*・゜゚・*:.。..。.:*・゜ SS 総評 ・*:.。. .。.:*・゜゚・*
【まおゆー@管理人】
どこかスレているが純情なあんこちゃんのキャラは超貴重。COOL風なほむほむと合う!
魔法少女という絶望な世界の中でも前向きに生きる二人は、見てて元気がでるよ乙!
1:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 21:27:56.44 ID:LNeLVplH0
そう呟く杏子の周りには静寂の時が流れていた。
口に出した名前の人物もそこにはおらず、浮かぶのは彼女の顔だけ。
真夜中の公園などそんなものだ、ましてや先ほど魔女を狩ったばかりである。
人がいる方が迷惑だ。
杏子「まどかの願いで…」
杏子「あたしも過去のループの記憶を共有できてるのか」
そう、鹿目まどかは前回のループにてほむらと近い立ち位置であった杏子にほむらを託したのだった。
まどかは何故自分にだけ記憶を継がせたのだろうと杏子は疑問に思うが、自分の在り方を肯定してくれたほむらの為に動けるならそれも良い。
杏子なりの結論は出たようだ。
杏子「あたしに記憶が戻ったってことは、ほむらももう病院か」
杏子「ほむらの転校前に会っておきたいな」
杏子は意を決したように立ち上がり公園を後にする。
更なる静寂を残して。
5:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 21:37:13.50 ID:LNeLVplH0
杏子「そういやどこの病院なのか聞いてなかった…」
しかし、杏子には心当たりが一つ。
巴マミの最後の場所。美樹さやかの愛した少年、上条恭介の入院先。
杏子「とりあえず見滝原に行ってみるか」
マミと会う事になるかもしれない。
そんな事も考えるが、さほど心配はしていないようだった。
何せマミは甘いのだ。
杏子が元気なところを見せれば、それだけで満足するかもしれない。
杏子「ほむらの気持ちがちょっと分かったかもな…」
しかし杏子の足取りは軽く。
友に再び会えることに歓喜していた。
11:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 21:50:51.90 ID:LNeLVplH0
そこは見滝原総合病院。
時間の関係もあり静かで……暗い。
住宅街よりも明るいとはいえ、病院独特の暗さも滲み出ている。
杏子「魔法使えば入れるか?」
結果はYES。すんなりと病院内への侵入は出来た。
急患のために裏の出入り口は開いていたから姿さえ隠せば良かったのだ。
杏子「ほむらはいるかな~」
興奮を抑えながら、声のトーンも落とし病院内を探す。
ナースステーションで入院患者を調べるなどという危険は冒せないのだ。
18:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 22:01:49.72 ID:LNeLVplH0
杏子「ねーや…」
見付けたのは上条恭介の病室だけ。
他に知り合いが入院している筈もない。
ほむらがいないとなればこの病院に要は無い。
杏子「違う病院も探してみっか」
「おい!そこで何をしている!」
杏子「やっべ!見つかった!」
退散、退散とそそくさと逃げる杏子。
同じ場所にとどまり過ぎたらしい。
24:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 22:20:50.57 ID:LNeLVplH0
杏子「ふう、逃げ切れたか」
杏子は病院を遠く背にし、速度を緩めて歩き出した。
さすがに警備員も魔法少女に追いつくことはできなかったようだ。
杏子「振り出しか…」
今から新たに病院を探すには遅すぎる。
杏子「明日にすっかあ」
26:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 22:38:30.23 ID:LNeLVplH0
「さて、エイミーも安全な場所に移したし…」
道路の近くで丸まっていた黒猫は公園に移動させられていた。
白い動物には嫌悪を示しそうな彼女も、黒く人語を喋ることのない猫は可愛いようだ
。
「それにしてもここ…」
「魔力の痕跡が残っているわね」
そう、ここは杏子が昨晩魔女を倒した公園である。
黒猫を少し遠くに連れて行こうとしているうちに見滝原を出てしまっていたようだ。
「まさか、杏子に会えたりしてね」
前回のループで、まどか以上に親しくなった少女。
佐倉杏子。
杏子がほむらへと思いを馳せるように、ほむらもまた杏子へと思いを馳せていた。
ほむら「さて、帰りましょう」
29:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 22:46:09.47 ID:LNeLVplH0
ほむら「前回はまどかが契約してしまった…」
しかし、ほむらはその願いを聞いていない。
杏子と二人で挑んだワルプルギスの夜はそんな暇はくれなかった。
ドン
ほむら「あ、ごめんなさい」
「ん、ああ。大丈夫だよ」
ほむらのぶつかった相手は食べ物を落としてしまったようだ。
道路には小分けの袋が転がっている。
31:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 22:57:13.96 ID:LNeLVplH0
「ってほむら!?」
ほむら「っ!佐倉杏子!」
杏子「あ、ええと!その!警戒すんなよ!」
杏子がまどかの願いによってループの記憶を保持している事はほむらは知らない。
まだ出会ってない筈の自分の名前を呼ばれたのだ、驚きもする。
ほむら「インキュベーターとはまだ接触していない筈っ…」
杏子「人の話を聞け!」
その言葉の後に降ってきた杏子のゲンコツ。
前回のループの様な、互いに冗談を言い合える様な。
そんな空気にほむらも黙って話を聞き始めた。
33:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:04:40.95 ID:LNeLVplH0
ほむら「にわかには信じ難いわね」
しかし、魔法少女が起こす奇跡を誰よりも感じているほむらにとって、嘘と断言できる程の確信など無い。
まどかが願ったとあれば尚更。
杏子「信じて貰うしかないんだけどなあ」
時間軸によっては未来を視る魔法少女もいた。
その入り知恵ということもありえるが、杏子があんなやつらと理由もなしに組むとは思えない。
しかし過去の事、しかも細部まで知っているとなると疑いの余地もないのではなかろうか。
杏子「いまいち信じきってねー顔だな」
ほむら「いえ、信じるわ」
そうしないと話も進まないしね。
ほむらはそう言うとコーヒーを飲み干した。
34:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:11:17.37 ID:LNeLVplH0
杏子「しっかしほむらの家も久し振りだな」
と言っても新しいループの開始から一日しか経っていない。
前回はワルプルギス前日まで二人で家にいた筈なのだが。
ほむら「そんなことないと思うけれど」
しかしこれでは進む話も進まない。
これからの行動を早く決めたいと思っているほむらにとっては苦痛の時間だ。
懐かしさよりも焦燥感に駆られている。
ほむら「それよりこれからの事を決めていきましょう」
36:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:17:59.49 ID:LNeLVplH0
互いに今までの記憶を持ち合わせている事もあり、行動計画は簡単に決まった。
今まで全て一人でやってきた事が二人で出来る。
それだけでほむらの肉体的、精神的なストレスも減るというものだ。
ほむら「どうせまどか達は魔法少女と関わりを持ってしまう」
ほむら「だから最初は巴マミの救出が第一関門」
お菓子の魔女との戦いで命を落とす先輩。
幾度となく失敗したその救出。
ほむら「これは杏子に頼むわね」
過去に諍いがあったとはいえ元コンビ。
いつも強気に出てしまうほむらよりも適任という判断だ。
37:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:22:19.46 ID:LNeLVplH0
杏子「次はさやかか?」
そう、他人の為に魔法少女となり、他人の為に魔女となる少女。
ほむら「巴マミは生き残るものとして、三人で説得」
ほむら「もし魔法少女になってしまっても、誰かは常に一緒にいてあげましょう」
美樹さやかだって友達だと思っているのよ?
誰に向けたかは分からないほむらの言葉。
ニシシと笑い、知ってると言う杏子にほむらも安堵した様だ。
38:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:26:54.55 ID:LNeLVplH0
ほむら「そして…」
杏子「ワルプルギスの夜か」
今までまどかの契約無くしては勝てなかった魔女。
ほむらにとって悪夢の始まりであり、抜け出す為のラスボスといったところだろう。
ほむら「ソウルジェムは死ぬ程集めておきましょう」
杏子「あたしの得意分野だよ」
43:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:45:01.95 ID:LNeLVplH0
それからの生活はほとんどベストの状態で進んだ。
マミを助けた事による三人からの信頼。
さやかは魔法少女になってしまったけれど失恋に心を濁らせる事はなかった。
ほむら「後は魔法少女の真実…」
杏子「マミにやられるのはもうゴメンだ」
笑ってはいるものの、杏子はマミに撃たれた時の記憶を思い出し乾いた笑いになっている。
ほむら「最低でとまどかには打ち明けないといけないわよね」
自分が世界を滅ぼす存在になるかもしれないと知ったら契約も躊躇するだろう。
しかし、まどかからマミやさやかに伝わらないとは限らない。
おっちょこちょいだから。
杏子「でも真実を言わないまま敵と戦うってのもな」
46:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/01(金) 23:52:11.60 ID:LNeLVplH0
ほむら「そうね…」
そこでほむらに今まで浮かばなかった案が浮かんできた。
ほむら「まどかとその家族を旅行に行かせてしまってはどうかしら?」
杏子「現実的じゃないな」
杏子が共にいるということに気が緩んでいるのだろうか。
ほむらのクール&ビューティーなどかけらも無い様な案だ。
杏子「でも、旅行にさえ行かせれば天候の悪化で帰ってこれなくなる」
杏子「良いかもしれないな!」
47:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:01:43.59 ID:kfridlIs0
ほむら「でも、旅行に行って下さいなんて言えないものね」
杏子「私、一人暮らしなんで使って下さいって四人分の旅行券渡せばいいんじゃない?」
そうと思い立ったら行動あるのみ。時間は無いのだ。
しかし、旅館の予約に新幹線の切符、その他にも色々準備しなくてはならない。
ほむら「生活費が底をつくわね」
杏子「行かせればこっちのもん!」
杏子「こっちの生活だってどうにかなるさ!」
49:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:12:39.57 ID:kfridlIs0
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─
ほむら「ついに明日はワルプルギスの夜がくるわね」
杏子「まあマミもさやかもやる気満々みたいだしどうにかなるだろ」
この時間軸で更なる信頼関係を築いた二人は自信に満ち溢れていた。
唯一気掛かりなキュゥべえも旅行に行ってしまったまどかへの対応で、マミやさやかへの干渉はしていないようだ。
なんの為の個体数か。
杏子「グリーフシードだって風呂いっぱいになるくらい数があるし」
ほむら「杏子が時間をかけて集めていたのよね」
杏子がループの記憶を手に入れる前、つまりはほむらが繰り返している一ヶ月より前
に杏子が集めていたグリーフシード。
その数は何十にも及ぶ。
杏子「明日が楽しみだ!」
50:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:21:40.35 ID:kfridlIs0
─────
───
─
ほむら「まさかこれでもダメだったなんて……はぁ…はぁ…」
杏子「悔しーなー…っ……はぁ…」
見渡せば瓦礫の山。
大の字になっている二人の目にはマミもさやかも姿は見えていない。
ほむら「そういえば…次の時間軸でも杏子の……はぁ…記憶って残るのかしらっ?」
杏子「まあ……大丈夫だろ!っつつ!」
互いが近くにいるというだけで二人の心は穏やかだった。
そこには二人の世界があった。
ほむら「じゃあ、また後で」
杏子「また後でな」
──END
後は杏ほむほのぼの短編スレにでもしてくれい!
58:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:37:23.58 ID:qndORI/E0
乙だ
52:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:27:07.27 ID:ypA62pyQ0
乙
51:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:26:51.19 ID:84lb6yN80
乙
>>1が短編書いてくれる事に期待
53:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:28:18.90 ID:kfridlIs0
ほむら「あんこ」
杏子「あ?」
ほむら「あんこ」
杏子「んだよっ!きょうこだよ!」
ほむら「餡子を使ったお菓子が食べたい」
杏子「……半分こな」
ほむら「たい焼きは杏子の好物でしょう?いいの?」
杏子「好きだから二人で食べたいんだよ」
ほむら「ふふっ」
杏子「バーカ///」
55:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:33:17.92 ID:kfridlIs0
ほむら「私たち家族も同然よね」
杏子「なんならもう家族だよ」
ほむら「なら私が姉かしら?」
杏子「いや、あたしだろ!」
ほむら「そうやってムキになるところとか妹みたいね」
杏子「くっそ…」
ほむら「……杏子が姉で良いから拗ねないの」
杏子「これじゃああたしが駄々こねてる妹じゃねーか!」
60:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:44:55.80 ID:kfridlIs0
杏子「いつもほむらが上手だから何とかして勝ちてえ…」
ほむら「何か考え事?」
杏子「どうやったらほむらから一本取れるか……って」
杏子「本人かっ!言っちゃったよ!」
ほむら「大丈夫よ。最初から聞いていたから」
杏子「じゃあそっとしておいてくれよ…」
ほむら「だって面白いんだもの」
杏子「覚えてろよー!」
62:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:49:25.23 ID:kfridlIs0
ほむら「たい焼き買ってきたわよ」
杏子「マジかよ!」
ほむら「この前のお礼も兼ねて」
杏子「でも一個しかないじゃん」
ほむら「ほら……こうやって二つに割るのよ」
杏子「おっ!熱々だな!」
ほむら「ええ、時間を止めて走って帰ってきたわよ」
杏子「無駄遣いすんなよ」
ほむら「冗談よ」
杏子「知ってたよ!」
63:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:53:56.96 ID:kfridlIs0
ほむら「美樹さやかにレズ転校生呼ばわりされたんだけれど…」
杏子「さやかもバカだねー、あたしたちは別に女が好きな訳じゃねーもんな」
ほむら「そうね、みんな友達よ。杏子は家族だけど」
杏子「ちょっ!地味に照れること言うなよ!」
ほむら「ずっと一緒よ?」
杏子「ああ!」
~~おわり
64:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/06/02(土) 00:58:02.26 ID:4+uRcAUv0
乙
実際、ほむらと杏子はいい家族になれる気がする
元スレ:杏子「ほむら…」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1338553676/
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