34:21.51 ID:329KWzE20

見崎「……大丈夫?」

勅使河原「大丈夫どころの話じゃねえって……まだ覚えてるけどさ、本当にそうなのか、確かめることさえ怖いし」

勅使河原「望月なんかずっと机にふせってるし、ニンもまだ来てねえし……」

見崎「……そうよね」チラッ

望月「……」

 ガラッ

勅使河原「お、おうニン! あのさ、お前覚えて……」

古畑「……」コクリ

勅使河原「そ、そうか……」

見崎「……」





382:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:38:30.83 ID:329KWzE20

 ガラッ

千曳「皆、席に付きたまえ」

望月「あっ……」ガタッ

千曳「望月君、どうした、そんな風に突っ立って」

望月「あ、あの、三神先生は……」

千曳「三神先生? 誰だね、それは?」

望月「っ! ……」ダッ

千曳「おい、どこに行くんだ!」

勅使河原「まてよ望月!」ガタッ

古畑「……」

見崎「……」

 ナニードウシタノー ミカミッテイッタカ ダレダヨソレ





384:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:43:35.87 ID:329KWzE20

 翌日 屋上

勅使河原「あれから望月はほとんど授業に出てこなくなって、ニンも早退。今日は二人とも休み」

勅使河原「三神先生のことを覚えている人間は、誰もいない」

勅使河原「クラス名簿からも、教員名簿からも、跡形もなし、かぁ」ピラッ

勅使河原「そして三神先生が死んだ時の記事もちゃんと復活してる。中学教諭が川に転落、殺人か、ねえ」ピラッ

勅使河原「まさか千曳先生まで忘れてるとはなあ。ていうか、久保寺先生が亡くなった後に代理担任になったって……」

勅使河原「本当に、死に関わったヤツだけが覚えてるんだな……」

見崎「……」

勅使河原「お前はすごいよな。平然と学校来てさらりと授業受けてるし……」

見崎「……湿っぽくしても、しょうがないから」

勅使河原「……だよな。うん。しかしこれから、どうしたらいいもんか」

見崎「千曳先生はテープのことは覚えてるし、これから3組の皆に伝えてくれるんだと思う」

見崎「もっとも、無事であれば、の話だし、ずっと覚えていれば、の話でもあるけど」

勅使河原「……俺も何か残した方がいいのかな」





385:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:49:28.11 ID:329KWzE20

 ガチャッ

赤沢「珍しい組み合わせね、まさか、あなた達が……」

勅使河原「えっ、いやそんなんじゃっ」アセアセ

見崎「違うから」

赤沢「そうよね」

勅使河原「……」

赤沢「そんなことより、昨日のあれはなんだったの? それに今日二人が休んでること、知ってるんでしょう?」

勅使河原「あぁ、それなんだけどな……」





389:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 19:54:51.01 ID:329KWzE20

赤沢「……そう、災厄、止まったんだ」

勅使河原「? 意外と素直だな」

赤沢「あなたがそんな詳しいハッタリを言えるほど頭が良いとも思えないし」

勅使河原「ぐっ……」

赤沢「何より、全部古畑君がやってくれたって聞いて、納得せざるを得ないわ。悔しいけれど」

見崎「……」





394:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:06:20.70 ID:329KWzE20

赤沢「……今だからいうけれど、私の従兄が、災厄で亡くなってたのよ」

勅使河原「! そうか……」

赤沢「意地張ってたんだって、今になってみたら反省するわ。古畑君のことは、いまだに苦手だけど」

勅使河原「やたらに留保つけるな」

赤沢「……古畑君に、ありがとう、って伝えておいて。それじゃ」

勅使河原「……そんなこと自分で言えよ」

赤沢「……そうね、ごめんなさい」

 ガチャッ キィィ ドンッ

勅使河原「全く、素直じゃねえ奴だ……」

見崎「でもわかるわ。古畑君、なんとなくムカつくもの」

勅使河原「あのなあ……」

見崎「でも、あれだけズバズバと言い立てられたら、もう降参するしかない」

勅使河原「……だな」





397:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:12:33.11 ID:329KWzE20

 放課後

勅使河原「なぁ、今日ニンの家に行ってみないか?」

見崎「そうね。望月君の方は?」

勅使河原「ニンを連れて行ったらうまいこと言えるんじゃねえか、ってつもりなんだが」

見崎「……それくらい自分でなんとか出来るんじゃ」

勅使河原「ぐっ、じゃあお前はなんとか出来るのかよ」

見崎「話のすり替え、嫌い」テクテク

勅使河原「はぁ……」





398:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:17:24.68 ID:329KWzE20

 三神宅

勅使河原「ずっと、家に帰ってきていない?」

祖母「昨日もそんな感じだったわね。病院に行くって言って、ちゃんと夕方には戻ってきたけれど」

祖母「今日は学校に行ってたものだとばかり……時折連絡はよこしたけれど……」

勅使河原「一体どこに行ってんだよ……」カリカリ

見崎「……あのダムじゃ」

勅使河原「ダム? ダムって山に向かう所にある……」

見崎「ありがとうございました。私達で捜してきます」ペコリ クルッ

勅使河原「あっ、ありがとうございました、待てって見崎!」クルッ





400:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:22:40.87 ID:329KWzE20

 夜見山川 ダム

 ザザァ...

勅使河原「ダムって言ったはいいものの、どこにいるんだか……」キョロキョロ

勅使河原「ていうか、落ちたらひとたまりもねえな、ここ。飛び込み台くらいの高さはあるんじゃねえか」

見崎「……このへん、だったかな。三神先生が突き落されたところ」

勅使河原「そういえば、犯人って誰だったんだ? それに三神先生が生きてた時って……」

見崎「新聞を見たけれど、犯人が捕まったっていう報道は見当たらなかった。もう少し漁れば、見つかるかもしれないけど」

見崎「仮に捕まっていたとしても、生きていた時は、どうだったんだろうね」

勅使河原「はぁ~……本当にとんでもないことに巻き込まれてたんだなぁ……」





403:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:30:00.71 ID:329KWzE20

勅使河原「あっ、そういえば携帯があった。あいつの番号知ってるよ、ったくなんで今更思いだすもんか……」ピッ

 プルルルル... プルルル...

見崎「……ねえ、着信音、聞こえない?」

勅使河原「あっ? いや俺は受話機に耳を……そっか、離せばいいだけか」スッ

 プルルル... プルルル... ガサッガサガサッ

勅使河原「本当だ、でも、森の方から……」

 ガサガサッ バァッ

古畑「ふぅ。何してんの、こんなとこで」

勅使河原「うわっ、お、お前こそ茂みなんかから出て来るなよ!」

見崎「やっぱり三神先生の事件、気になってたんだ」

古畑「ですねえ。昨日から図書館を回って記事を探ったり色々と」

勅使河原「でもさ、一年経ってるんだろ? 悪いけど……」

古畑「いや、なんとなくあらましはつかめてるんだ」

勅使河原「あらまし?」





405:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:35:06.02 ID:329KWzE20

古畑「本当はね、怜子さんを殺した犯人を捕まえてやろうと思ったんだけど、たぶん無理なんじゃないかと思えてきた」

勅使河原「はぁ? なにいって……」

見崎「……どういうこと?」

古畑「うーん、説明はまず私たちと同じことを考えてる人を待ってから……」

勅使河原「? あっ……」

 タッタッ...

望月「はぁ、はぁ……やっぱり、皆いたんだ」

古畑「御苦労さま」ナデナデ

望月「わっ、やめてってば!」ジタバタ

勅使河原「無神経なんだかなんなんだか……」

見崎「……」ハァ





409:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:40:03.12 ID:329KWzE20

勅使河原「まあいいや、説明してもらおうか」

古畑「んー、まず夜見山川には橋が二つかかってる。二つとも山と町をつなぐ形でかかっていて」

古畑「学校に近い方と遠い方とでもしておこうか」

古畑「このダムは遠い方の橋に建設されている。渡ったとしてもあとは山に続くだけの橋」

古原「まずここでひっかかるんだよ。怜子さんはなんでこんなところに来たのか、ってね」

勅使河原「……ん? どういうことだ?」

古畑「……」ベシッ

勅使河原「てっ!」





411:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:43:37.06 ID:329KWzE20

見崎「さっき古畑君の家に行ったでしょ。それに比べればここは明後日の方向じゃない」

古畑「その通り。こっちは学校から夜見山川にそって南に行った所にあるけれど」

古畑「怜子さんの家は学校から西の坂を下った先の町の外れ」

古畑「橋を渡って山にある病院に行く可能性もあるけれど」

古畑「じゃあなんで学校に近い橋を選ばないのかって話になる」

望月「そもそも、学校からここに来たの? ここから北へ学校に向かったんじゃなくて?」

古畑「平日の夕方に事件が起きてるし、遺体の恰好もよそゆきのものだったみたいだ」

古畑「学校からここに来たとみていいだろう」





414:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:47:26.41 ID:329KWzE20

勅使河原「うーん……じゃあ、生徒の家がこの近くにある、とか」

古畑「橋を渡った先に家はほとんど建ってないし、一応名簿を調べてはみたけど」

古畑「山の方に住んでる生徒は3組にいなかった」

古畑「かといって橋沿いのこの道路は森が密集してるだけで家なんて一軒もないでしょ」

古畑「もっとも、この橋沿いの道路を渡った先の住宅地には数人生徒が済んでたらしいんだけど」

古畑「だとしたら車で来てないのが不思議なんだよ」

古畑「学校から住宅地まで2、3kmほどあるっていうのに」ポンポン

勅使河原「えっ? 三神先生、徒歩で来てたのか?」

古畑「車は周りにはなかったそうだ」

古畑「そもそも怜子さんが自分でここに来たんではなくて、犯人が殺した後でここに投げ込んだ、っていう線もあるけど」

古畑「怜子さんに外傷はなかったらしいんだよ。睡眠薬なんかを使ってる線もあるだろうけど」

古畑「通り魔程度がなんでそこまでまわりくどいことをする必要があるんだか」ポンポン





417:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:52:13.53 ID:329KWzE20

勅使河原「うーん……じゃあ、生徒の家がこの近くにある、とか」

古畑「橋を渡った先に家はほとんど建ってないし、一応名簿を調べてはみたけど」

古畑「山の方に住んでる生徒は3組にいなかった」

古畑「かといって橋沿いのこの道路は森が密集してるだけで家なんて一軒もないでしょ」

古畑「もっとも、この橋沿いの道路を渡った先の住宅地には数人生徒が済んでたらしいんだけど」

古畑「だとしたら車で来てないのが不思議なんだよ」

古畑「学校から住宅地まで2、3kmほどあるっていうのに」ポンポン

勅使河原「えっ? 三神先生、徒歩で来てたのか?」

古畑「車は周りにはなかったそうだ」

古畑「そもそも怜子さんが自分でここに来たんではなくて、犯人が殺した後でここに投げ込んだ、っていう線もあるけど」

古畑「怜子さんに外傷はなかったらしいんだよ。睡眠薬なんかを使ってる線もあるだろうけど」

古畑「通り魔程度がなんでそこまでまわりくどいことをする必要があるんだか」ポンポン





418:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 20:57:30.27 ID:329KWzE20

望月「周到にやっているとしたら怨恨、だよね」

古畑「怨恨なら死体を川に放り投げるっていうのが気にかかる。隠すなら近くに山があるっていうのに」

古畑「そもそも死体や気を失っている体って相当重いんだよ。大人一人でも放り投げるには厳しい」

古畑「複数犯なら難なくできるだろうけど、見崎さんの証言によると単独犯だそうだし」

見崎「……そうね」

古畑「それから本当に犯人が不敵に笑ったっていうなら怨恨と結びつきづらい」

古畑「あわてて逃げるか見崎さんを殺してしまうか」

勅使河原「……じゃあ見崎がなんで生き残ったのか、っていう謎も出来るな」

古畑「見つかっても露見しない、という確信があったんじゃないかなぁ」

古畑「まぁ、それは後々の推理でわかってくるよ」





422:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:00:48.86 ID:329KWzE20

見崎「……残るは、三神先生が誰かに誘い込まれた上でここにきて、殺された」

古畑「まさしく」

望月「……だよね、もう、それしかない」

古畑「となるとねえ、まっさきに浮かぶのは怜子さんの馴染みの友人」

古畑「でも馴染みの友人だったら簡単に洗い出せるところだから、とっくに捕まっててもいいはずなんだ」

見崎「……あと残るのは……」

古畑「学校帰りの恰好でも問題なく会える人間を探ると、自ずと学校関係者が残る」

古畑「あとは、せいぜい怜子さんが余所で気を置きながらも付き合っていた人間が残る程度」

古畑「といっても、こんな場所に徒歩で呼び寄せるなんて怪しむのが普通。よほど信頼していた生徒か知り合いか」

古畑「あるいは弱みでも握られていたか、もしくは負い目でも感じていたか」

勅使河原「……」ゴクリ

望月「……」





426:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:06:22.97 ID:329KWzE20

勅使河原「そ、そうだ、見崎っ! 見崎が覚えてるって、言ってたよな? それで大体わかるんじゃ……」

見崎「……ごめんなさい。なにせ、一年半も前のことだから、光景自体はほとんど」

勅使河原「そっか……」

見崎「でも、白いシャツを着ていた、覚えはある」

古畑「ん~、それだけでは何とも言えないのが残念なところです」

古畑「恰好によって目撃者を混乱させるなどよくある話ですから」

望月「……でも、学校関係者の線は確実なんでしょ?」

古畑「まだ有力候補、一番手に来たという程度だよ。落ち着きなさい」ナデナデ

望月「うっ……」

勅使河原「……学校関係者と仮定するとしてだ、ますます捕まらないのがわからなくなってくるよな」

古畑「一つ逃げ道があるじゃない」

勅使河原「えっ……あっ、お偉いさんが親に……」

古畑「……」ベシッ





428:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:10:50.51 ID:329KWzE20

古畑「この学校限定の逃げ道だよ」

見崎「……死者が、三神先生を殺した?」

望月「そっか! 殺したヤツが三神先生を死者だと思ってそれで」

勅使河原「あっ、見つかってもバレない、ってのはそういうことか……」

古畑「動機はハッキリとしないよ。そもそも推測だ」

古畑「おまけに見崎さんが左目で見ていれば推理はどちらにせよ必要ない」

見崎「……いいえ、見ていないわ。そもそも、眼帯を外す余裕もなかった」

見崎「ただ立ちすくんで見ているだけで、精一杯。不敵に笑われた時は、すぐに逃げてしまった……」





430:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:16:41.79 ID:329KWzE20

古畑「それだけ鮮明な体験をしたにもかかわらずほとんど覚えていらっしゃらないということは、ですよ」

古畑「もしや、死者が死に還ったと共に見崎さんの記憶が失われた可能性もある」

古畑「現象の実態がどこまでのものか、いまだ把握できておりませんから確証はありませんし」

古畑「うっすらながらおぼえている、というのがあやしいところです」

見崎「……この左目で、過去の3組の死者を見たら、思いだせる可能性はあるかも」

望月「じゃあっ」

見崎「けれど、割り出せたとしても、意味はないでしょうね」

望月「な、なんで……」

見崎「わかったところでどうするの? 一度死んで、もう一度現象の気紛れによって蘇って」

見崎「災厄のせいで操り人形になってしまった末に三神先生を殺してしまったのかもしれない生徒を、責められるの?」

望月「あっ……」タジッ





432:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:23:05.25 ID:329KWzE20

古畑「その生徒が、果たしていかなる動機をもって死んでいったのかは見当もつきませんし……」

古畑「……いや、それよりこんな滅茶苦茶な推理を振りまわしている方が問題でしょうかね」

古畑「いずれにせよ、もう証拠もまともに残っていないし、私達に出来るのはここまででしょう」

古畑「あとは、警察に任せた方が良い」

望月「そんな……」ガクッ

見崎「……」





434:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:28:03.24 ID:329KWzE20

 墓地

勅使河原「なあニン、本当によかったのか、あれで?」

古畑「……良いか悪いか、だったらまったく分からない。怜子さんのためになるとも言えるし、ならないとも言える」

古畑「結局生きている人間が勝手に決めるしかないんだよ。死者は、何も語りはしない」

古畑「私は事件についてやることはやったつもりでいる。そこで最善を尽くした」

古畑「その上でやるべきことがまだあるとしたら、怜子さんを忘れないままで生き続けるくらいだ」

見崎「……たとえ体が消えたとしても、その人と過ごした時間だけは記憶の中で生き続けているものね」

古畑「まさしく。生き残れなかった人がこの学校に限らずたくさんいる中で、私達は生きている」

古畑「私達が生き続けていることでしか、生き残れなかった人が存在したのだという事実は保てない」

勅使河原「そう、か……だ、そうだ。お前も元気出せよ、望月」

望月「……」

勅使河原「湿っぽくしてても三神先生は生き返らねえぞ」

見崎「勅使河原君に言われてもね」

勅使河原「どういうことだよ」

古畑「んっふっふ」ニヤニヤ





437:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:29:43.31 ID:329KWzE20

 数日後 教室

勅使河原「なあ、MD撮ってきたんだけど、どこに隠せばいいかな」ボソボソ

見崎「そもそもMDコンポって将来的に残ってるのかしら」ボソボソ

勅使河原「……そればっかりは流石にわからねえよ。一応ニンにも訊いて……」

 ガラッ

千曳「おはよう。勅使河原君、席に着きたまえ」

勅使河原「あぁ、はい。ていうか、ニンが……」

千曳「古畑君か。実は今日知らされたことなんだが……」

勅使河原「えっと……」

千曳「古畑君は今月末でこの学校を去ることになった。東京に戻るそうだよ」

勅使河原「えっ」

 ウソー ガヤガヤ エーハヤスギナイ ガヤガヤ

見崎「……」





439:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:35:11.38 ID:329KWzE20

 三神宅

古畑「……」ガサゴソ

「お邪魔します! あの、ニン、古畑君は!?」

古畑「……」

「あぁいるよ、ちょっと待ってちょうだい。任三郎ちゃん、お友達が来て……あ、ちょっと」

 ダッダッ...

勅使河原「ハァ、ハァ、ひでえじゃねえかよ、黙って転校しちまうだなんて……」

古畑「こっちだっていきなり聞かされたんだよ。手続きが済んでるんだってさ」

勅使河原「お前は、どうなんだよ」

古畑「元々怜子さんの好意に甘えてたんだし、これ以上世話になるわけにはいかない」

勅使河原「残りたくねえのかって訊いてるんだ、ハッキリ答えろよっ!」

望月「勅使河原君、落ち着いて……」





442:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:40:38.10 ID:329KWzE20

古畑「残りたくても残れない事情ってものはあるんだよ」

勅使河原「じゃあ残りたいんじゃねえか、それならっ」

見崎「……勅使河原君、もう、どうしようもないんだと思う」

見崎「……お母さんと暮らせるんだもんね。それは、そっちのほうを取るよ」

勅使河原「あっ……そっか、すまねえ」

古畑「……んふふ」カリカリ

古畑「親のことはともかく、どのみち東京には今年きりで戻る予定でした。遅いか早いかの違いだと思います」

勅使河原「……でもよ」

古畑「二カ月だけでも十分楽しかったよ。そもそも時間が問題ってわけでもないんじゃないかな」

古畑「味方になってくれてありがとう。君なしでは残りたいとも思わなかっただろうね」

勅使河原「肝心なところで……ま、こっちも楽しかったよ。色々あったけどさ……」

勅使河原「いつか、そんなのは無しで上手くやれる日がきたらいいよな」スッ

古畑「こちらこそ」ニギッ





446:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:47:17.57 ID:329KWzE20

見崎「……ところでここ、三神先生の部屋?」キョロキョロ

古畑「そう。まるで空っぽ。暮らした形跡が全部無くなってるんです。物置程度になっちゃって」

望月「えっ、ここが……っていっても、本当にわからなくなっちゃってるね」

古畑「んーでも残ってるんだ、確かにここに誰かがいたんだってものは」

古畑「記憶もこういう風に残っていくんじゃないかなあ、ってここのところは考えていましたぁ」

古畑「それに写真も残ってる」ピラッ

望月「あ、これ美術部の……」

古畑「君にあげるよ、忘れないように取っておくといい。そもそも私のものじゃないけど」クックッ

望月「じゃあ、もらっておこうかな……古畑君、僕、難しいだろうけど、絵を描く仕事に就こうと思ってるんだ」

望月「今は忘れないように頑張ってるけど、やっぱりいつか三神先生が生き還ったんだってことを忘れちゃうかもしれない」

望月「でも、三神先生からアドバイスをもらい続けてた絵なら、技術やノウハウの中にその記憶を刻み続けられるっていうか……」

古畑「うん、いいんじゃないかな、頑張りたまえ、少年」ナデナデ

望月「うう……」

古畑「抵抗しないんだね」ワシャワシャ

望月「だからってくしゃくしゃにしないでよっ!」





449:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:53:14.67 ID:329KWzE20

「ごめんくださーい、任三郎ちゃん、迎えに来ましたぁ」

「あらあら、家まで来ていただいて……」

古畑「時間みたいだ」スッ

見崎「……古畑君、災厄のこと、お疲れ様。そして、ありがとう」

古畑「いえ、こちらこそ」

見崎「古畑君が来てくれたおかげで、未咲のことも、左目のことも、受け入れられたんだと思う」

古畑「それは見崎さんが自分で成し遂げたことです。私はなにもしてないはずです」

見崎「ううん……古畑君、東京でも元気で」

古畑「お互いに元気で」ペコリ





452:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 21:58:05.03 ID:329KWzE20

古畑母「あら、お友達? 仲良くしてくれてありがとうね。会えなくなって、残念でしょうけど」

古畑母「さ、行きましょうか、任三郎ちゃん」

古畑「……」テクテク

古畑母「あ、ちょっと! もう……それじゃあね」フリフリ

見崎「……古畑君、もしかして」ボソッ

望月「どうしたの、見崎さん?」

見崎「……ううん、なんでもない」フリフリ





455:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:04:28.52 ID:329KWzE20

古畑母「こんな田舎に二カ月も住まわせちゃってごめんね、色々と大変だったでしょう?」テクテク

古畑母「これからはずっと東京で暮らせるから。お兄さんも、良い人よ。一番上の子は医者になるんだって」

古畑母「任三郎ちゃんも、良い学校に入って、お父さんやお兄さんに負けないような……」

古畑「……」テクテク

古畑母「任三郎ちゃん?」クルッ

古畑「……」テクテク

古畑母「あ、ちょっと! 急がなくてもバスには間に合うわよ!」





END





462:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:07:15.32 ID:329KWzE20

長い間お付き合いいただき、それだけでなく保守までしていただいてありがとうございました。
すべては古畑任三郎にまつわるなにもかも、それからAnotherにまつわるなにもかものおかげです





463:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:07:50.42 ID:zST7F5fV0


面白かった!!





464:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:07:56.22 ID:3lfVGt9Y0


another読みたくなったわ





466:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:08:19.44 ID:oDgYi5Ma0

乙!
面白かったよ





460:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:06:39.88 ID:dWQ1Hz+m0

母ちゃん、悪い人ではないんだろうけど…

おつかれ





470:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:09:54.40 ID:VD8xwWz80


よかった





472:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/25(金) 22:11:01.28 ID:dXY0EQ9D0

乙ー!








  

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このエントリーをはてなブックマークに追加 [ 2012/05/31 21:37 ] SS:その他 評価:【S】 | TB(0) | CM(1)
これすきだわ〜読むの3回目w
[ 2012/10/07 20:07 ] [ 編集 ]
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