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  P「廃村の中で」 完全版(後編)

*・゜゚・*:.。..。.:*・゜   SS 総評   ・*:.。. .。.:*・゜゚・*

       

【まおゆー@管理人】
これは、P「廃村の中で」 完全版(前編)からの続きの作品となっております。
そちらをお楽しみでない方は先にそちらをお読みいただければ幸いです。


1: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:36:30.10 ID:PUmdftm80

以下 廃村に踊る






2: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:37:11.25 ID:PUmdftm80

P「今は……もう4時を越えたか。夜が明けるまで2時間ほど。このままここで朝を待ってもいいが――」

響「でも……。ここが安全って決まったわけじゃないんだろ?」

P「だな。一箇所でじっとしてるより、できるだけ動き回ったほうがいいかもしれん」

響「……戻るのか?」

P「さぁ。相手は刃物を持ってるんだし、正直迷ってはいる」

響「うー……。でもこのまま知らん振りして帰っても、目覚めが悪いぞー」

P「だなぁ。せめて、自分の考えがどこまで合ってて、どこまで違うのかは知りたい」

響「ん。自分も、そうかも。オバケなら成仏させてあげたいし……」

P「ん? あんな怖い目に合わされたのにか?」

響「うん。プロデューサーと逸れて、一人で廃校を歩いてたとき、思ったんだ」

響「あの学校は暗くて、冷たくて、寂しい。ずっとあの場所を彷徨っているなんて、可哀相だぞ……」

P「ふぅん……。いい子だな、響は」 ナデナデ

響「ちゃ、茶化さないで欲しいぞ!」


行動安価 → 引き出しに鍵を使う





3: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:38:42.07 ID:PUmdftm80

響「……そうだ。ここから出るにしろ出ないにしろ、ちょっと試したいことがあったぞ」

P「? 何かあったか?」

響「さっきプロデューサー、引き出しが開かないって言ってたでしょ? ほら、これ……」 チャリ...

P「あぁ。中庭の慰霊碑の下に挟んであった箱の中の……」

響「ちょっとこの鍵を試してみてほしいさ」

P「んー。どうなるのかな――っと、お? 鍵が嵌った……。もしかしてビンゴか?」 ガチャ ガラッ

響「おぉ。やっぱり当たってたか。よかったぞー! で、中身は――」 ドレドレ

P「紙の束と……また別の鍵か? 今度の鍵はやたらずっしりしてるなぁ」

響「鍵を鍵のかかった引き出しに入れるなんて……。そんなに重要な鍵なのかなぁ。それで、紙は何か?」

P「ん。今見てるとこだ……。えーっと、なになに?」


『この度の騒動について、私が全ての黒幕であると――』

『――しかし、やはり私には耐えられなかった。隙を見て助け出した――』

『もはや何も語ることはありません。私もあの子たちの元へ向かうことにします』


響「これは――」

P「……遺書か?」





4: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:39:20.38 ID:PUmdftm80

響「い、遺書!? もしかして寮母さんって自殺しちゃったのか?」

P「さぁ、分からん。でも……ここにある分は、遺書とはちょっと違うかもしれん」

響「? どういうことだ?」

P「書き損じだよ、遺書の。同じような文を書いた紙がいくつも重なってる。遺書の下書きってとこか?」

響「遺書の下書き……?」

P「ん。それにこれが寮母さんの遺書と決まったわけじゃない。名前までは書かれてないしな」

響「でも……。なんでこんなものを机の引き出しの中に?」

P「さてなぁ。もしかしたら随分と前々から遺書を書く準備してたのかもしれないな」

響「前々から……」

P「ま、正直よく分からないって話だ。本物の遺書ではなさそうなんだし。成果があったといえば、むしろこっちだな」 チャリ...

響「鍵……。これは一体なんの鍵なんだろうなー」


行動安価 → 保健室へ





5: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:50:03.72 ID:PUmdftm80

響「じゃあ、そろそろ学校に行ってみるぞ」

P「ん? 学校に戻るのか? いいのか、本当に」

響「うぅ……。そこまで言われると、ちょっと怖いけれど――」

響「でも、やっぱり過去の事件のことは気になるし、プロデューサーも調べたいこともあるみたいだし、それに――」

P「それに?」

響「……あ、危なくなっても、プロデューサーが助けてくれる、んだよね?」 チラッ

P「……はははは。そうだな。おうともさ! 刃物程度でこの俺が止められると思うなよ!」 シュッシュッ

響「えへへ。すごい自信だなー。何か格闘技とかやってたのか?」

P「おう。荒っぽいファンに備えてやってて良かったぜ。で、学校のどこに行くんだ?」

響「保健室。プロデューサー、調べてみたいんでしょ?」

P「そうだな。そこへ行ってもらえるのなら助かるよ」

響「うん。それじゃあれっつごーだぞ!」 スタスタ

P「おう! 響は絶対に俺が守るから、安心して探索しろよ!」 スタスタ

響「えへへ、頼もしいぞー。ところで格闘技は何をやってたんだ?」

P「ん? 通信空手だよ」 シュッシュッ





6: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:50:38.69 ID:PUmdftm80

-保健室前 廊下-

P「ふぅ、やっとついた……。おーい響、なんでそんなに引っ付いてるんだ。俺を信頼してくれたんじゃなかったのかよー」

響「プロデューサーを信じた自分が馬鹿だったさー! まさか通信空手だなんて……」 ブルブル

P「通信空手舐めんなよー。極めれば波動拳とか撃てる様になるってパンフ書いてあったし……。お、開いたぞ」 ガチャ

響「頼もしいのか頼もしくないのか、分かんなくなってきたぞー……」 ソロソロ

P「中は……うん。思ったより普通だな。カーテンはもうボロボロみたいだけど」

響「特に何かあるわけでも……。お? これは?」

P「絵の具……か? それに粘土、糊……」

響「なんでこんなものが保健室に? もしかしてここ、本当は図工室なんじゃ……」

P「それはないだろ。ほら、そこの棚見てみろ。薬品棚だ。ここは保健室で合ってるだろうよ」

響「むぅ……。治療第一の保健室でこんなものが見つかるなんて、ちょっと不思議だぞー」

P「ま、そうかもしれないが……。廃校になった後、誰かがここに捨てていったって可能性もあるし――おっ!」

響「? 何か見つけたのか?」

P「いや……。古くなってはいるけど、薬品の領収書か? それっぽい紙を見つけた。もうほとんど読めないけどな」

響「ふぅん……?」





7: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:51:16.38 ID:PUmdftm80

P「他は――特に無いな。水道はあるようだけど、思ってたのとは違う――って、ん?」 ピクッ

響「どうしたのか? 何かあったの――」

P「しっ! ……響、懐中電灯の明かりを落として、静かにしてるんだ」 スッ

響「?」

P「……音が聞こえる。光が漏れていなければいいが……」

響「お、音? そ、それって」

                    カラカラカラ.....  ギュッ... ギュッ...

響「!!!」

P(近いな……。カラカラいう音は、金属製の何かを引き摺ってるのか?)

           ブツブツ....        カラン   カラカラ...    ギュッ... ギュッ...

響「……」 ブルブル

P「……」 ...ゴクッ

             ギュッ...    ギュッ...   ザリュッ!    カラン

P(止まった……?)

響「……」 ガタガタガタガタ





8: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:52:05.09 ID:PUmdftm80

響「……ッ」 ダギッ

P「!!」

響「~っ」 ギュウゥゥゥッ

P「……」 ナデナデ

             ザリュッ   ギュッ... ギュッ...  カラカラ....

P(い、行ったか……。体育館の方向か? とりあえず助かったか……) ホーッ

響「~~ッ」 ブルブル  ギュウ

P「……大丈夫だ響。もう、あいつは行ったよ」 ボソボソ

響「ほ、ほんとうか?」 ブルブル

P「あぁ。……でも、よく気付かれなかったな。運が良かったのか、それとも――」

響「それで……ど、どうするの?」

P「そうだな……」


行動安価 → 不意打ちワンチャン





9: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:53:17.53 ID:PUmdftm80

P「今なら……。もしかして、やれるか?」 ザリッ

響「ぷ、プロデューサー? な、何を馬鹿なこと言ってるんだ?」 グイッ

P「あいつが来た方向は、多分この校舎の西方向……。ここに来るまで鉢合わせなかったことを考えれば上の階か」

P「そうだとしたら、ライトの明かりは少なからず扉の窓から漏れていたはずなんだ」

P「それでも見えなかったってことは……。或いは、奴は目が悪いのか、見えないのかもしれない」

P「正直、目が悪いのならこんな学校、明かりもなしに徘徊しないとは思ったが――」

P「或いは不意打ちならチャンスがあるのかもしれない……。今ならやれるかも」

響「だ、だめだぞ! もしオバケなら、不意打ちなんて通じないし、それにあの金属音、多分武器だぞ!」

P「わかってる。でもこの学校を安全に探索するにはアイツをどうにかするしかない……」

響「だからって……! だめ、だめだぞ! プロデューサー!」 ダキッ

P「大丈夫だって。言ったろ? これでも格闘技習ってるって。面向かってなら分からんが、不意打ちならなんとかなる」

響「な、なんで言うこと聞いてくれないんだ? 怖いぞ、戦っちゃだめだぞ!」 ギュウウッ

P「……」





10: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:54:31.56 ID:PUmdftm80

P「……響。もし俺が1分経っても戻らなければ、或いは悲鳴が聞こえたら。急いで一人で村の方まで逃げ――」

響「……っ!!」 ポカッ!

P「痛っ! な、何をするんだ。ひび――き?」

響「た、例え今のがッ……じょ、冗談で、でも……っ! じっ……グスッ……自分、は。ゆ、許さないぞ!」 ポロポロ

P「響……」

響「絶対……っ! 一人にし、しないって約束し、したぞっ! ぜっだい、護ってくれるって約束したぞ!」 ポロポロ

響「死ぬ気だとかっ! 一か八かだ、とか! そ、そんなの……ッ……ック……うぅ……」 グスッ ヒック

P「……そうだったな。ついさっき約束したばかりだったのに、もう破ってしまうところだったよ」

響「グスッ……ッ……」 ポロポロ

P「ごめんな、響。あんなどこぞの馬の骨のケツを追っかけるより、お前の傍にいるべきだよな」 ナデナデ

響「ぷ……プロデュ-サー……」 ダキッ

P「ん?」

響「もう、絶対に……グスッ……死ぬとか、言わないで……欲しいぞ」 グスグス

P「分かった。ちょっと俺もええかっこしいだったよ」


行動安価 → 時計を調べに行く





11: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:55:47.95 ID:PUmdftm80

-数分後-

P「……落ち着いたか?」

響「うん。殴っちゃってごめんさ……」

P「別にいいよ。お陰で目が覚めた」

響「なんだかあの時、すごく悲しい気分になって、プロデューサーがもう戻らなくなっちゃうんじゃないかって……」

響「いつかの怖い夢で見たような、そんな気になっちゃって。そしたら頭が真っ白になって……」 クスン

P「そうか……。ま、俺も格好つけすぎた感はあったよ。これからは慎重に行動しよう」

響「うん……。それで、次行く目星はどこかあるのか?」

P「とりあえず北校舎屋上まで行ってみよう。あそこなら今のヤツに会わずにすむし」

響「うん……。わかったぞ」

P「じゃ、慎重にいこうか……。それと、今回からできるだけライトは使わないように移動しよう」

響「わかった。もう暗闇にはすでに目が慣れてるし、月明かりもあるから大丈夫だぞ」

P「ん。それは良かった。じゃあ行こう」 スタスタ

響「ん」 テクテク

P(しかし……ここじゃなかったな。やっぱ俺の考えは外れてるのか……?)





12: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:56:36.51 ID:PUmdftm80

-北校舎屋上前-

P「ふぅ……ふぅ……。ここが時計の裏の操作室か……」

響「……とくに気になることはないな。他の校舎の屋上前の踊場より少し広い程度かな」

P「正面には屋上への扉、後ろは階段。右手には立ち入り禁止の文字が書かれた部屋……。多分時計関連の部屋か」

響「それと物置っぽいスペースもここにあるぞ。あとは……特に何も無いね」

P「だな。今は時計も動いてないし、何があるでもないか」


行動安価 → 鍵を使えないか





13: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:57:10.38 ID:PUmdftm80

響「そうだ。あの扉って、開けられないかな?」

P「ん? それは分からないけど……気になることでも?」

響「いや、何も無いぞ。でも、どうせここまで来たんだし、調べてみたいから……」

P「ん。それもそうだな。じゃあちょっと調べてみるか……って、鍵かかってる」 ガチャ

響「やっぱ鍵かかってたかー。はい、鍵」

P「おう、サンキュ…………」 ガチャガチャ カチャリ

響「お。開いたのか?」

P「みたいだな。どれ……」 ギィィィッ

響「……真っ暗だな。それにへんな機械だらけだぞ」

P「んー。昔の時計だからな。やっぱ歯車で動いてたのか……」 キョロキョロ

響「なにもないね」

P「みたいだな。そもそもあまり人が立ち寄らない部屋だったのかもしれない」

響「じゃあ次は……」


行動安価 → 明かりを付けて詳しく調べる





14: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:58:10.47 ID:PUmdftm80

P「やっぱ暗いから、明かりをつけなきゃ探索もなにもないな」 カチッ

響「うーん。見事なまでにがらんどうだぞー」

P「廃校になるまで、休まず動いてきただろうからな。労いも込めて誰かが掃除をしたのかもしれないな」

響「この学校、すごく黒そうな歴史があると思ってたのに、以外に暖かい一面もあるのかな?」

P「そもそも黒いと決まったわけじゃないけどな。まぁ死人は出てるから白くもないんだろうけど」

響「それもそうだなー。思えば寮母さんとの写真だって、みんな笑顔だったんだし」

P「少なくとも楽しい学校生活を送れてた面はあるってことかな……ふぅ。何も無いな。そっちは?」

響「こっちもなにもないぞー」

P「無駄足だったかな……」


行動安価 → 教員舎2階へ





15: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:58:38.70 ID:PUmdftm80

P「とりあえず教員舎の2階に行ってみるか。あそこまだ調べてなかったろ?」

響「そういえば、1度偽者の放送室に行った時以来かも……。屋上に行くときに通りはしたけど」

P「何かあるかもしれない。ちょっと調べてみるか」

響「わかったぞ。とりあえず2階廊下まで行ってみるぞ。でもその後は?」

P「んー……、とりあえず行ってから考えよう。あそこは部屋も多いし、まずは様子を見てみないとな」

響「了解だぞ」





16: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 04:59:46.43 ID:PUmdftm80

-教員舎 2F 廊下-

P「とりあえずここまで来たな……。おーおー、いろいろあるな」

響「……」 キョロキョロ

P「響、どうした?」

響「いや、確かここで人体模型に会ったんだけど……やっぱなくなってるぞ」

P「まぁ……。必要あって移動させてたのなら、持って行くのが普通だろうなぁ」

響「でも……ならどこに持っていったんだろう? それにあの時は物音がして飛び出たときには人体模型があったし――」

響「とてもじゃないけど放送室まで行って、放送をかけている暇なんてなかったはずだぞー」

P「動かしたやつが複数いるならわからんでもないが……。うぅんでも協力し合ってるとも思えないしなぁ」

響「や、やっぱ人体模型が動いていて……!」

P「そりゃないだろ。その時は――あれだ。その時聞いた音は本物だったかってことだ」

響「あの時の音は本物だったかもしれない……」

P「それで、これからどうするんだ?」


行動安価 → 家庭科室へ





17: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:00:13.08 ID:PUmdftm80

響「んー……。とりあえず、家庭科室を見てみるぞ」

P「家庭科室、か。何か武器でも……そう、包丁とかあればいいけど」

響「流石に刃物とかは置いていくはずないと思うぞー……」

P「それもそうか……っと、ここか。家庭科室。鍵は――あぁ、やっぱかかってるな」 ガチャガチャ

響「そだな。とりあえず職員室の鍵を使って――お。1発で当たったぞ」 ガチャ ガラガラガラ

P「中は……。ん、少しごちゃごちゃしてるな。壁にミシンっぽいのが置いてある」

響「他は小さな机がいくつかと……。わぁ、水道がついてるぞ」

P「だが、料理用の水道だろうな。ここも違う」

響「違うって……どうかしたのか?」

P「あぁ、いや。こっちの話。思ってるようなのが見つからないからさ。まぁこの学校にはないのかもしれないけど」

響「? よくわかんないぞー」

P「分からなくていいんだよ。それに見つからないのなら、そっちの方がいい」 ポンポン

響「?」


行動安価 → 理科室へ





18: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:00:51.09 ID:PUmdftm80

P「じゃあ……次は理科室に行くか」

響「り、理科室か? うぅ。そこは怖いぞー……。人体模型が襲ってきたら……」 ブルブル

P「あぁ、そういえばお前はまだ幽霊の仕業だと思ってたんだっけか」 カツコツ

響「だって……。もしあれが人体模型が動いてなかったのなら、あそこに模型を放置して、3階に言ったって事になるぞ」

P「んー……。そこらへんはちょっと詳しく話を聞いてみないと分からないけど……。ま、そこはおいおい」 スタスタ

響「や、やっぱ理科室に行くのかー?」 ガタガタ

P「おう。やっぱ一番調べなきゃいけない場所……だと思うしな。ついた、ここか」

響「中の様子は――うーん、見えないぞ……」

P「扉も鍵がかかってるな。えーっと鍵鍵……」 ガチャガチャ

響「うぅ……。何も出ませんように」





19: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:01:59.91 ID:PUmdftm80

- 理科室 -

P「どっこいしょっと……。おわー、暗いなー」 ガラガラ

響「でも中は思ったより荒れてないね。……ビーカーやフラスコがある。割れたのもいくつか」

P「うげっ。このフラスコ、水入ったままじゃん。すげー……中の水がすごい色になってる」

響「水道もあるけど……そういえばここまだ水がてるのかな」 キュッキュッ

                      ジャバーッ!!

響「うぎゃーっ! すごい勢いで水が出てきたぞ……って、うわぁっ! 血、血がっ!」

P「あ? 血? ……あぁ。違う違う。これ赤錆か、或いは鉄分を含んでるから赤く見えるだけだよ。普通の水だ」

響「え? そ、そうなのか。……ほっ」

P「しかしまだ水道が生きてるのか……。地下水でもくみ上げているのか?」

響「うぅん。でもそれ以外は特に……何か特別なものはないっぽいぞ」 キョロキョロ

P「ま、生徒の使う教室にあるわけないか……。お、あれは理科準備室への扉か」

響「んー。思った以上に成果が見つかってないぞー……」


行動安価 → 理科準備室へ





20: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:02:25.27 ID:PUmdftm80

P「……っと、これでもだめか」 ガチャガチャ

響「扉、開かないのかー?」

P「うーん。それ以前に随分と厳重に締められてるな。廊下のドアノブなんか針金でぐるぐる巻きにされてたぞ」

響「そんな厳重に、なのかー……。でも古くなってるし、体当たりでもして壊せば――」

P「うーん。中に何かあったら危ないし避けたいところではあるけれど――おっ! 開いた」 カチャリ

響「おぉ。開いたのか……。じゃあプロデューサー、先に頼むぞ」

P「まったく、やっぱ人体模型が怖いのか」

響「い、いいじゃんか! そんなことより早く!」 グイグイ

P「わかったわかった。どれ、中はどうなってんのかなっと」 ガチャッ





23: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:04:40.39 ID:PUmdftm80

- 理科準備室 -

P「さて中身は……!!!!」 ガタッ

響「? プロデューサー、いったいどうかしたの――わっ!」 ビクーン

P「な、なんだここ。臓物だらけじゃないか。ホルマリン……いや、これは骨格標本か? でもこの数……」

響「な、なんでこんなに一杯……。ま、まさかここが例の人体模型を作ったって男の!」

P「そう……かもしれんな。なんだこれ、本まで残ってるが――エンバーミング? プラスティネーション?」

響「? なにそれ。ちょっと格好いいかも」

P「どっちも死体処理に関する言葉だよ。前者は死体保存処理、後者は死体保存加工ってところか」

響「な、なんだそれ。それじゃあここって本当に――」

P「あぁ。ここが、例の樋村って男の根城だった場所なんだろうな。……しかしこの数、ちょっと妙だな」

響「妙でもなんでもいいぞー! こ、こんな場所にいたら頭がおかしくなっちゃいそう」 フラフラ

P「おい響、そっち危ないぞ」

響「えっ? ……うわっ!」 ガシャーン

P「言わんこっちゃない……。おい響、大丈夫か?」





24: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:07:12.69 ID:PUmdftm80

響「けほっ……! だ、大丈夫だぞ。うぅ……いろいろ崩れちゃったぞ……あれ?」

P「どうかしたのか?」

響「いや。この手帳……。普通の本に混じってたんだけど、なんか個人のものっぽいぞ」 ペラペラ

P「個人の手帳? おぉ、やったじゃないか。何があるんだ? ちょっと見せてくれ」

響「わかったぞ。はい」 ペラッ

『××の××××の×を使った。だ××陰で心臓のス×ックが切×てしまった。また×こ××ら×さねば』

『忌々×い。あれじゃあ××すぎて××に使えない! もう時××少ない××うのに。……仕×ない、母×××を×用』

『骨は×ても貴重×。×か不×か、×ょ×ど中学×の死×がある。腐ら××ば少し××てもバレや×ない』

P「……日記、というより手記だな。そして内容からしても、これは樋村とかいうやつので間違いないだろうな」

響「うぅ……。で、でもこの内容って……」

P「あまり考えるな。犯人はもう捕まっているんだ」

響「う、うん……」


行動安価 → よく調べる





25: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:07:45.46 ID:PUmdftm80

P「でも、これはある意味収穫だ。もう少し何かないか調べてみよう」

響「うぅ、気味が悪いけどわかったぞー……」 ゴソゴソ

P「……」 ガサガサ

響「そういえば、さ」 パラパラ

P「ん、なんだ?」 カシャカシャ

響「ここの準備室の扉って、全部閉まってたんだよね?」 カチャ ガサガサ

P「そうだな。どっちも鍵がかかってたし、窓も閉まってるしな」

響「じゃあ……自分が見つけた人体模型って、一体どこから出てきたんだろう」

P「……確かに。見間違いとかじゃあ――ないんだよな」

響「うん。確かにこの目でハッキリ見たし、実際殴り倒しちゃったし……」

P「実は人間で、不審者と間違えたとかは?」

響「それは――ない、と思う。確かに人間そっくりだったけど、顔半分筋肉とかいろいろむき出しだったし……」

P「ふぅん……まぁ、それもそうか。おっ!」

響「? 何か見つけたのか?」

P「樋村の手記と思わしき手帳、第二段だ。やったぜ」





26: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:08:23.99 ID:PUmdftm80

P「さーて、さっそく中身をチェックして――」

            ジャー ゴボゴボゴボ...

P「!」

響「!!」 ビクッ

P「今の音……上の階から聞こえたよな。水音? まさか放送室?」

響「い、いや。自分もこの音を聞いたことがあるぞ。それに放送室は使っても――」

P「そうだな。俺たちにすでに見つけられた可能性があるなら、こんなチープな脅しは意味が無いか……じゃあ」

響「誰かが……上の階にいる? で、でも3階や屋上には水道っぽいのは無かったし……。図工室?」

P「しっ! ……足音がする。静かにしてろ」

              カツ コツ       タン      カツコツカツコツ...

響「……」

P「……行ったみたいだな。階段を下りて行っただけか。こっちには気付かなかったみたいだな」

響「あの様子だと……別に逃げている風でもなかった。3階のどこかに用事でもあったのか?」

P「さあな。わからない」


行動安価 → プールへ





27: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:08:52.16 ID:PUmdftm80

P「……今は無視しよう。もしかしたら戻ってくる可能性もあるしな」

響「じゃあどこへ? それともここでまだ篭城を――」

P「いや、とりあえずプールに行ってみよう。というか一旦外に出よう。今気付いたが、ここじゃあ袋小路だ」

響「プール……わかったぞ。行ってみる」

P「そこに……確か倉庫もあったな。俺は見てないけど、何か見つかるかもしれん」 テクテク

響「いや、自分倉庫の中を確認したぞ。何も無かった」

P「あ、あれ。そうなのか? ……うぅん。じゃあ違うのかな……」 ブツブツ

響「行くの止めとく?」

P「……いや。さっきも言ったが、外に一度出たいし、とりあえずプールには向かおう」

響「わかった。じゃあ電気を消して、ゆっくりと……」 ソロソロ

P「ま、倉庫に何も無いんじゃ、何が見つかるというわけでもなさそうだけどな……」 スタスタ





28: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:09:24.04 ID:PUmdftm80

- 外 プール -

P「変質者は……よし、いないな」 キョロキョロ タタタッ

響「ここだぞ、プール。今はもう変な植物に覆われてて、なんとも言えないんだけども」

P「プール内部に入ることは……。まぁ不可能ではないか。でも荒れ放題でちと危険だな」

響「校舎内と違って、ずっと野ざらしだったんだから仕方ないぞー」

P「ま、それもそうだが――さて、どうしようか」


行動安価 → 手帳を読む





29: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:09:57.25 ID:PUmdftm80

響「……ここで手帳を読むのか?」

P「月明かりもあるし、よくないか?」

響「……せめて安全な場所でやるべきだぞ。なんか体育館の近くにいると、少し心が落ち着かないさ」

P「……それももうだな。ここに来てまでやることじゃないか」

響「ここらへん死角も多いし……。腰を据えて情報整理できる場所があればいいんだけどな」

P「じゃ、とりあえず移動するか、何かするかを決めようか。考察やメモの確認は後回しだ」


行動安価 → 職員室へ





30: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:10:35.32 ID:PUmdftm80

P「ま、ここでブラブラしても仕方ない。とりあえず職員室行ってみるか」

響「まぁ、外の様子が見れただけでもよしとするぞ」

P「外か。そういえばちょっと明るくなってきた感じか。えーっと……お、そろそろ5時になるのか」

響「随分長い時間、ここにいたように感じたぞ……。でももうすぐ朝なのか」

P「あぁ。朝が来ればすぐにでも人が探しに来るだろうしな。もうすぐ終わりだ」

響「うぅーん。あと少しでこことオサラバできるのなら、それはそれで嬉しいぞー」

P「ま、あと何回か探索やら何かをすれば朝が来て帰れるだろうし、ここで変質者とバッタリなんてしないようにしよう」

響「だな。……っと、職員室だぞ。って――ん?」

P「? どうした響」

響「……部屋の様子が違う。多分、あの後誰かがここに入ったんだぞ」

P「……そうか。なおさら気をつけて探索しないとな」


行動安価 → 安全確認をして手帳をチェック





31: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:12:21.58 ID:PUmdftm80

P「よし。まわりを確認したし、じゃあさっそく手帳を……」

響「……今、プロデューサー、なおさら警戒しないとなって言ってなかったか?」

P「はは、冗談だよ。確認したとは言え、流石に誰か入った形跡のある部屋で悠長に手帳は見られないな」

響「せめて部屋を隅々まで探索して、完全に安全チェックが終わってからだぞ……」

P「それもそうだな」


行動安価 → 樋村の机を探す





32: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:12:48.98 ID:PUmdftm80

P「とりあえず樋村の机でも探すか」

響「ん。あの写真が入ってた机か? それなら確かここらへんだったような……」

P「あぁここだここ。まぁ、写真があっただけで樋村の机とは限らないんだが――どれどれ?」 ガチャガチャ

響「テスト用紙とかが入ってるな……。お? これって」

P「理科のテスト……。樋村は理科の教員だったのか。まぁ、理科準備室で大体の見当はついてたけど」

響「他には――あれ? これは――」

P「これ? ……これは集合写真だな。恐らく生徒の写真だ。だが……」

響「特定の生徒の顔に赤いマルがついてる……。なにかの印?」

P「わからん。他に何か見つかればいいんだが――」 ガサゴソ





34: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:13:38.66 ID:PUmdftm80

響「……ん? これ、なんだろう」 ガサッ

P「どうした。何か見つかったのか?」

響「いや、机の下の……ここ。引き出しの裏らへんにひっかかってた。隠してあったというより、落ちてた感じだな」 ガサッ

P「紙か? えーっと、なになに……」


『最近×君の行動は目に余る。ど××て流した身体を掘り起×したり×るのだ』

『いや、掘り起こす×はまだ××。しかしあ×異様××で身体を×置していくのは×めてくれ』

『警察には×薬を嗅が×てあるが、あまりに生×の目に付××ぎると庇えるも×も庇えなくなる』

『最近では学級×カル×とかいう壁新聞が、周りを嗅ぎま×るくらいだ。もう少し穏便に×とを運んで×れることを祈る』


響「これは……」

P「真っ黒だなこれ。真っ黒すぎる」

響「でも……。これを書いたのって一体誰だろう? というか樋村以外にも人体模型のことを知ってた人がいるのか?」

P「『君』って書いてあるくらいだから目上の人だろうな。学内の人間なら――まぁ容易に想像はつくんだが」 チラッ

響「教頭……?」

P「あるいは校長……。ま、今となっては調べようもないんだけどな」

行動安価 → Pが響に推理を打ち明ける





36: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:18:13.09 ID:PUmdftm80

P「とりあえず……樋村の机はこれくらいしか見つからなかったな」

響「うん……。でもこれって学校からの手紙なら――」

P「殺人を学校側が容認してた可能性が高いな。しかし『流す』、『掘り起こす』ときたか……」

響「『流す』って、確か寮母さんの日記にも書かれていたよね。それってやっぱ……『殺す』って、ことなのかな?」

P「かもな。掘り起こす、身体って続いてるし、まぁ息のある生き物を指す言葉ではないだろ」

響「……プロデューサーはさ。どう考えてるの?」

P「ん? どう考えている、とは?」

響「過去の事件の真相。さっき聞いたときはぐらかされたけど、あるんでしょ?」

P「んー……。まぁ、な。ただ肝心の場所が見つかってないから自信をもって言えないんだが……」

響「それって……臓器売買とか、のこと?」

P「……響もそう思ってたか」





37: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:18:53.52 ID:PUmdftm80

P「そう。それ以前にこの村、鉱山が閉鎖して、ずっと存続してる理由について考えたよな」

響「そうだな。どこからかお金が出てきて、何故かそれを学校の増築やらに費やしてるって」

P「あれって要は投資……。というか、金を生み出す装置を握ってたのが学校側だったんじゃないかって思うんだ」

響「学校側がお金を……」

P「最初は荒唐無稽だとは思った。けど、そう考えるとしっくりする場面がいくつか出てくるんだ」

P「一つは寮母の日記。『足りない分を私で代用』『老いすぎて使えない』。老いすぎてってことは身体のことだよな」

P「それを『代用』、とあれば考えられるのは一つ。臓器の代用だ」

響「それは……確かにそうかも」

P「最初は樋村が一人暴走して、その暴走を止めるために母親が身代わりになろうとしたと思ってたが――」

P「この手紙を見てハッキリした。学校が容認してるんじゃなく、学校の『流した身体』をお零れとして樋村が貰ってるんだ」

P「詰まる話、この事件の引率役は学校側。樋村はそのおこぼれに預かったついでの狂人」

P「そうなると学校が『流す』、つまり殺しているのは、寮母の日記から推察するに子供……ようは生徒」

P「そして学校が生徒を殺すことによって金を生み出せる仕組み。とくればもう臓器の売買しかないだろ」

響「……」





38: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:19:48.05 ID:PUmdftm80

P「そして2つ目は、9つの悲劇で挙げた被害者の共通項」

P「あれ……。全部身体の一部が欠損したり、もしくは死体自体が見つかっていないんだ」

響「欠損かぁ……。エレベーターは圧縮、ミキサー事故はミンチ、プールは腐乱してどろどろ……」

P「そ。加えてタイムカプセルは状況からして骨だけ。もう一つのタイムカプセルは死体自体が見つかってない」

響「9番目の悲劇も思えばそうだぞ。全部伝聞で『あったらしい』だけで、死者は土に返ったとかいう表現だけ……」

P「理科室のは言うまでもなく、狂った女性教員……多分寮母さんのことなんだろうな。あの人だってそうだった」

P「そしてこれら事件って初期のタイムカプセルと、年代不明の女性教諭の事件を除けば、80年代に集中してるんだな」

P「これは偶然か? 或いはそれ以前にも事件があったとしても、異常すぎる」

P「この手紙によれば、『埋めていた』との台詞があるし、もしかしたらそれ以前にも事件があったのかもしれない」

P「だが、これが事件の一部であろうとも、こうも身体が欠損した遺体しか出てこないのは不自然だ」

響「不自然……。まぁ、偶然にしてはできすぎてるかも」

P「まぁこれが2つ目の理由だ」





39: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:20:34.16 ID:PUmdftm80

P「3つ目は……。親の反応だな」

響「親? 保護者のことか」

P「あぁ。いくら警察に袖の下を握らせても、保護者からの声を無視することはできない」

P「今までの資料を見た感じ、相当な人数がこの学校で消えているはずだ。それなのに保護者からの反発がない……」

P「詰まる話、親も承認してこのビジネスに乗った可能性があるってことだ」

響「親も承知で……。そ、そんなのあんまりだぞ。それに普通に卒業した子だっているじゃないか」

P「それはそうだが――もしかしたら買い手がついた子から売られるシステムだったのかもな」

響「か、買い手?」

P「当時、子供の臓器がいくらで捌けたかは知らないが、決して安くはなかったろう」

P「だが小学校は成長期の子供の宝庫だ。様々なタイプの血液から、大から小までのいろんな臓器が手に入る」

P「もし重要な顧客がいれば、その中から必要な臓器を、必要なときに必要なだけ買い付けるシステムだったのかも」

響「うっ……。そんな酷いこと……」

P「あくまで想像だ。流石にそこまでのことはなかったのかもしれないがな」





40: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:21:01.99 ID:PUmdftm80

P「そして4つ目。これは別に確定要素じゃないんだが――お前、各学年のクラスを数えたか?」

響「学年のクラス? いや。だって3階のクラスプレートは全部外されてたし――」

P「うん。だから確定要素じゃないんだが――。じゃあ2年と4年のクラス数は?」

響「え? えっと、2年は4組まであって、4年は3組……あれ?」

P「そう。そして20年前、今で言うと40年以上前の学校は6-4まであった。そうだろ?」

響「う、うん」

P「当然年々入学者数が増えていった可能性はある。あるが……もし違うのなら」

P「減ってきてるんだ。人数が上の学年になる度に。もしこれで6年の教室数が2つだけとかなら完璧だったんだが」

響「で、でも今プロデューサーが言ったように、単に上の学年の人数が少ないだけなのかも」

P「そ。だから画定要素じゃない。あくまで俺の想像……。高学年のクラス数はわかんなかったしな」

響「……それで、臓器売買説、を考えたのか。プロデューサーは」

P「そうだな。まぁもちろん、確定してるわけじゃないが――」

P「少なくともこの学校では、学校主導の殺人があった可能性が高いんだ」

P「例え臓器売買でなくても、悪どいことはしてたと思うぜ」





41: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:21:29.40 ID:PUmdftm80

P「まぁ、これが今俺が考えている事件の内容だ」

響「……それじゃあ、それじゃあ今この学校を彷徨ってるのって」

P「ん? あぁ、それはない。樋村は捕まったってあるし、あれだけ事件を起こして懲役25年以下はないだろ」

響「で、でも無期懲役なら10年くらいで出られるし、精神異常を理由に精神病院に行った可能性も……」

P「何のドラマの影響だよ。どんな聖人でも無期懲役食らえば最低35年以上は出られないぞ」

響「で、でも出所の平均は15~20年だとかどこかで見たような」

P「そりゃあ、死体で出てくる奴含めたらそれくらいになるわな」

響「し、死体? 獄中死ってことか?」

P「そ。精神病院も同じだな。むしろ監獄より酷いかも知れんってあったな」

P「精神が正常になっても、誰も信じてくれなくて、無理やり精神病棟の奥に叩き込まれるとか」

P「で、治療の名の元にベッドに縛り付けて、何年もその状態で暮らさせるとか。まぁどこまで本当か分からんが」

響「うげぇ……。でもちょっと最後の方はうそ臭いぞ」

P「俺もそう思う。でも、少なくとも樋村が生きているとして、ここを徘徊している可能性はほぼゼロってことさ」





42: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:22:22.15 ID:PUmdftm80

P「まぁ、そもそも今の起こっていることと、過去の事件が関係してるかはなんて不明なんだけどな」

響「確かにそうだけど……。でもやっぱ自分はどこかで過去の事件とリンクしていると思ってるぞ」

P「まぁ、過去に大きな事件があった場所でこれだもんな。それも仕方ないか」

響「でも何か違和感があるんだよな。なんだろう……」

P「ま、そういうのは無事帰れたら考えればいいさ。さ、次はどうするかな」


行動安価 → 3階更衣室へ





43: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:23:00.21 ID:PUmdftm80

響「それじゃあ……更衣室、行ってみるか?」

P「更衣室? 体育館のか? 確かにあの変なヤツが調べてたのは気になるけど――」

響「違うぞ! 3Fにある更衣室だぞ! 水音、気になるんじゃ無かったのか?」

P「水音? ……あぁ、確かにさっき聞こえたな」

響「今まで廊下の気配を探ってたけど誰も通った様子はないし……。多分もう誰もいないと思う」

P「戻ってこないなら好都合だな。じゃあ、今の内に調べてくるか」

響「うん。でも……慎重にだぞ」 ガラッ

P「分かってる。じゃあゆっくり行くか」 テクテクテク...









                                           ガタッ   ギィィッ...





44: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:23:45.73 ID:PUmdftm80

- 3F 更衣室前 -

P「ここか……。端のほうにあるんだな」

響「うん。前、ここの屋上に行ってみたら、ここから人が出てくる気配があって……。うぅ、怖かったぞ」 ブルブル

P「図工室、女性教員用更衣室、男性教員用更衣室……。随分と部屋数が少ないな」

響「……本当だ。よく考えてみれば1階、2階と比べてかなり少ないぞ」

P「デッドスペース……。明らかに間取りに遊びがある。これはやはり……」 ガチャッ

響「ちょっ! 急に開けちゃって大丈夫なのか?」 テクテク

P「戻ってこない限り平気だろ。……ん、中は結構荒れてるな」

響「人が通れる程度の道はあるけど――ん? わっ! ひ、人!?」 ビクッ

P「どうした響。誰かいたのか?」 ダッ

響「あ、あそこ。ロッカーの中から誰かこっち見つめてる……」

P「どのロッカーだ?」 ザリッ

響「あ、あそこのロッカー。ライト照らしたら目があっちゃった……」

P「くそ……。響、俺の後ろに隠れてろ。見つかった以上戦うしか……」 ゴクッ

P「らぁっ!」 ガチャリ





45: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:24:21.53 ID:PUmdftm80

        ゴロッ           ガシャン!!

P「!!!」

響「うぎゃーっ!」 ギュウッ

P「これは、し、死体か? いや。それにしては血が出てないし、もしかしてこれ……」

響「……? あれ? こ、これって……」 チラッ

P「人体模型? 何でこんな場所に……」

響「でもこ、この人体模型。首が取れてるぞ。それにおなかも切られてる……」

P「誰かに斬られた? いや、だとしても何でこんな場所に隠す必要が……」 ブツブツ

響「……あれ? この人体模型の入ってたロッカー、中が抜け道になってるぞ?」

P「なに? ……どれ、ちょっと見せてくれ」 カチッ

響「奥に部屋が見える……。何の部屋だろう。タイル?」

P「ちょっと、見てくるよ。もしかしたらここが……」 ガチャッ    カツ コツ

響「あっ! プロデューサー! ……入って行っちゃった」





46: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:24:58.43 ID:PUmdftm80

-???-

P「……」

響「うーっ! うーっ! ……ぷは、抜けた。ちょっとプロデューサー! 置いていくなんて酷いぞー!」 プンスカ

P「ここか……。やっぱこの学校は――」

響「プロデューサー? 一体何を見て――!?」 ビクンッ

P「血のこびり付いたタイル床。防音壁。水道設備。そして刃物の並んだ棚。窓の無い小部屋」

響「こ、ここってもしかして……」

P「シャワー室じゃないことは確かだな。多分ここで、子供を解体したんだ……」

響「解体……。じゃ、じゃあさっきのプロデューサーの推理ってもしかして」

P「半分以上の確率でビンゴだ。しかしこんな部屋、こんなところに隠してあるなんてな……」





47: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:25:33.90 ID:PUmdftm80

響「うぅ……。何だか、心なしか空気が重いぞ。気持ちが悪い……」 フラフラ

P「しかしさっきの水音の発生源がここだとして……一体ここで何をしてたんだ?」

響「う……う? あれ、これなんだろ」 ヒョイッ

P「? どうした響。何か見つけたのか?」

響「えっと……。ほら、こんなの落ちてたぞ」 パッ

P「なんだ、手紙? 見た感じ、かなり新しいな。でも、うぅん。ほとんど濡れてて読めないな……。なになに?」

『×××生へ。×××××年卒×××窓会のお知らせ。×××××』

『××××××××××××にて食××××××××××××す××××』

『×の××××××××ベント××××××プセルを掘り起こ××××××××』

『××××××参加××××××さい。 ××××卒×生×同』

響「……全然読めないぞ。ぐしょぐしょだ」

P「ここに来た変質者が落としたのか? 何かの招待状みたいだが……」

響「そんなことより、早くここから出たいぞ……」 フラフラ

P「お、おう。悪いな。すぐここを出よう。もう何も得るものはなさそうだ」





48: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:26:09.48 ID:PUmdftm80

P「よいしょっと……」 ガシャッ

響「……プロデューサー。それ、何を持っているんだ?」

P「あ? 武器だよ。あそこにあった刃物を少し拝借した。錆びてはいるけど、まぁ無いよりかはマシだろう」

響「重りになるものはあまり持っていかないほうがいい気もするけどなぁ」

P「だな……。ん?」

響「どうしたのか?」

P「いま窓から……。もしかして」 ガラッ

響「お? おー! やったぞ、朝陽だ!」

P「もう朝か……。これは本当に帰れるまで秒読みになったな」

響「うぅ。こんなに朝陽がありがたい日が来るだなんて」 ウルウル

P「ま、ここで油断しないように頑張らなきゃな」

響「もう、いくつか移動すれば完全に朝陽が上りそうだぞ」


行動安価 → その場から離脱





49: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:26:38.80 ID:PUmdftm80

P「とりあえず過去の事件に対する結論が出たんだ。もうここの探索に拘る必要はない」

P「それ以上にここで変質者と出会わないことに専念すべきだ。急いでここを離れて安全な場所へ行こう」

響「そうだな。自分もなにか武器を持ってたほうがいいのかな」 キョロキョロ

P「別に構わないだろ。さ、移動するぞ。俺の後を慎重についてこい」

響「わかったぞ。でも、とりあえずどこに行くんだ?」

P「校庭だ。あそこまで出ればもう大丈夫だろう。そこから道路に出て、できるだけ早くここを抜けよう」

響「了解だぞ。よーし、あとちょっとだ!」

P「……よし、誰もいないな」 キョロキョロ

響「急いでGOだぞ!」 タッタッタ...





50: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:27:21.14 ID:PUmdftm80

- 教員舎 1F 廊下 -

P「よし、ここまで来ればあと一息だ!」 タッタッタッ

響「外……光だ! もうすぐ、もうすぐ帰れるんだ……!」 タッタッタッ

P「後少し、あと――」

                   ガシャンッ      ....ァァァァァ

響「!?」

P「な、なんだ今の音は。それに……声?」

           ...ァァァァアアアアアアアア!!!             グシャッ

響「ヒッ!」 ビクッ

P「な、なんだ急に……。人? 人が落ちてきたのか?!」 ガタッ

響「な、中庭の方で誰かが倒れてる……。お、お爺さん?」

P「……首が折れてるのか、頭が不自然に曲がってる。あの様子じゃあ、もう……」

響「うっ……」

P「響、あれを見るな! 足を止めるな! 今は走ることだけを考えろ!」 タッタッタ

響「う、うん。わかったぞ……」 タッタッタ





51: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:27:54.50 ID:PUmdftm80

- 外 校庭 -

P「ふぅ……。ここまで来れば、もう……」.

響「ハァ……ハァ……。だ、誰も追ってきてないか?」

P「あぁ。もう大丈夫みたいだ……。しかしさっきの爺さん、一体――」

      ブォン!.         ブォオォォォォォォォォ.....

響「! エンジン音!」

P「思ったより近い。もしかして救援がもう……!?」 キョロキョロ

                        ブオオオォォォォォォォォォン.....!

響「……違う。違うぞ。この音は遠ざかっていく音……」

P「な、なんだ? つまり誰かがここから車だかバイクに乗って?」

響「やっぱ2人以上、この廃校に……いた?」

P「わからん……。もう、どうしようもない。真相はつかめないんだから」

響「あ、朝陽が完全に昇って……」

P「うん。空が、青いな……。今日はいい天気になりそうだ」





52: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:28:37.15 ID:PUmdftm80

響「はぁ……。なんだか今日だけで随分と密度の濃い日を過ごした気がするぞ」

P「俺も。多分、家に帰って鏡見たら、白髪とか増えてそうだな」 ヤレヤレ

響「でも、もう危険は去ったんだよね。もう、大丈夫なんだよね」

P「そうだな。……響、よく今まで頑張ったな。えらいぞ」 ナデナデ

響「うん。……えへ、何だか目が熱いぞ」 グスッ

P「今回の件で一回りは成長できたんじゃないか? ま、もうこんな経験。二度とこりごりだけどな」

響「自分もだぞ。こんなの定期的に続けてたら、1ヶ月でお婆さんになっちゃう自身があるぞ」

          ブオォォォォォ....           オーイ オーイ!

P「おぉ! 車だ。それにあの声、ホテルで待機してたスタッフの人か。思ったより早く来たな」

響「でもこれで、ゆっくり眠れるぞ。もう、怖い思いなんてしなくて済むんだ……」

P「そうだな。はぁ……っ。肩の荷が下りた。あ、その前に警察に連絡してもらうよう言わなきゃだめか……」 ハァ...


    オーイ コッチダー!      ドウシタンデスカー! クルマ ノ コショウ デスカ-?!     ソンナトコロ   ミンナ シンパイ シテ...




――……

――――…………





53: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:29:47.44 ID:PUmdftm80

- 事務所 -

P「……――と、いう訳なんですよ。本当に死ぬかと思いました」

高木「なるほど……。それは非常に災難だったね。だが、よく無事で帰ってきてくれた。本当に嬉しいよ」

P「ははは。本当、よく帰ってこれたなぁって思います。何より響が無事でよかった……」

高木「うむ。我那覇くんは今、病院で休養を取らせてある。キミはこの後警察の事情聴取もあるから、大変だろうが……」

P「ま、頑張りますよ。それにそれさえ終わったら思いっきり休んでやりますから」

高木「ははは。じゃあ、それまで休暇の過ごし方を考えながら、もう少し頑張ってくれたまえ」

P「ありがとうございます。一応、休暇は小説でも書こうかなって思います」

高木「ほ? 小説かね」

P「えぇ。実は今話したこととは別に、こんな過去の事件について調べる機会がありましてね――」





54: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:30:31.09 ID:PUmdftm80

P「……――とまぁ、こういうことでしてね。話のタネにはなりそうかと」

高木「ふぅむ……。臓器の売買、ねぇ……」 ウウム

P「えぇ。私はそう結論付けましたが――社長、何か気になることでも?」

高木「ん。まぁ、いちゃもんのような意見ではあるんだがね。少し気になる点はあるね」

P「……例えば、それは?」

高木「まず1つ目が親御さんへの対応だ。何故親御さんはそんな危険な学校へ子供を送り込んだのか」

P「いえ、ですから子供を売り、その臓器で儲かるためじゃ……」

高木「それだと入学金や生活費で全て飛んでしまうよ。私立だったんだろう? それにもし売れなかったら大赤字だ」

P「いえ、でも……。もしかしたら入学段階で子供をお金で売り買いしてた可能性も――」

高木「それだと学校側が大赤字だ。卒業生がちゃんと出ている分、考えられにくい」

P「そ、そうですか? でもお金儲けって点なら……」

高木「それにキミは一つ忘れている。大事な要素だ」

P「忘れている? ……な、何をですか?」

高木「時代背景だよ。80年代、特に半ばから後期。この時代を人々はなんと呼んでいたか、キミは知っているだろう?」

P「80年代半ばから後期……あっ!」





55: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:33:37.98 ID:PUmdftm80

高木「そう、バブル時代だ。日本中が好景気に沸きあがり、バイト一つで遊んで暮らせた時代」

高木「そんな時代に、黒字になるかも変わらない、下手すれば赤字覚悟の危険なビジネス」

高木「……金銭目的とは、とてもじゃないが思えないね」

P「ですが……。ですがあの学校で学校主導の殺人が行われてた可能性は高いんです。臓器売買じゃなければ――」

高木「あったとしても、臓器みたいに売れるかどうか分からないビジネスではないだろう」

P「では、例を上げるとすればどのような……?」

高木「……考えたくもないが、一定数需要の見込めるスナッフビデオ、キッズポルノあたりかね」

P「キッズポルノ……。うっ……」

高木「それに第2の理由だが、臓器ってのはデリケートなものなんだ。素人が腕を突っ込んで取れるようなものじゃない」

P「つまり、清潔な環境と腕のいい医者が必要、と……」

高木「そう。キミが見つけた部屋は、血まみれで清潔感も何も無い部屋だったんだろう?」

P「確かに……あの部屋でオペなんてできるとは思えない。それに医者も……」

高木「別に100%不可能なわけじゃない。だが考えればいろいろ無理が出てくる」

高木「もしその廃村の危機を臓器売買で持ちこたえたとして、じゃあ資金が調うまで誰がオペをしたのだ?」

高木「金さえあれば、確かに闇医者として雇えるかもしれない。だが最初は70年代の寂れた鉱山の村」

高木「ここに臓器を摘出できる環境も、それができる医師もいたとは……とても思えないんだがね」

P「……」





56: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:34:06.13 ID:PUmdftm80

P「……何か、見落としていたんでしょうか」

高木「さあなぁ。私は現場を見てないし、そもそも過去の出来事だ。私たちは妄想を語ることしかできんよ」

P「何か、足りなかったのか? それとも視点が――」 ブツブツ

高木「そうさなぁ。だが――」

P「?」

高木「物事は思っている以上に単純だ。こんなもの商売にならない! と思ってるものがわりと当たる場合もある」

P「商売……?」

高木「そう。学校が行っていたことがビジネスで、保護者もグルであるのなら、当然関係はwin-winじゃなくてはならない」

高木「高い月謝を払ってまであそこに親が送り出す。詰まる話、あそこに子供を入れることが親の目的なんだろう」

高木「後は、そこで子供がどういう基準で殺されたのか。どういう基準で卒業できたのか」

高木「そこらへんを、よく考えていくのも悪くはないだろう」

P「社長……もしかしてアドバイスを?」

高木「いや、独り言だ。聞こえてたのなら『小説』の参考にしてくれればいいさ」 ハッハッハッ... ガチャン

P「ビジネス、か……」





57: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:36:22.06 ID:PUmdftm80

-病院-

響「うー……。う? ここは――」

春香「あれ、響ちゃん。もう大丈夫なの?」

響「あれ、春香? ……もしかして自分寝ちゃってたのか?」

春香「うん。随分と疲れてたみたいだね。もう15時だよ」

響「うー、そんなに……。あ、そういえばプロデューサーは?」

春香「えっとね、今警察から事情聴取を受けてるみたい。例の廃校、大変だったんでしょ?」

響「……そうだぞ。もう思い出したくないくらいさー」

春香「そっか……。あっ。じゃあ、もししんどくなったらいつでも呼んでよ! いつでも駆けつけるからさ!」

響「はは、ありがとうだぞ春香。……ところでさ、春香」

春香「なぁに? 響ちゃん」

響「春香はあの夜……自分たちが廃校に迷い込んだ夜に、自分に電話をかけてきたか?」

春香「……」

響「春香?」

春香「え? あ、ごめん。ボーッとしてた。えっと電話なら別にかけてないけれど」

響「そっか……。わかったぞ。ありがと」





58: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:37:32.48 ID:PUmdftm80

春香「どういたしまして……。あ、そうだ。忘れるところだった。はい、コレ」 スッ

響「? なんだ? これ。メモ?」

春香「えっとね。なんかさっき女の人がこれを響ちゃんって。ファンの人だったのかな? どこから病室聞いたんだろ」

響「えっと……。と、とりあえずありがとうだぞ」

春香「どういたしまして。それじゃあ、私行くね。後から千早ちゃんたちもお見舞い来るから」

響「分かったぞ。わざわざありがとうー」

春香「じゃあね。ゆっくり休んでね」 バイバイ

響「春香も帰り道に転ばないよう気をつけるんだぞー」 バイバイ

響「……」

響「行っちゃったぞ……。さて、このメモ……」

響「差出人の名前は書いてないけど、普通の便箋かな。応援メッセージだったら嬉しいんだけど、えーっと」 ピリピリ





59: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 05:39:45.61 ID:PUmdftm80

響「えーっと何々?」

響「……」 ジーッ

響「……ッ!!!」

響「こ、この手紙、差出人ってまさか……」

響「いや……でも……」

響「これが事実として……どういうことなんだ?」

響「どこかで勘違いしていた……のか? 自分たちは……」 ポロッ...


          フワッ....          パサッ...


『今も昔も、ずっとあの人は優しかった。私たちを救ってくれた』

『あの時の推理を聞いて我慢できず、この手紙をあなたに残しました』

『恐らく、もう会うことはないでしょう。ですがどうかひとつ、これだけは覚えていて下さい』

『樋村先生は、なにも悪くない。天に誓って何ひとつ』

Normal End





75: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:18:48.65 ID:PUmdftm80

以下 廃村で見つけて





76: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:20:36.04 ID:PUmdftm80

~4週目~

-教員用更衣室-

P「よいしょっと……」 ガシャッ

響「……プロデューサー。それ、何を持っているんだ?」

P「あ? 武器だよ。あそこにあった刃物を少し拝借した。錆びてはいるけど、まぁ無いよりかはマシだろう」

響「重りになるものはあまり持っていかないほうがいい気もするけどなぁ」

P「だな……。ん?」

響「どうしたのか?」

P「いま窓から……。もしかして」 ガラッ

響「うわっ。眩しいっ! も、もしかしてもう朝陽が……!」 チラッ

P「……残念ながら違ったみたいだ。月光だよ。ほら、あんなに明るい」

響「月の光、だったかぁ……。朝陽と勘違いしちゃったぞ」

P「目が慣れてしまったのも相まって、もう懐中電灯はいらないかもな。月光で校内が薄明るい」

響「でも、まだ朝じゃないのなら――」

P「ん。もう少し逃げまわるとするか」


行動安価 → 給食室





77: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:22:20.83 ID:PUmdftm80

響「そういえば、この学校って給食室ってあるのか?」

P「さぁ、そこは俺にもわからん。でも南校舎にはそれらしき建物や部屋は無かったし――」

響「外部から? トラックとかで」

P「片道なんkmもある悪路を毎日荷物積んで行き来できるとは思えないな」

響「じゃあ給食はどこから?」

P「俺の想像だが、位置的に寮にあるんじゃないか。寮ができる以前は村の炊事場を使ってたのかも」

響「ふぅん……。寮の方にかー……」

P「……行くか?」

響「いや。校内にあると思ってたから……。もしないならちょっと考えてみる」

P「そうか。ま、行くにしろ、行かないにしろ。俺は響の言うことに従うよ」


行動安価 → 響の携帯探し





78: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:23:20.78 ID:PUmdftm80

P「そういえば響。携帯を捨てたとか言ってたな。あれ、見つかったのか?」

響「け、携帯? ……そういえば、まだ見つけてないかも……」

P「どこら辺で携帯を捨てたんだ?」

響「えっと、多分北校舎から南校舎へ向かう渡り廊下の途中。ポイッて捨てちゃって、細かい場所はわかんないけど……」

P「……もし、次の動きが思いつかないのなら、ちと携帯探してみるか?」

響「えっ? で、でもなんで?」

P「携帯を探して、もし見つかったら響の携帯に着信があった謎も解けるかもしれないじゃないか」

響「で、でもどこを? 自分、教員舎であの着メロを聞いてるんだぞ。きっとオバケが持っていってるに違いないぞ」

P「まー、そうかもしれんが……。ま、万が一だ万が一。とりあえず北校舎と南校舎を結ぶ渡り廊下を見てみよう」 スタスタ

響「ん……。わ、わかったぞ」 テクテク

P「じゃあ、行くか。よっと」 ガシャ

響「やっぱそれ持って行くんだな……」





79: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:24:26.84 ID:PUmdftm80

- 南校舎 渡り廊下 -

P「ここだな。で、どこら辺でポイっと?」

響「わかんない……。走って走って、それから投げ捨てちゃったから……」

P「うーん。校庭の方向は、まぁともかく……。中庭の方へ投げ捨てたのなら探すのは酷だな」

響「草ぼーぼーだぞ。ハム蔵かいぬ美がいれば見つけてくれるかもなのに」

P「せめて響の携帯に着信がもう一度入ればなぁ」 ピッ ピッ

響「こ、怖いこというのやめて欲しいぞ。それに一応、自分壊しちゃったから、正常に動作するかは――」

P「……ん? お、あれれ?」 ピッ ピッ ピッ

響「どうかしたのか、プロデューサー?」

P「いや。今、携帯アンテナが1本立って……あ、また圏外になった」

響「えっ!? こ、ここ電波が届くのか!?」 ガタッ

P「わからん。一瞬だけだったし、不安定だったのかも……あ、ヤバい。電池が」

響「あ、スリープしちゃった……」

P「あぁクソ! もう少しでいろいろ調べられたかもしれないのに」 カチャン


行動安価 → 職員室近くに校長室がないか探索





80: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:26:21.33 ID:PUmdftm80

P「しかし、ここまでだとは思わなかった。これはちょっと無駄足だったかもな」

響「うん……。ところでプロデューサー」

P「ん? なんだ響。次に行く場所でも思いついたのか?」

響「うん。それなんだけどね。この学校、校長室ってどこにあるのかな?」

P「校長室? 校長室……。確かに見なかったな」

響「それでね。自分、職員室をもう一度調べてみたいなって思うんだ。最初薄暗くてあまりわかんなかったし……」

P「あぁ。廊下に面してないのなら、職員室に入り口がある場合。……確かにあるな」

響「うん。だから、ちょっと確認してみたいぞ」

P「わかった。じゃあ次は職員室へだな。まぁ、帳簿でも見つければ更なる根拠も見つかりそうだし、いいか」

響「臓器売買……。本当にあったのかな……」 ゴクッ

P「それはまだ分からん。でも俺はほぼコレで合ってると踏んでるな。ま、今は移動だ」

響「うん」 テクテク





81: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:27:21.94 ID:PUmdftm80

- 職員室 -

P「うお、そこそこ明るい」 ガラガラ

響「心なしか、月の光が強くなってる気がするぞ……」

P「多分月が傾いて低くなった分、光も強く感じるんだろ。今は願ったり叶ったりだが」

響「でもそれって、オバケ……不審者さんにも同じことが言えるんじゃないのか?」

P「それはそうだが……。お前の話とさっきの状況を考えるに、多分平気だと思う」

響「なんでだ?」

P「目と耳が弱い、広範囲に移動してない、動き……というか歩調が緩慢。なら不審者は高齢――ん?」

響「どうかしたのか?」

P「いや、あそこ……。ほら、教頭の机の後ろにある棚。その端の方……」

響「あ、扉! やったぞ。本当に校長室……開いてる?」

P「あぁ、扉が開いてる。もし最初から開いてたら、薄暗かったとはいえ、俺たちが気付かない訳がない」

響「なら誰かがあそこに――」

P「いるのか、いたのかは分からんが……。今はコイツもあるし、慎重に行ってみるか……」 ゴクッ ガシャッ





82: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:34:13.90 ID:PUmdftm80

- ??? -

P「……」 ギィ...   キョロキョロ

響「……」 ヒョコッ

P「……誰もいないな。そこそこ狭い部屋だけど、ソファやら絵画やらがあるな」

響「応接間? あ、でも奥に偉そうな机がある」

P「まぁ、ここが校長室で合ってるだろうな……ん? この部屋の床だけ木材を使ってるのか? 変な趣味だな」 ギィ ギィ

響「腐ってたら大変だから、あまりドタバタするのは控えるべきかもなー」

P「しかし殆ど手付かずで出て行ったのかな。やたらと綺麗だ」

響「廃校になるとき、それくらい急いでたのかもなー」

P「だが資料も当時のまま残ってるかもしれない。ま、調べるも調べないも響次第だけど」

響「ん……」


行動安価 → 手帳を読む





83: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:34:51.99 ID:PUmdftm80

響「ここ……出口が一つだけなのかー。後は窓……」

P「ま、今は手元にコイツがあるから、ここで篭城もできなくはないぞ。この部屋に隠れられそうな場所はなさそうだし」

響「ん。じゃあ手帳を読んでみるか? これ」 パサッ

P「手帳? ……あぁ、あの理科室で響が見つけたあれか」

響「うん。結局何度も読もうとして読めなかったから、読むとすれば今の内かなって」

P「だな。じゃあ俺が入り口警戒してるから、小声でいいから声に出して読んでくれ」

響「わかったぞー。えーっと、なになに……?」


『×りすぎた。バラバ×にするのはまだ×い××て、燃××のは良×ない。こ×じゃあ××用できない』

『教×が俺をキ××イ呼ばわりし××ら×い。ふん、好×合だ。お陰で××に死×も×べもしない』

『今××仕事で×、派×に臓×をブチ撒××よ×××たが、×陰で臓器××つか潰×て×まった。なんとい××とだ』

『××とグ××スクに。もっ×凄惨に。×っとバ×バラに』


響「……うぐ」

P「……聞いてる分には酷いな……。樋村って男、何か破壊衝動でもあったのかね」

響「この先もいろいろ書いてあるけど……似たようなことばかり書いてあるぞ」

P「まったくだ……。ん?」





84: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:35:45.85 ID:PUmdftm80

響「どうした、プロデューサー?」

P「いや、今の文面に何か違和感を覚えて――ちょっと手帳いいか?」

響「? 別にいいけど……気分悪くなっても知らないぞ。はい」 スッ

P「サンキュ。えーっとなになに……」 ブツブツ

響「また一人考え込んじゃったぞ……。コ○ンくんじゃないんだから、少しは考えを喋ってほしいぞー」

P「この文面……。穴埋めをすると、『お陰でろくに死体も調べもしない』……か?」

響「そこは分からないけど……だとしたら、なんなんだ?」

P「おかしいな。例え後で臓器を摘出するとして、そんな死体も調べないって本当に?」

P「それにこの日記、どれだけ凄惨に殺す……か、或いは死体をバラバラにするかだよな」

P「臓器売買を目的として、こんなの許されるのか? おもいっきり『燃やす』『潰す』みたいな事も書かれてるし――」

響「そういえばそうだぞ。……なんで?」

P「……臓器は使わない? いや、臓器は樋村が目的で、学校の目的は殺すことだけ?」 ブツブツ

響「まーた考え込んでる……」


行動安価 → 部屋を捜索





85: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:36:30.14 ID:PUmdftm80

響「プロデューサー。考えるのは――」

P「ん? お、おう。そうだな。考えるよりまず先に動かなきゃ、だな」 アセアセ

響「まったくもうっ。……とりあえずここの部屋を調べるぞ。何かあればいいけど……」

P「一応この部屋、鍵はかかるみたいだし……。そうだな、ちょっと調べてみよう」

響「だぞ。……でも思ってより本や書類がいっぱいあって、何が大事な資料のか判断するのが大変かも」

P「じゃあ、そこらへんは俺が調べるよ。響は机とかその他を調べておいてくれ」

響「了解だぞー」





87: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:39:41.21 ID:PUmdftm80

P「……」 ガサガサ

響「……」 ゴソゴソ

P「……っとっと。危ない危ない。本棚を倒すところだった……」 ガタッ

響「危ないぞー。怪我しないように注意しなきゃ」

P「悪い悪い。それもそうだな――ん? なんだ、壁と本棚の間に落ちて……なんだこれ。これは校長の手記か?」 カサッ

響「ここの学校の人、よほど手帳に書き記すのが好きなんだな――お?」

P「ん。響の方もなにか見つけたのか?」 ガタッ ガタン

響「いや、ここ……。見づらいかもしれないけど、穴が開いてる……」

P「んー? ……本当だ。えーっと、どれどれ――」 ガチャッ ガラガラ

響「どうしたのか? プロデューサー」

P「……この穴、壁の向こうからテープで部屋の中に光が漏れないように隠してる」

響「穴が開いたからの応急処置なのかな?」

P「なくはない……が、この金満学校でか? んー、どちらかといえばこの穴……。覗き穴のようにも見えるがなぁ」

響「校長室を? そんなことする意味、なにかあるのかなぁ」

P「わからん。とりあえず探索を続けようか」





88: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:43:21.80 ID:PUmdftm80

P「……ん。またそれっぽい資料見つけたが……。今度は暗号化されてるっぽいな」

響「どんなのなのか?」

P「ん? えっと、まぁこんな感じ」 ペラッ

『85' 普59、選44』

『×年×普通入×者も随分増え×きた。これも××の成果のひと×なのだろう』

『或×はこ×先、普×入学×だけでやって×ける××しれない』

『有名×学への進学も多×なってきたし、いつか本当××の日が来るの×もしれない』

響「……日記? というより誰かの感想かな」

P「場所的に校長の手書きだと思うが……。んー。見た感じ、入学者についての資料だな」

響「学校の偏差値上がって、入学者が増えたのかな。……けど、成果? 成績向上の何かでもしたのかな」

P「さぁな。裏でやってるであろう事を考えると、あまりいい意味には聞こえなさそうだが――」

響「ところで、この『普』は普通入学者って意味なのかな。じゃあ『選』ってどういう意味なんだろ」

P「……わからんな、現地点では。で、とりあえず見つかった資料はこんな感じか」

響「そこまで多くは無かったね」


行動安価 → 覗き穴をスタート地点とし、紙の指示通りに動いたケースを考える





89: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:44:00.19 ID:PUmdftm80

響「……そうだ。覗き穴、ノゾキアナだよ!」

P「ん? 覗き穴? ……あぁ、体育館のあれか。あそこに何かあるのか?」

響「違うぞ。えっと……これ! あそこに書かれていた字はこの絵の裏に書かれてる字と同じだった!」

響「だからもし、このメモがここの覗き穴から見たことを書いているのなら――」

響「この覗き穴からメモの順に移動してみた場所に、きっと何かあるぞ!」

P「ははぁ、なるほどな。じゃあ、……ちょっと試してみるか」 ガタッ

響「えーっと、ここがスタート地点だとして……最初はまっすぐ行って右」

P「テーブルとソファ前で右か」

響「次はまっすぐ行って左だな。これを二回繰り返せば……」

P「テーブルとソファをぐるっと回った格好になるな……。いや、待て」

響「? どうかしたのか?」

P「……多分そっちじゃない。テーブルを回っただけだと、多分まだあの穴からは姿が見えてる」

響「え? じ、じゃあ、えーっと」 キョロキョロ

P「そうだな。校長の机まで行って左、だろうな。ここからなら多分穴からは見えなくなる」

響「そうなるとゴールは……。ここら辺かな?」 ギシギシ





90: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:44:53.50 ID:PUmdftm80

響「? なんだかここの床、凄く軋むぞ。あんまり乗っていたくないかも……」 ギシ...

P「……そこの床板、外してみるか?」

響「え? こ、壊しちゃうのか? それって危なくないか?」

P「どうせ腐りかけた建物、床板一枚程度引っぺがしただけじゃあなんともならんだろ。それに――」

P「もしメモのことが、この床あたりを指しているのなら――ここにあるはず」

響「そうなのか? でもここにあったのがどこかに移動させられた可能性も――」

P「ほとんど時間がなくて手付かずであったろう、この部屋の様子を見てか?」

P「それに『見えなくなった』これが本当に完全に見えなくなったのなら、おそらく誰かはここでしゃがんでいたはず」

P「じゃないと身体全体が机に隠れることが出来ないし、もし少しでも見えていたのなら、もっと別の表現を使っただろう」

P「『こちらに背を向けてなにかしはじめた』だとか『何かをいじり始めた。ここからじゃ見えない』とかな」

響「……それじゃあ、本当にここになにか?」

P「だから分からん。メモが本当にこの場所を指してるか否か、だ。じゃあ、コイツを使って……!」 バキッ

響「うわっ! ら、乱暴だぞ!」

P「しゃーない。取っ手があったのかもしれんが、この状況じゃ――お?」 ガシャッ

響「お?」





92: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:45:42.58 ID:PUmdftm80

P「これは――」

響「金庫? なんだかすごく物々しいぞ……」

P「……が、これはダイヤル式ロックと鍵の両方が必要なやつだな。昔にしては随分先進的なものを……」

響「それだけ大事なものだったのかな……」

P「だが、お? これダイヤルの方のロックは外れてないか?」 カチャカチャ

響「ほへ? なんでまた中途半端な」

P「んー……。例えば、廃校になると分かり慌てて金庫の中身を取り出そうとしたけど鍵をなくしてしまって断念」

P「だから床を固めて見つからないようにして、後はそのまま――だとか?」

響「それだけ急いでたってことなのかな」

P「教頭も黒ければ、校長も黒いってか。なんなんだこの学校」


行動安価 → 手持ちの鍵を使う





93: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:49:58.77 ID:PUmdftm80

P「鍵……。そうだ、寮で見つけたデカい鍵、これに使えないか?」

響「えっ? えっと、大きい鍵、大きい……おっ。あったぞ、これだな」 ゴソゴソ パッ

P「おう。これが何で寮母の部屋にあったのかは知らんが、寮母が学校側の活動に反対だったのなら……」 ガチャガチャ

P「……おっ! ビンゴだ。やっぱこの鍵であってたか」 ガチャリ

響「やったぞ! で、中はどんななんだ?」 ヒョコ

P「こりゃ、顔出すな。今開けるから……っと」 ギィィィッ

響「どれどれ? 中身は――あれ。また書類?」

P「それと手帳だな。さっき見つけた手帳と併せれば2つか。どっちも校長の手記かな?」

響「わかんないぞ。でも、だいぶ核心に迫ってきたような……」


行動安価 → 読んでみる





94: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:51:32.01 ID:PUmdftm80

P「まぁ……。読むしかないわなぁ。せっかく安全が確保できてるのに」

響「じゃあさっそく手記を読んでいくぞ。まずはさっきプロデューサーが壁と棚の間に落ちてたのを見つけたやつだな」

P「重要そうなところだけ読んでいくか。えーっとなになに?」


『樋村××には困ったものだ。監禁事件を起×した父親と同じく、彼もどこか変態×な趣味を持ってるのだろうか』

『まあ彼は父親と違い、××予定の生徒をうっかり監禁してし×うなんてミスはないだろう。何せあの趣味×のだから』

『幸いに×々が接触する前に監禁事件を起こしたので、警察に保護さ×た後も事件になることはなかった×だが』

『お陰で彼女を××損ね、ご××は×怒する始末。本当にあの事件は思い出しただけでも背筋が凍×』

『加えて警×に手回しをするのにいくら払っ×か。まぁ今××ことを考えれば必要出×だったのか×しれんが』

『しかし彼は父親比べ×安全×いう部類にすぎず、実質あの殺×方は異常と言わざるを得ない』

『お陰で死体は常に××ゃぐちゃで凄惨だ。正直、私含めまともに目にしたく×い』

『私がこん×ことを言うのも何だが、さぞ彼ら、彼女らは苦×かったに違いない。同情するくらいに』

『もし×らせていなければ、彼らの悲鳴で一瞬でこの××は生徒たちに露見してしまった×ろう』

『樋村×生に話をつけるよう、教頭先生に伝×ておくこ×にする。これで少しはマシになればいいが……』


響「……」

P「確定だな。『殺』の文字が出てきた。『流す』は使ってないが、恐らくこれのことを指すんだろう」





95: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:52:22.91 ID:PUmdftm80

響「心のどこかで思ってたことだけど、実際にあったことが確定したと考えると、なんだかキツいぞ……」

P「仕方ないさ。……しかしこの手記を見るに、九の事件の一つを起こしたのは樋村の父親か」

響「親子2代、この村の教師だった……ってことか?」

P「学校が裏で行ってることがもし閉山直後から続いているのなら、身内を入れたほうがそりゃあいいわなぁ」

響「えっ? これが閉山直後からずっと? そんなことどこかに書かれてたのか?」

P「ん、あぁ違う。俺の妄想。でも、寮母の日記を見てると、そう考えるのが自然かなーってな」

響「そうなのか……。こんなことが以前からずっと……」

P「ま、今は感傷に浸ってる暇はない。次は金庫内の手記を調べてみるか」 パラッ





96: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:53:55.96 ID:PUmdftm80

『樋村×代子さんが亡くなった。どう×ら自×らしい。北×舎の××から飛×降りたのこと。遺書が見つかった』

『そして聞けば先の事件、彼女が起こしたものらしい。遺書にそう書かれていた。失敗を予想し自ら命を絶ったのか』

『×女が自殺した時刻、バラバラなた×に詳しくはわからないが、恐らく最後の1人を××めた前後らしい』

『そ×も×哀相なことに、最×の一人を処理した×は彼女の息子だったらしい。遺体は×型を留め×いない』

『皮肉な×のだ。生徒を×おうとして、その最後の××を自らの息×に×されてしまったのだから』

『だが、お陰で×件が公にならずにすんだ。このことは×日学校内の××事で秘×裏に処理され×だろう』

『しかしどうやって彼女は×らを生き延びさせた×だ? 協×者が? せめて過去、誰が××たのかを書いて××ば……』

『だがこれ以上の×拠を増や×わけに×いかないし、仕方のないことだ。これで事×は終わった。そう思えば』


P「これは……樋村母が死んだ日のことか。自殺?」

響「でも、これを見るとなんだか酷いぞ……。息子に最後の一人を――だって」

P「あぁ。樋村って男、よっぽど屈折した心を――ん? まだ他にもあるな。別の日に書かれたものか?」 ペラッ





97: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:57:39.87 ID:PUmdftm80

『報告が来た。××子さんの遺体×が、自殺と思え×いほど異常だっ×とのこと』

『×況はか×り×惨で、×中切り刻まれバラバラになっていた×しい』

『……間違いなく樋村先生だ。だが遺書もあるし、恐らく×び降りた後の彼×を刻んだ×だ×うと予想する』

『だがいつだ? 最後の一人を×してからは、ずっと彼×ここで事後処×を行っていた』

『……×後の一人を仕留める前に? いや、でも彼の慟哭を見れ×それはないと思×てくる』

『仕×める前に×上の遺体を見ていれば、あ×な嬉々としてかつての×徒をバラバラになん×できる訳がない』

『……いや、も×かして先ほど見た彼のあの慟哭は全て嘘で、心ではなんとも思っ×いないのかも×れない』

『そうだとし×ら、彼は×真正銘の化け物だ。×を斬るためなら肉親の×体だろうと×わない』

『恐ろ×くて×が震える。××かして手は打てな×ものか』


響「……人殺しがいっちょ前に怖がってるぞ」

P「ここまでくると腹が立ってくるな。何様のつもりかと」

響「でも、樋村は母親の遺体を切り刻んでいた可能性があることが分かったね」

P「ん……。まぁ彼の異常性は前々から知ってたつもりだが、ここまでくると本当に恐ろしく思えてくるな」





99: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 14:59:35.86 ID:PUmdftm80

P「後は大量の資料だな。こんな金庫に入れておくくらいだから、よっぽど重要なものなんだろうか」

響「んー……? いろいろ擦れてる文書もあるけど、なんだこれ?」 ペラペラ

P「なになに? 『古庄×太郎、古庄 愛子 は以下を厳守することをここにお誓い致します』。……誓約書?」

響「『1. 生徒に関して、校内で事件、事故が発生し、結果生徒が死亡してもいかなる訴えも……』。な、なんだこれ」

P「別の形のものもあるな……。『この学校内で発生した死亡事件において、学校側は……』。ふむふむ、これは――」

響「……親が裏切らないようにするための?」

P「血印書だな。親も裏切れないように、って感じかねぇ」

響「でも、あまり枚数無いな。それにこんな大事なもの、処分しなかったのか?」

P「まぁ半数以上は普通入学ってあったしな。それに処分しなかったんじゃなく、処分できなかったのかもな」

響「……時間的な都合で?」

P「それもあるが、だったら後からここへ来ていろいろすればいい。恐らくマークでもされてたんじゃないか?」

響「へ? マーク?」

P「警察に。手の及んでない……市、或いは県が乗り出したのかは分からんが――」

P「要は自由に身動きが取れない状態ってことだな。或いはもう死んでいるかのどっちかだ」

響「死んでいる……」 ゴクッ





100: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:00:19.59 ID:PUmdftm80

P「さて、これで大分過去のことは見えてきたな」

響「細かいところまではまだだけど……。確かに見えてきたかも」

P「さて。そうなると問題はこの資料だ」

響「これ? 持って行っちゃダメなのか?」

P「いやいい。だがこの部屋、さっきまで人がいたってこと。もう忘れたか」

響「あ、そういえば……」

P「誰かはわからんが、もしここにいたヤツの目的がこれなら――ここに置いたままにしておくのもありかもしれん」

響「なんでだ!? これは事件の証拠だぞ! 持ってかえって公表しなきゃ」

P「その公表を快く思わないヤツが校内を徘徊してるかもしれないってことだよ」

響「お、オバケのことか?」

P「どのオバケか知らんが……。金属製の何かを持った奴と、フットワークの軽いもう一人の、最低2人はいると思う」

P「その双方がこれを狙ってたら――。持ってる俺たちが危ない」

P「この紙を見た後でも、資料さえ手を付けなければあるいは見逃してくれるかも――」

響「……」





101: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:01:35.51 ID:PUmdftm80

響「……でも。でも、それじゃあ、この学校で殺された人たちの無念はどうなるのさ」

P「無念?」

響「こんな暗くて寂しい廃校を彷徨って……その人たちが浮かばれないぞ!」

P「いや、だからこの校内を彷徨っているのは生きた人間の可能性が――」

響「違うぞ! きっとその人たちはまだここにいる。彷徨ってる! だから救ってあげないと」

P「だからさ……。いや、例えそうだとしても、それは命を賭けてまですることか?」

響「……」

P「当然置いていったからといって見逃してくれるとは限らない。でも少しでも俺たちが無事になれるのなら――」

響「……」 ギュ-ッ

P「……」

響「うー……!」 ギューッ

P「……フー。わかったよ響。わかった。持っていっていいさ。だからあんまり紙を強く抱きすぎるな。皺になるぞ」

響「えっ? ほ、本当にか?」 パァッ

P「いいさ。ま、どうせ金庫を閉じれば、持っていったか否かなんて分からないハズだしな」

響「やった! あ、ありがとだぞ、プロデューサー!」 ダキッ





102: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:19:30.24 ID:PUmdftm80

P「しかし……。見えてきそうで見えてこないな、この事件。あと少しだとは思うんだけど――」

響「うーん。学校が悪いことして、樋村がさらに悪いことをしてたってことくらいしか……」

P「……まだ。あと少し資料が足りないな。他に気になった場所、少し探してみるか」

響「そうだな。あ、念のため板は戻しておくぞ。……綺麗に割れちゃってるけど」

P「おう。でも金庫が開いてないと思えば或いは――な。さて、どこへ行こうか」

響「んーっと、そうだなー……」


行動安価 → 寮母の流す、足りないという言葉の意味と、バラバラにする理由を考える





103: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:20:29.07 ID:PUmdftm80

響「とりあえず、自分。プロデューサーの考えを聞きたいぞ。多分、だいぶ思考の差があると思うから……」

P「おう、ここを出る前に考えを併せておきたいと。いいぞ。何でも質問してくれ」

響「まず寮母さんの手記で出てきた『流す』って言葉は――どう考えてる?」

P「殺すって意味だろうな。外でも意思疎通ができるように作った言葉だと思う」

響「そっか。そこらへんは同じだな。じゃあ『足りない分を代用~』って言葉は?」

P「そこな。臓器売買の考え、さっきも言ったろ? そこで――」

響「生徒が臓器売買されないように身代わりにって考えだったっけ」

P「なんだ、覚えてるじゃないか」

響「うん。だけど、さっき樋村の手記を見て、臓器売買の線が薄くなったとか言ってなかった?」

P「……そうなんだよなぁ。だからそれは今考え直し中。まだ証拠や根拠が足りない」

響「そっか……。じゃあ何で樋村は遺体をバラバラにしてたと思う?」

P「ん? そりゃあ……バラバラにしてこっそり臓器やらを掠め取るためじゃ? それか、そういう趣味があったか、だ」

響「うー……。なんか違うような気もするけど」

P「思考時間と資料が足りないんだ。もう少し動かないと……何も見えてこない」


行動安価 → 二枚目のメモについて





104: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:20:59.07 ID:PUmdftm80

響「そうだ。ねぇ、この2枚目のメモはどう思う?」

P「ん? あぁ、そういえば体育館でもう一枚見つけたんだっけか」

響「うん。だったらこの部屋をもう一度――」

P「多分それこの部屋じゃない。だから別にいいだろ」

響「えっ? な、何で分かるんだ?」

P「動く前に、そのメモ通りの動きを考えてみればいい」

響「『ひだりにいってまっすぐ。みぎにいってひだり。まっすぐ。またまっすぐ』……だったよね。えーっと……」

P「ま、真ん中が少し曲がってる針金みたいな形になるだろ? もしくは雷マークを横に倒したような」

響「そうだな。左側にずっと続くって感じ……あっ」

P「な? この部屋じゃ再現不可能だ。それにこれは最初と途中一度上に曲がる以外は左方向へ一直線なんだ」

響「そんな場所、学校内にあったかな……」

P「さぁなぁ。校庭くらいしか思いつかんが……その場合はなんでこんな表現にしたのかとスタートの位置が分からん」

P「或いは、体育館の小窓でどれくらいの範囲が見えるかをテストしたのをメモに書いただけなのかもしれんし」

響「むぅ……。ただのメモの可能性もあるのかー……」


行動安価 → 体育館へ





105: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:21:59.60 ID:PUmdftm80

響「むぅー……。そうなのかなぁ」

P「納得できなさそうだな……。じゃ、それを見つけた体育館、もう一度見てみるか?」

響「ん。わかったぞ。でも、あの変な靴のオバケは大丈夫なの?」

P「こっちは武器があるんだ。ゴリマッチョは難しいけど、普通の体格ならある程度は応戦できるだろ」

響「……わかった。プロデューサーのこと、一応信じてあげるぞ」

P「なんだそりゃ。まぁいっか。じゃあ、慎重に行くか」

響「うん……。あれ?」

P「どうした? 何か言い忘れたことでもあったか」

響「いや、今誰かの視線を感じたような……」

P「? とは言っても部屋は当然、窓にも人影はないし……気のせいじゃないか?」

響「……そうだな。きっと気のせいだぞ」

P「じゃ、気を取り直して、慎重に……」 ガチャ

響「抜き足差し足……」 ソロソロ   バタン


                                                 ガサッ





106: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:22:40.99 ID:PUmdftm80

- 体育館 -

P「ということで体育館来たが……。うわー、なんか不気味というか神々しいというか……」

響「2階の窓から月光が射し込んでいるんだな。なんだかライトアップされたステージ上みたいで綺麗だぞ」

P「だな……。帰ったら、こんな舞台でいっぱい踊ろうな」

響「……うん」

P「っと、なんかしんみりしちまったな。で、ここまで来て……さてどうする?」


行動安価 → 二階へ行き探索





107: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:24:06.44 ID:PUmdftm80

響「と、とりあえずもう一度2階に上がってみるぞ。上からなら全体をよく見られるし」

P「わかった。じゃあとりあえず舞台袖に入って、っと……」 ガチャッ

響「うわぁ。相変わらずぐちゃぐちゃだぞー……」

P「上りにくいんだよなぁ……。よいしょっと、響。お前は大丈夫か」

響「大丈夫だぞ。伊達に運動部やって……ないぞっ!」 ピョン

P「おっと。こら、あんまり飛び跳ねると危険――」

                                      ガララララッ

P「!」

響「!!」 ビクッ

                                       ギュッ... ギュッ... ギュッ...

響「あ、あの足音! さっきのアイツだぞ、きっと」 ブルブル

P「だな……。あの音、更衣室の方から出てきたのか」 ヨシヨシ

                                            ギュッ... ギュッ... ギュ...  ュ....

P(足音が遠ざかっていく……。音からして、扉は閉まっていたのか。じゃあ気付かれていないのか?)

響「……」 ブルブル





108: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 15:30:51.46 ID:PUmdftm80

P「……」

響「……」 プルプル

P「……行ったみたいだ。響、今度は大丈夫か?」

響「こ、今度はってなにさー……。自分、特になにも――」

P「ん。今回は大丈夫そ――と、思ったが残念。ちょっと目頭に涙たまってるぞ」 ナデナデ

響「えっ!? そ、そんなことないぞ!」 グシグシ

P「しかし……。今回もまたあいつか。教員舎や体育館周り、特に更衣室周辺をウロウロしてるのかねぇ」 ポンポン

響「……なんでだろ?」

P「さぁな。あの動きじゃあ、探し物をしてるというより、誰かが来るのを待ってる風に感じるな」

響「待ち伏せ? うぅ、なんだそれ。怖いぞ」

P「さて、今は姿が見えないが、どうしようか」


行動安価 → 2階探索続行





111: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:33:56.30 ID:PUmdftm80

P「……今の内に2階を探索するか。今なら影でバレることもない」

響「そうだな。今の内に探索を進めなきゃ……」

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……何も見つからないままぐるっと半周したな」

響「だぞ……。こっちは逆側の舞台袖へと降りる扉かなぁ」

P「だろうなぁ……。ん?」

響「どうしたプロデューサー」

P「いや、月の光が弱まってきたかなと思ってさ。結構夜明けが近いぞ」

響「そうなのか? あと少し……」


行動安価 → 反対側の舞台袖へ





112: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:34:30.99 ID:PUmdftm80

P「まぁ……。どうせだしこっちから降りてみるか」 ガチャッ

響「うん。……うわぁ、ここも中がぐちゃぐちゃだぞ」

P「下りにくいな……。荷物とか置きっぱなしにしすぎだろっと」 ズリ...ズリ...

響「んしょんしょ……」 ソロリ... ソロリ...

P「……無事降りられたな。特に何もすることはないけど」

響「んー。回りも普通のマットやらポスターやらで、目ぼしいものは何も無いぞー」 キョロキョロ

P「んー。やっぱここは何も無いか……」

響「むぅ。それならプロデューサーはどういう場所を探したいの?」

P「ん? そうだなぁ……。今欲しい情報は『樋村』、『学校の行ってたこと』、後は『九の悲劇』についてくらいだな」

P「『9の悲劇』については、『88年の最後の事件』と『タイムカプセル』、『87年3月の記事』、『ゾンビ事件の詳細』かね」

P「これらの情報が手に入るであろう場所を調べたいな。俺は」

響「そっかぁ……。どこで手に入るんだろ」

P「あぁ、それと響が不思議な体験をした場所でもいいぞ。そこには別の手がかりがあるかもしれんし」

響「うーん……」


行動安価 → プールへ





113: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:35:42.86 ID:PUmdftm80

- プール -

P「ん……。変質者はいないな」 キョロキョロ

響「この動き、前にも一回したことがあるぞ……デジャヴ?」

P「いや、実際に同じことがあったぞ、ついさっき。さて……プールは」

響「さっきと何も変わらないぞ。見回した感じ、何がありそうってこともなさそうだけど……」

P「ん? じゃあ何で来たんだ?」

響「え? だってさっきここ何もしないで帰っちゃったから……」


行動安価 → 壁新聞を調べる





114: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:36:25.56 ID:PUmdftm80

P「……何も無いな」

響「なにもないぞー。じゃあ他の場所行くかー」

P「『他の場所行くかー』じゃない! じゃあ何のために来たんだ!」 グリグリ

響「いたたたたっ! だ、だって何かあるかもしれないと思ったんだぞ」

P「まったく……。まぁ何も行くアテがないのなら仕方ないけど」

響「行くアテ……。あ、そういえば一つあるぞ! 入り口の壁新聞だ!」

P「壁新聞? ……そういえばなんか貼ってあった気がするな」

響「そうそれだぞ。最初見たときは結構新しい感じだったのに、次見たときはボロボロになってた気がして……」

P「ふむ……。それは少し気になるな。ちょっと見に行ってみるか」

響「うん」

P「それと」

響「?」

P「そっちがあるなら、最初からそっちに行けよ!」 グリグリ

響「びゃーっ! ご、ごめんだぞー!」 ジタバタ





115: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:37:53.94 ID:PUmdftm80

- 玄関 -

響「こ、ここだぞー」 ヒリヒリ

P「これか……。んー『がっこうだより 1989年 2月号』……。最終号みたいだな」

響「やっぱりボロボロになってる……。それに2月号? 自分が見たのは確かもっと先の――」

P「んなわけあるかい。89年3月で閉校したんだぞ。見間違いか何かだろ」

響「いや、でも確かに自分は――……。でも実際、最終号がここにボロボロであるのなら、見間違いだったのかな……」

P「……いや、そうでもないかもしれん」

響「? どういうことだ?」

P「これ見ろ。2月号を止めてある画鋲。この隣にそれぞれ別の画鋲が刺さってる」

P「で、その画鋲を見ると、何か破れた紙が刺さってる……。もう分かるな?」

響「誰かが2月号の上から存在しないハズの9月号を貼って、それを見た誰かが破り捨てた……?」

P「多分な。でも何で9月号なのかね。そこはわからんが……。まぁ問題は捨てられたであろう9月号の内容だな」

響「でも……どこにもそれらしき紙くずはないぞ」 キョロキョロ

P「恐らく丸めて捨てたろうから、探せば見つかるとは思うが……」


行動安価 → 体育館の舞台袖からメモ通りに動くとどうなるか考える





116: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:38:58.08 ID:PUmdftm80

響「でも……見間違いだった可能性もあるし、今は気になる事を片付けていくぞ」

P「気になる事? 何かあったっけ」

響「え? だからあの2枚目のメモだぞ。体育館の小窓付近にあったんだし、そこらへんからスタートして行けば……」

P「体育館を抜けるなら印刷室付近になるな。体育館内だと、壁にぶつかって終わり」

響「……そうなの?」

P「あぁ。それで前者は初期の地点で小窓から見える範囲を出てしまっている。だから却下」

P「そして後者はそもそも曲がるタイミングが分からないし、言ったとおり壁にぶつかって終わり。見えなくなることはない」

P「だから多分あそこの小窓からじゃないんだろう。考えるにしても、別の場所を考えよう」

響「ん……分かったぞ。って、あれ? 朝陽?」

P「ん? おっ! 本当だ! 体育館がなんか後光が射して見える!」

響「朝が来た……。これで家に帰れるのか?」

P「多分な。……後は迎えが来るまでどう持ちこたえるかだが……」

響「校庭でいいんじゃないか? あそこなら何があっても逃げ切れそうだし……」

P「だな。とりあえず外に出るか」





117: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:40:32.10 ID:PUmdftm80

-校庭-

P「ふぅー。おぉ、空がだんだん明るみ始めてきた」

響「これで迎えがすぐ着てくれたら嬉しいけどね」

P「はは、流石にそれはない……。待て、響。急いで車の中に入るんだ」 ガサッ

響「? なんで――えっ?」

                  グオォォォォォォォォン....

響「ば、バイクに乗った人が……。それに手に持ってるのは……金属バット?」

P「くそっ。こっちはブレーキ壊れてるし、篭城しても、窓を割られるか……?」

響「や、やだぞ。せっかくここまで来たのに……」

P「……くそ、何とかならないのか」

       グオン       ブオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

響「き、来たぁ!」 バタンッ

P「響、急いで中へ!」 グイッ





118: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:42:01.55 ID:PUmdftm80

                グオォォォン      ガシャアアアン!!!

響「う、うわーっ!」 ビクッ

P「くそっ! なんとか窓は割れずに済んだが……車を動かすにしても制御できなきゃ意味無いし、このままじゃ――」

響「あと……あと少しなのに。あと少しだったのに……」 ブルブル

P「……響」

響「なんで……こんな……」 ジワッ

P「……」

響「うぅっ……。もう一度会いたいよぅ。みんなぁ……」 グスッ

P「よしっ」 ポン

響「……?」 ヒック

P「響。ちょっとこれ借りるぞ」

響「プロデューサー……?」

P「俺が出たら鍵をしっかりかけているんだぞ。そして何があっても絶対に鍵を開けちゃだめだ。いいな?」 ガチャッ

響「えっ? プロデューサー……? 待って、待ってよ。今出ちゃったら……」





119: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:45:08.69 ID:PUmdftm80

P「フー……。格好つけちゃったけど、やっぱ怖ぇなあ。それにあのバット、俺を殴ったやつじゃねぇのか?」

            グオオオオオン             ブオオオオン

P「でも、あぁやってエンジン吹かして脅してるってことは、まだ交渉の余地があるってことだよな」

P「……よしっ」 ゴクリッ

P「おーい! そこのあんた! あんたが欲しいのはこれだろ? 校長室の金庫の中にあった紙切れ!」

P「目的のこれはやる。だから俺たちを見逃してくれないかー?」

?『……』   ブオン  ブオォォン

P「OK、今からそこへポーチごと置く。ここに置いて離れるから、それから取りに来て――」

                 グオン   ブオオオオオオン!!!

P「!!」


                               バキッ









120: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 16:48:13.25 ID:PUmdftm80

P「ってぇ!」 バッ

?『……』 キキッ    ブオォン...

P(くっ。肩だけで済んだけど、本気で殺しに来たのか? 武器は車脇に置いてきてるし……。こうなりゃ)

?『……』  ブオン   ブオオオオオオ

P「くそっ! またかよ!」 ガバッ

              ブオオン       ドゴッ

P「ぐぅっ……! くっ。ふざけんな! 響には指一本触れさせねぇぞ……!」 ハァハァ    ガシッ

?『……!』 グオン

P「おい! お前の目的がコレじゃないのなら、これは貰ってくぜ! これが欲しかったら俺を追いかけてこいや!」 ダダダッ

?『!!』   グオン  ブオォン         グオオオオオオオォォォォ....

P「こっちだ……。こっち。少しでも遠くへ行けば、響の逃げる時間も……」


         ....ォォォォォォオオオオオオオ
                                 ドコッ








123: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:08:16.46 ID:PUmdftm80

P(痛ぇ……。クソッ。バイクにバットとか卑怯だろ) ハァ...ハァ...

?『……』 ブオォ...

P(響、逃げられたかな……。そうじゃなくても、俺だけで満足してくれたら嬉しいな……) フゥ... フゥ...

?『……』 ブオォォォ...

P(あ、ダメだ、倒れる。這ってでも動きたいけど、足殴られたせいで動かねーや) フゥ

?『……』 ブオォォ... キッ

P(格好なんてつけるもんじゃないな……。でも誰かを護るために死ぬって悪くない最期かもしれんなー)

?『……』   カツ... コツ...

P(アドレナリン出てるんだろうなぁ……。痛みも死ぬ怖さもあんまり感じねぇや)

?『……』 コツッ...

P(でも響の前で醜態さらすよりかマシか。でも、これで終わりかぁ……) フー...

?『……』 ブオンッ

P(ごめん。響、どうか元気でな)





125: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:19:53.47 ID:PUmdftm80

??「やあああああああああああああっ!」 ガサッ    ブンッ

?『!!』 サッ

P「あ……?」

響「ぷ、ぷろでゅーざーから、は、離れろおおぉぉっ!」 ポロポロ

P「おまっ……! 何してんだ、殺されるぞ! 早く逃げろ!」 グッ...

響「や、やだっ! ぷ、ぷろでゅーざーは殺させな゙いぞ! ぜったい、ぜったいっ……!」 グスッ   ヒッグ

?『……』 ジーッ

響「絶対どかな、いぞ! ここは絶、たいに……ヒック……どかないからな!!」 ポロポロ

P「響、俺はいい! いいからここの裏手から森へ逃げろ! 森ならバイクは使えないから逃げ切れるかもしれん! 早く!」

響「やっ! やっ!!」 エグ エグ...

P「くそっ……! おいお前、響に触れるんじゃねぇぞ! 指一本でも触れやがったら絶対にお前を殺してやるからな!」

?『……』 ジーッ





126: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:22:28.93 ID:PUmdftm80

?『……』

?『……』 カツッ コツッ    ガシッ

?『……』 クルッ

?『……』  ォン... ブオォォォン!!

P「くっそ……」 ズリ...ズリ...

響「……ッ! ……ッ!」 ポロポロ

?『…………』 グオン ブオオオオオオォォォォォ....


                                オオオォォォォォォ.....


P「え……? に、逃げた? いや、助かったのか?」 キョトン

響「……ぅっ……ぅうっ……!」 ヘナ

P「そ、そうだ! 響。お前大丈夫か! どこか怪我は……痛ッ!」 ズキ

響「……ぅぇええええんっ」 ポロポロ

P「怪我はないみたい、か……。おい、響。お前何でこっちに! 約束したろ!」

響「だっでぷろ、でゅーざーが……ッ……ぷろでゅーざー、が、殴、なぐられで、こ、殺されちゃうっで」 ボロボロ

響「ぶろでゅーざーのばがぁああぁぁぁっ! 何であん、な。あんなごとじたんのざー!」 ボロボロ

P「何故ってお前……」





127: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:26:40.02 ID:PUmdftm80

響「ぜっだい! ぜっだい独りにしないっで、言ったのにっ……ッグ……約束したのにっ」

P「それは……悪かったけど、でも――」

響「でもじゃないっ!!!」 グスッ

P「……」

響「も゙うっ……二度とあんなごと、しないで。しないでよぅっ……! じゃないど、自分、壊れ、て……」 ヒック

P「響……」

響「う、うぅぅぅ……」 エグッ

P「あー……。そうだよな。お前はとっても優しい子だもんな……。耐えられるわけ、なかったよな」 ポン...

響「ヒック……ぷ、プロデューサァァァァァァァッ!」 ガバッ ビエーン

P「よしよし。もう大丈夫だから、もう……」 ナデナデ

――――…………

――……

―…







128: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:30:08.62 ID:PUmdftm80

- 数週間後 病院 -

響「プロデューサー! 元気かー? お、美希と伊織とも来てたのか」

美希「あ、響なの。ハニー今寝てるの。静かにしてね」

伊織「ま、話によれば少しは頑張ってきたっていうし? 少しは労いを込めてね」

美希「流石ハニーなの。王子様ってやっぱハニーみたいな人のことを言うんだね」 ツンツン

伊織「通信空手の頼りない王子様だけどね。ていうかアンタ、そんなツンツンしてたらこいつ起きちゃうんじゃ……」

P「ん……んん?」 ムクッ

美希「あ、起きたの。おはよーハニー」

伊織「ほら言わんこっちゃないじゃない……」 ハァ...

P「お、おうなんだお前ら。また来たのか。仕事はどうした?」

美希「今日はフリーなの。学校終わったから真っ先に飛んで来たの」

伊織「私は当番で。……この光景見てると、あまりいらないんじゃないかって思ったけどね」

響「自分はねー……えへへ。仕事あったけど、一発OKで即終わらせてきたぞ! 自分、完璧だからなー」

P「おぉ、そりゃすごい。そんなに調子がいいのか?」

伊織「そうそう。響ったら、なんだか最近妙に要領がいいのよね。何があったのかしら」

P「へぇ、そうなのか。最近聞くぞ、響が頑張ってるって。何か秘訣でもあるのか?」

響「ふふん。別に秘訣なんてないさー! 自分、いつもこれくらい完璧だぞ!」 ヘヘン





129: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:32:28.59 ID:PUmdftm80

P「はっはっは。そうか、完璧か。そうだったな」

響「それで……?」 ワクワク

P「ん? それでって……あぁ。えーっと……響、よくやったな。俺もお前が誇らしいぞ」 ナデナデ

響「えへへー」 テレテレ

美希「あー、ズルーい! ねぇ、ハニー。美希も撫でてほしいなー」 ピョーン

P「ぐえっ」

伊織「……それ、毎回やってるわよね。飽きないのかしら」

P「痛てて……。まぁ別にいいんじゃないか? ま、今は役立たずのプロデューサーからのご褒美代わりってことで」 グリグリ

響「ふふん。羨ましいだろー」 エヘヘ

美希「あーん、ズルいー! ねぇハニー。美希も頑張ったからナデナデしてー」

伊織「……ここまでベッタリだと、もう何も言う気は起きないわ」 ヤレヤレ

響「~♪」





131: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:34:10.05 ID:PUmdftm80

伊織「それじゃあ私たちは帰るわね。響、後のこと頼める?」

響「ん。構わないぞー」

美希「えーっ。美希、まだハニーといるのー」

伊織「律子から頼まれてんのよ。病院でプロデューサーと添い寝したどっかの馬鹿の世話をね!」 グイグイ

美希「あーんなの! ハニー、また来るからねー!」 バイバーイ

伊織「早いとこ傷直して復帰しなさいよー! 仕事溜まってるんだからね!」

P「おう。2人ともありがとなー」


                        バタン...


響「……えへっ。二人きりになれたね」

P「まぁなったからどうという訳じゃないけどな。……もう大丈夫なのか?」

響「うん。時々あの日の夢を見たりするけど、基本的に大丈夫だぞ」

P「そうか……」

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「ん?」





132: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 17:35:50.80 ID:PUmdftm80

響「本当に、よかったのかな。あれで」

P「……もう何かを悔やんでも仕方ないだろ? あれは終わったことだ」

響「だよね……。あれは終わったこと、なんだよね」

P「そうだ。だからもう全て忘れよう。見たことも、怖かったことも、全部」

響「それで、いいんだよね」 ポフ...

P「あぁ。きっと、あの子たちも許してくれるさ」

響「……そうだな。こうしてプロデューサーとまたこうして2人でいられるのなら――」

P「ん……」 ナデ...

響「……ねぇ、プロデューサー」

P「なんだ?」


               チュッ


響「もう、絶対に一人にしないでね。ずっと……ずーっと一緒にいてね」


未解決 End





135:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 17:47:02.67 ID:g9ccHVnFo

さぁ謎解きの時間だ





136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 17:48:11.16 ID:tvfmYNI1o

来るぞ……





137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 17:48:16.89 ID:j+UB1f/Zo

君も犯人が誰か推理してみよう!





146: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:27:35.82 ID:PUmdftm80

以下 廃村を駆けて





147: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:29:07.24 ID:PUmdftm80

~5週目~

- 玄関 -



――……

――――…………

P「――だから多分あそこの小窓からじゃないんだろう。考えるにしても、別の場所を考えよう」

響「ん……分かったぞ。って、あれ? 朝陽?」

P「ん? ……違うな。窓かなんかに月の光が反射しただけなんだろ」

響「そ、そうか……。もう朝が来たのかと思ったぞ」

P「……いっそどこか安全な場所に隠れてようか? 多分夜が明けるまでそう時間はかからないぞ?」

響「ううん。まだ終わらないのなら、ここで昔あった何かを見つけていたいぞ」

P「そうか……、まぁ、わかったよ」


行動安価 → 破られた新聞を調べる





148: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:29:46.35 ID:PUmdftm80

響「とりあえず新聞、これをもう少し調べてみたいぞ」

P「まぁ、ここまで来てるんだからそうするしかないわな。……しかしこれは――」 ジーッ

響「どうかしたのか?」

P「いや……。お前の話によれば、ここにあった新聞は『がっこうだより』らしいが……」

P「名前からして学校が発行した壁新聞かと思ったが、生徒が発行してたみらいだな」

響「え? そうなのか?」

P「ん。ほら、古いほうの新聞……。著者が書いてあるが、その上に顧問の名前も書いてあるだろ?」

P「その部分だけに『先生』っていう敬称がついてるんだよ。でも著者の部分には普通に名前だけだ」

響「あ、本当だ。顧問の部分だけに『××先生』って書いてある。肝心の部分は擦れて読めないけど」

P「多分、部か何かとして成立してたんだろうな。ま、それは今はどうでもいいことかもしれないが」

響「んー……」


行動安価 → 破られた9月号を探す





149: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:30:19.17 ID:PUmdftm80

響「とりあえず、今は探索だぞ。破られた壁新聞を探してみるさ」

P「だな。壁に貼るくらい大きな紙だ。持ち歩くこともあるまいし、どこかにゴミみたいに捨ててあるだろうし」

響「んー……」 ゴソゴソ

P「靴箱はまだ多く残ってるし、死角は沢山あるからなぁ。えーっと、どこにあるんだろ……」 ガサガサ

響「まさか靴箱の中に入れてあるとかないよね」 カサカサ

P「……もしそうなら見つけるまでに夜が明けそうだな」 ガチャ

響「だね。……あれ、あそこに――?」

P「お? 何か見つけたか」

響「う、うん。えっとなんか靴箱の隅の方に丸めた紙みたいなのが落ちてて――どれどれ?」 ガサガサ

P「んー……なになに? 『がっこうだより 89年 9月号』……。おぉ、ビンゴじゃないか! しかし本当に9月号とは――」

響「ほらなー! やっぱ自分の言ったとおりだっただろー?」 エヘン

P「あぁ。……この新聞も古いみたいだけど、使用してる紙が違うのかな。あまりボロボロじゃないな」

響「紙質が違うのかー……。ここじゃない場所で印刷したのかな?」

P「さぁなー。とりあえず今は記事を読んでみよう」





150: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:31:17.00 ID:PUmdftm80

『がっこうだより 89年 9月号』

『みなさん、お久しぶりです。この学校が廃校になってから、もう半年が過ぎようとしていますね』

『樋村先生が自首してから、あっという間の廃校だったので、あまり実感が沸かない生徒も多くいるでしょう』

『皆さんも、新天地で学校生活を満喫してくれていると嬉しいのですが』

『さて、前置きはこのくらいにして、ここにきた皆さんにお知らせしたいことがあります』

『こんな閉校して半年たった廃校にわざわざ足を運ぶ人がいるとすれば、それは恐らく同窓会の方々、工事関係者』

『或いは、橋本先生、忍足校長。そのいずれかではないでしょうか?』

『もし前者の方々なら、何も言うことはありません。どうかこの新聞を見て懐古に耽るのもよろしいでしょう』

『しかしこれを見ている人が教頭先生、校長先生なら、ひとつメッセージがあります』

『25年です。25年後、私は力をつけて戻ってきます。ちょうど、同窓会が開かれるその日に』

『今じゃとても誰も信じてくれないかもしれないけど、力を持って戻ってきます』

『この廃校という名の金庫に仕舞った全ての証拠を取りにここへ戻ってきます』

『それまではこの記事は、ただの戯言にしかすぎないでしょう。でもいつか、この言葉は真実に変わります』

『以上がメッセージとなります。それでは、廃村の中で、また会いましょう』





151: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:31:54.92 ID:PUmdftm80

P「……結構はっきりと読めたな。――しかし、この字どこかで」

響「でも、この記事ってやっぱ……あれなのか? 校長や教頭へ向けての――」

P「宣戦布告、みたいなものか? まぁ記事を見るに、著者はここの元生徒か」

響「『力をつける』、『今はまだ信じてくれない』っていうのは、やっぱ権力とかなのかな?」

P「だろうな。廃校になったとはいえ、事件を揉み消すほどの力が学校側にはまだ残っていたってことじゃないかな」

響「なら罪の告発は確実に揉み消せないくらいの力をつけてから……ってことか?」

P「だろうな。恐らくここに『がっこうだより』の名で3月号の上から貼り付けていたのも――」

P「即ばれないようにするためのカモフラージュか何かだろう。それで今までバレずに済んだのかもしれないな」

P「だが、これがつい先ほど破られていた、ということは――」

響「……校長か教頭。事件の関係者が来てる? もしかして樋村?」

P「だから樋村はありえんと言ったろ。それに仮に樋村がここへ来たとしてもだ」

P「記事によれば彼は自首をしている。悔やんでるのかは別として、今更罪の告発なんて怖くもないだろう」

響「そう、なのか……」 ウーン

P「しかし樋村は自首、か……。これはちょっと以外だな。どういうことだ?」 ブツブツ


行動安価 → 中庭へ





152: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:32:26.03 ID:PUmdftm80

響「プロデューサー、また考え込んでるぞ……」

P「ん? あぁ、悪い悪い。とりあえず今は動くべきだったな」

響「だぞ。ここは死角も多いし、とりあえず外に――」

P「いや。行くならちょっと中庭の方に出よう。この記事が本当なら――」 スタスタ

響「ん? 中庭へ? 別にいいけど……何かあるのか?」 テクテク

P「いや、ちょっとした確認と外の空気を吸いにな」





153: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:33:11.19 ID:PUmdftm80

- 中庭 -

P「あった。これは――……」 ゴソゴソ

響「ん。プロデューサーどうかしたのか?」

P「いや、な。あの『金庫』の文字を見てちょっとな。あの慰霊碑の下の箱が証拠を守る金庫の一つかと思って」

響「そうなのか。で、どうだったんだ?」

P「んー。半々ってとこか。あの後誰かが箱を動かした形跡がある。中を取られたのを見たのかも」

響「えっ? そ、それってマズくないか?」

P「さて、なぁ。でもあの記事を見るに、壁新聞の筆者は罪の告発さえできればいいみたいだ。むしろ恐れてるのは――」

響「証拠の紛失……?」

P「と、他の誰かが『間違った形での解決してしまうこと』だな。じゃないと証拠が揃っても敵に逃げ道を作ってしまう」

響「敵……? あぁ、教頭と校長か。それじゃあこの学校にいるオバケの正体って」

P「あの新聞の筆者と、後はその証拠を抹消したい誰か、かなぁ」

響「……」

P「当然確定事項じゃないが……。さて、どうしようかねぇ」


行動安価 → タイルを調べる





154: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:33:47.98 ID:PUmdftm80

響「そういえば、ここでミキサー事件が起こった……らしいんだよね」

P「推測にすぎないが、まぁここで合ってるだろ。多分慰霊碑のあたりが事件の現場かね」

響「うーん……。そうか」 カチャカチャ

P「? 何してるんだ?」

響「いや。何かないかなーって……」

P「うーん……。雨風が吹く場所だし、何かあるとは思わないな。実際、何かあったのか?」

響「ない、かなぁ……。たしかにちょっと黒ずんでる部分はあるけど、草と暗さでよく分からないぞ」

P「まぁ、そうだろうなぁ」


行動安価 → 文字の照合





155: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:34:25.16 ID:PUmdftm80

響「そうだ。さっきプロデューサー、あの新聞の文字をどこかで見たことあるって言ってたよね」

P「え? あ、あぁ。でもどこだったかなーって思ってな……」

響「どうせだから手持ちの資料から探してみるか? ほら、ちょうど月も満月で明るいしさ」

P「ん、それもそうだな。えーっと、確か……」 ゴソゴソ

響「パソコン……というよりタイプライターとかワープロっぽいので作成したっぽい資料は除外だなー」

P「ん。あと残るのは置き書きとかそういう類の――おっ!」 ガサッ

響「あったのか?」

P「この文字の癖……やっぱり。確証はないが、ほぼ間違いないと思う。あの筆者はこれを書いた人物と同一かもしれん」

響「『タイムカプセルは絶対に暴きます。ですから、どうか今の内に自首してください』? これってあの脅迫状?」

P「だな。しかしそうなると……やっぱカギとなるのは『タイムカプセル』か」

響「あぁ、そういえば暴くって書いてあるし……。決定的な証拠がタイムカプセル内に?」

P「あるのかも、しれないな」


行動安価 → 中庭をよく調べる





156: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:35:04.53 ID:PUmdftm80

響「うーん……。とりあえずタイムカプセルを探さないとな」

P「だが……こんな広い敷地なんて、どこを探せばいいのかサッパリ見当もつかんぞ?」

響「うーん。まぁ、確かにそうだけど……。とりあえずこの中庭を調べてみるぞ」

P「ここを? タイルを剥がしつつ掘っていくのか?」

響「いや、そこまでは……。とりあえず、もう来なくてもいいくらいに見落としがもうないようにザッと探すんだぞ」

P「あ、あぁ……。しかし広いな……」 ガサガサ

響「何か見つからないかなー……」 カチャカチャ

P「んー……」 ガサガサ

響「……」 キョロキョロ

P「……」 ガサガサ

響「……」 ゴソゴソ

P「……なにも見当たらないな」

響「うん……」


行動安価 → 飼育小屋へ





158: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:36:45.28 ID:PUmdftm80

響「うん……。あれ? あそこにいるのって――」 ギクッ

P「ん? 誰かいるのか――って、またあの変質者……ずいぶん遠くにいるな。体育館に入っていったが……」 サッ

響「遠くからだったらか気付かなかったみたいだけど……。うぅ、やっぱまだ校舎を徘徊してたんだ」

P「体育館周辺を執拗に徘徊してるな……。何かあるのか?」

響「そ、そんなことより早く」 グイグイ

P「あ? あぁ。確かに遠くに見えても危険だな。逆方向へ一時避難していようか」

響「うん。と、とりあえずあいつがあっちにいるのなら今の内に校庭に行くぞ!」 コソコソ

P「校庭? そこでタイムカプセルをまた探すのか?」

響「そうしたいけど今は手がかりがないし――とりあえず飼育小屋を見てみたいぞ」

P「飼育小屋……あぁ。俺が閉じ込められていた場所か。確かに何も調べてなかったな」

響「あんな暗い場所、調べるなら危険の少ない今の内だぞ!」 タタタッ...





159: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:37:19.68 ID:PUmdftm80

- 飼育小屋 -

響「ここかー……。改めてみると、本当に中が真っ暗で不気味だぞ……」

P「俺も懐中電灯取り上げられてたしな。中をよく調べる暇はなかった」

響「中をって……。あれ? この中って物凄く狭いんじゃあ」

P「いや? 確かに天井は低かったけど、スペースはそれなりにあったぞ?」

響「えっ? スペースはそれなりにあった……、記事が間違っていたのか?」 キョトン

P「記事……。あぁ、あの学級オカルトとかいうやつか。おかしいな。検証しなかったのか?」

響「わかんない……。とりあえず、自分、中を調べてくるぞ。流石に2人は入らないもんな」

P「おう、頼む。ふふふ、外の警戒は俺に任せろ!」 ドン

響「……大丈夫かなー……。ちょっと不安になってきたぞ」 ゴソゴソ





160: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:38:01.69 ID:PUmdftm80

- 隠し飼育小屋 内部 -

響「うわっ……。砂埃が酷いぞ」 ケホケホッ

響「うぅーん。確かに思ったよりは狭くないぞ。ちょうど2、3畳くらいのスペースがある」

響「肝心の内装は……。お? 思ってたより整頓されてるぞ……」

響「あれ? これって、生徒用の机と椅子? すごいな、なんでこんな場所に……」 ゴソゴソ

響「? なんだこれ。ちょっと血が付いてる? 1ページだけだけど、メモというより手記っぽいなぁ」

響「他は――ん? あそこから光が漏れてる」

響「どれどれ……。お? ここから外の様子が見れるようになってるのかー」

響「まるで隠れ家、秘密基地みたいだぞー。面白いなー」 キャッキャ

P「おーい響。まだかー」

響「あ、プロデューサーの声だ。ちょっと中途半端だけど……今出るぞー!」 ゴソゴソ





161: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:38:46.71 ID:PUmdftm80

響「ぶはっ。うー、空気がおいしいぞー」 ケホッ

P「おう、それでどうだった? 中は」

響「真っ暗だったけど、確かにそれなりに大きかったかも……。中は木の枠組みっぽいのがいろいろあったかな」

P「枠組み……。ふぅん、坑道を掘った応用で空間を確保、拡張してたのかな? ……まぁいいや。成果は?」

響「ん。このメモと……。後はちょっと外の様子が覗ける感じの覗き穴がひとつあったくらいかな」

P「ここにもメモがあったのか? ……この構造じゃ、中は暗かったろうに、明かりでも持ち込めたのかな?」

響「でも血が付いてるし、結構重要なメモなのかも」

P「ん……。ま、まぁとりあえず中はそれほど危険がなさそうなら、それでいいや。今は」


行動安価 → メモを確認





162: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 18:39:14.25 ID:PUmdftm80

響「とりあえずメモの確認だぞ」

P「そうだな。忘れないうちに確認だけでもしておくか」 ガサッ

響「……ずいぶんとギッシリと書かれているんだな」

P「血が付いてるけど、思いのほか風化はしれないな。それでも穴埋めにはなるが……なになに?」


『先×ごめん。××ちゃった。雄太が×スして校長の×から出るとき、他の村の人に見××った×だって』

『な×でも流した×の顔を覚え×る××いた×たいで、村××で大騒×にな×ちゃっ×』

『急い×寮×で逃げ××としたけど、学×××の先生×見つ×って、××ッ×で殴ら×て、今×げてる。痛××』

『私×ち生きて×のバレ×ゃった。せ××く先生が私×ちの×体を作っ×く×たの×、全×無駄になっちゃっ×』

『外×怒×り声が聞×える。怖くて××から出ら×ない。さっ×覗×穴から優×ゃんが頭×潰さ×たのが×えたの』

『×、何人生き残××るのか×からな×けど、怖××。×××無×でいる×かな』

『夜×来た。けど××先生と×があたりをウロ×ロしてる。私を探し×るのかな』

『先生、×すけて』


響「これって――」

P「……」





164: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:08:29.07 ID:PUmdftm80

P「……生きているのがバレた、か。先生に助けを求める手記か?」

響「メモの様子からして、学校が大々的に動いてる感じがするぞ。秘密裏なことじゃなかったのか?」

P「ここまで学校が隠蔽工作もせず、殺しに動く事件。そして生きているのがバレたという記述……。これは――」

響「もしかして――9番目の悲劇の、ゾンビ事件の?」

P「だろうな。そして――いろいろと分かってきたな。過去の真相」

響「えっ? プロデューサー、もう何かわかってきたのか?」

P「あと少し、考える時間さえもらえれば……な。大筋は見えてきた。後はディテールだけだな」 ウムム...

響「自分もいろいろと分かってはきているけど……。うぅん」

P「だがこの1枚は大きい。結構これでひっくり返った事も出てきたしな」

響「ひっくり返ったこと?」

P「いずれ話すよ」


行動安価 → 2枚目の紙の指示通り動けばどうなるか考える





165: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:09:47.22 ID:PUmdftm80

響「ところでさ、プロデューサー。……体育館で見つけたメモ、覚えてる?」

P「? あぁ。一応覚えてはいるが――あぁ、もしかしてそこにあったって言う覗き穴か?」

響「うん。それを考えたら、どこに行き着くのかなって」

P「……俺も考えてはいたんだよ。でもどう考えても途中でそこからは見えなくなる」

響「メモも見えなくなるって書いてあるぞ?」

P「そうなんだが……こう、もっと手前で、だ。見えなくなるはずではあるんだが――」

響「もし、見えてたとすれば、どこに行き着くの?」

P「……まず、仮にここがスタート地点だとする。この飼育小屋だ」

P「左に行ってまっすぐ。これで教員舎の前まで行き着くな」

P「そして右へ行って、即左に曲がる。……玄関に入ることになるか」

P「そしてひたすらまっすぐ。まっすぐ突き進めば、渡り廊下を越え、中庭を過ぎ、行き着く先は――」

響「……体育館?」

P「か、その周辺。なにしろ仮定からして不確定だし、合ってる保障はないけどな」


行動安価 → 最初の紙についても同じく考える





166: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:10:42.38 ID:PUmdftm80

響「ちなみにこっちの方のメモは……?」

P「? そっちはもう解決したろ。校長室のメモだって。実際金庫あったし」

響「ね、念のため!」

P「んー……。大雑把でいいなら、ここからまっすぐ行って右。そしてまっすぐ。これで学校を離れるな」

P「そして左。そのまままっすぐ行って、また左。これを学校のフェンスをぐるりと回る風だと考えれば――」

P「学校外の、あそこにある生い茂ってる場所あたりになるか。ちょうど寮への道の西になるな」

響「ふぅん……あそこが――」

P「まぁ、学校外に埋めるタイムカプセルもなくはないとは思うが――あまり考えてはいないな」

響「ん。ありがと。いろいろ参考になったぞ」


行動安価 → もう一度寮へ





167: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:11:08.29 ID:PUmdftm80

響「じゃあ……。次は寮へ行ってみるぞ」

P「寮、か。まぁ寮母の部屋しか調べなかったからなぁ」

響「あそこ結構安全だったし、探索ついでにいろいろ考えられるかもしれないし」

P「……それもそうだな。見落としが無いように、ちょっくら行ってみるか」 スタスタ

響「うん。何か見つけることができればいいんだけどな……」 トコトコ





168: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:11:40.04 ID:PUmdftm80

- 寮 -

P「ついたな……。さっきは気付かなかったけど、結構敷地も広いのな」

響「建物もしっかりしてるのかな。3階はありそうだけど、上の階にはいけそうにもないな」

P「学校と違って生活の場だったからな。家具とか置きっぱなしなのもあるだろうし、荒れに荒れてる」

響「家具を置いていくなんて、昔の人は結構リッチだったんだなー」

P「別にそれくらいは今でも普通にあるよ。それにリッチなのは学校であって親は――ん?」

響「? どうかしたのか?」

P「金持ち……。そういえば80年代の中ごろって……」 ブツブツ

響「おーい。また考え事なのか? いい加減にその癖やめるんだぞ!」 ペチペチ

P「ん? あ、あぁ……。すまん。じゃあとりあえず何をしようか」


行動安価 → 部屋を見る





169: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:12:17.48 ID:PUmdftm80

響「とりあえず中に入ってみるんだぞ。それから探索だ!」

P「探索……って、どこをだ?」

響「えっ? ……子供部屋全部、とか?」

P「それは流石に……。それに階段とか通路が使えるかはまだ分からないんだぞ」

響「うー……。そ、その時はそのときだぞ。考えるより行動だぞっ!」 グッ

P「まぁ、わかったよ。何も無いと決まったわけじゃないし、いろいろ見ていかないとな」

響「そゆことだぞ。せめて取りこぼしがないようにしないと」

P「だな。じゃ行くか!」 スッ

響「うん!」 スッ

P「……」

響「……」

P「……」

響「……」 モジモジ

P「……俺から行くから、さっきみたいに足元照らしててくれ」 ガタッ

響「わかったぞ」 カチッ





170: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:13:37.20 ID:PUmdftm80

- 寮 内部 -

P「ここが最後の部屋か――っと。……この部屋もズタボロだなぁ」 ガチャッ

響「絵本、ぬいぐるみ、コップ……。あまり関係なさそうな小物くらいしか見つからないぞ」

P「まぁ、1階は位置的に1、2年生が使用してたっぽいしなぁ。流石に手がかりになるメモが見つかりそうにないな」

響「だな……。あ、絵日記だ――けど、うわぁ。雨で濡れたのがぐちょぐちょだぞ」

P「内容も見て取れなくも無い……と、思ったがやっぱ低学年の字か。まったくわからん」

響「絵日記事態も平凡なのしかないなー。特に変なことは書かれてないし」

P「じゃあこの部屋もなにも収穫なし、か。うーん、子供部屋は見て回ったけど、特に何も無かったなぁ」

響「トイレとか倉庫とか子供部屋じゃないっぽい他の部屋もあったけど、そこはいいの?」

P「さてなぁ。今の探索でだいぶ時間を食ったし、探す探さないは響にまかせるよ」

響「うーん……」

行動安価 → 倉庫へ





171: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:14:21.18 ID:PUmdftm80

響「それじゃあ……倉庫に行ってみるぞ!」

P「倉庫ならすぐそこだな。ほら、ちょっと扉が歪んでる部屋」

響「あそこかー。扉が歪んでるのなら……開くのかな?」

P「さてな。まぁ木製のドアだし、いざとなればブチ破ればいいさ」

響「考えが野蛮だぞー」

P「体育館のドアを体当たりで破ったとかいうアホが何を言ってるんだ」 グリグリ

響「うぎゃーっ! ご、ごめんだぞー!」

P「っと、ここだここ。ちゃんと開くのかねぇ」  ガチャ    ギィィィッ

響「おっ! ちゃんと開いたみたいだぞ。中は――」 ピョコッ

P「空っぽの棚と机と椅子と――あとはシーツとか雑誌とかゴミばっかだな。まぁ、安定して特に何もなかった」

響「少しくらい引越しのときに処分しててほしかったぞー……」

P「まぁ、ここを探してもいいけど、探すなら別の部屋が見たいな」

響「他の部屋って何があったっけ。プロデューサーわかる?」

P「表札も無かったから詳しくは言えんが――。恐らく風呂場、炊事場、食堂、ホールみたいな場所はあるな」


行動安価 → 食堂へ





172: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:15:46.32 ID:PUmdftm80

響「んじゃあとりあえず食堂に行くぞー」

P「ん? まぁ別にいいけど……。何かあると踏んだのか?」

響「いや、他に行く場所ないから消去法で……」

P「……まぁ、そうだよな。ちょっと食堂を覗いてみるか」

響「ところで、寮内には鍵はかかってないんだな」

P「一応簡易的な鍵はあるけど、誰かがイタズラで持ち出したら一気に使用不可能になるからな。つけてないんだろ」

響「そんなものなのかー……。で、食堂どこなんだ?」

P「多分ここ。隣に炊事場っぽい部屋が見えるから、その隣ってことで食堂かと思ったが――」

響「それならまぁ、食堂なんじゃないのかな。じゃ、入ってみるぞー」 ガラガラ

P「ガラス片とか踏まないように気をつけろよー」





173: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:16:33.63 ID:PUmdftm80

- 食堂 -

P「……ぐっちゃぐちゃだな」

響「だぞ。かなり荒れてるみたいだけど……あれ?」

P「どうした?」

響「壁、何かいっぱい貼ってある……って、うわぁっ!」 ガタンッ

P「一つ目の……。あぁ、寮母さんの似顔絵か」

響「この絵のタッチ、2-4で見たような絵と同じだ……。やっぱ寮母さんを描いていたんだな。でもなんでこんなに……?」

P「……亡くなったからだろう。校長の手記を読むに、自殺というかバラバラって話だったみたいだし」

響「あぁ、それで……って、じゃあ寮母さんが亡くなってからは誰が寮の管理をしてたんだ?」

P「さあ。村の人かもしれない。が、寮母室の様子を見るに村の人っぽくないんだよなぁ」

響「じゃあ、誰が……?」

P「多分村の外の人を雇ったかしたか、だろうがなぁ。まぁ今はどうでもいいな。何かないか探索してみよう」

響「う、うん。わかったぞ」 ゴソゴソ





174: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:17:27.94 ID:PUmdftm80

P「……」 ガサガサ

響「……」 ゴソゴソ

P「……何があるようでもないな。第一散らかりすぎた」 フゥ...

響「だぞ。89年までここが使われてたとして、それ以降の手がかりがあるとは……」

P「せめて壁新聞がどこで書かれていたのかとか、そういう情報があればいいんだがなぁ」

響「壁新聞……そういえば3月のバックナンバーだけなかったんだっけ」

P「俺の予想では、処分さえされてなければ、どこかに原版があると思うんだが……」

響「まぁ、見つからないよね」

P「うーん。しかしいよいよ手詰まりになってきたか。どうするか……」


行動安価 → ホールへ





175: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:17:58.16 ID:PUmdftm80

響「お?」 カチャ

P「どうした。何か見つけたか?」

響「ううん。でもこの扉から、なんか広いところに出られるみたいだぞ」 キィ...

P「広い場所……。あぁ、多目的ホールっぽい場所に出たな。繋がってたのか」

響「ここはあんまり荒れてないぞ。ん? これは――幕が垂れてる?」

P「なになに? 『××小学校 お×かれ会』……。あぁ、ここでおわかれ会をしたってか」

響「でも、それだけだな。他にはあまり目ぼしいものは無いかも」

P「だな。うーん……他に何か探すべき場所はあったかな……」


行動安価 → 印刷室へ





176: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:18:46.90 ID:PUmdftm80

響「……寮にはもう、なにもなさそうだぞ」

P「だな。あー、結局手がかりはなしか。どうするか」

響「そうだなー。じゃあもう一度、学校へ戻って印刷室へ行ってみるぞ」

P「印刷室なぁ。そういえば俺は印刷室は何も探してなかったな。響だけか、探索したの」

響「う、うん。一応探しあげたつもりだけど、もし他に何か見落としてたら大変だし、とりあえずそっちに……」

P「了解。俺も、ある程度考えがまとまったし、いいぞ。探すものもわかってる」

響「えっ? いつの間に考え事を?」

P「ここを探索中に、な。まぁ余裕があるときにでも話すよ。じゃあ行くか」 スタスタ

響「あ、待ってほしいぞー」 トテトテ





177: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:19:36.38 ID:PUmdftm80

- 印刷室前 廊下-

P「……っと、割と早くついたな。荒れた道もなんのそのってか」 フゥ...

響「やっぱぐちゃぐちゃに荒れてるぞ……。ここで何か見つかればいいんだけど」

P「記事だらけってことは情報の宝庫だからな。3月のバックナンバーは見つからないだろうが、何かあるかも知れん」

響「えっ? 見つからないって分かってるのか?」

P「? そりゃあそうだろう。印刷室つったら学校側の管轄だ。見られたらマズい記事なんてあるわけないじゃないか」

響「そ、それもそうだけど……。じゃあ原版はどこに」

P「処分されてなきゃあ……そうだな。生徒側が持っていった可能性もあるかもしれんな」

P「何せ最後の記事だ。記念に持ち帰るくらいしたかもしれん」

P「或いは記事を書いた部室……みたいな場所があればそこに保管されているのかもしれん」

P「ま、肝心のその場所がわかんないんだけどな。じゃ、探すか」

響「あ、ちょっと待ってほしいぞ」

P「? どうしてだ」

響「ここに原版がある可能性が低いのなら……。うーん、どうしよう」


行動安価 → プールへ





178: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:20:06.28 ID:PUmdftm80

響「じゃあ……とりあえずプールに」

P「またプールか。好きなのか? プール」

響「いや、そういう訳じゃないけど……」

P「……まぁ、響にも何か考えがあるってことだろうしな。行ってみるか」 スタスタ

響「そうだぞ。……あ、でもあの変な人影、大丈夫かな……」

P「んー……。まぁ心配ではあるけれど、多分大丈夫だろ。視界も広いし、月も明るいし」 スタスタ

響「何かあればいいんだけどなー……」 テクテク





179: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:20:42.66 ID:PUmdftm80

- プール -

P「来たな、プール」

響「うん」

P「何も無いな、プール」

響「うん」

P「……」

響「……」


行動安価 → 音楽室へ





180: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:21:32.41 ID:PUmdftm80

響「そうだ、音楽室へ行こう」

P「ん?」

響「音楽室だぞ。確かまだ中には入ってなかったし、もしかしたら何か資料があるかも」

P「……プールは?」

響「? プロデューサー、プールで何か調べたいことでもあるのか?」

P「……」 ガシッ

響「え? うわっ。ちょっ……」

P「誰の指示でここに来たと思ってるんでしょうかねー」 ムニムニムニムニムニムニ

響「ふひゃっ! ふぉ、ふぉっぺはふにふにふるのやめよー!」 バタバタ

P「やめない。音楽室に行くまで、ずーっとこのままだ」 ムニムニムニムニ

響「ふひゃー」 パタパタ





181: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:28:07.88 ID:PUmdftm80

- 音楽室前 廊下-

P「ここが音楽室か。鍵は――おっ。また一発目でビンゴだ」 ガチャリ

響「うぅ……。ほっぺたがふにゃふにゃして痛いぞー……」 クスン

P「自業自得だ。さて、中には何があるかなーっと」 ガラララ

響「……なにもないね」

P「だな。見事に防音壁は健在……ん?」

響「? どうかしたのか?」

P「いや、あそこに毛布で包まれた何かが置いてあるの。見えるか?」

響「えっ? ……あ、本当だ。コードみたいなのがついてるけど……。なんだろうね」

P「見てみないと分からないな。どれどれ?」 グイッ     バサッ

響「……? なんだこれ。ちっちゃいけど、何かの機械? すごく新しいぞ」

P「あー、これって……。なるほどなぁ」

響「? 何がなるほどなんだ?」

P「これ発電機だよ。ジェネレータ。多分ここで車のガソリンを使って、放送用の電気を確保したんだ」

響「あ、発電機……。確かにここは放送室のちょうど上らへんだぞ。と言うことは……」

P「ん。まぁ響がここで体験した殆どは人為的なことだとほぼ確定していいってことだな」


行動安価 → 図工室探索





182: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:28:48.33 ID:PUmdftm80

響「じゃあ次は図工室行くぞー」

P「なんか適当になってないか?」

響「そういう訳じゃないけれど……。まだ言ってない場所、調べなきゃなんともならないんだし」

P「まぁ、それは確かにそうかもしれないが……。図工室に何を探しに行くんだ?」

響「え? 原版を探しにいくに決まってるさー」

P「……言っとくけど、俺の言う原版ってのは、本当の板の原版じゃないぞ?」

響「えっ?」

P「印刷の元になった紙のことだぞ?」

響「そ、そうなのか。でも図工室に無いと決まったわけでもないし、行ってみるんだぞー」

P「何か見つかればいいけど、何かあるかなぁ」





183: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:31:17.68 ID:PUmdftm80

-図工室-

響「相変わらず中は滅茶苦茶みたいだぞー……」 ガチャガチャ

P「そりゃあ綺麗になるわけないだろうしな。で、鍵は?」

響「んー。ちょっと待って……。あ、開いたぞ」 ガチャッ

P「おう。それじゃあ中を詳しく見てみるかな」 ガラララ...

響「やっぱぐちゃぐちゃだね。あまり探索はできなさそう」

P「見た感じ中に一つ扉もあるな。準備室とかへ続いてるのかな?」

響「人を模った石膏がなんか月光を受けて、なんだか不気味に見えるぞ……」 ゾゾゾ...

P「だなぁ。暗闇の中だったら、誰か人と勘違いをするかもしれんな」

響「それはないと思うぞー。肌の色だって全然違うし、そもそも胸像だから身体がないじゃないか」

P「ま、それもそうだな。錯乱状態ならいざしらずだしな。さて……」

響「どうしようかな……」


行動安価 → ジェネレーターでPの携帯を充電できないか試す





184: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:31:53.74 ID:PUmdftm80

響「そうだ! 音楽室にあった発電機でプロデューサーの携帯の電池を――」

P「無理」

響「……」 ショボン


行動安価 → 資料室へ





185: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:32:20.57 ID:PUmdftm80

P「……行くあてが思いつかないのか?」

響「うん……」

P「じゃあ、南校舎で見かけた資料室、あそこ行ってみるか」

響「資料室? ……そ、そういえばそんな部屋があったぞ」

P「まぁ、何の資料をまとめた部屋なのか知らないが……。行ってみて損はないだろう」

響「そだな。じゃあ次は資料室に行ってみるぞ!」

P「少し遠いからな。ちょっと用心して先へ進もうか」

響「うん」





186: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:32:50.94 ID:PUmdftm80

-教員舎 2F 階段-

響「うぅ。相変わらず教員舎の移動は怖いぞ……」 ソロソロ

P「大丈夫。慎重に進めば……」 キョロキョロ

                     バタンッ!!   ギュッ... ギュッ... カリカリカリカリ.....

響「!」 ビクッ

P「!!」 サッ

響「ぷ、プロデューサー! 今の音……」 ヒソヒソ

P「……上の階からだ。あの音――もしかして更衣室の隠し部屋に潜んでたのか?」

響「あ、危なかったぞ。よく気付かれないで」

P「いよいよ本当に、耳が悪いらしいな」

                ギュッ... ギュッ... ギュッ...        カラカラカラカラ....

P「……近づいてくるな。おい、響。ちょっと急いで移動するぞ」 スタスタ

響「わ、わかったぞ」 タタタ...





187: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:33:36.02 ID:PUmdftm80

- 南校舎 2F 資料室前 -

響「な、何とか逃げられたぞ。いくら気付いてないからと言っても、心臓に悪いさ」

P「あぁ。とりあえず資料室まで着いたんだ。まず鍵を開けなきゃな……」 ガチャガチャ

響「……ところで、自分思ったんだけどさ」

P「ん? なんだ」 ガチャガチャ

響「あの不審者さん、なんだかずっと3Fの隠し部屋と体育館のどこかを往復してないか?」

P「……確かに今までの動きや見かけた場所を考えると、そう思えなくも無いな。だが単純な往復ではないだろう」

響「どうして?」

P「もし本当にそこを行ったり来たりなだけなら、俺らは何度も教員舎の廊下や隠し部屋で鉢合わせになってるはず」

P「だから仮にあのルートを往復してるだけだとしたら、随分なスローペースだ」

響「……じゃあプロデューサーはどう考えるの?」

P「……往復は合ってるかもしれない。だが、そこだけじゃない」

P「多分、別のどこかにも足を運んでる。そのお陰で滅多にすれ違うことはない……と考えてる。ホラ、開いたぞ」 ガチャリ

響「うーん……」 スタスタ





188: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:35:06.07 ID:PUmdftm80

- 資料室 -

P「どれどれ……。えーっと、風土史? これは社会科の教材か何かか?」

響「小学校に風土史なんて習う機会なんてあったっけ? 覚えてないぞー」

P「それもそうだな。じゃあこれらは単純な資料ってとこか。むぅ……」 ジ-ッ

響「こっちにもいろいろあるけど、つるはしだとかノミだとかカンテラだとかの道具ばっかりだ。鉱山資料館?」

P「ふむふむ」

響「これは……古い写真だな。白黒だぞ」

P「んー……」

響「……プロデューサー。さっきからそれ読んでるけど、どんなことが書かれてるんだ?」

P「まぁ、察しの通り、この土地の歴史みたいなものだよ。結構な裏事情まで書かれてる」





189: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:36:56.64 ID:PUmdftm80

響「内容はどんな感じなんだ?」

P「ん? 全部話してたら面倒だから要約したことだけ話すとだな……」

P「えーっと。ここはかつて鉱山があって、錫、銅、マンガンなどが取れて、そこそこ賑わっていた」

P「が、60年中期を境に状況が悪化。主要鉱石の錫がほとんど取れなくなったらしい」

P「加えて鉱山から出た鉱毒も河川を汚染しはじめてな。随分と子供や女性が被害にあったみたいだ」

P「最初は皆の力で乗り越えようとしたようだが……鉱石資源が尽きはじめてたし、次第に苦しくなっていった」

P「しかし被害はそれだけで留まらず、女性の胎内の子供にまで及び始めた」

P「結果発生したのが、知恵遅れ……というか、な。まぁ今で言う知的な障害だ」

P「それも軽度、といえば聞こえはいいが、ある程度成長しないと分からないような障害だったらしい」

P「食えなくなった鉱夫たちは村を離れる者もいたが、やはりその際ネックになるのは障害持ちの子供の存在だ」

P「それで、まぁ……結構な数の子が間引かれたらしいな」

響「……」





190: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:39:29.49 ID:PUmdftm80

P「そして70年代に入って鉱山を所有する会社がいよいよ見切りをつけ始める」

P「とは言ってもまぁ、時は70年代。お世辞にも企業の対応がいい時代ではなかった」

P「鉱毒被害などを訴え続けても何の保障も降りない会社に村民は激怒。ストを行ったが効果はなし」

P「会社のために身内まで削っていったのに、とさぞや無念だったんだろうな」

P「そしてそのまま鉱山は閉鎖。会社もどこかにドロン。これでこの村は廃村になりました……とはならなかった」

P「……以上だ」

響「え? それだけなのか? 肝心の事柄、どうやって立ち直ったのかを言ってないぞ!」

P「いや。俺もそこが気になって探したんだけど……。どこにも書かれてないんだよな」

響「なんでだろう? 結構、この村の黒い裏事情まで書かれてたのに……」

P「そりゃあ――普通に考えて、歴史として残せないマズい方法をとったんだろう」

P「つまる話、間引きどころじゃない、歴史書にして記すことも憚られる悪どい手法を使った。そんな感じだろ」

響「悪どい手法……」

P「ま、それの記述がどこにもないのなら、想像で当てるしかないわな」


行動安価 → もう少し部屋を調べる





191: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:40:15.11 ID:PUmdftm80

響「うーん……。それでもやっぱまだ諦めきれないぞ。もう少しこの中を探してみたい」

P「そうか? ……まぁ、こんな資料を置いてる部屋だしな。他にも無造作に重要なのが置かれてるかもしれない」

響「ということで、いろいろ探すんだぞー」 ガサガサ

P「他に何かあるのかなぁ……。んー……」 ペラッ

響「……お? 何だろこれ。地図?」 カサッ

P「地図――だって? どれどれ……」 ヒョイッ

響「んー……。変な線ばっかりで、全然意味がわかんないぞー」

P「なんだこれ。随分と子供っぽい図だが――もしかして、生徒のものか?」

響「生徒の手書きの地図? なにそれ」

P「……『坑×への秘×の入り口は××の下』? 旧坑道入り口……。学校内にそんなのあるのか?」

響「あれ、後ろにも何か書かれてるぞ?」

P「なんだって? えーっと……『×順書×た紙な××た。確か×初は左で合っ×たはず……』。なんだこりゃ?」

響「資料ばっか増えていくなー」


行動安価 → 今までのメモと合わせて考える





192: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:41:04.09 ID:PUmdftm80

P「……」 フウム...

響「うーん。このメモ……。プロデューサーはどう思う?」

P「最初は左……。道順……。ん? これってもしかして――」 ガサガサ

響「ど、どうしたんだ。プロデューサー」

P「……」 ガサッ  ペラッ

響「それは……体育館で見つけたメモ?」

P「『ひだりにいってまっすぐ。みぎにいってひだり。まっすぐ。またまっすぐ。みえなくなった』……これか?」

響「えっ?」

P「この地図作成者が無くしたって言ってる道順だよ。もしかしたら、コレかもしれない」

響「えっ? で、でも待ってよ。それじゃあ『ノゾキアナ』って単語はどうなるんだ?」

P「どうもこうもないだろう。『ノゾキアナ』云々書かれたメモは、あくまでこのメモと一緒に見つけただけじゃないか」

P「2つが関係あるとは限らない。それに、覗き穴は校長室のことが濃厚になった今、分けて考えるべきじゃないのか?」

響「それは――……」

P「まぁ、あくまでこの道順を記したメモがこいつで合ってれば、の話だがな」 ペラッ


行動安価 → 図工準備室へ行ってみる





193: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:41:48.70 ID:PUmdftm80

P「しかしいよいよ手詰まりになってきたな。後は僅かな資料だけ探せばって感じだが」

響「……じゃあ、図工室のとこにあった部屋、入ってみる?」

P「ん? 準備室か? ……まぁ別にいいけど。怖いのはあの不審者との鉢合わせだろうな」

響「こ、怖いこと言わないでほしいぞ」

P「まぁ、八方塞だしな。行ってない場所に行くのも悪くはないかもしれん」

響「そうだな。……第一どこに行けばタイムカプセルが見つかるかわかんないぞ」

P「……それのことなんだけどさ。別にタイムカプセルって埋めるだけじゃないよな?」

響「えっ?」

P「いや、なんでもない。さて、とりあえず図工室を目指すか……」 スタスタ

響「う、うん……」 テクテク





194: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:42:25.71 ID:PUmdftm80

- 図工準備室 -

P「……」 キョロキョロ

響「物音とか、しない?」 ドキドキ

P「しない、な。人の気配もないし大丈夫だ。今の内に調べてしまおう」 ガチャガチャ カチャリ

響「……」 ギィィィッ

P「……普通、だな。彫刻やら絵画やらが保管されてる」

響「だね。あとはデッサン用の花瓶とかかな? 特に気になる様なものはないね」

P「まぁ、ここは準備室だしまぁ当然と言えば当然の内装ではあるけども、な」


行動安価 → 保健室へ





195: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:43:02.05 ID:PUmdftm80

- 保健室 -

P「……」 ガラガラ

響「……」 ガラガラ ピシャッ

P「なんとか、誰にも出くわすことなく来れたな……」

響「今、ちょうど外が明るみはじめてるから、結構、外の様子が見えるぞ」

P「どうせならここで奴の顔を拝んでおこうかね」

響「そ、そうだ。相手が普通の人間だと分かれば、もう全然怖くなんか――」

                               ガシャッ!!!

響「ひゃっ」 ビクッ サッ

P「! 噂をすればだ! 体育館から聞こえたが……。しかし一体何の音なんだ?」 サッ

響「ぷ、プロデューサー。誰かこっちに来るよ」 ヒソヒソ

P「奴、だな……。全開はシルエットしか分からなかったが、今度こそどんな面なのかを拝んでやるぜ……」 ヒソヒソ

              ジャランッ....        ュッ... ギュッ... ギュッ...

P(来たな……。老人だとは思うが、一体どんな――) チラッ





196: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:44:43.32 ID:PUmdftm80

          ギュッ...   ギュッ...   ギュッ...          カラカラカラン....

P「!」

響「!!!」 ヒッ

P(な、なんだあれ。何かの被り物か?)

響(牛? 牛みたいな形だけど……。なんだか素材が……)

P(生き物の肉や皮を繋ぎ合わせて作ったのか? ……不気味すぎる。牛のマスクをした男、か?)

               ギュッ... ギュッ... ギュッ... ギュッ...  ュッ...  ッ...

P「遠ざかっていく……。恐らく3階の更衣室に行ったんだろうが……」

響「な、なんだったんだ、あれ。すごく生々しい顔して……ま、まさか本当にオバケ――」

P「そんなわけあるか。服装は普通のジャケットと長ズボンだったし、被り物をした人間に決まってる」

響「で、でもあんなの被る人って……」

P「だな。どこかイカレてる。あまり近づかないほうがいいかもしれない」

P「幸いにして今あいつは体育館を離れたし、これは或いはチャンスかもしれないな」

響「う……」ガタガタ


行動安価 → 更衣室を窓から調べる





197: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:45:27.42 ID:PUmdftm80

P「今の内に体育館へ行こう。できれば更衣室を調べたいが――」 チラッ

響「う……うぅ……」 ブルブル

P「……少し間をおこうか。――そうだな。更衣室の窓、そこから調べてみよう。それなら響も――」

響「……ッ……わ、わかったぞ。こ、怖いけど頑張る。ここまできたんだもん」 ガタガタ

P「よし。じゃあ、行こうか。あいつが上に行ってる今がチャンスだ」

響「ぅ……」 フー フー ブルブル

P「……響。手を、繋ごうか。ちょっと歩きにくいかもしれないけど、今ならいいだろう」 スッ

響「えっ……?」

P「手を繋ごう、って言ってるのさ。怖かったら、俺の強く手を握ればいいから。ちゃんと握り返してあげるから、な?」 スッ

響「……うん……ッ……。あ、ありがとうだぞ、プロデューサー……」 ギュ-ッ





198: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:46:58.33 ID:PUmdftm80

- 体育館 外 更衣室前 -

P「ここ……で、合ってるよな。位置的に」

響「だ、だと思うぞ。窓、意外に沢山合ってまよったけど、多分ここで合ってると思う……」 ギュゥ...

P「じゃあとりあえず中を――ってその前に、響。ここが更衣室の窓であってるか確認してくれるか?」

響「自分が? ……わ、わかったぞ。頑張るぞ……頑張る……」 ギュー

P(握る力が強く……。響にとって、そんなに怖いのか場所なのか。更衣室って)

響「フー……。よしっ……。やぁっ!」 グイッ

P「お、おう。中の様子はどうだ? 何か手がかりになりそうなのが落ちてたりしないか?」

響「フー……。フー……。と、特になにもないぞ。最初自分が入ってきた通りの部屋――あれ?」

P「どうした? 何か見つけたのか?」

響「ち、違う。違うぞ。ここ、自分が入った更衣室じゃないぞ。内装はそっくりだけど、違う!」

P「? ど、どういうことだ? だって更衣室の位置って確かここで」

響「でも違うぞ! さっき、プロデューサーの話を聞いて思い出してたから、はっきり断言できるぞ!」

響「自分の入った更衣室、こんな開き戸じゃなかった! 横にスライドさせるタイプの、そう。引き戸だったぞ!」





199: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:48:02.67 ID:PUmdftm80

以下 廃村に捧ぐ





200: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:49:27.65 ID:PUmdftm80

P「響が一度入った部屋の扉が違う? どれ……」 ゴソッ

響「ロッカーの配置はそっくりだけど……。やっぱり記憶してるのと違うぞ」

P「確かに、ここの部屋は開き戸っぽいな。ドアノブも見えてるし……」 キョロキョロ

響「うん。思いだしてきたぞ。やっぱりここは自分の入ったあの部屋じゃない」

P「むぅ……。じゃあここから見えてる部屋は何処の部屋なんだ?」

響「わかんない……。自分が一人ここを探索してた時は暗くかったし……。気付かなかった部屋なのかな」

P「見落としてた部屋か……。しかし確かに、さっき不審者っぽい奴がこの体育館に入ってきた時」

P「聞こえてきた扉の音は、引き戸の音だった気がする。この部屋の扉じゃあの音は出ないだろうし――」

響「やっぱり自分が入った部屋は別の部屋だったってことなのかな」

P「だろうな。しかしそうなれば――」 キョロキョロ

響「? 何か探すものでもあるのか? プロデューサー」

P「ん。俺の勘が正しければ――んーっと、もしかしてこれかな?」 テクテク





202: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:50:49.32 ID:PUmdftm80

響「……? 排気口がどうかしたのか?」

P「いやこれ。排気口に見えるかもだけど、これはもしかしたら――」 ガチャガチャ ガコン

響「あれ? 換気用のファンが外れたぞ? もしかして壊しちゃったのか?」

P「違うよ。ほら、よく見ればガラスが嵌めてある。明らかに排気口としては機能しない構造だ」

響「えっ? つまり偽物の排気口ってこと? ということは、つまり――」

P「あぁ、隠し窓だ。恐らく隣に並んでる網目状の排気口もどきも同じような光源用の窓だろうな」

響「なんでそんな事を……」

P「さてなぁ。何か隠したかった何かでもあるのかもしれないが――どれ、中はどうなってんのかな?」 ガタ..

響「……」 ヒョコッ

P「んー。ここもロッカーが多いな……。って、お? 入口は引き戸か? ということは――響、どうだ?」

響「うん。きっとここだぞ。そうだ、思いだしてきた。あそこのロッカーから、あの紙や新聞記事を見つけたんだ」

響「そして人が隠れられそうな場所を探しちゃったから、あまり探索せずにそのまま外に出ていっちゃって――」

P「それっきりってとこか……。ふぅむ」


行動安価 → 隠し通路がないか探す





203: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:51:29.80 ID:PUmdftm80

P「しかしこれはチャンスだ。ちょうど奴は教員舎の方、恐らく3階のあの部屋へ行ってる。調べるのなら――」

響「……」 ブルブル

P「あ――。そうか、響はあまり更衣室に近づきたくないんだったな。じゃあ今はここをスルーして――」

響「いや。自分、平気だぞ。だから、この――今見えてる部屋を調べようよ」

P「……いいのか? 怖いんだろう? 朝はもうすぐなんだし、別に無理にここを調べずとも……」

響「あの不審者さんはここをなぜか重点的に見回ってた……。調べてた」

響「ならきっとここに見つけてほしくない何かがある。……勘だけど、そう思うんだぞ。だから――」 ギュッ

響「こ、怖いけど……。プロデューサーが側にいてくれるのなら、我慢できるから。だから――」 ブルブル

P「……わかった。じゃあ、一度体育館の中に入ろう。そこで入口を探してみようか」

響「うん……」 ガタガタ

P(握った手が震えてる……。強がってはいるけど、やはり怖いんだな)





204: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:51:55.12 ID:PUmdftm80

P「じゃあ行くか……ん?」

響「ど、どうかしたのか? プロデューサー」

P「いや、あそこのプール脇にあった慰霊碑か。打ち崩されてる」

響「本当だ……。あいつがやったのかな? 子供を弔った慰霊碑なのに、酷いことをするぞ」

P「さっきの音はこれを崩した音だったのかな。しかしわざわざ崩すなんて……賽の河原の鬼みたいだ」

響「賽の――?」

P「いや、なんでもないよ。さ、あいつが帰ってこないうちにあの部屋がある位置の壁を調べてみよう」 スタスタ

響「う、うん……」 テクテク





205: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:52:52.01 ID:PUmdftm80

- 体育館 -

P「ここら辺だな……。うん、確かに隣には更衣室って書かれたプレートと扉があるな」

響「やっぱ夜明けが近いせいかな。うっすらだけど、懐中電灯なしでも全体が見えるぞ」

P「だな。重点的に壁を探せば、何か見つかるかもしれん。響、最初ここへ来た時のこと、覚えてることはないか?」

響「確かここへ最初に来た時……。懐中電灯の光が当たってた場所に取っ手みたいなのが見えて、それで……」

P「取っ手、取っ手ねぇ……。んー、どれどれ?」 ゴソゴソ

響「……」 キョロキョロ

P「……ん? おっ! ここ、壁の模様に紛れてるけど、よく見れば隙間がある! ここか!」 ガタガタ

響「み、見つけたのか?! 入口を」

P「多分……。後はここをどうやって開けるかだが――ん? 取っ手か? これは」 ガチャ    ガララララ...

響「あ、開いた……。やっぱりここが――」

P「あぁ。さっきの奴が見回っていた本当の場所。そして響が最初に入った部屋、だな」

響「……」 ゴクッ


行動安価 → 警戒しつつ入ってみる





206: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:53:52.62 ID:PUmdftm80

P「ここが隠し部屋……。一体何が――」

響「うぅ……怖くない。怖くない……」 ブルブル

P「あ、響。無理にとは――」 チラッ

響「平気っ。平気だから……!」 ガタガタ

P「……」

響「……」 ブルブル

P「……」 ギュッ

響「!」

P「一緒に、入るか。多分、ここが最後の探索場所になるだろうしな」

響「……うん」 ギュゥッ





207: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:54:34.88 ID:PUmdftm80

- 更衣室? -

P「……確かにロッカーが並べてあるな。しかしやや広いし、床材もコンクリートっぽくて更衣室っぽくないな」

響「確かこのロッカーで、生徒の手記を見つけて……。あ、ここに新聞の切れ端があったんだ」

P「新聞の切れ端……そういえばその新聞の記事って――」

響「最後の悲劇の……あの樋村って名前の先生が人体模型を作ったっていう」

P「最後の事件の記事が……? じゃあ最低でも88年の9月以降の記事。廃坑の半月前の記事がここに?」

P「使用していた生徒がここに置いた? じゃあ何故部屋は隠されていたんだ? それとも――」 ブツブツ

響「ぷ、プロデューサー?」 クイクイ

P「ん、あぁスマン。ちょっと考え事をしてた」


行動安価 → 部屋の気になる場所を探索





208: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:55:35.99 ID:PUmdftm80

P「……とりあえず、調べるか。響が調べられなかった場所を重点的に」

響「うん……。今は少しだけ明るいし、部屋の中を見渡せるから何か発見があるかも」

P「じゃあとりあえずロッカーあたりを重点的に探して――」 ゴソゴソ

響「うぅ……。心なしか、この部屋。外と同じかそれ以上に寒気がするぞ……」 ガサガサ

P「……確かに。こんなコンクリ作りの部屋で着替えなんて、まったく適してはないだろうに」 ガシャッ ... バタン

響「でもロッカーも置いてあるし……。あ、もしかしてロッカーは後から置いただけで、元は別の部屋だったとか――」 キィ...

P「……それはありえるかもしれん。この部屋、更衣室というよりかは体育倉庫って言った方が合ってるしな」 パタン

響「倉庫かぁ……。確かにこの部屋、ロッカーが無ければ倉庫っぽいぞ……あれ?」 ガタッ

P「? どうした。そっちで何か見つけたのか?」

響「いや、えっと……。ここの床、よく見たら蓋みたいなのが……」

P「どれ。……本当だ。色がそっくりで分からなかったが、確かにこれは……床下に何かあるのか?」

響「な、なんだろう。水道とかかな?」

P「プールは近くにあるけど、それはないだろう。どれ、ちょっと開けて調べてみるか」





209: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:56:43.33 ID:PUmdftm80

響「あ、開けられるのか?」

P「分からん……。ん? よく見たらここ、何かを何度も叩きつけた跡がついてるな……。それもまだ新しい」

響「それって――」

P「あぁ。もしかしたら奴かもしれん。どれ、俺もちょうどあの隠し部屋から拝借したこいつで……」 ガシャ

響「こ、壊しちゃうのか? でも、こんな堅そうな蓋はいくらなんでも……」

P「いや、叩き壊すんじゃない。テコの原理で蓋を浮かせられないかやってみるんだ」 ガッ

響「蓋を浮かせ……? あぁ、持ち上げてみるのか」

P「あぁ。これで蓋が少しでも持ち上がれば、後は無理やり……よっと!」 グググッ

                 ズ...ズズズズ....        ガコッ

響「! 蓋が持ち上がった!」

P「おう。後はこれを足で横にずらしていけ、ば……っと!」 ズズズズ...

響「蓋が……とれたぞ」

P「ふぅ、疲れた。が、見事に開いたな。しかし今のでこいつ、壊れちまった……。もうこれは武器として使えないな」 ポイッ


行動安価 → 近くに誰もいないことを確認して入る





211: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:57:50.08 ID:PUmdftm80

P「しかし中は完全に真っ暗だな。久々に懐中電灯を使うしかないな」 カチッ

響「土……? なんだか土の壁が見えるぞ」

P「ちょっと、覗いてみるか。ここにさっきの奴の探してた何かがあるのかもしれないし。……響も、それでいいか?」 チラッ

響「……うん。もうここまで来たのなら、最後までやり通すぞ」

P「そうか。じゃあ先に入って安全を……って、ん? どうした響」

響「自分も、自分もいっしょに行くぞ」 ギュッ

P「しかし、中に何があるかも分からないし――」

響「自分、プロデューサーと一緒だからここまで来れたんだ。少しの間でも離れ離れなんて、もう嫌だぞ」

響「それに……。それに――もう、この手は離したくないぞ……」 ギュウウッ

P「……そっか。そうだな。じゃあ、一緒に降りてみるか」

響「……うん」 コクッ

P「足元気をつけな。さ、ゆっくり……」



                                                   カラカラ...   ...ュッ... ギュッ...ギュッ...





212: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 19:58:48.59 ID:PUmdftm80

- ??? -

P「……乾いてるし、埃っぽい。空気が古いな。何年も使われてなかったのか?」

響「梁が重なり合ってて、土壁が剥き出しになってるぞ。隠し通路というより、これは……」

P「あぁ。鉱山の廃坑っぽいな。よく見ると空気を送り込むダクトっぽいのやら電線が天井にある」

響「じゃあここがもしかして、資料室で見つけた――」

P「秘密の入口……か。少なくとも一部の生徒はここの場所を知ってたのか。秘密基地にでもしようとしてたのかね?」

響「わかんないぞ。でもまだ先に続いてるみたいだから、もしかしたらこの先にあるのかも」

P「ん……。まぁ空気はあるみたいだし、少しだけの探索ならできそうだが、一旦上に戻って――」

                      ガララララララ....   ギュッ

響「!!!!」

P「!!!」

           ギュッ ギュッギュッギュッ  ガリガリガリガリ

響「ヒッ! あ、足音が!」

P「クソッ! もう戻ってきやがった! 響、仕方ない。急いで奥へ逃げるぞ!」 ダダダ...

響「う、うん!」 タタタ...





213: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:00:26.17 ID:PUmdftm80

      ガシャン!!        ズシャッ...        ガリガリガリガリ

P「くっ……。追ってきてるのか。相手は光源を持っていないみたいだが――。俺らのライトで位置が分かるってか」

響「でもこっちはライト使わなきゃ道が分からないぞ! どうにかしないと!」

                    ガリガリガリガリガリガリ....

P「くそ……。壁に刃をでも当ててんのか? やっぱこっちを追ってきてる。何とかしないと……」

響「あっ! わ、分かれ道! 右と左に分かれてるけど……」

P「一か八かだな。一旦ライトを消して、どっちかの道へと移動するぞ!」

響「えっ? で、でもそれじゃあ道が分からないし、再点灯したら気付かれるんじゃあ……」

P「奴は目が悪い……というか、あの変なマスクで視界が悪くなってるはず」

P「なら、例え少しの光源が漏れたとしても、もしかしたら気付かれないかもしれない!」

響「で、でももしあの牛のマスクを脱いで、視界を確保したら――」

P「もしかしたら素で目が悪いかもしれない! 分が悪いが、今はこれに賭けるしかない! 行くぞ! 手を握ってろ!」 カチッ


選択行動安価
左に進む
右に進む

結果 → 左に進む





214: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:01:21.37 ID:PUmdftm80

P「こっちだ!」 グイッ

響「……!!」 タタタッ

          ガリガリ...           ブオンッ  ガシャン!! ガタン バキッ!!   ...ガリガリガリ

響「……! 暴れてる?」

P「明かりが消えて、混乱したのか。はたまた俺たちが反撃しに来たと勘違いしたのか……好都合だ。今のうちに進もう」

響「う、うん……。でもこっちも真っ暗で分からなくなったぞ。今のままじゃ……」 タタタ

P「仕方ない、一瞬だけ光をつけてみるか」 カチカチッ

響「……また左右に分かれてた?」

P「いや。まっすぐ直進する通路も見えていた。3択だ」

           ガガ..         ガリガリガリ

P「くっ! 今のでバレたみたいだ。急ぐぞ!」


選択行動安価
直進する
右に進む
左に進む

結果 → まっすぐ





215: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:02:39.06 ID:PUmdftm80

P「直進だ! こい!」 タタタッ

響「う、うん!」 ハァ..ハァ...

               ガリガリガリ...  ガリガリ... ガリ...  リ...

響「! 音が、離れていく」 ハァ.. ハァ..

P「道を違えたか? それとも俺たちの速さについてこれていないのか?」 フゥフゥ

響「と、とりあえず逃げおおせたってことでいいのか?」

P「わからん。だがこの暗闇状態じゃ、必ずライトをつけなきゃいけない場面が出てくる」

P「その度ごとに奴に気付かれる可能性が出てくるんだ。油断しないようにしないと」

響「……今のうちに入口まで逃げる、のは?」

P「どうだかな……。もし待ち伏せされていたら敵わない。できれば鉱山の別の出口が見つかればいいんだが――」

響「ふぅ……ふぅ……。と、とりあえず行動方針を進めるぞ」

P「その前に一瞬だけ光をつけて……」 カチカチッ

響「……今度は直進と右だったぞ」

P「だな……。さて、いつ追いつかれるかもわからんし、どうしようか……」


行動安価 → 右に進む





216: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:03:29.10 ID:PUmdftm80

P「……次は右だ。響、ちゃんとついて来れているか?」

響「う、うん。手、つないでるから大丈夫だぞ」

P「もし、俺の勘が正しければ……」 フゥフゥ

響「でも、よくプロデューサー進む道を即断できるなー。行き止まりもないみたいだし、運がいいのかな」

P「……かもしれん。でももし俺の考えが間違ってなければ、次は――」 カチカチッ

響「今度も右、まっすぐ、左の3択かぁ……。まるで迷路だぞ」

P「迷路……迷宮な。ちょっとこの状況だとその表現、ちょっと洒落にならないな」


行動安価 → 左へ進む





217: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:05:51.54 ID:PUmdftm80

P「左だ。左に曲がるぞ」 タタタ...

響「随分と判断早いぞ。プロデューサー、何かこの通路について知ってるのか?」

P「まぁ、心当たりのあるものならあったな。今はそれを信じて進むだけだ」 タタタタ...

響「……音、聞こえなくなったな。もう撒けてるんじゃないか?」

P「言ったろ、油断するなって。気配がないからって、動きを緩めない方がいい」

響「そ、そうだな。今は少しでもあいつから逃れておかなきゃ」

P「あぁ。さて、次は――」 カチカチ

                           ガリッ

響「!!!!」

P「!!」

響「い、今、右の通路に牛の奴がこっち向いて立ってたのがみ、見え……!」 ガタガタ

P「くそっ! やっぱ先回りしてたのか! ふっざけんな!」

響「一瞬ライトを付けた時に見えたのは、左の通路と直進の通路。そして奴が立っていた右通路だけど……」 ブルブウ

P「こうなったら……!」


行動安価 → まっすぐに駆け抜ける





218: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:06:58.94 ID:PUmdftm80

               ガリガリガリ!!


P「くっ……。急げ! 全力で走り抜けるんだ!」 グイッ     ダダダ...

響「うわっ!」 タタタ

                     ブオンッ         ガスッ

P「――んぐっ!」 ヨロッ

響「ぷ、プロデューサー! いま苦しそうな声が――」

P「……だ、大丈夫だ、足を緩めるな! ほら、こっちへ早く!」

響「う、うん!」  タタタタタタ....

P「くそ……。肩をかすった……」

響「ま、待ってプロデューサー! こっち、こっちに曲がり角があるよ! 暗くて見えないけど、右側に曲がれるみたい!」

P「右に曲がれる? まだまっすぐ通路が続いてるようだが……。くそ、曲がるべきなのか?」


行動安価 → まっすぐに





219: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:08:32.38 ID:PUmdftm80

P「ダメだ! 今はひたすらまっすぐに進め!」 ダダダダ...

響「えっ? わ、わかったぞ」 タッタッタ...

              ガリガリガリ....ガリ   リ...

響「また音が遠ざかっていく……。撒けたのか?」

P「撒いたと思ったら先回りしてたんだ。もう油断なんてできないだろう?」 タッタッタ

響「そ、そうだ! さっきプロデューサー、苦しそうな声出してたけど……だ、大丈夫なのか? もしかして怪我を――」

P「大丈夫、大丈夫だよ。少し肩を掠っただけだ。何ともない……」

響「本当だな? もし無理してたら許さないぞ!」 ギュウッ

P「あぁ、分かってるよ……。ふぅ、しかし随分と走ったが――ちと今いる地点が分からんな」

響「あまり明かりを付けたくはないけど、このまま真っ暗闇にいたらジリ貧だぞ……」

P「仕方ない……。また一瞬ライトを付けたら奴が見えた、なんてことがないことを祈って付けるしかない」

響「あの時は本当に心臓が止まったぞ……」 フゥ フゥ

P「とりあえず今いる場所は……」 カチカチ

響「今度は大丈夫みたいだぞ。えーっと、なんだか開けたような場所に出てるみたいだぞ。階段とかが一瞬見えた」

P「……危険を承知で、周りが把握できるくらい明かりを付けるしかないか」 カチッ





220: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:09:21.45 ID:PUmdftm80

P「……」 キョロキョロ

響「上に続く階段と、下へと続く階段……。あとは側に小さな小部屋があるぞ。随分と入口が小さいけど……」

P「それと右に小さな通路と、左に大きめの通路があった。両方とも見えにくいけどな。もういいな、ライトを消すぞ」 カチッ

響「……お、音は?」

P「……聞こえないな。バレなかったのか、はたまた移動したのか……」

響「と、とりあえず動かないと」

P「だな。突っ立ってたら、仮に撒けたとしても意味がない。とりあえず進むべきは……」


行動安価 → 小部屋





221: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:09:57.70 ID:PUmdftm80

響「小部屋。そうだ、小部屋を調べてみて――」

P「いや。恐らくそこには何もない。入口が小さすぎる」

響「へ? どういう意味だ? 入口が小さいからって、体を横にすればプロデューサーだって入れるくらいの――」

P「いや違う。それじゃあ中に入れることが出来ないから――」

        リ..  ガリ...   ガリ...

P「!! あの音……! 奴か! 後ろから聞こえるし、普通に俺たちを追ってきたのか」

響「! き、来た! プロデューサー、意味分かんないこと言ってないで早く動かなきゃ!」

P「分かってる。だが今行くべき方向は――」


行動安価 → 階段上へ





222: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:10:47.44 ID:PUmdftm80

響「と、とりあえず上に逃げるぞ! 普通なら見つかるかもしれないけど、真っ暗なら気付かれないかも!」

P「そう……。明かりを持ってここに来たら、上に登ったり下ったりしても見失いなんてしない……」 ブツブツ

響「だから今は真っ暗なんだから気付かれないかもしれないじゃないか! とりあえず今は逃げることを考えなきゃ」

P「あ、あぁ。とりあえずタイムアップだ。何とかして奴をやりすごすしかない」 カン カン カン

響「うぅ……。少しだけだけども音が鳴るぞ……。気付かれなきゃいいけど」 ブルブル

P「しっ! 奴が来た……」

                ガラガラガラガラガラ....             ガラ....     ガラガラガラ...

響「じ、自分たちを探してるのか?」 ヒソヒソ

P「多分な……。ここは分かれ道が多いからもしかしたらやり過ごせるかも」 ヒソヒソ

              ガラガラ...            カツン カツン

響「!!!」

P(階段を踏む音! これはマズいか……?)





223: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:11:20.97 ID:PUmdftm80

           カツン... カツン...        ブツブツブツ...     カラカラ

響「……」 ガタガタガタ...

P(呟き声が聞こえるまで近くに……。くそ、一か八か体当たりをかまして――)

                カツン...           ガシャッ!!!

響「ッ!!」 ビクッ

P「!!」 グラッ

                  ガシャリ...  ガシャン...            ガリガリガリガリ....

P(遠ざかっていく……。助かったのか? しかし今の音は――)

                       ガリ...ガリ...ガリ.. ガリ... リ....

P(完全に音が遠ざかった。と、とりあえず撒けたのか?) フゥー

響「……」

P「おい、響。とりあえず撒くことには成功したみたいだぞ。……おい、響。聞いてるか?」 ヒソヒソ

響「……」 ピクッ ピクッ

P「……気絶してる」





224: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:12:20.63 ID:PUmdftm80

響「……はっ」 ビクンッ

P「おっ。目が覚めたか。大丈夫か?」

響「あれ? その声はプロデューサー? 真っ暗で何も見えないぞ? あれ?」 キョロキョロ

P「ほらほら、落ち着け。今の今までお前、気絶してたんだよ。とりあえず今の状況は分かるか?」

響「き、気絶? えっと……そ、そうだ! あの不審者がか、かかか、階段を上って……」 ブルブル

P「おっ。思い出したか。そうだ。あいつが階段を上ってきたんだ。しかし、どうやらあいつ階段から落ちて……」

P「と、言うよりあいつが踏んだ段差が古くなって壊れたみたいでな。それで足を踏み外して――」

P「そのままどっか行ってしまったよ。古くなってたことと、俺たちが乗っても壊れなかったのが幸いしたな」

P「……しかしどこの通路に進んだかは不明だから、そこは注意しなきゃいけないけどな」

響「そ、そんなことが……。うぅ、もう死んじゃうかと思ったぞ」 ブルブル





225: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:13:46.93 ID:PUmdftm80

P「そうだな。あの時は俺も肝を冷やしたよ。本当に幸いだった――大丈夫か? 響。震えが止まらないか?」

響「う、うぅ……。だ、大丈夫。もうすぐで震えは止まるから。止めるから……」 ガタガタ

P「仕方ないさ。あんな近くまで脅威が来たんだから――」

響「ね、ねぇプロデューサー……」 ブルブル

P「ん?」

響「手、ぎゅっとして……ほしいぞ」

P「……ん」 ギュッ

響「……」 ギュウウッ


行動安価 → あたりを探索





226: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:18:24.01 ID:PUmdftm80

響「……」 フゥー

P「落ち着いたか?」

響「うん。……プロデューサー。手、ありがと」 ギュッ

P「どういたしまして。……さて、このままここに座ってるわけにもいかない。どうにか動かなきゃな」

響「と、とりあえず周りの捜索でもしなきゃ……。何があるか探索したいし」

P「……ライトを付けて探索か? 正直今の状況だと避けた方がいいと思うが……」

響「あ……そうか。ちょっと気絶したせいか頭が回らないぞ……。えーっと、この周りには――」

P「今いる階段と下り階段。側には小部屋、そして左右の壁の見えにくい所に通路。そして戻り道だ」

響「さっきと同じかぁ……。とりあえず撒けたと思って、どこに動くか決めなきゃだな」

P「だな」


行動安価 → 下り階段へ





227: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:19:06.98 ID:PUmdftm80

響「うーん……。じゃあ次は下る方の階段にでも――」

P「それなんだが……ちょっといいか?」

響「? どうかしたのか?」

P「ここに来るまでずっと俺、瞬時に判断して移動してただろ?」

響「そう……だぞ。行き止まりにも当たらなかったし、プロデューサー、何かメモでも見つけてたのか?」

P「いや。それなんだが――あれは、体育館の舞台袖で拾った道順を記したメモ通りに動いてただけなんだ」

響「メモ……? あ、あのまっすぐとか左とか書いてたやつ……」

P「そう。俺はてっきり何かを隠した場所。校長室みたいなところのメモかな――とは思ってたんだが……」

P「あの資料室で見つけた生徒の走り書き。『メモをなくした』『最初は左』とか書いてたのを思い出してさ」

P「近くにあった坑道云々書かれたメモも相まって、あのメモは『道順』だったんじゃないかと思ったんだ」

響「道順……? 一体何の」

P「さぁ? 出口なのかもしれないし、お宝なのかもしれない。そこは正直判断がつかなかった」

P「だがあの時は行き止まりを避けようとしたい一心で、あの道順を伝ってここまで来たんだが――」

P「あるいは読みは正解だったのかもしれないな。まだ偶然なだけかもしれないし、確証はないんだが……」





229: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:21:09.85 ID:PUmdftm80

響「なるほどー。メモの通りに動いてたのかー……。でもそれが今の状況と何か関係があるのか?」

P「まぁ聞けって。もしあのメモがここの何かへと至る道しるべだったとして、問題は最後の部分だ」

響「最後の部分? あぁ。確か『見えなくなった』だっけ」

P「そう。見えなくなった。消えた、見失ったという意味でも取れるな。俺は見失った、と読んでいるが……」

P「まぁいい。で、そのメモの『見えなくなった』位置。仮にメモがこの坑道を指しているとすれば、その最後の場所はここなんだよ」

P「もしこの場所が『見えなくなった』。見失った位置であるならば、ここで何を見失ったか?」

P「当然人や生き物だろうな。坑道内を動いてるんだから」

P「じゃあ人をここで見失うということはどういうことだろう? 階を上った?階を下った? 小屋に入った?」

P「それはないだろうな。あの暗闇の坑道で人を追跡できてたのなら、ちゃんと光源があったハズだから」

P「階段を使う、小屋に入るってのは音でも分かるだろうし、特に前者は階段を使う姿はここのどこからでも丸見えだ」

響「なるほど……。確かにそうかもしれないぞ。あぁ、それで階段を下るのは――」

P「ん。できれば後回しにして、他を優先して見て回りたい」

行動安価 → 左通路へ





231: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:23:03.17 ID:PUmdftm80

P「できれば、あそこの左の壁に隠れてる……ちょっと大きめの通路を行ってみたい」

響「ん。分かったぞ。……でもなんで左なんだ? 右の方の通路も見えづらいし、狭い通路だから見失いやすいと思うけど」

P「響、さっき俺が小屋を調べるときに何と言って止めたか覚えてるか?」

響「えーっと……入口が狭すぎる……だっけ。あれ? なんで狭いとだめなんだ?」

P「別にダメってわけじゃない。だが俺の考えが合ってれば、あそこは狭すぎて持ち込めないんだ」

響「持ち込めない? なにをだ?」

P「いいか? あのメモ、ここで人を追跡して書かれたものなら、そのゴールには何があると思う?」

響「それは――秘密の部屋とか。あるいは――お宝とか、かなぁ?」 ウ-ン

P「そうだな。まぁ前者はともかくとして、仮にお宝――荷物だな。それを抱えてここへ隠しに来たしよう」

P「その場合、荷物を抱えて体を横にしないと通れないような通路、通れると思うか?」

響「で、でもとても小さな荷物だったかもしれないじゃないか」

P「その場合はこんな場所じゃなくて、学校の――もっと別の場所に隠せばいい。ここに隠す意味がない」





232: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:24:00.15 ID:PUmdftm80

響「それはそうだけど……。そもそも荷物じゃなくて、秘密の部屋の場所かもしれないじゃないか」

P「まぁそれは確かにある。でもその秘密の部屋に何がある?」

響「それは隠しておきたいものとか……。あ……」

P「そう。部屋にしろお宝にしろ、荷物を運ぶことには変わりないんだ」

響「で、でももしかしたら学校が子供を、その……殺すための場所だったり……」

P「子供ならなおさら運ぶ通路は広い方がいい。見つけた手記によれば眠らせていたっぽいしさ」

響「それで広い方の通路を……」

P「あくまで俺の想像だ。もしその先も通路が枝分かれしてたらお手上げだし、何もなければどうしようもない」

P「しかし……できるだけ早めに調べておきたくてな。まぁ、これが俺が左の通路を選んだ理由だ」

響「……わかったぞ。じゃあとりあえず、左の方の広めの通路を――えっと、どこだっけ?」

P「こっちだ。見つけにくいようにカモフラージュされてる。ま、真っ暗闇で何も見えないからカモフラの意味もないけどな」

響「うー……歩きにくいぞー……」 ズリズリ





233: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:24:30.48 ID:PUmdftm80

P「……」 スタスタ

響「……」 テクテク

P「……む。行き止まりみたいだ」 コツ

響「行き止まり……。やっぱここじゃなかったのかな?」

P「むぅ……。だとしたらやっぱメモが指し示す場所はここじゃなかったのか? うーん……」 ブツブツ

響「まぁ、仕方ないぞ。幸いあの不審者にも出くわさなかったし、それだけでも――イテッ」 コツ

P「? どうかしたのか、響」

響「あ、いや。足に何か当たってさ。多分石か何かだと思うけど――なんだろこれ」 ガタガタ

P「……ちょっとだけ、明かりを付けてもいいか?」

響「えっ!? で、でもそれだとアイツに位置がばれて……」

P「ここは一本道だし、入り組んでいるから、あの開けた場所まで光は漏れないハズだ」

響「うー……。わ、わかったぞ。でもあんまり長くはダメだぞ」

P「分かってるよ。えーっと……」 カチッ





234: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:25:58.40 ID:PUmdftm80

P「……」

響「こ、これって――」

P「あぁ。ビンゴだ……。やっぱここにあったのか」


『87×度、6年×組 タイム×プセ×』


響「タイム、カプセル……。こんな廃坑の奥に……」


行動安価 → タイムカプセルを調べる





235: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:26:59.84 ID:PUmdftm80

P「……」 ガコッ    バキッ

響「な、何やってるんだ?」

P「タイムカプセルを開けてるんだ。こんなわざわざ湿気のない場所を選んで隠すだなんてするなら――」 ガコッ バンッ

P「開いたっ……」 ガサガサ

響「あ、あーあー……。いいのか? こんな勝手にタイムカプセルを開けちゃって……」

P「響も手伝ってくれ。さっきはああは言ったが、やはり明かりは長くつけておきたくない」

響「え? えっと、わかったぞ。何を探せばいいんだ?」

P「紙の資料。写真、大きめの用紙。そういうものを……」 ガサガサ

響「紙……。『将来の私へ』? 多分これじゃないな……。うーん、日記帳……も違うだろうし……」 ゴソゴソ

P「違う……。これでもない……。……このクラスじゃないのか? いや、でもこんな場所を選ぶんだし――」

響「……お? なんか大きめの紙が出てきたぞ。なんだこれ」

P「大きめの紙! どれだ、見せてくれ!」 ガサッ

響「これだぞ。えーっと……なになに?」 ガサガサ

『学園オカルト 87年3月号』

P「これだ……。やっと見つけた……!」





236: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:28:34.29 ID:PUmdftm80

響「学園オカルトの3月号! と、いうことはこのタイムカプセルは――」

P「あぁ。学園オカルトを書いていた人物がいたクラスのタイムカプセルだろうな」

響「なんでわざわざタイムカプセルにこんなもの入れて……」

P「3月号の記事内容は書いた本人もヤバいってことは承知の上だったんだろうな。それで証拠をここに入れて――」

響「でもそんなやばい記事って一体どんな――」 ガサッ

P「とりあえず今は読む暇はないから、調べるにしてもここを出てからじゃないと」 ガサッ

響「と、とりあえず資料っぽいものは全部詰めておいて、と」 ゴソゴソ

P「よし、電気を消すぞ。これでここには用はない。急いで電気を消してきた道を――」

                        ガリ...       ガリ....

P「!!」

響「あの音……! かなり近い!」

P「……近づいてくるな。恐らく気付かれてる」 カチッ

響「ど、どうすれば……。ここは一本道だし逃げ道が」 ガクガク


行動安価 → タイムカプセルの中から使えるものを探す





237: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:30:41.29 ID:PUmdftm80

響「そ、そうだ。タイムカプセルの中で何か使えそうなものを――」

P「だめだ。とてももう時間がない……。すぐそばまで来てる」

                 ガリガリガリガリガリ...

響「ひっ! う、うぅうぅ……プロデューサー……!」 ギュウゥッ

P(くそっ……何かいい案いい案は……)

響「うぅ……どうして……。目も耳も悪いハズなのに、こうも自分たちの居場所を――」 ガタガタ

P(……そうだ。今までのパターンから、耳も目も悪いことは確実なはず)

P(それがこうも真っ暗な坑道で居場所を見つけ出すだなんて――)

P(真っ暗……? そうだ。奴は学校も廃坑の中も光源なしで移動してきたんじゃないか)

P(目は悪い。悪いとは思っていたが……。それでも暗闇の中なら少しは見ることができる? )

P(いや、どっちでもいい。少なくともここで重視すべきは、奴の目は暗闇に慣れ切ってる可能性が高いってことか)

                    ガリガリガリガリ!!!

P(もう目の前にまで……。くそ、一か八か、これが最後のチャンスか!)


行動安価 → 照明を落とし、近距離で突然ライトをつけて怯ませる





239: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:33:18.25 ID:PUmdftm80

P「……響。合図したら目を瞑って、背を低くして向こうへ走り抜けるんだ。できるか?」 ヒソヒソ

響「えっ!? そんな、プロデューサー……。まさか一人でっ……!」 ギュゥゥゥッ

P「そんな訳ないだろ。俺に策がある。一か八かではあるが……」

響「策?」

                ガリガリ          ガシャッ   ガキン

P「説明してる暇はない。いいな? 合図をしたらだぞ? 3……2……1……」

                       ブオンッ!!!

P「今だ! 走れ!」 カチッ!!      ピカッ

響「う、うん!」 タッタッタッタッ...

???「……ッ!!!」 ブォンッ ブォンッ

P「うおっ。 危ねっ! ……響! 無事か!」 ダダダダダ!!

響「こ、怖いぞー! あ、頭の上をなんか掠ったぞー!」 グスッ

P「泣くな! 泣く暇なんてないぞ! 急いで走れ!」 タッタッタ...

???「ォ……ォォォォオオオオオオオッ!!!!!」





240: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:34:41.09 ID:PUmdftm80

P「急げ……! もうこの際ライトは付けっぱでいい。とにかく距離を稼ぐんだ!」 タッタッタ...

響「う、うん。でもあの牛頭。さっき回り道してたし――」

P「あぁ、俺たちの目指す方向が分かってるぶん、先回りもされるかもしれない。だからこそ走るんだ!」

響「ぐぅ……。なんだかさっきから走ってばかりで――」

                        オオオオオォォォォォオォオォォォオォッ!!!!

響「ッ! い、今の声は――」 ギュッ

P「奴の叫び声だ……。もう理性もクソもないな。あれは本物のバケモノだよ……」 ハァ...ハァ...

響「今は急いで……ッ!?」 ガクッ バタンッ

P「響! 転んだのか!? 大丈夫か?」 ダッ

響「う、うぅぅ……。こ、こんなところにロープが張って――」

P「ロープ……? ほ、本当だ! クソ! あの野郎いなくなった隙にこんな罠を張ってやがったのか!」

響「あぅ……。あ、足が……。うまく立てない。は、走れないよぅ……。ど、どうしよう」 ガクガク   グスッ

P「大丈夫だ。泣くんじゃない。ほら、こうやって抱えれば……。ほら大丈夫。さ、行くぞ!」 ヒョイッ

響「あ……。で、でもこんな……。プロデューサーの負担も大きくなるし、何より両手が使えなく――」

P「大丈夫、お前の体重なんて綿みたいなもんだしな。さ、しっかり掴まってろ!」 ダッ





242: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:35:44.61 ID:PUmdftm80

P「た、確かここを右に曲がって……。即曲がったんだから、えっと……」 ハァ... ハァ...

響「プロデューサー……。ごめん、ごめんだぞ……」 グスッ

P「なに言ってるんだ。お前は……ハァ……なにひとつ悪くないじゃないか。そんな気に病むな……」 フゥ...フゥ...

響「う、うぅぅ……っ!」 ポロポロ  ギュッ

P「ここを過ぎれば……。ここをまっすぐ行けば出口に……!?」

響「グスッ……。? プロデューサー、どうしたのか……。って、えっ!?」

P「道が……土で塞がれてる……。そんな――」

響「うそ……。うそっ……!」

P「……まさか、さっき暴れていたのはこれが目当てで――」 ガクッ

                         ....オオオオオオオォォォォォォォォオオォオォォ...

響「声が、聞こえる……。まだ遠くだけど、そんな……。ここまで来て……」 ポロポロ

P「本当に、とことん……。やってくれるじゃないか……」





244: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:39:04.37 ID:PUmdftm80

P「……」

響「うぅっ……。うぅぅ……」 グスッ ヒック

P「ここまで来て……。もう外は明るみ始めてるだろうに、まさかこんな場所で終わりだなんて」

響「プロ、プロデューサー……ごめんね、ごめんね……」 グスッ ポロポロ

P「何言ってるんだよ……。お前は何も悪くないって――」

響「い、いっぱい助けてくれたのに……無駄にし、グスッ……しちゃって、ご、めんね」 エグッ

響「こ、こんな、こと……ッうぅ……こんなことに巻き込んじゃって……ごめんね……っ」 ヒック

響「ずっと側にいて、くれたのに。す、素直になれ、なれなくて。ご、ごめ……ッ……ッグ……んね゙」 ズッ

響「そ、して。約束守ってくれ、て。あり、ありがど……ヒック……ありがどうね。手、プロデューサーの手、暖かくて」 グスッ

響「手、ギュっ……っとしてくれて、と、とても嬉し、ッ……う、うれしかったぞ……」 ポロポロ


響「大好き……グスッ……ずっと、ずっと大好きだったぞ……」 エグッ ヒッグ


P「響……! お前、そんな」

響「う、うぅうう……うえぇぇぇぇぇんっ!」 ダキッ ポロポロ





245: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:40:32.13 ID:PUmdftm80

P(クソ……。こんな、もう本当にダメなのか)

P(いや。まだチャンスはあるはず。考えろ……考えろ!)

P(響は足を怪我して動けない。だから抱えて動く必要はある)

P(でも肝心の出口付近はこの通り。これじゃあ通れないから出口で出られない――)

P(? 出られない? いや。それだと奴も同じだ。奴も出られなくなる)

P(奴はどこかに通路を知っているのか? いや、それとも他の出入口を知っているのか?)

P(いや、後者はないな。それなら無理やり床を壊して入らずに、その出入り口から入ればよかった)

P(じゃあやはり他の道を知っている……? ……覚えがあるぞ。あれは確か――)

P(……いや、それ以前にあの牛男をやり過ごさなきゃいけない)

P(まずはそこを考えなきゃいけない。恐らくまだ奴は奥の方にいるだろうが、少しずつ近づいてる)

P(響は自力で走れない……。なら一時的にでも無力化するか、別の場所に誘導しなきゃいけない)

P(手元にはライトくらいしか物はなし。同じ手は二度も通用しないだろうし……)





247: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:43:39.43 ID:PUmdftm80

P(響が泣いている……。こいつさえ守れれば、あとはどうなってもいい)

P(でも問題は自力で動けないことだ。ここで一時的に奴を無力化できても俺が死んだら意味がない)

P(面向かって戦うべきじゃないのか? だとすれば誘導?)

P(今いる場所は最初の分かれ道の左側通路。少し戻れば十字路に戻れるがハチ合わせになるだろう)

P(問題はそこに戻って別の通路に逃げたとしても、すぐにバレる。行き止まりだったらそれこそ終わりだ)

P(くそ……。まぁ唯一の救いはあいつ目と耳が悪いってころか)

P(それだけ見れば老人相手にしてるようなもんだが……)

P(道を塞いでる土の方も手で掘れるくらいに柔らかいが、いかんせん量が多すぎる。掻いて道を作るのは無理だ)

P(何か……。何か考えを……)


行動安価 → ライトを使って誘導





248: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:44:58.45 ID:PUmdftm80

P(ライトを付けたまま投げて別の場所へ誘導するか……?)

P(……少しだけなら時間は稼げるかもしれない。だがそれは敵の手にライトを渡す意味になる)

P(つまり鬼ごっこのはじまり。それからは道を間違えれば即ゲームオーバー)

P(やるか? かなり一か八かではあるが、現状それくらいしか手段がないしな……)

響「ぐすっ……。ぐすっ……」 ヒック

P(考えている時間はない。少しでも時間を稼ぐために早めに行動しなければ……) ゴクッ

P「……なぁ、響」

響「……?」 グスッ

P「最後に、悪あがきしようと思うんだ。……いいか?」

響「ぐすっ……。どう、やるの?」

P「なんてことはない。ここの土を使って、ちょうど……そう。人間が埋もれるくらいの土の山を二つ作ってくれ」

響「作って……どうするの?」

P「つけたままのライトを1つその中に埋め込む。そして俺らはこの先の別通路で、できなければ暗闇で息を殺してやりすごす」

P「後は俺の体力勝負だ。……時間がない。協力してくれるな?」

響「……グスッ……うん。わかったぞ」 ゴソゴソ





249: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:46:04.42 ID:PUmdftm80



――……

――――…………


???「……」 ガラガラガラ...

???「!」 ガラ   ピタッ

???「……」 ザリュ... ザリュ... ピタッ

???「……」 クックックック...

???「……」 ガラガラ  ブオン

???「……」     ズシャッ   ズシャッ   ズチャッ  バキッ

???「……?」 カラカラ...  ザリュッ ザリュッ コロ...

???「!!」 バッ

P「ひっかかりやがったなこのクソ牛野郎!」 バキッ!

???「ォォ……ッ!!!」 ズシャッ

P「ざまあ見ろ! しばらくそこで寝転がってな!」 ダダダッ





250: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:47:06.05 ID:PUmdftm80

響「や、やったのか?」 グスッ

P「あぁ。一発殴って尻もちつかせただけだけどね。だが、これで生きて出られるかもしれないぞ!」 ダダダ...

響「ほ、本当か?」 パアァ

P「あぁ。だがあいつ、手から鉈を離しやがらなかった。1発殴るくらいしかできなかったのが残念だが――」

響「とりあえずプロデューサーが怪我をしなければなんでもいいぞ!」

P「あぁ。だが問題は帰り道だ。一応出口へと向かうであろう場所の入口は目星がついてるんだが――」 タッタッタ

響「ど、どうするんだ?」

P「とりあえず今は逃げるしかないだろう!」 タッタッタッタ....


行動安価 → 壁の傷を頼りに進む





251: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:48:45.66 ID:PUmdftm80

P「ふぅ。ここだ!」

響「ここって……。あっ! あの時牛男が先回りして立ってた場所……!」

P「そう。問題はいつ、どこの道を使って先回りしたかだが――」

P「あいつ気配を失ったのはいつだった? 俺たちが最初の十字路を超えた頃だったよな」

P「それでそのまま進んでいくと、4つ目あたりの分かれ道から急に現れた」

P「明らかに最初のあたりの分かれ道に確実に繋がっている。じゃなきゃあの速度で追いつける訳がない」

P「……つまる話、最初の方の分かれ道。あそことここの通路が繋がっていると踏んだのさ」

響「で、でも仮にそうだとして、どうやってそのルートを進むんだ? 自分たち、ここの通路を使うの初めてだぞ」

P「それだがな……ふふ。響、壁の方をよく見てみろ」

響「壁? 何かあるのか……って、え!? 傷が残ってる……」

P「奴がこの坑道を進む時に、脅しか癖なのかは知らないが、壁や床に鉈を這わせていた。ガリガリガリってな」

P「それこそが俺たちがこの迷宮から逃げる道しるべ。アリアドネの糸なんだよ」

響「す、すごい。これを辿っていけば――」

P「あぁ! きっと出口まで出られる! さ、追いつかれる前に急ぐぞ!」 タタタ...





254: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:49:56.35 ID:PUmdftm80

P「ハァ……ハァ……。どうだ響、傷の後は次はどっちへ」

響「えーっと、えーっと……あ! こっちにあったぞ!」 バッ

P「よしきた! ここをまっすぐだな! ライトと道案内頼むぞ」 フゥ フゥ

響「う、うん! 任せてほしいさ」

                        オオオオオオオオォォォォォォォォッ!

響「ッ!」 ビクッ

P「なっ!? 結構近いぞ。もうこんな近くまでやってきてたのか! 急がないと……」 ダダダッ

響「あっ! あれ、あそこ!あの角からうっすら光が漏れてる!」

P「おっ! いよいよ出口か。ラストスパートだ!」 ダダダダダ....

              オオオオォォォォオォオオォ!!!      ガリガリガリガリ....

響「すごい勢いで迫ってる……! 頑張ってプロデューサー! あとちょっとだぞ!」

P「おう! ――って、やった! ここ最初の分かれ道の右側だ!」

響「本当か!? やったぞ! 後はあの出口から外に出るだけ!」

P「だが声も近い。間に合うか……!?」 タッタッタ...





255: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:50:48.97 ID:PUmdftm80

- 更衣室? -

響「ぷはっ! やった、あそこから出られたぞ!」

P「はぁ……はぁ……。何とか出られた――って、そうじゃない! 急いでここの蓋を閉めなくちゃ!」

響「そ、そうだぞ! いくら外に出たからって、出口を塞がなきゃ」

P「響! そっちの蓋を押してくれ。俺は引っ張るから! 急いで!」 グググッ...

響「わ、わかった! うりゃー!」 グイッ!!

P「うおりゃあああああああっ!」 グイィィィッ!!   ゴゴゴ....

                 ォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!    ガリガリガリガリ!!!

P「閉まれやー!」 グイグイ

響「閉じろー!」 グググググッ

              ゴゴゴゴゴ...              バタン!!!





256: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:51:19.20 ID:PUmdftm80

.
           ォォォォォォォォォォォ!!!      ガンガンガン!!    バキン ガキン!!!

響「と、閉じた。でも滅茶苦茶に叩いてるぞ……。だ、大丈夫かな」

P「ま、大丈夫だろう。奴が何度壊そうとしても壊れなかった蓋だ。それに重さも相当あるし、下からじゃ持ち上げられない」

響「そ、それなら安心……ではあるけども。……いいのか? このまま放置しちゃって」

P「今はそうするしかないだろ。終わったら警察にでも頼んで助けてもらうさ。それまでは暗闇の迷宮を彷徨えばいい」

響「土山に埋めたライトも、結局叩き壊してたしね。本当に真っ暗闇の中を一人で……。うぅ、恐ろしいぞ」

P「因果応報ってやつだ……って、おい! 窓を見ろ!」

響「窓……? あっ! 明るいぞ! いつの間にか朝を迎えていたんだ!」

P「よっしゃあ! これで迎えが来る! これでこんな場所とはおさらばだ!」

響「や、やったぁっ! ま、まさか本当にここから生きて出られるだなんて……」 グスッ

P「とりあえずこの部屋を出よう。もしかしたら校庭にスタッフが来てるかもしれない」

響「うん!」





257: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:52:14.13 ID:PUmdftm80

P「響、足の具合は大丈夫か?」

響「うん。まぁ……。一応は立てるけど、歩くのはちょっとキツいぞー」

P「じゃあ……これだな。よいしょっと」 ヒョイッ

響「わぁっ。……えっと、ありがとだぞ。でもプロデューサーいいのか? 自分抱えて走って、疲れてるんじゃないのか?」

P「綿を担いでるようなもんだっていったじゃないか。気にするな。これも通信空手の賜物だよ」 ハッハッハ

響「それはあまり関係無いような気もするけど……」

P「何言ってんだ。コイツのおかげで何度俺はピンチを乗り越えられ――」 ピクッ

響「? どうしたんだ、プロデューサー」

P「……部屋の向こう。体育館のホールの方から音がする」

響「えっ!?」 ビクッ

                      -ン... ターン... ターン...

響「バスケット……。いや、毬つきの音……?」

P「みたいだな。これが本当の最後の試練ってか……。よし、行くぞ!」

                           ガララララ....





259: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:53:17.57 ID:PUmdftm80

.
              ターン... ターン... ターン...     ピタッ

響「……女の人? フルフェイスを被ってて、顔が分からないぞ」

P「あの靴……。見覚えがある。俺を殴った奴だ」

響「えっ!?」

??「……」 ジーッ

響「武器は何も持っていないようだけど……。ど、どうしよう」

P「どうもこうもないさ。……そうか、あんたがそうだったのか」

響「え? あんたがって――何のことだ? えっ? えっ?」 キョロキョロ

??「……」

P「あんた……俺らの導きだした答えを、聞きに来たんだろ?」

??「……」 コクッ

P「いいよ。じゃあ、答え合わせを始めようか」





260: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 20:53:43.95 ID:PUmdftm80

以下 廃村に響く





261:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 20:54:24.35 ID:iv80k2hj0

キタアアアアアアアアアアア





270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 20:56:16.07 ID:7v/QcDZb0

ついに答え合わせか…





273:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/25(日) 20:56:59.95 ID:Ii/nrf0i0

いよいよか…





304: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 22:57:09.17 ID:PUmdftm80

P「えーっと、まずどこから話して聞かせるべきなのかな」

響「ちょ、ちょっと待ってほしいぞ! え? プロデューサー、この人と知り合いなの?」

P「ついさっき『俺を殴った』って言ったばかりじゃないか。知り合いなわけないだろ」

響「でもプロデューサー、この人の素性を知ってるような口ぶりだったし――何より、なんで推理を……?」

P「恨みを買いたくないから」

響「えっ……?」

P「ま、あの部屋の蓋を閉めずにここで待っててくれたのなら、すぐにどうこうってことはないんだろ」

響「ちょっとプロデューサーが何を言ってるのかわかんないぞ……」 オロオロ

P「まぁいいさ。じゃあ――何から語ればいいのかな」

??「……」 ジーッ

P「そうだな……。まずあそこに閉じ込めた牛男の正体からにしようか」 クイッ

P「恐らく……ここの元教頭――なんじゃないのか? えーっと、確か橋本だったっけか?」

響「えっ!? な、なんでそんなことわかるんだ?」

P「それの根拠はいろいろあるんだが……。まずはこんな所をうろつく理由から入ろうか」





314: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 23:10:51.51 ID:PUmdftm80

P「こんな人里離れた辺鄙な廃校。理由なく徘徊するような場所じゃあないわな」

P「じゃあ何故か? そりゃあこの場所に何か用事でもあったんだろうさ」

響「それは自分もなんとなく分かるぞ。あの……例の事件とかに絡んでのことだろ?」

P「そうだな。考えられる要素と言えば、過去の事件。これの関係者につきる」

P「もちろん逃走中の殺人鬼がたまたまここに潜んでいた、だなんて可能性もあったが――」

P「それじゃあ行動範囲が狭すぎるし、廃校に執拗する必要がない」

P「まぁ十中八九、あの牛男は過去の事件に関連した誰かだろう」

響「じゃあ、何故教頭? 考えれば校長や他の教員でもいいと思うんだけども」





316: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 23:20:33.88 ID:PUmdftm80

P「簡単だ。奴が校長室じゃなく、壁新聞が隠されている廃坑の方に執着したからだ」

響「廃坑の……。これか」 ガサッ

P「響、覚えているか? 教頭はどういう文句で脅されていたのかを」

響「えーっと確か……『タイムカプセルは絶対に暴きます』だったぞ」

P「そう。牛男は校長室に執着しなかった。無論、誰かが校長室に入った形跡はあったが、荒らされてはいなかった」

P「奴は何度も3階から刃物を調達して、体育館の廃坑への入口をこじ開けようと躍起になっていた」

P「あの牛男にとって校長室の書類が致命傷じゃなかったのか、それとも壁新聞の方が大事だったのかは知らない」

P「でもあそこまでタイムカプセルに執着する学校関係者、とくれば……教頭くらいだろうと思ったんだ」

響「なるほど……」

??「……」 ジーッ





320: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 23:26:26.92 ID:PUmdftm80

P「じゃあ次に何故だな。何で今頃になって過去の事件を掘り返すように廃校にまで出向いたか……」

響「そりゃあ、あれじゃないのか? 事件の真相を明かされたくなかったからとかそんな感じの」

P「誰に?」

響「えっと……。玄関に張ってあった壁新聞の作者にじゃないのか?」

P「そうだな。ではどうして今頃になって? 証拠を隠滅するためなら、それこそ廃校直前にでも行けばよかったんだ」

響「えっと、それは――」

P「それにわざわざ『証拠を取りに行きます』だなんて馬鹿正直に伝えるのもおかしい。やるならこっそりやればいいんだ」

響「それは……うん。確かにそうだぞ。証拠を取りに行くのならこっそり行けばいいし、わざわざ犯人に伝えなくとも――」

P「これはあくまで勘なんだが、教頭がここに来たきっかけは、『同窓会のお知らせ』……なんじゃないか?」

響「同窓会の? そんなのあったっけ?」

P「ほら、3階更衣室の隠し部屋で見つけた、あの読めなかった手紙だよ」

響「あぁ、あれかぁ。ほとんど読めなかったけど、確かにそう読めるかもしれないぞ」

P「大方、同窓会で『タイムカプセルを発掘します!』だとかそんなことでも書いていたんじゃないのかね」





323: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 23:42:37.81 ID:PUmdftm80

P「もしタイムカプセルが本当に見つけ出されたら、大勢の目の前で新聞を見られてしまう可能性が高い」

P「それを避けるために教頭は慌てて廃校であるこの学校へやってきた……と、俺は推理したんだが」

響「じゃあ何で手紙を出したその人は、わざわざ教頭をここにおびき寄せたりしたんだ?」

響「さっきも言ったけど、証拠を取り出すのなら呼ぶ必要なんてないじゃないか!」

P「んー……。これも推測ではあるんだけどな」

響「うんうん」

P「多分、散々怖がらせて殺すため。だと思う」

響「うんう……えぇっ!?」 ビクン

??「……」 ギシッ...





328: ◆5foxAIkVmM:2014/05/25(日) 23:53:51.74 ID:PUmdftm80

響「な、何で殺すため?! そ、それじゃあ壁新聞のあの文章はどうなるのさ!」

P「文書?」

響「『証拠を取ってきます』って言葉さ! もし殺しちゃったら起訴も何もできないじゃないか!」

P「……響。あの壁新聞、本当に25年前に書かれたものと思ってるのか?」

響「えっ?」

P「あの新聞さ。明らかに25年前だとおかしな一文が書かれていたじゃないか」

響「えっ? えっ? ど、どこにそんなことが書かれて……?」

P「事件から半年。25年後に証拠を取りに来る。80年後期。犯人逮捕済み……」

響「……あっ! そういえば……」

P「明らかに証拠を取りに来るまでの期間が長すぎる。それに当時はまだコレが存在していたはずなんだ」

響「時効……」





333: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 00:08:40.15 ID:9LDDfkGx0

P「あれは恐らく教頭を廃校に留まらせておくために用意した新聞なんじゃないだろうか」

響「そ、それじゃあ何で殺そうと? 普通に起訴して牢屋に入れちゃえばいいだけじゃないか!」

P「そこは分からんが……。まぁ、裁判の長期化を嫌ってのことかもしれない」

P「そもそも過去の解決事件の証拠なんて持ち寄って、有罪にできるかなんて怪しいものだし」

響「えっ? できないの?」

P「もし教頭が過去、この事件で不起訴処分で終わってたら、尚更に難しい話だし」

P「そもそも犯人が自首して終わった事件を、検察が再び扱うかなんて分かりゃしないしな」

響「そんな……」

P「当然、『殺害目的』ってのは、あくまで俺の予想ではあるけども……。一応、根拠はあるんだぞ?」

響「? どんな根拠が?」





334: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 00:18:51.31 ID:9LDDfkGx0

P「そうだな……。響、お前はこの廃校に潜んでいる存在を何だと思った?」

響「えっ? そ、それは過去学校で殺された子供たちの霊とか、オバケとか……」

P「何でそう思った?」

響「だ、だって変な放送が聞こえたり、足音だったり、人体模型が動いてる風に見えたりして……」

P「そう。でもそれらは大半が人為的なものだったな」

響「う、うん。確かにそうだったぞ」

P「じゃあ誰が何のために、そんな事をしたと思う? お前を怖がらせるためにか?」

響「えっと、それは……。じ、自分が邪魔だったから、廃校から追い出すために?」

P「発電機まで事前に用意してまでか?」

響「う、うぅぅ……。意地悪はやめるんだぞー!」 ポカポカ

P「痛てて……。いや、別にからかった訳じゃない。つまる話、あれらは全部事前に準備されてたものなんだ」

響「つまり?」

P「あの放送も、足音も、或いは人体模型も、俺たちに使うために用意したものじゃなかったんだってことさ」





336: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 00:25:46.72 ID:9LDDfkGx0

P「あれらは恐らく、ここにおびき寄せた教頭用の仕掛け」

P「罪悪感を刺激するように、或いは恐怖心を煽るようにいろんな場所で、いろんな仕掛けを施した」

P「全部教頭を恐怖のどん底に陥れるために」

響「そ、そうなのか……?」

??「……」 ジーッ

P「教頭の末路は見たろ。変なマスクを被って、多少の光や足音を無視するように校内を徘徊して」

P「あれ。ていうかあそこにいる牛男、多分本当に正気を失ってるんじゃないのかな」

響「とっても怖い思いをして、発狂したってことか?」

P「その言い方だとなんか軽いけど……。多分そうなんじゃないかなって、俺は思ってる」

??「……」 フム...





344: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 00:44:31.58 ID:9LDDfkGx0

P「この場所から逃げ出したい。しかし証拠を残して行くわけにはいかない」

P「教頭は逃げることも叶わず、この廃校で精神をガリガリと削られていった」

P「途中までは上手く行ってたんだろう。しかし突然思わぬ邪魔が入ってしまう」

響「自分たち、か」

P「そう。勝手に廃校に潜りこんだ挙句、いろいろと仕掛けに引っ掛かったり、かき回したり……」

P「それがどのように作用したのか分からないが、教頭に隙を与えてしまったのかもな」

P「これは想像だが、お前の悲鳴やらを聞いて、僅かに正気を取り戻したんじゃないかな、教頭は」

P「少しの間正気を取り戻した教頭は、俺たちの車を別の誰かの車と勘違いし、死の仕掛けを施す」

P「そして仕掛けに気づいて放送室を襲撃し、後は只管に廃坑に入ることのみに執着し始めた」

響「そんなことが裏ではあったのか」

??「……」 フーッ...

P「いや。だからあくまで俺の想像だ。だが、もしこうなってしまったら、せっかくの計画もおじゃんだ」

P「そこで仕掛け人は急いで俺たちの排除に乗り出した」

響「排除って……」





352: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 01:07:54.09 ID:9LDDfkGx0

P「放送を利用して響と俺を何とか引き合わせて、車で帰ってもらおうと画策したんじゃないか」

P「しかし、それもなかなか上手くいかない」

P「だから強硬手段として、俺を殴って監禁して、一時的に学校内から遠ざけた」

P「恐らく響も、或いはどこかに閉じ込める予定だったのかもしれないな」

響「自分らを殺して排除するわけじゃなくて?」

P「それだと反撃を食らう可能性もあるし、穏便にいきたかったのかも」

P「まぁ、車のガソリンはギリギリ街まで足りるくらい残してくれてたし、帰ってほしかったのは事実だろう」

P「だが何とか引き合わせることに成功した後も、俺たちはここを去らなかった」

響「車が弄られていたからな」

P「そう、ブレーキが壊されてた。これは仕掛け人も気づいてなかったのかもしれないな」

P「或いは修理した後に、あの牛男……教頭がデストラップを仕掛けてきたのかもしれんが。ま、どっちでもいいだろう」

P「とにかく俺たちがここから去らないのであればもう仕方がない」

P「俺たちを無視するか、或いは逆に利用するか。そんなところで手をうったんだろう」





3: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 01:25:38.00 ID:9LDDfkGx0

響「でも自分たちをここから追い出すために動いた、かぁ。少し思い当たる節があるかも」

P「最初の携帯の録音も、或いはお前を安心させて車に籠城させるために残したのかもしれんしな」

響「自分はもう一度校内に入って行っちゃったけど、確かに後で車にいればよかったって後悔したなぁ」

P「まぁ、その後に教頭が車を弄りにやってきた可能性もあるし、籠城が正解って一概には言えないんだけどな」

??「……」 コツン コツン

P「あぁ、すまん。話の途中だったな。ところでここまでの推理、どうだ? 合ってるかね」

??「……」 ジーッ

P「……だんまりですか」

響「まぁ、仮にプロデューサーの推理が合ってたとして、教頭と仕掛け人が動いてたのは分かったさ」

響「それじゃあ結局、仕掛け人って誰なのさ? 一応ここまでの流れから大体想像できるんだけど……」 チラッ

P「確かにここまでくれば大体誰がそうなのかは分かるわな。うん」

P「まあ、察しの通り、そこのフルフェイスの女。こいつこそが仕掛け人なんじゃないかな、って俺は思ってるよ」

響「やっぱり」

??「……」





6: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 01:41:11.69 ID:9LDDfkGx0

響「それで、この人の正体って結局何なんだ? 教頭に恨みを持つって言えば元生徒だろうけど……」

P「まあまあ。それを説明するには、まず順序立てが大事だろう」

響「順序?」

P「ここで、過去この学校で何が起きていたのか。それについての推理を披露してみたいと思ってる」

響「過去この学校で起きてたこと? 確かさっきプロデューサー、臓器売買の説が薄くなった、とか言ってたよね」

P「あぁ。それを含めての俺の結論だ。まぁ聞いてくれ」

響「うん……」

??「……」 コクッ

P(あ、頷いた。一応反応はあるんだ)





7: ◆5foxAIkVmM:2014/05/26(月) 01:52:34.07 ID:9LDDfkGx0

P「まず最初に、この学校では学校主導の殺人があった。これはいいな?」

響「まぁ、それは大体予測してたことだし、別に驚きはしないぞ」

P「じゃあ何故殺したのか? 理由は多分、金儲けのため」

響「ビジネスってことか? でも臓器売買は否定してたよね。じゃあどんなことで商売をしてたっていうのさ?」

P「そうだな。『不必要な子供を処分するため』。これだろうなとは思う」

響「……へ?」

P「それだと何か変か? 単純だけど別に変ではないだろう」

P「親はいらない子供を処分できる。学校は親から大金を受け取れる。Win-Winじゃないか」

響「そ、それはそうかもだけど……。いや、それだとお金の工面はどうするのさ!」

P「金?」

響「そうだぞ。この村は学校の儲けで成り立っていた可能性が高いって言ってたよね?」

響「1つの村を存続できるほどの大金を、複数人いるとはいえ学校側が受け取れるだなんて……」

響「子供を捨てる酷い親がいたとしても、その人たちが大金持ちばかりだなんて都合がよすぎるぞ!」





53: ◆5foxAIkVmM:2014/05/27(火) 22:40:17.46 ID:MJ8BYd+E0

P「そうだな。村を存続させるばかりか、校舎の改築までできる大金、そうそう集められないわな」

響「だぞ!」 フンス

P「だから月謝という名目で分割して支払っていたんだよ」

響「へっ? 月謝で?」

P「そう。月々にやや高めの月謝を学校に支払って、処分用の分割費用として充てたんだろう」

響「そ、それでも大金を支払っていることには違いないぞ!」

P「学校生活は6年あるんだ。その間に金を貯めることも十分可能だろう」

P「それに、親の目的はあくまで『子供を処分したい』ってことだ。金の問題なんて二の次だったろうさ」

響「そんな……」

P「現在、小学生を6年間育て上げるのに掛かる生活費は約600~700万。私立なら1000万は軽く超えるだろうな」

P「昭和の時の内訳は分からんが、だいたい同じくらいの費用はかかっただろう」

P「それを手間も含めて学校側に丸投げできるんだから、『酷い親』側からしたら願ったり叶ったりだな」

響「むぅー……」





57: ◆5foxAIkVmM:2014/05/27(火) 22:58:47.38 ID:MJ8BYd+E0

P「大量生産はコストダウンの定石だ。食事も教科書も服も、大量発注でコストを減らせる

P「教員や職員もほとんどが村人から出しているし、村の中には土木に明るい人も多かったろう」

P「学校運営自体にはそれほど金はかからなかったろうし、儲けもそれなりに出たハズだ」

P「こうやって学校は大金を手に入れ、顧客は子育てから解放されてとWin-Winの関係を築くことができる」

P「ま、これが『不必要な子供を処分するため』のビジネスモデルだ。ここまではいいか?」

響「うーん……。で、でもあくまでその説が可能ってだけで、別に確定した訳じゃないんでしょ?」

P「あぁ。あくまで俺の想像だ」

響「じゃあ例えば学校側が子供に、その、酷いことをして……それで儲けていた、とかもありえるんじゃないのか?」

P「酷いこと? ……あぁ、そっち系ね。まぁ当然そういう部分もある可能性も考えたんだが……」

P「学校側は警察にまで手を回してまで死体や殺人記録などを隠していた」

P「むざむざ第三者の目の触れる所に連れだしたり、或いはビデオなんかに記録したりなんかは無かったろうさ」

P「ならば学校側の行動原理はひとつ。子供を殺し、その死を隠蔽すること」

P「しかし臓器売買は設備や環境、技術的な問題や樋村の手記などから考えにくい」

P「ならばこれでビジネスが成立するのは、この説くらいしかないだろうと踏んだのさ」





66: ◆5foxAIkVmM:2014/05/27(火) 23:27:24.18 ID:MJ8BYd+E0

響「うぅ……。まぁ一応、プロデューサーの言うことは分かったぞ。でもそれじゃあ1つ疑問が残るぞ」

P「何だ?」

響「もし入学させるのが殺害することが目的なら、なんで学校で普通に多くの卒業生が出ているんだ?」

P「そりゃあ全員が全員『顧客』の子供だったって訳じゃないからだろ。学校から一人も卒業生が出ないのは変だろ?」

P「恐らく殺害する予定の生徒はごくごく僅かで、それ以外は普通の生徒だったんじゃないだろうか」

響「じゃあ何でそれくらい普通生徒が入学してくれてるのに、学校はわざわざそんな危険なビジネスの道を選んだんだ?」

P「これも想像だが……。響、寮母の手記の『運命共同体でいるしかない』、『心中すればよかった』の文を覚えてるか?」

響「う、うん。一応だけども」

P「これ、ちょいと邪推して見れば、『生きるか死ぬかの瀬戸際に、もう戻ることが許されない道を選んだ』」

P「『こっちを選ぶくらいなら死ぬ方を選んでいればよかった』……って風にも読めるんだよな」

響「それがどうかしたのか?」

P「『子供の殺害』はあくまで『親の同意』があって初めて成立するビジネスだ」

P「間引きをしていたとはいえ、何のコネもない村で唐突にこんなビジネスの話が湧いて出るのはおかしい」

P「つまり……。このビジネスは、村の外部から提案されて出てきたものなんじゃないのかって話だ」





68: ◆5foxAIkVmM:2014/05/27(火) 23:38:52.97 ID:MJ8BYd+E0

??「……」 ホホゥ...?

響「村の外から、『子供を学校に在籍してる風にして、秘密裏に殺してくれ』って依頼があったってこと?」

P「そ。そしてその人物が村復興のパトロンとなることを条件に、村人は殺害に同意する」

P「村の学校は改築され、村はその子を殺すためだけに学校を運営し始めた」

P「入学者がそれなりにいたのは、そのパトロンが殺す予定とはいえ子供が辺鄙な学校に在学することを嫌ったからか」

P「高所得者向けの私立がどこそこでできる! だとか宣伝したのかもねぇ」

P「或いはそのパトロンと同じ考えを持っていた奴らが結託して人を集めたか……。ここまでいくと妄想になるが」

P「まぁ、仮にこんなことができるとすれば、そのパトロンは超どころじゃない大金持ちになるか」

P「醜聞嫌いの超大金持ちが邪魔な子供を処分する。うん、3流ドラマによくありそうな話じゃないか」 ウンウン

響「そ、それなら確かに筋は通ってるように見えるけどォ……。うーん、非現実的すぎるなぁ」

P「これがあくまで俺の想像ってこと忘れてないか? まぁ、細部はともかくとしてこんな感じじゃないかなとは思う」

響「……まぁ、ここで話を止める訳にはいかないし、話を続けるんだぞ」





74: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 00:17:57.33 ID:u7SzKXHf0

P「おう。じゃあ今までの俺の推理が合ってるって前提で話を進めるようか」

P「そうやってパトロンの依頼を完了した後も、学校は村の存続のために間引きビジネスを続けた」

P「しかしその中で、間引きに反対する人物が現れる」

響「寮母さん、だな?」

P「そうだな。そのうちの1人はその人で合ってる」

響「えっ? そのうちの1人って……?」

??「……」 ウンウン

P「そして彼女らは何とか生徒たちへの間引きを止めようと、学校の裏で暗躍を始める」

響「暗躍? 今までみた資料の中では特にそんな話は出てこなかったけど……」

P「ま、それはおいおい説明するとして……。響、お前にはもう説明したが、もう一度だけ九の悲劇について見ていこうか」

響「九の悲劇? あぁ、わかったぞ」





75: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 00:33:26.20 ID:u7SzKXHf0

P「まずエレベーター事件。響、これについてはどう思う?」

響「どうもこうも……さっき言った通りだぞ。事故なんてありえない。他殺だーって」

P「じゃあ何で彼は殺された?」

響「それは……間引きの一環でじゃないか? その子を殺害するよう依頼を受けていたとか」

P「そうだな。じゃあ何であんな目立つ形で放置されたんだと思う?」

響「それは……。例の樋村って人がしたんじゃないの? 校長が教頭にそんな感じのメモを残してた気がする」

P「そうだろうな。そしてそれは恐らくプール事件も同様だ。そしてそうした理由は――」

響「自分の造っている人体模型を完成させるためのパーツを手に入れる……ため?」

P「ご名答。だが多分、それだけじゃない」

響「それだけじゃないって……。え? それ以外に意図があったってことなのか? あの狂人がしたことに?」

??「……」 ダンッ!!!

響「ひゅいっ!?」 ビクッ

P「お、落ち着けよ。結論を急ぎすぎだ。響も俺の話を最後まで聞け」

響「わ、わかったぞー……」 グスン





80: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 00:54:31.91 ID:u7SzKXHf0

P「樋村は人体模型のパーツを集めていた。それは集めた資料からも楽に読み取れる」

響「だ、だぞ。それで人体模型を完成させようとしてたって……」

P「ところが、だ。樋村は人体模型を作っているにしては明らかに不自然な行動をしている」

響「不自然な?」

P「校長の手記にあった、樋村の生徒殺害の手口だよ」

響「えっと確か、死体の原型も留めないくらいにぐちゃぐちゃにしてしまってるってあったぞ」

P「そう。そして自らの手記にも臓器を潰してしまったと書き記している」

P「しかしそのすぐ後に『もっとバラバラに』だなんて言葉を残している。これは明らかに変だろう」

響「それは確かに……」

P「樋村の手記を全面的に信じるとなると、色々とおかしいんだ。心臓をいくつもストックしている風に書かれていたり」

P「脆く保存の難しい臓器よりも、骨の方を何故か貴重と言ったり……」

P「これは行動からしてもいろいろと矛盾している。考えるべき点だ」

??「……」 ジーッ





82: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 01:23:50.67 ID:u7SzKXHf0

P「さて、ここで話は飛ぶが、響。お前はゾンビ事件について、どう思ってる?」

響「どうって……。そりゃあ死者が生き返る訳ないじゃないか! 当然新聞部の誇張だと思っているぞー」

P「最初はお化けの仕業だと信じて疑わなかったくせに」 ボソッ

響「なんだ?」 キョトン

P「いや、なんでもない。だが飼育小屋の中で見つけたメモは見ただろう?」

響「一応見たことは見たけども……。あれは生きてる誰かが書いたものであって、やっぱソンビとは思わないぞ!」

P「そう。あれは生きている生徒の書き記したメモだった」

P「そして手記によると、手記を書いた人物に襲ってきたのは村人と学校の教師達……」

P「状況を読み取れば、彼、或いは彼女以外にも何人か一緒に逃げて、実際に教員に殺された子もいるようだ」

P「白昼堂々、教員総出でリアル鬼ごっこ。隠蔽第一の学校が、何故このようなことを?」

響「それは……。えっと、手記に書いてあったけど、校長の家かどこかに勝手に潜りこんだから?」

P「それなら厳重注意でいいはずだ。第一、騒動の原因は『顔を覚え~』みたいなことが書いてあったじゃないか」

響「それはそうだけども……」





83: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 01:47:46.35 ID:u7SzKXHf0

P「あれは間引き予定の子にしては数が多すぎるし、そもそも間引きを昼間っからやるとは思えない」

P「新聞を信じるなら11人。学級閉鎖までして、何故そこまで彼らを殺そうとしたのか」

P「簡単だ。それは彼らが、かつて自分らが間引いたはずの生徒たちだったからだ」

??「……」 カタッ...

響「そ、それじゃあプロデューサーは、ゾンビ事件は本当に死者が蘇って事件だったって言うの!?」

P「んな訳ないだろ。何とかして間引きから逃れた生徒たちに決まってる。校長の手記にそれらしい事が記されている」

響「だ、だよねー。 あ、そうか。これがさっきプロデューサーが言ってた、寮母さんの暗躍なのか」

P「そう思うか?」

響「えっ? 違うの? だって校長の手記には、寮母さんの遺書に『自分がやった』って書いてあったって……」

響「あれ、そういえばこのフレーズ。どこかで見た覚えが……」 ウーン

P「それはな、響。寮母室にあった――」

響「そうだ! 遺書の下書きでそんな台詞を書いた遺書が何十枚も書いてあって――あれ?」

P「そ。寮母の遺書はあらかじめ用意されていた。あの枚数は短い時間で用意できるような量じゃない」

響「じゃあ寮母さんの遺書は一体……」

??「……」 ジーッ





84: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 02:01:50.38 ID:u7SzKXHf0

P「それに仮に寮母が間引かれる生徒を救ったとして、どうやってだ?」

響「え? えっと、それは……隙を見て人形とすり替えたり、だとか?」

P「それじゃあ触った瞬間、即バレるだろう。それにすり替えるタイミングがあったとは思えない」

響「じゃ、じゃあ、薬で仮死状態にして、死んだと思わせておいて、後で蘇生させる……とか?」

P「この学校の隠蔽っぷりは徹底的だ。3階隠し部屋を見るに、綺麗な死体なんて一つもなかったんだろう」

響「じゃあどうやって……」

P「着眼点は悪くないぞ。俺も生徒を救うには、生徒と何かをすり替えたんだと思っている」

響「で、でもプロデューサーの話じゃすり替えるのは不可能だって……」

P「いや。すり替える事の可能な人物が一人いるぞ」

響「えっ? だ、誰だそれは」

P「簡単な話さ」

P「それは『その生徒を間引いていた人物』、その人だよ」





85: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 02:31:50.83 ID:u7SzKXHf0

響「へっ? 寮母さんが間引く側で参加すればすり替えがきくってことか?」

P「違う違う。それじゃあすり替えても死体を調べられて終わりだって言ったじゃないか」

響「うがー! 意味が分からないぞ!」

P「もっと正確に言おうか。生徒を救うには、生徒と何かとすり替え、かつ『死体を調べさせない』必要があった」

響「死体を調べさせない……? それができるのが間引いている本人ってことなのか?」

P「そうだ。響。こういった事情で遺体を調べずに済む状況ってどんな時だと思う?」

響「えっ? うーん、そりゃあ遺体がグロテスクになってるとか、明らかに死んでいる時だとか……」

P「そう。明らかに死んでいる時だ。頭をミンチにされてたり、全身を燃やされて黒こげにされてたり……」

響「うぐっ。確かにそんなのじゃ調べる気にもならないぞ」

P「そんな凄惨な遺体を前にすれば、誰にだって遺体の確認はおざなりになる」

響「確かに……。あ、もしかして寮母さんはそうやって死体を偽装したのか?」

P「……響。ここまで言ってまだ気付かないのか?」

響「えっ?」

P「遺体を凄惨な状態にする、遺体を調べさせない、気が触れていると思ってくれれば好都合……」

響「遺体を凄惨な……あっ!!! って、えっ? えっ? も、もしかして……」 オロオロ





87: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 02:42:49.94 ID:u7SzKXHf0

P「飼育小屋の生徒は『先生たすけて』と残していた」

P「寮母に対する呼称が先生だったのかは知らない。が、もし違うのであれば、この『先生』は学校の教員のことだ」

P「そして仮に彼ら、彼女らを救ったのがその『先生』であるのなら、それはもう一人しかいないだろう」

P「響。さっきの問いに対する返答をするぞ」

P「生徒を救い出そうとしていた人物。それは寮母の他に、もう1人いたんだ」

P「それは周りにイカレた殺人鬼の演技をしつつ、裏では生徒を救い出すために暗躍していた人物」

P「生徒を間引きの現場から救い出していたのは、恐らく――」

P「26年前に逮捕された、人体模型事件の犯人と言われている男」


P「樋村博教諭、その人だ」


??「……」 パチ パチ パチ...





92: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 05:10:34.43 ID:u7SzKXHf0

P「樋村は恐らく理科を担当していた教師だ。他にも兼任してたかもしらんが、今はどうでもいい」

P「彼の根城である理科準備室にはエンバーミング、プラスティネーションの本があった」

P「恐らくはあれを元に生徒の身代わりとなる『死体』を造っていたんじゃないか」

P「飼育小屋の手記には『先生が私たちの死体を作ってくれた』みたいな記述があるし、ここは間違いないだろう」

P「その身代わりの死体を作るために骨や臓器が必要になり、それを間引いた子供たちから拝借した」

P「骨が貴重と言ってるのは、臓器や肉は潰してしまえば誤魔化しがきくが、骨はそうはいかないからだろうな」

P「或いは子供の体格に合った骨は、同じく子供からしか取れないからか」

P「目につきにくい部分は石膏や粘土で代用し、プラスティネーションなどの技術で生きてるような質感を出した」

P「流石によく調べればバレるだろうから、誰も調べないよう樋村は派手なやり方で遺体をぐちゃぐちゃにしたんだろう」

P「刃物をもって振り回せば、誰も近づきやしないだろうしな」

響「それで……。あっ! もしかしてあの人体模型って……」

P「そうだな。樋村の造っていた人体模型。あれは本当は誰かのための身代わり用の死体だったんじゃないか?」

響「だからいろんな子供の臓器や骨が使われていたのか……」





94: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 05:16:06.61 ID:u7SzKXHf0

P「正直、間引く手順はどうやったのかは知らないから、すり替えの方法は完全な想像で答えるしかない」

P「だが仮にあの3階の秘密の部屋でやるのなら、いろいろとすり替えのやり方は思いつく」

P「あの通路は男性用更衣室のロッカーに隠されていて、なおかつ非常に狭い空間だった」

P「樋村個人のロッカーの中にあらかじめ身代わりの死体を入れておいて隠しておく」

P「そして誰か同伴者がいるのなら、先に部屋に入って準備でもしててくれとでも言ったんだろ」

P「あの秘密の通路は1人通るので精一杯だ。振り返られる心配もない」

P「そして同伴者が通路に入ったら、ロッカーの遺体と生徒をすり替えて、自分も部屋へと入っていく」

P「部屋は窓もなくうす暗い。眠らせていたであろう静かな生徒と、物言わぬ死体との区別もつき難かったはず」

P「そして入って作業台に寝かすなり、後は樋村ご自慢の演技で派手にぐちゃぐちゃにする」

P「恐らく顔とかを優先的に潰していったんじゃないか?」

P「ま、本当に同伴者がいたかわからんが、あの部屋の狭さと手間を考えれば2人が限度だろう」

P「これで人目につくことなく死体と生徒をすり替えられたんじゃないかね」

響「ははぁ。そういうやり方があったのかー……」





95: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 05:32:08.34 ID:u7SzKXHf0

響「と、とにかくプロデューサーの言うことは分かったぞ。それじゃあ樋村は良い奴だったんだな」

P「俺の推理が正しかったらな。まぁ、俺はかなり正解に近いと思ってはいるんだが」 チラッ

??「……」 グッ

P「どっちの『グッ』だ? 合ってるのか間違ってるのかわからん」

??「……」 ジーッ

P「ま、まぁいい。話を九の悲劇に戻そう。ゾンビ事件はこれらの方法によって難を逃れた生徒の存在がバレた事件だ」

P「きっかけは村人に間引いた子供の顔を覚えてる奴がいて、そいつに見つかったから……」

P「それで大変な事態に気付いた学校側は、全学生徒を体育館に移動させて隔離し、殺戮を始めた」

P「そしてあっという間に9人もの子供が殺されてしまった」

P「飼育小屋の手記は、その地点で難を逃れていた2人のうちの1人が書いたものだろうな」 チラッ

??「……」





101: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 06:05:16.69 ID:u7SzKXHf0

P「さて、ここで寮母サイドに視点を移そう。校長の手記によると、寮母は遺書を書いて自殺した」

響「九の悲劇でいうところのミキサー事件のことだな」

P「失敗を予感してか、と手記には書かれていたが、それでも自殺する理由としては薄い」

P「そこで思いついたのが、自分の息子を生徒逃がしの嫌疑から逸らさせるためかって奴なんだが……」

響「確かに。全部自分がやりましたと言えば、まだこれからも生徒を救える可能性は残せるからな」

P「だが校長の手記にあった『最後の一人を処理したのは彼女の息子』、『遺体は原型を留めていない』」

P「これを読んで、それだけじゃなく、別の理由もあるかもしれないことに気付いたんだ。響、何か気付かないか?」

響「樋村が処理って……。もしかしてそれ、また身代わりの遺体で助けたのか?」

P「そうだろうな。じゃなきゃ原型を留めないほどにぐちゃぐちゃにする理由もない」

響「でもよく身代わりの遺体を用意できたなぁ。急ごしらえで造ったのかな?」





102: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 06:06:45.20 ID:u7SzKXHf0

P「そう。いつも臓器が足りない、骨が足りないと嘆いていたのに」

P「それに拵えるスピードも恐ろしく早い。死体加工処理なんてのは数分で出来る内容じゃないんだぞ」

響「エンバーミングやプラスティネーションなしじゃあ、死体がリアルにならないよね……。うーん、どういうことだろ」

P「しかもいくら急ごしらえで造ったとしても、髪や臓器、骨などは誤魔化しが効かない。これらは必須のアイテムだ」

響「じゃあ……。うーん、すでに殺されていた生徒たちの骨や臓器を流用した?」

P「それも恐らくその時に限っては無理だろう。遺体は学校が管理したろうし、易々と近づくこともできなかったろうし」

響「それじゃあ、えーっと……。うーん、」

P「ところで響。校長の手記によれば、寮母の遺体。随分と酷い有様だったらしいな」

響「そうだな。えーっと、確か飛び降り自殺なのに遺体はバラバラになっていて……ってまさか!」 ハッ!

P「多分、そのまさかなんだろうな」


P「寮母はその生徒を救うために自分の命を絶ったんだ」





109: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 06:35:31.37 ID:u7SzKXHf0

??「………………」

P「最初は難を逃れたもう2人のうちのもう1人を殺して、もう1人を救ったのかな、と思ったんだが」

P「校長の手記に書いてあったが、死亡推定時刻がその生徒を救った時刻とかなり近いということ」

P「そして校長の手記に『最後の1人』とあったので、もう1人もすでに殺されてしまっていると踏んだこと」

P「これらから、最後の生徒を救うのに必要な臓器や骨、肉や髪を寮母から流用したんだと判断したんだ」

P「死後すぐであれば、肉や臓器はまだ色褪せることもなく、エンバーミングなどをする必要もない」

P「これによってかなりの早さでフェイクの死体を作ることができる。原型を留めないのなら尚更だ」

響「そのために寮母さんは自殺を……!? そ、そんな。惨いぞ……」 ヨロッ...

P「だが、飛び降り自殺をしたわけでもあるまい」

響「……えっ? ど、どういうこと?」

P「せっかくの死体なのに、飛び降りて臓器が潰れたり、血が流れ出てしまったらおしまいだ」

P「だからあの日は多分、寮母は別の場所で、なるべく血の流れない方法で自殺したんじゃないだろうか」

響「なるべく血の流れない方法って……?」

P「血や臓器に変色などを起こさないような毒、水死、窒息死……。どれかは分からん」

P「もしかしたら、自分の息子の手で首を絞めてもらったんかもしれないな」





110: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 06:37:06.08 ID:u7SzKXHf0

響「自分の息子の手で……。そ、そんなことがありえるのかっ? あっていいのかっ?」 ウッ

P「そういきり立つなよ。でもすぐにフェイクの死体に流用するため、近くに樋村を置いて自殺したと考えた方が自然なんだ」

P「最後は息子の手で……なんてことがあっても別におかしくはあるまい」

響「でも、でもそれじゃあ、あまりに悲しすぎるぞー……」 グスッ

P「あーあー。泣くな泣くな。これはあくまで俺の推理が当たってたらの話で、その上でさらに仮定の話だ」

P「推理通りだとしても、実際は苦しまない毒で眠るように息を引き取ったのかもしれないしさ」 アセアセ

響「……ホントか?」 クスン

P「本当本当! ていうか仮定の話で泣くなよ」

響「わかったぞ……」 グシグシ

P「まぁ、とにかくだ! そうやって寮母は臓器などを流用された後」

P「樋村の手で、そのバラバラになった残骸を中庭にバラ撒かれたんだ。予め用意してた遺書と共にな」

P「これが俺の考える寮母の自殺の真相。そしてミキサー事件の真相だ」





144: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 23:09:21.24 ID:u7SzKXHf0

P「さて。視点をゾンビ事件の方に戻そう」

P「ここまでの推理が合っていると仮定して、では何故バレるような状況に陥ってしまったのか」

P「飼育小屋の手記には校長の家か何かから出るときにバレたと書いてあった」

P「まさか校長に匿って貰っていたというわけでもあるまいし、恐らく勝手に忍び込んでいたんだろう」

P「それが樋村の指示かは分からないが、救い出した生徒をむざむざ危険な場所に送り出すとは思えない」

P「なので校長の家かどこかに忍び込んだのは生徒側の独断だろう」

P「で、何故そのようなことをしたかと言うと……」

響「証拠の確保……とかか?」

P「まぁ、そうだろうな。校長の鍵が寮母室にあったのを考えれば、そうだとしてもおかしくはない」

P「最初からそういう計画みたいなのを練っていたのか、或いは突発的なことかは知らない」

P「しかし不幸にも村人に見つかってしまい、結果あのゾンビ事件が発生した」

P「結末は今語った通り。これが俺の推理するゾンビ事件の真相だな」





146: ◆5foxAIkVmM:2014/05/28(水) 23:18:56.12 ID:u7SzKXHf0

響「そっか……。でもよく生徒を救い出すことができたな」

響「いくら精巧な作りの身代わりの死体でも、バレる時はバレそうなものなんだけど」

P「学校は警察に介入させなかったし、正確に死体を調べられる人材がいなかったのかもな」

P「或いはその知識がある可能性がある学校保険師が、寮母さんだったのかもしれない」

響「そういえば保健室にも粘土やら糊とかがあったし、そうだったのかもしれないな」

P「そういうことだ。……さて、じゃあゾンビ事件についての推理も終わったし次に移ろうか」

P「次は樋村が逮捕された、人体模型事件についていろいろ推理を披露したいと思う」

響「人体模型事件かぁ……。ここまでのプロデューサーの推理を聞けば、なんとなく察しがつくけれども」

P「ま、話を進めるために必要なことだ。同じ推理かはともかくとして聞いてくれ」

響「わかったぞ」

??「……」 コクリ





148: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 00:06:20.27 ID:2e56Ay4H0

P「さて、次の人体模型事件だが……。これは樋村の自首という形で締めくくられている」

P「なぜ樋村は自首をなんかをしたのか。その原因は恐らく先のゾンビ事件が原因になるんだろうな」

響「ゾンビ事件が原因で……?」

P「もっと詳しく言えば、寮母が亡くなったこと。証拠を確保するのに失敗したこと」

P「加えて状況を考えれば、間引き時の監視や遺体のチェックが厳しくなって、すり替えが困難になったからかもしれん」

響「生徒を救うのが難しくなったから、だな。それならだいたい分かるぞ」

P「あぁ。それでも学校は間引きを止めないだろう。しかし間引きを良しとしない樋村は最後の手段に出る」

P「身代わり用の死体を持って、学校の手の回っていない地域の警察へ赴いた」

P「そして自身が全ての罪を被るかわりに、学校で起きていたこと全てを世間に知らしめたんだ」

??「……」

響「でも、それじゃあ1つだけ疑問が残るぞ?」

P「ん? 何か変なことでもあるのか?」

響「変、というか……。自首の目的が間引きを止めさせることなら、何で1年近くの期間が空いてるんだ?」

P「何でって……そりゃあいろいろ準備しなきゃいけないこともあったし、何より放っておけない存在があるだろうが」

響「放っておけない存在?」

P「ゾンビ事件で救い出した、寮母の忘れ形見でもある生徒のことだよ」

響「あっ!」





150: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 01:08:43.27 ID:2e56Ay4H0

P「先の事件で寮母が亡くなってしまい、その子が頼れる人物はもう自分しかいない」

P「だが自分は学校の間引きを止めるために、警察に全てを話に行く予定ではある」

P「その子の親の元に送り返すわけにもいかないし、これについては樋村も相当悩んだはずだ」

P「だから樋村は苦肉の策として、その子が一人でも生活が送れるように色々な準備を行った」

P「家事の仕方を教えたり、戸籍の準備などで1年ほどの時間を使ったんだろう」

P「あと生活費用。要は財産を残すためにいろいろと工面をしてたのかもしれん」

P「もともと救い出した生徒を何人も匿えてたし、学校から出てる給金は悪くなかったんだろうしな」

P「そうやって全てのやるべきことを終えた後、樋村は警察へと自首をした」

P「これが俺の考えている樋村自首までのシナリオだ」

響「その子のための準備期間、かぁ……。それで一年ほど期間があったんだな」

P「或いは単にその子が中学生になるのを待っていたのかもしれない」

P「全寮制の小学校はまず見かけないが、中学ならば全国レベルで見ればそれなりにあるだろうし」

P「ま、一人でも生きていけるのを待っていたというのは同じではあるが」





152: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 01:51:36.08 ID:2e56Ay4H0

P「後の話は簡単だ。いろんな生徒の死体の一部を使用した人体模型を持っていき、私がやりましたと話す」

P「そして手の回ってない警察が村に乗り込む前に、急いで事態を隠蔽しようと躍起になる学校」

P「しかし事前に金庫の鍵やらを盗まれていたせいで、ろくに隠蔽も出来ないまま学校は閉鎖したってところか」

響「なるほど。でもそれで、校長や教頭はどうなったんだ?」

P「んー。面白くない話だが、玄関に張ってあった壁新聞を見るに、証拠不十分の不起訴で終わったんじゃないかね」

響「そ、そんな……。一番悪い奴が特別なにも罰を受けることなく終わるだなんてあんまりだぞ!」

P「いやいや。一応これも樋村の考えのうちだった可能性があるんだよ」

響「……へ? どういうことだ」

P「樋村は学校への断罪よりも、子供たちのことを優先したんじゃないかって話だよ」

響「うー? 言ってる意味がわかんないぞー」 ウーン





154: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 02:08:18.22 ID:2e56Ay4H0

P「まず樋村は確定的な証拠を提出せずに事件を終えた」

P「手にしているであろう、金庫の鍵を警察に引き渡せば、校長や教頭も断罪できただろうに」

P「だがそれをしなかった。何故か? 多分、間引きを依頼した親たちを脅そうとしたからじゃないだろうか」

響「脅し?」

P「例え廃校になっても、その学校へ間引きを依頼した親たちの子供への態度が変わるとは思えない」

P「もしかしたら今度こそはと、別の方法でその子を再び間引こうと画策するかもしれない」

P「だからそうさせないために、あえて証拠を残し、そういった親への牽制として使おうとしたんじゃないか?」

P「『もしその子を虐待したり殺したりでもしてたら、証拠としてとってある血印書を警察に提出するぞ』」

P「『そうなればお前は破滅する。そうされたくなければその子と共に平穏に暮らせ……』」

P「……とまぁ、こういう感じの脅し文でも親へと送ったのかもしれないな」

響「なるほど。親からすれば、子供を間引けたとしても自分が警察に捕まってしまったら元も子もないだろうからな」

P「ちょうど時はバブルの真っただ中だ。中には身分的に醜聞を嫌う親もいただろう」

P「全てを話せば親と教師陣をブタ箱へと送れるかもしれない」

P「だが代わりに子供たちは親を失い、残酷な事実を知って、失意のままに施設へと行くことになる」

P「それならば多少関係はギクシャクしてでも、それぞれの親に責任を持って育ててもらった方がいいと判断したんだろう」

P「ま、あくまでこの部分は証拠はなく、全部俺の想像ではあるけれどもな」





157: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 02:18:28.07 ID:2e56Ay4H0

響「そこまで考えて……。樋村って人は本当にいい人だったんだな」

P「ま、ちと好意的に解釈しすぎたきらいはあるけれど、でも的外れって訳じゃないと思っているぞ」

??「……」 ウンウン

P「さて、ここまで推理をすれば、残りの九の悲劇はどうとでも解釈できるわな」

P「プール事件は何故か被害者は近くの中学の生徒だった」

P「捜索届が出されていたのなら間引き目的じゃあるまいし、多分巻き込まれた形だったんだろう」

P「間引き現場を見られたか。或いは死体を見つけられたのか」

P「はたまた、まったく別の事件で死亡しただけであるのか……。まぁどうでもいい話だな」

P「カッター事件は年代から考えて、まだ校舎の改築をしてない頃の間引き時の事件だったんじゃないかね」

P「不手際で生徒を逃がしてしまい、放送で助けを求められる一歩手前までいってしまった。そんな感じか」

P「そしてギリギリのタイミングで喉を切り裂くことに成功して、何とか事なきをえた……みたいな?」

P「ま、これも資料が足りないから何とも言えないが、これが3階の秘密の部屋を作るきっかけになった事件かもしれんな」





162: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 02:41:34.62 ID:2e56Ay4H0

P「そして女教師の小物事件。あれは寮母を指してのなら、一応は筋は通る」

P「だが自身の身体を使って小物を作成していたっていうのは流石にガセだろう」

P「多分、素材として使用していたのは、間引かれた子供たちの肉体の一部なんじゃないかな」

響「間引かれた子供たちの死体を使って小物を作っていたってことか?!」 ゾクッ

P「あぁ。だが子供の血肉は貴重な素材だ。安易に使えたとも思えない」

P「もし使えたとして、破損した骨の一部やら潰れた肉、少量の髪の毛くらいだろう」

P「それでも、いつの日かそれが証拠になる日が来ると信じて」

P「或いは人知れず死んでいった子供たちの存在を永遠に残すため」

P「そういう風な行動に出たのかもしれないな」

響「寮母さんも、いろいろと頑張ってたんだな……」

P「当然それはあくまで噂だけで、実際には何もやってないって可能性だってあるけどな」





163: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 02:51:53.41 ID:2e56Ay4H0

P「飼育小屋の事件は……特に語るまでもないな」

響「校長の手記には、樋村先生のお父さんがやったって書いてあったぞ、確か」

P「その前後の文を見てみるに、まぁ間引く予定の子をあの場所に隠して救い出そうとしたんだろうな」

P「これは寮母の手記の『あの人と同じ夢を見るようになった』に通じるな」

P「父親も、間引きに反対していた人物の1人だったんだ」

響「樋村一家は、みんないい人だったんだな」 ウルウル





164: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 03:05:06.57 ID:2e56Ay4H0

P「と、まぁこれが九の悲劇についての俺の考えだ。筋は通っているだろ?」

響「まぁ、明らかに変だと感じるような場所は思いつかなかったぞ」

P「まぁ探したら間違いの5、6箇所くらいあるのかもしれないが、大筋はこんなもんで確定してもいいだろ」

P「と、言う訳なんだが……どうだろう」 チラッ

??「……」 パチパチパチパチ

P「……合ってるってことでいいんだろうか」

響「そう解釈していいんじゃないかな?」

P「とりあえず、推理が合ってると解釈させてもらって、最後にまとめに入ろうか」

響「そうだな」

P「今言ったような出来事が過去発生し、そうやって学校は閉鎖された」

P「そして学校関係者や村人も村を離れざる得なくなり、そのままこの村は廃村となった」

P「証拠が学校にまだ確かに残ってはいたが、鍵もなければ回収することはできなかったんだろう」

P「そうして月を越え、年を越え、やがて25年の時間が流れた」





168: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 03:24:25.05 ID:2e56Ay4H0

>>812の言う通り、>>806を更に訂正
今、私頭おかしい
響「なるほど。親からすれば、子供を間引けたとしても自分が警察に捕まってしまったら身も蓋もないだろうからな」

響「なるほど。親からすれば、子供を間引けたとしても自分が警察に捕まってしまったら元も子もないだろうからな」





170: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 03:39:11.90 ID:2e56Ay4H0

P「何故今頃になって、この計画を実行したのかは分からない」

P「だが平穏に暮らしていた教頭の元へ一通の知らせが届く」

響「同窓会案内だな」

P「そうだ。そして教頭は慌てた」

P「訴訟を恐れてか、それとも周りの人間に、或いは家族に自分の素性がバレるのを恐れたのかは知らない」

P「教頭は急ぎ証拠を処分しに当時の廃村へと向かった」

響「でも、それは罠だったんだっけ」

P「この廃村までは、最寄りのホテルからでも車で2時間以上はかかる」

P「もしホテルを利用せずに来たのであれば、更なる時間がかかっただろう」

P「そしてこの場所にやってきた教頭は急いで廃校でのタイムカプセル探しに奔走する」

P「そして――その最中に乗ってきた車。或いはバイクなどを仕掛け人に隠されるか壊されるかされてしまう」

響「えっ? そうなのか? 初耳だぞ」





187: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 19:14:17.18 ID:2e56Ay4H0

事件を1つ入れ忘れました
突然の>>810訂正

P「飼育小屋の事件は……特に語るまでもないな」

響「校長の手記には、樋村先生のお父さんがやったって書いてあったぞ、確か」

P「その前後の文を見てみるに、まぁ間引く予定の子をあの場所に隠して救い出そうとしたんだろうな」

P「これは寮母の手記の『あの人と同じ夢を見るようになった』に通じるな」

P「父親も、間引きに反対していた人物の1人だったんだ」

響「樋村一家は、みんないい人だったんだな」 ウルウル

P「そして最後にタイムカプセル事件は、学校の裏側を覗こうとした生徒を排除したってのが真相だろう」

P「卒業の前後に学校の手にかかってしまったから、このような形の噂になったんじゃないか?」

P「事実、さっき見つけたタイムカプセルには人の骨らしきものなんて入ってなかったしな」

P「この事件に関しては、他にも補足が必要だと思うが……今はおいておこう」

響「補足?」

P「すぐわかるよ」

??「……」





188: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 19:30:27.36 ID:2e56Ay4H0

P「ついさっき思い出したんだよ。殴られた時、なにを見つけたのかを」

P「俺は校舎の更に北にある廃材置き場に、バイクとミニカーが隠すようにして置いてあったのを見つけたんだ」

P「多分バイクの方はこの人の持ち物で、教頭はミニカーを運転してやってきたんじゃないか?」 クイッ

響「それが原因でプロデューサーを?」

P「そうなんだろうな。まったく、すごく痛かったわ」

??「……!」 ペコッ

P「……まぁいいや。それで話を戻そうか」

P「ミニカーをどうやって動かしたのかは知らない。鍵が刺さったままだったのか、それとも奪いとったのか」

P「しかし俺たちの車を修理をしたり、車内にメモなどを置けたことを考えれば、ピッキングの技術でも持ってるのかね」

響「そ、そうなのか。やっぱり車は安全地帯じゃなかったんだ。今考えるとぞっとするぞ」 ブルブル

P「帰る手段を失った教頭は、廃村の中を彷徨うほかなく、次第に精神をすり減らしていき、やがて発狂する」

響「確かに。何度もこの場所で夜を越えろって言われたら、絶対に頭がヘンになっちゃうぞ」

P「そして、いよいよ最後の仕上げに取り掛かろうとした時、俺たちがやってきた」





192: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 20:05:49.17 ID:2e56Ay4H0

P「後は最初に推理した部分に繋がるな」

P「心霊現象の正体は、教頭用の罠と俺たちを学校から追い出すための策略」

P「教頭の目的は証拠の隠蔽」

P「仕掛け人の目的は、教頭を狂わせて恐怖のどん底の中殺すため」

P「以上が、今回の事件の真相だ。と、俺は推理した」

響「なるほどなー……。何にだって説明をつけようと思えばつけられるんだな」

P「そうだな。ま、これで俺の推理は以上になる」

響「えっ? いやいやいや、ちょっと待ってほしいぞ」

P「ん? 何だ。まだ何かあるのか?」

響「いやさ。今までの真相は分かったけど、それじゃあ結局この人は誰だったんだ?」 チラッ

??「……」 ジッ

P「あぁ、その人の正体ね。うーん、なんか面倒くさくなってきたし、別に正体なんて何でもいいんじゃないかな」

響「いや、ここまで来たら是非とも知りたいぞ! っていうか何で最後の最後でやる気なくしちゃうのさー!」 ペチペチ

P「あー、うん。そうか。じゃあまあ……結論から先に言っちゃうとだな……」

響「うん」 ゴクリ





193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 20:07:48.17 ID:5apn6vye0

…(ゴクリ)





194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 20:10:46.28 ID:WUx4KvUZo

ゴクッ





196: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 21:08:01.36 ID:2e56Ay4H0

P「想像ではあるが、5代目と呼ばれていた新聞部員。もしくは近しい人物、だろうな」

??「……」 ゴクッ

響「新聞部員? それには根拠みたいなのはあるのか?」

P「ん。響、玄関先に貼られていた新聞と、教頭への脅迫状の文字の類似性はすでに知ってるだろ?」

響「うん。かなりの高確率で同一人物だーって……」

P「徹底的に情報隠蔽がされていた当時、教頭の弱みを知る人物が何人もいるのはおかしい」

P「タイムカプセルの中身が教頭にとって困るものであると知っていたのは、恐らくあの脅迫状の差出人くらいだろう」

P「では当時、訳あって学校側の秘密を探るような理由があったとすれば、それは一体どんな人物は誰か?」

P「十中八九、新聞部の連中以外にありえない。『学校の秘密を探る部』みたいな部があれば話は別だが――」

P「ま、そんなピンポイントな部活はなかったろうし、新聞部あたりで当たっているはず」

P「ならば玄関に張られていた新聞の製作者も、同じくその新聞部員で合ってるはず」

P「そしてその新聞を貼ったのは――もう説明はいらないな」

響「なるほどなぁ」

P「まぁ、ちと気になる点もあるけどな」

響「気になる点? 何かあったっけ」





197: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 21:15:25.56 ID:2e56Ay4H0

P「いや、これは言わないでおくよ。とりあえず俺の予想するこの人の正体は新聞部員の誰か、だ」

響「そこまで来たら言ってもいいと思うのに……」

P「証拠が足りてないんだよ。そういう推理はこの場所では話したくはないな」

響「プロデューサーがそういうのなら仕方ないのかなぁ」 フーッ

??「……」 フムフム

P「さて、と。これで俺話すことは終わりだ」

P「あんたがここで待ち構えていた理由は問うまい。だが、これで一先ずは安心できただろ?」

P「そもそも俺は、今の推理が合っていようが合っていまいが、帰ってからこの事件について触れまわる気はない」

P「率直に言えば、変な噂を流してあんたのやりたいことの邪魔はしない」

P「だから、まぁなんだ。そう身構えるなよ」

??「……」 ザリッ

P「それに――」

            オーイ コッチニ クルマ ガ アッタゾー !!   765プロ ノ ヒト ガ ノッテタ クルマ タ ゙!!

??「!!」

響「人の声! スタッフが探しにきてくれたのか!」

P「もう時間が来たようだしな」





201: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 21:31:41.12 ID:2e56Ay4H0

P「ま、教頭の命は諦めろ。あれはもう二度と正気には戻るまい」

P「もう充分に復讐にはなったろう。まぁ今諦めても、後から再び……っていうのなら別に止めはしないけどな」

??「……」 ザリッ カツコツ...

響「あ、逃げるみたいだぞ! 追わなくていいのか?」

P「放っておけ。せっかく無事生還できたのに、ここで下手に争って怪我なんてしたくないし」

??「……」 グッ  カツッ コツッ

P「あ、そうだ。忘れてるものがあるぞ。おい、響」

響「ふぇ?」

P「持ってきた資料全部渡してしまえバッグごとだ」

響「……それでいいの?」

P「別にいいだろう。俺はもう何もする気もないし、別に持ってても何があるってわけじゃないだろうし」

響「プロデューサーがそういうなら……。はい」 スッ

??「……」 ジーッ

P「別に罠なんかじゃないって。ほら、受け取れよ」 ポーイ

??「……!」 トスッ





202: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 21:39:43.85 ID:2e56Ay4H0

P「あ、そうだ。最後だからひとついいか?」

??「……?」 クルッ

P「あのタイムカプセルに埋められてた壁新聞には、一体どんなことが書かれていたんだ?」

P「教頭が躍起になる所を見れば、間引き関連の話だろうけど……。実はまだ読んでないんだよ」

P「これは単なる好奇心からだ。できれば教えてくれないかね」

??「……」 ンー...

??「!」

??「…………」 ...ガサゴソ

響「ん。見せてくれるのかな? 変に律儀だなぁ」

P「ん? でも取り出したのはメモ帳と……ペン?」

??「……」 キュッキュッキュッ...

響「何か書いてるのか?」

P「喋ればいいのに……。意地でも口を開かないつもりなんだな」





203: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 21:58:52.38 ID:2e56Ay4H0

??「……」 キュッ  ビリリッ       ポーイ

P「おっとっと……。何だ、これを読めってことか」

??「……」 コクッ

??「……」 ゴソ...

響「?」

P「今度は自分のウェストポーチを漁ってるな。このメモの他に、まだ何かあるのか?」

??「……」 ゴソ...   コトッ

P「? なんだそりゃ」

響「!!! それ、自分の携帯電話!」

??「……」 クルッ   カツコツ...

響「失くしたと思ってたのに、何だ。あの人が持っていたのか!」

P「んー、どれどれ? ……おっ。なんだこれ、まだ動くじゃないか。よかったな、響」

響「な、なんでこれまだ動くの? 壊したつもりだったのに……」

P「何でって……。折りたたみの携帯の間接部をへし折ったところで、基盤は何もダメージを受けなかったからだろ」

響「あっ、そうか……。考えてみれば当たり前のことだったぞ」





206: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 22:19:28.12 ID:2e56Ay4H0

P「しかし、これでやっと終わったな……」

響「長かったぞ……。ねぇ、プロデューサー。これで、本当に終わりだよね? もう家に帰れるんだよね?」

P「あぁ。もう、怖い思いをすることもない。何もかも、全部終わったんだ」

響「はぁーっ! そっかー、やっと帰れるんだな!」

響「これでやっと、やっと家へ……帰っ……」 ジワッ

響「うっ……ぐすっ……」 ポロポロ

P「響……」

響「あ、あれ。なんでだろ。嬉しいハズなのに……。安心したら急に……、急に涙が……」 ポロポロ

P「響。もう無理する必要はないんだぞ。……今までよく頑張ったな、響。お疲れ様だ」 ナデナデ

響「……ゔん……。頑張ったぞ。一生懸命、がんばったぞ」 グスッ

P「さぁ、俺たちも行こう。そして一緒に帰るんだ、あの日常へ」 スッ

響「うん……うん……」 ギュッ


――――――………………

―――………

――……





213: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 22:27:12.48 ID:2e56Ay4H0

- 帰り道 車中にて -

響「……」 ピッピッ

P「なんだ響。携帯なんかを弄ったりして」

響「ん? 印刷室の時の着信とかを調べてたんだぞ。何か手掛かりがあるかと思って……」

響「でも、なーんにも無かった。消されちゃったのかな? それともあれは唯の勘違いだったのかな」

P「それって、印刷室の春香の声で着信があった……ってやつか?」

響「うん。どうしてもそこだけが分からなくて……。プロデューサー、この謎は解ける?」

P「んー……。まぁ、可能性みたいなものは挙げることはできるけれども」

響「例えば?」





215: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 22:40:10.22 ID:2e56Ay4H0

P「まず1つ目は完全な響の勘違い」

P「その時は相当怖い思いをして、かなりの極限状態にあったんだし、幻聴に近い何かを聞いた可能性は否定できない」

P「最後の『見つけた』の部分は実際誰かが発した声で、その声で我に返り、このような勘違いをしたって説」

響「うーん……。極限状態だったってのは否定できないけど、ちょっと都合が良すぎる気がするぞ」

P「まぁ、それもそうかもな。そして2つ目は聞き違い説。これが結構有力だ」

P「あの学校はかなり電波状態が悪いが、だが稀に繋がることもある。中庭前であったな」

響「確かにあの時、プロデューサーは一瞬だけ繋がったって言ってたな」

P「それで実際に電話が繋がり、実際に春香と会話をした」

P「そして最後のあたりで、春香のそばで電話の様子を伺っていた誰かがこう言ったんだろう」

P「『見つけた? そこから動かないように指示しておいて』とな」

響「えっ?」

P「しかし運悪く会話の途中で電波が途切れ、先のような台詞になってしまったという説」

響「確かに……『見つけた。そこか』だなんて、脅しの台詞としては中途半端すぎるぞ」

響「もっとスマートな言い回しがあったと思うのに」

P「これは春香が電話してなきゃ成り立たない説だな。帰ったら春香に聞いてみるのもいいかもしれない」





221: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 22:52:17.45 ID:2e56Ay4H0

P「3つ目は声真似説。これもそこそこ有力」

響「声真似ってことは、あのフルフェイスの女性のってことか?」

P「あいつは俺たちの前で顔はともかく、声すら出そうとしなかった」

P「俺は恐らく一度、車の所で聞いてはいるんだが……。それでも俺は響の声と勘違いをした」

響「そうだったな。まったく、担当アイドルの声と間違えるだなんて酷いぞー!」 プンスカ

P「いや、それはすまんかった。だがあの時聞いた声は、思った以上に若い女性の声だったんだ」

P「だからその女性の声を響が春香と勘違いしてしまっても、特別変ではないと思うんだ」

P「さっきも言ったが、あの時は極限状態だっただろうしな」

P「そして最後に声色を変えて、響を驚かせる。これなら一応筋は通るんじゃないかと思うがなぁ」

響「うーん……。この説もちょっと無理矢理臭いけど、なくはないかも」

響「当時は間違いなく春香の声だと思ってたけど、今冷静に振り返ってみれば、本当に春香の声だったのかな……?」

P「電話の相手は最初、お前の名前を呼んで、優しく友好的に語りかけてきた」

P「それを聞いて、咄嗟に仲間からの電話だと思い、その声に一番近かった春香の声と勘違いしたんじゃないか」

P「まぁ、これが3つ目の説だな」





228: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 22:59:53.18 ID:2e56Ay4H0

響「ふぅん……。やっぱ色々と思いつくものなんだなぁ。これで全部か?」

P「いや、正確にはもう1つだけ可能性を考えたんだが……。間違いなくこれは違うだろうし言わないでおくよ」

響「んもー。なんでそうやってプロデューサーは何でも自己完結させちゃうかなぁ! 気になるじゃないかー!」 ペチペチ

P「いやな。こればっかりはプロデューサーとして、口に出すわけにはいかない。堪忍してくれ」

響「むぅー……。仕方ないぞ」 ブスゥー

P「こらこら、拗ねるなよ。一応今挙げた中に正解があるかもしれないんだからよ……って、あれ。響、なんだそれ」

響「? 何がだ?」 キョトン

P「いや、その携帯にぶら下がってる白いやつ。そんなストラップ着けてたっけ?」

響「え? ……あ、本当だ。いつの間にこんなストラップが……」

P「不気味だなぁ。盗聴器とか仕掛けられてたら嫌だし、外そうぜ」 ガチャガチャ

響「盗聴器……。うーん、ありえるのかなぁ」

P「ん? 盗聴器のことか? いや、今のはあくまで例えで言った話だから、本気にしなくても……っと、取れた!」 ガチャリ

響「でもあの女の人は、教頭を陥れるために発電機まで持ってきてたし、盗聴器も用意しててもおかしくは……」

P「ないな。まぁ無いってだけで、だからどうという訳でもないだろう。あまり気にするなよ」





237: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 23:11:14.00 ID:2e56Ay4H0

響「でも仮に着信とあの声が全部仕掛けられたものだとしたら、どうやって自分らの名前を知ったんだろう」

P「お前確か携帯を車内に置き忘れてたんだろ?」

P「だから車を弄る際に、お前の携帯の中身でも調べたんだろ。着信だってその時変えればいい」

響「でも、それならぴよ子の名前はどうやって知ったのかな……」

P「ぴよ子? ……お前まさか携帯の登録名までぴよ子って登録してるんじゃないだろうなぁ」

響「えっ? えっと……うん。実はその名前で登録してるぞ」

P「お前なぁ……。いや、そうだとしたら――」

響「うん……。ぴよ子の本名の『小鳥』って名前を知ることなんてできやしないぞ」

P「小鳥さんの名を予め知っていた? 顔を見せなかったのはやはりそういうことか? いやしかし……」 ブツブツ...

響「プロデューサー?」

P「……一応、実行可能な説は一つだけある。帰ったら、事務所かアイドル達に不信な電話がなかったか聞いてみよう」

P「これがなければ本気でお手上げだ。ホンマもんの心霊現象ってことでいい」

響「ちょっ。幽霊いないって言ってたじゃんか! そんな怖いこと言うのやめてほしいぞー!」 ブルブル





241: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 23:22:33.91 ID:2e56Ay4H0

P「俺は探偵じゃなくて、しがないプロデューサーなんだって。あんま期待されても困るっての」 ペラッ...

響「? プロデューサー、それは?」

P「あの女が最後に俺たちに残して行ったメモだ。ホテルに着くまでに呼んでおこうかなって」

響「車で字を読むと酔っちゃうぞ?」

P「俺は三半規管が優れているから平気なのだ。なになに……?」


『お見事です。先に聞きました推理はほとんどが当たっていました』

『当然細部はやや違う所もあるものの、大まかな流れは一緒です』

『しかし3箇所ほど正さなければいけない点がありました。それはとても重要なことです』

『ひとつ。学校が行っていたのは、「間引き」ではなく「選別」』

『ふたつ。教頭が発覚を恐れていたのは、「選別」のそれ自体ではなく、その中で起こったある事件のこと』

『みっつ。生き残ったのは私だけじゃない』

『以上となります。走り書きで申し訳ありません』

『P.S. タイムカプセルの記事は見せることができません。ごめんなさい』


響「ふむ、ふむ……。わぁ、すごいぞ! プロデューサー、ほとんど推理合ってたって!」 パァッ

P「むしろ、間違ってたところあったのかよ……。マジかい」 ショボン





243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/29(木) 23:25:14.71 ID:+PVix2+ro

何だかんだでやっぱ自信あったんやな





244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 23:25:15.54 ID:B++ntEpF0

うーむ。何を「選別」していたのだろうか?





254: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 23:44:19.22 ID:2e56Ay4H0

響「でも、この『選別』って何だろう? 学校で殺人が行われていたのは確かなのに、間引きじゃなかったのか?」

P「んー……、それだがな。この選別の文字を見て、俺もたった今思い出したことがある」

響「思い出したこと? なんだそれは?」

P「校長室で見つけた資料だ。確か……『85' 普59、選44』だったかな」

響「よく覚えてるなぁ……。でもあれ。てことは、この『選』ってのは『選別』って意味だったのか?」

P「だろうな。意味は『85年度、普通入学59人。選別44人』ってところか」

P「その後に書いてあった文章と併せて考えれば、恐らく入学生の事を指しているんだろうな」

響「でも、44人かぁ……。そんな大量の生徒が犠牲になっていたんだな……」

P「いや、それも恐らく違う。寮母の日記を思い出してみろ」

P「『今年は30人はいくだろう』。文面から察するに、その年に犠牲になる予定の生徒が例年以上に多かったのでは?」

P「しかし校長の手記に、『普通入学者が増えて、いずれ普通入学だけで運営できるだろう』ともあった」

P「注目するべきなのは、『いずれ普通入学だけで運営できるだろう』の部分だ」

P「この部分を見るに、増えたのは普通入学者の人数ではなく、割合の方だったんじゃないか?」

P「それならば寮母の手記はいつの年代に書かれたものでも、少し首を捻らざるを得ない」





261: ◆5foxAIkVmM:2014/05/29(木) 23:55:41.06 ID:2e56Ay4H0

響「じゃあどういうことだったんだ?」

P「つまり、全員を殺してなどいなかったってことだ。恐らく何らかの基準で殺す殺さないを決めていたんじゃないか?」

響「あっ。それで『選別』……」

P「ここからは俺の想像だが、その後に続く校長の手記を見れば、『成果のひとつ』、『有名中学へ進学』とある」

P「これを見るに、学業、スポーツ、芸術などの、各分野で優秀か違うかの篩分けを行っていたんじゃないのかね」

響「学校の成績や運動神経で殺す、殺さないを決めていたというのか!?」

スタッフ「えっ。殺す……?」 チラッ

P「あ、いや何でもないです。ハハハ……。響、声が大きいぞ」

響「う……。ご、ごめんだぞ。でも、もしそうだとして、親は才能あるなしで子供を捨てるかしてたのか? 酷いぞ!」

響「別の分野で輝かしい才能があったのかもしれないのに……」

P「こういうことは言いたくはないが……。現代にも子供に特定の才能を求める親は数多くいるぞ」

P「スポーツ選手、音楽家、ダンサー。……それこそアイドルだって」

響「子供には子供自身の夢だってあるはずなのに……」

P「ちょっとしんみりしちゃったな。ま、とにかくだ。『選別』ってのはこういうことだったんじゃないかな」





263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/29(木) 23:57:26.02 ID:5apn6vye0

アイドルか…





266: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 00:10:11.13 ID:I+pHOpCO0

響「むぅ。それで次は……『教頭が発覚を恐れていたのは、選別中にあったある事件』? なんだこれ?」

P「こればっかりは謎のままだな。壁新聞を見れなかったし、そういった資料も見つけていない」

響「そうだろうなぁ……。でも発覚を恐れる事件って何があったんだろ」

P「いや、待てよ。思えばあの事件の犠牲者は、選別入学者だったのか……?」

響「また……。その『あの』だとか『アレ』だとか『例の』だとか、抽象的すぎる考えを口にするのはやめてほしいぞ!」

P「なんだ響。気になってるのか?」

響「そりゃあ……。そんな思わせぶりな事を口にしてたら、気になるに決まってるぞ!」

P「そうか、すまんかったな」

響「いや、だからその思いついたことをしゃべってほしかったんだけど……」

P「間違ってたら恥ずかしいので言わない」 キッパリ

響「むぅー!」 ペシペシ

P「痛い痛い」





268: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 00:21:13.38 ID:I+pHOpCO0

P「最後は……『生き残ったのは私だけじゃない』、か」

響「樋村先生に助け出された生徒が、隠れたところにもたくさんいたってことなのかな」

P「いや。仮にそうだとしても、あのゾンビ事件で全滅しているハズ……」

響「じゃあゾンビ事件の2人が双方とも生き残れてたってこと?」

P「まぁそれしか生徒が生存できるところが見当たらないもんな。多分そういう意味で……ん?」

響「どうかしたのか?」

P「いや、まさかあのメモの意味って……」 ボソッ

響「えっ?」

P「もしそうだと時列系がおかしい……。いや、でも……」 ブツブツ

響「えっ? えっ? 一体何の話だ?」

P「……んー。資料を全部あいつにあげちゃったのは失敗だったかなぁ。確かめようがない」

響「だから何の話なのかわけ分かんないぞ―!」 プンスカ

P「つまりお手上げってことだ。資料なければ調べられないし。あーあ、残念だなぁ」 ハァー...

響「……つまり、考えを話すつもりはないんだな」

P「おうとも」 キリッ

響「……っ!」 パシーン

P「っ痛ェ!!」





278: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 00:42:05.39 ID:I+pHOpCO0

P「まぁ、別にいいだろう。全部過去の出来事。終わったことにいつまでも構ってちゃあ先に進めない。」

P「それにそう言ったことは、いつの日にかあの女性が法廷で全部明らかにしてくれるんだろう」

P「つまる話、俺たちがこの件で頑張るのはもうおしまいだってことだよ」 ポンポン

響「またそうやって誤魔化すー」

P「誤魔化してなんかないさ。少し休んだら、また大忙しの日々が始まる」

P「あの廃村の中では大変な思いもしたが、もう俺たちは廃村を越えて、人の住む街へと帰ってきた」

P「もうあの村のことを考えるべきではないと思うし、そうするべきだ」

響「そう、なのかな?」

P「そうさ。それとも響はあの女性が信じられないか?」

響「信じられない訳じゃないけれど……」

P「信じられるのならそれでいいさ」

響「いいのか?」

P「いいんだよ。信じられるなら、その気になれば信じることができるんだし」

響「そんなものなのかな」





280: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 00:53:47.96 ID:I+pHOpCO0

P「おっ! 見ろ響。街が見えてきたぞ。俺たちは帰ってこれたんだ」

響「本当だ! 人が沢山いる! 車もたくさん通ってる! やっと帰ってこれたんだな」 ジワッ

P「ははは、お前泣き虫だなぁ。どれだけ泣くんだよ。体中の水分がそのうち無くなるぞ」

響「っ!! な、泣いてなんかないぞ! ただちょっと目にゴミが入っただけで……」 グシグシ...

P「ハハハハ……。それならそう云うことにしておこう」

響「んもうっ! 帰って早々からかうのは止めるんだぞ!」 プンスカ

スタッフ「じゃ、もうすぐホテル着きますんで」

P「あぁ。ありがとうございました。じゃあ響、そろそろ着くから」

響「ホテルに?」

P「あぁ。皆は流石に無理だったが、何人かアイドル達が迎えにやってきてくれてるらしいぞ」

響「ホント!? わぁっ! ほんの数日逢ってないだけなのに、随分と懐かしく感じるぞー!」

P「そうだな。楽しみだな」 ハハハ

響「んー……。でも、その後自分らはどうするんだ?」





282: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:06:53.45 ID:I+pHOpCO0

P「俺と一緒に病院へ。送迎は律子がしてくれるみたいだな」

P「その後、響はとりあえず事務所へ。仕事の方はしばらくキャンセルする形で進めさせてもらおう」

響「わかったぞ。……プロデューサーは?」

P「俺か? 俺はそのまま警察へ事情を説明しに行かにゃならんからな」

P「そうそう。そういう訳だから暫くの間、響の担当は律子に任せてあるから、そこんとこもよろしくな」

響「それじゃあ……次はいつ会えるの?」

P「いつ会えるって大げさだなぁ。ま、一週間あれば事務所に復帰できるだろう」

響「一週間もかぁ……」 ウーン

P「一週間『も』ってことはないだろ。たかだか一週間程度だ。それとも何だ。俺に会えなくて寂しくなるとか」 ハハハ...

響「……」 ウーン

P「ハハハ……って、あれ?」 アレレ-?

響「ねぇ、スタッフさん。ちょっとこの近場で一旦停めてくれないか? ちょっと酔っちゃったみたいなんだ」

P「ちょっ……。響?」





283: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:12:58.25 ID:I+pHOpCO0

- 野外 -

スタッフ「時刻通りに連れて行かないと怒られるのは僕なんで、早めにお願いしますよー」

P「分かりました。無茶言ってすいません!」 ペコペコ

響「さ、プロデューサー。行こっ」 グイグイ

P「何なんだ、急に車を降りたりして。本当に気分でも悪くなったのか?」

響「んーっとね……。あ、プロデューサー」

P「うん」

響「おんぶして」

P「へ?」 キョトン

響「足、まだ痛いからおんぶしてほしいぞ」

P「おんぶって……。まぁ、足が痛いのは分かるけど、そんな遠くまで行くわけじゃないに」

響「……だめ?」 ジッ

P「……分かったよ。ほら、乗りなさい」 スッ

響「んっ。ありがとうだぞ」





285: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:18:31.21 ID:I+pHOpCO0

P「何処へ行きたいんだ?」

響「人のいない所がいいなぁ」

P「人のいない所ねぇ……。まだ朝っぱらだから、それほど人通りは多くないけども……」 キョロキョロ

響「んーっとね……。あ、あそこ! あそこの高台、今人がいないぞ! チャンスだ!」 ピッ

P「お前……。この状況で坂を登れってか」

響「自分、綿みたいに軽いんでしょ? 覚えてるぞー!」 ヘヘーン

P「まったくこいつは……。はいはい、お姫様のお望み通り」 スタスタ...

響「えへへ。ありがと」 エヘ-





288: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:33:26.48 ID:I+pHOpCO0

- 展望台 -

P「ふぅ……。ふぅ……。さ、流石に坂はキツかった」

響「だ、大丈夫かプロデューサー。無理言っちゃってごめんだぞ」 オロオロ

P「なに、別にいいさ。……おー、それにしてもここから街が一望できるな。壮観だ」

響「本当だ、とても綺麗だぞ。……自分、街がこんなに綺麗で明るいものだなんて気付かなかったぞ」

P「……まぁ、あそこから帰ってきたら、そう思えても不思議じゃないな」

響「うん。今は街も人も空もお仕事でさえも、すごくキラキラしてるように感じるぞ」

響「一回り成長できたってことなのかな?」

P「素敵なことだな。その調子で成長していって、是非とも大物になってくれ」 ハッハッハ

響「えへっ。そうだな。今なら今まで以上の活力でアイドル活動を送れそうな気がするぞ」

P「それなら俺としても鼻高々だ。ま、だからと言って二度とあんな経験はごめんだがな」

響「ん。自分もだぞー。成長できるからといって、もうあんなのはこりごりさ」

P「ハハハハ……」

響「えへへ……」

P「……」

響「……」





290: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:42:26.75 ID:I+pHOpCO0

響「あのね」

P「?」

響「あの時、廃坑でもう死んじゃうんだって思った時。自分の中でいろいろな想いが一気に溢れ出てきたんだ」

響「もっとハム蔵たちと遊んであげればよかったとか、みんなと一緒にライブをやりたかったな、とか……」

P「後悔の念……ってやつか? まぁお前もやりたいことはたくさんあるだおるし、不思議じゃないな」

響「もっと親孝行しておけばよかったとか、友達ともう少し連絡をとっておけばよかったとか……」

響「もっと好きな人といっしょにいたかったとか、自分の気持ちに対して素直になっていればよかったとか……」 ギュ...

響「……プロデューサーに大好きって、伝えておけばよかったな、とか……」 ギュ-ッ

P「響、お前……」

響「ねぇ、プロデューサー。自分、廃坑で言ったことを反故にするつもりはないから」 ジッ


響「かなさんどー、プロデューサー。大好きだぞ」





294: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 01:52:39.13 ID:I+pHOpCO0

P「……」 ポリポリ

響「……」

P「あー、響」 クルッ

響「あっ! だ、だめだぞ!」 グギューッ!!

P「うぐっ! く、苦しいっ! なにするんだ、響」 ウゴゴ...

響「あ……。ご、ごめんだぞ。で、でもこっちを今は振り向かないで……」

響「きっと今、顔がすごいことになってるだろうから、顔を見ないでほしいさー……」 カアァァァァッ

P「ん、んー……。まぁ、その、なんだ。響」

P「お前の告白はとても嬉しい。正直言うよ。俺もお前のことが大好きだよ」

響「ほ、本当か?」 パァァァッ

P「だが――」

響「あ、待ってほしいぞ!」 グイッ

P「うごっ! ま、またか……」

響「あ、ごめん……。でもその先は言わないでほしいぞ。分かってる、分かってたから」 ギュ...

P「……」





296: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 02:01:54.13 ID:I+pHOpCO0

P「……そろそろ戻ろうか。あまりスタッフを待たせちゃ悪いし」

響「そう、だね。戻ろう、プロデューサー」 ギュッ

P「……」 スタスタ

響「……」

P「あーっとだな……。一応、言っておくが――」

響「その前にっ! ……もう一言だけ言わせてほしいぞ」

P「お、おう。なんだ?」 スタスタ

響「ねぇ、プロデューサー……」

P「な、何だ」

響「肩の部分に黒い手形のような痕が残ってるぞ」

P「は!? 嘘だろっ! どこだっ!?」 クルッ


                          チュッ


P「あっ……」

響「えへへ」 ニヤニヤ





297:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:13:12.15 ID:88vLewoDO

えんだあああああああああ





298: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 02:18:11.99 ID:I+pHOpCO0

P「謀りやがったな、こいつ~」 ユッサユッサ

響「あうあうあうあう……。えへ、引っかかるプロデューサーが悪いんだぞー!」 キャッキャ

P「落ち込んだ風に見えたから気を利かせようと思った途端これだぜ」

響「ふーんだっ! 鈍感なプロデューサーの答えくらい、なんとなく予想はできてたぞ」

響「でも、まだまだ諦めてなんかないんだからな」

響「生きてる限りはチャンスがあるんだもん。まだまだ、これ位じゃ諦めないからなっ!」

P「……ふっ。フハハハ……。なんだ、変に逞しくなったな」 ハハハ...

響「だぞ! 自分完璧だからな。いつの日か絶対、振り向かせてやるんだ!」

P「どうだろうな? お前が言うに、俺は鈍すぎるみたいだからまったく気付かないかもしれないぞ?」

響「その時は今みたいに肩にゴミがついてるとでも言えばいいさ」

P「そう上手くいくかな?」

響「プロデューサーは単純だからな。きっと引っかかってくれるぞ」





299: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 02:24:45.75 ID:I+pHOpCO0

                      スイマセーン! ソロソロ ジカン イイッスカ-?


P「おっと、スタッフの人の声だ。そういえば待たせてしまってたな」 タッタッタ,,,

響「もうそんな時間が経ってたのか。時間が経つの早いなー」

P「だな。だがあんまり待たせると、律子にどやされそうだし、早々にみんなの元へ行こう」

響「そっか。もうすぐ皆に逢えるんだな!」

P「あぁ。じゃ、帰ろうか。またいつもの日常へ」

響「うんっ!」




- True End -





301: ◆5foxAIkVmM:2014/05/30(金) 02:27:03.14 ID:I+pHOpCO0

数ヶ月にわたりお付き合いいただき、ありがとうございました
これで廃村シリーズは終了とさせていただきます
残った謎は各自、自由にお楽しみください。それでは





302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:28:03.10 ID:88vLewoDO

乙乙バッチシ☆





303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:28:50.54 ID:MAKIm623o


楽しかった





305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:30:29.34 ID:svIHg7ZQo

謎はあえて残すのか・・・一スレ目からリアルタイムで見てたけど楽しかったよ
本当にお疲れ様でした





308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:31:36.47 ID:zCSDukaxo

ついに完結したか……感極まりそうだ、乙ー





312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:39:57.80 ID:1X6zbtHh0

おつかれさまでした





316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 02:47:23.85 ID:vjt7yOp20

お疲れ様です、長い間楽しませていただきました!
ゆっくり休んでくださいね!





323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 03:02:42.63 ID:7/fPqvSwo

お疲れ様でした!エピローグ見たかったなー





339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2014/05/30(金) 05:03:20.16 ID:zzj9d6yD0

すごく楽しめたけど謎は全て明かしてほしかったな~





351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL):2014/05/30(金) 06:12:03.31 ID:OdxJRF760








元スレ:P「廃村に響く」

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400938077





  

【 関 連 記 事 】


うまくすれば女性の正体まで分かりそうだな。
25年前の事件で当時小学校高学年(11歳~12歳)
桶村が保護して中学生になった子だとすると12歳で
つまり現在37歳。
小鳥さんかな(すっとぼけ
[ 2014/06/12 21:27 ] [ 編集 ]
小鳥さんかなって途中まで思ったけど年齢的にないんだよね
37歳前後で声が聞かれたらまずい…
ミンゴス…?
[ 2014/06/13 20:26 ] [ 編集 ]
そうかミンゴスか(納得)
[ 2014/06/14 00:23 ] [ 編集 ]
Pが時系列が合わない云々言ってたし本当に25年前に起こったかは怪しい
Pは声が聞こえた時若い声~とあったように仕掛人のヘルメットの女は春香と予想する
ノーマルendで響に手紙を渡したのも春香が描いたものだろう、響があの日電話してきたか春香に聞いた時変な間があって誤魔化した様に感じたし
[ 2014/06/14 04:13 ] [ 編集 ]
自分も春香だとおもうゾ
[ 2014/06/24 19:40 ] [ 編集 ]
年齢的に765は誰も合わないし俺はその人の子供だと思ったんだがなぁ。亜美真美なら声真似も出来るしな。助かったのは一人じゃない、で双子だと思ったがまぁよくわからん。
[ 2014/08/28 19:47 ] [ 編集 ]
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[ 2021/04/16 17:33 ] [ 編集 ]
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