552:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:42:21.49 ID:IL7gvhYS0
――ラボ
千早(ここに来るのは初めてね。プロデューサーと一緒に来たかったな)
千早「すみません、どなたがかいらっしゃいますか?」コンコン
まゆり「オカリン!?」ガチャ
千早「椎名さん……」
まゆり「あはは……そんなわけないよね。いらっしゃい千早ちゃん。何かご用かな?」
千早「電話レンジ(仮)を見せてもらえないかしら」
まゆり「なにそれ?」
千早(そうか。この世界線の椎名さんは知らないのね。おそらく橋田さんも……)
553:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:42:27.26 ID:CqYcSwZv0
SERN復活か・・・
556:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:45:36.25 ID:08C/H1/A0
第三次世界大戦だ…!
557:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:45:43.71 ID:pkd65osC0
天才アイドル千早の誕生か
559:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:47:47.32 ID:IL7gvhYS0
千早「とりあえず、上がってもいいかしら?」
まゆり「どうぞ。まゆしぃ以外誰もいないけど……」
千早「橋田さんは?」
まゆり「オカリンがいなくなってから、ずっと来てないんだ……」
千早「そう……。あら、これは……」
まゆり「電子レンジがどうかしたの?」
千早(きっとこれが電話レンジ(仮)……タイムリープマシンはなくても、これを使って世界線を変えれば……)
千早(……駄目だわ。それでは、プロデューサーの今までの苦労が水の泡)
千早(だって、世界線を渡り歩いたプロデューサーはすでに死んでしまっている)
千早(今Dメールで世界線を変更したら、例えプロデューサーが生きていても……
千早(それは、世界線を渡り歩いたプロデューサーではない。おそらく何も知らないでしょうね)
千早(それだけは絶対に駄目。何百回もタイムリープをしてきたプロデューサーの存在を、なかったことにしてはいけない)
562:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:53:53.36 ID:IL7gvhYS0
千早(ならば、やはりタイムリープマシンが必要になる)
千早(タイムリープマシンで過去に戻り、世界線を渡り歩いたプロデューサーがいる状態で、別の世界線に移動する)
千早(これしか方法はない)
千早(待って。でもこのタイムリープマシンは……SERNが存在したから、使えたんじゃない!)
千早(難しいことはよく分からないけれど、SERNのブラックホールだか何だかを利用して記憶を小さくするのよね)
千早(そして小さくなった記憶を過去に送る……つまりそのブラックホールがないと、タイムリープはできない)
千早(でもプロデューサーの話によればこの世界線にはSERNが存在しな……違う、そんなことは言っていない)
千早(あくまで、SERNがディストピアを築いていないというだけ。ならばまだ可能性は残っているはず!)
563:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 20:59:41.05 ID:IL7gvhYS0
フェイリス「チヒャー」
千早「フェイリス……なぜここに?」
まゆり「千早ちゃんが何だか難しそうなことを考えてそうだから、まゆしぃが呼んでおいたのです」
ダル「僕もいるのだぜ」
千早「橋田さん……」
ダル「全部、フェイリスたんに聞いた。これはうじうじしてる場合じゃないっすな」
まゆり「全部って?」
フェイリス「マユシィにも今から教えてあげるのニャ」
568:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:08:26.41 ID:IL7gvhYS0
千早「橋田さん。ここの回線が……」
ダル「SERNと直接繋がっているかどうか確かめろですね、分かります。さっそくやるとしますか」
千早(お願い、繋がっていて……!)
ダル「ビンゴ! マジで直通じゃん。うはwwwこれやりたい放題じゃねwwww」
千早「橋田さん……?」
ダル「ジョ、ジョークだお。そんなに怖い顔で見つめられるとビクンビクンしてしまいます」
千早「…………」
ダル「反省してます、すんませんっした!」
573:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:13:55.43 ID:IL7gvhYS0
千早「どう、ブラックホールだか何だかは使えそうなの?」
ダル「うーん、出来ないこともないけど……いくら僕でもかなり時間かかるぜ」
千早「ありがとう、橋田さん!」
ダル「ちょ、いきなり抱きつかれたら胸があたって……あれ、あたってない? あいてっ!」ドゴッ
千早「おだてようとした私がバカでした」
575:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:16:19.55 ID:dOna32GG0
洗濯板は伊達じゃない!
577:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:20:21.65 ID:IL7gvhYS0
フェイリス「……と、要点をかいつまんで話すと、こんな感じニャ」
まゆり「オカリンが、まゆしぃのために……?」
千早「ちょっと嫉妬しちゃいますね、椎名さんに」
まゆり「えへへ……」
フェイリス「あとチヒャー、チヒャーのパパさんに連絡してくれるかニャ?」
千早「え……なぜ?」
フェイリス「自分のパパの職業を忘れたのかニャ?」
千早「あ……!」
580:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:23:26.01 ID:dOna32GG0
まさかのスーパー中鉢タイム
582:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:26:22.63 ID:EMm/LeYz0
中鉢頑張れ
583:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:26:35.17 ID:IL7gvhYS0
中鉢「なるほどな……まさか、そんなことになっているとは」
中鉢「すまなかった。いくらマスコミが騒いでるとはいえ、すぐに駆けつけてやるべきだったのに」
中鉢「紅莉栖……いや、千早と呼ぶべきか?」
千早「紅莉栖って呼んで」
中鉢「分かった。しかしSERNが見にブラックホールの生成に成功したというのは、以前話題になったが……それを利用するとは大胆な作戦だ」
中鉢「だが待てよ? タイムマシンが完成したら、SERNが未来を牛耳る可能性がでてくるのではないのか?」
フェイリス「キョーマは、世界線変動率が大きく変わる分岐点は2010年にあるって言っていたニャ」
フェイリス「だから今より何年も先にタイムリープマシンを作れば、世界線が大きく変わることはないはず……」
千早「万が一SERNが未来を牛耳るような世界線になったら、その時点でプロデューサーは今までのプロデューサーはなくなるわね……」
ダル「どれだけ世界線が変動すると、個人の脳みそが変わっちゃうんだろうな」
フェイリス「キョーマの話からすれば多少の変動なら大丈夫みたいニャんだけど……具体的な数値は分からないニャ」
千早「そもそも、私達には世界線変動率を確かめる術がないわ」
まゆり「一歩間違えたら、こうやってオカリンの事を考えているまゆしぃ達も、消えちゃうんだね。何だか怖いな……」
585:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:31:48.29 ID:IL7gvhYS0
千早「そう。私達が今からやることは、世界線を大きく動かしかねない行為」
千早「それでも私は……こんな結末、絶対に認めない」
ダル「オカリンいないと静かすぎてつまんねーしな」
中鉢「紅莉栖が世話になったようだしな、岡部君とやらには」
中鉢「何より娘が助けを求めているのだ。娘を助けるのに理由は必要あるまい」
まゆり「まゆしぃは難しいことは分からないけれど……オカリンと一緒にいたいのです」
588:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:36:36.91 ID:IL7gvhYS0
数年後――
千早「これが、タイムリープマシン……」
中鉢「フッ、とうとう念願のタイムマシンが出来たのだな」
フェイリス「クーニャンはあっという間に完成したのに……結構時間がかかったニャン」
中鉢「α世界線の紅莉栖が優秀すぎるだけだろう。それに、すぐに作り始めるわけにはいかなかったからな」
ダル「あと、α世界線のマシンとは違って、ニ日しか戻れないという制約がないお。格段にパワーうpしてる」
フェイリス「そうだったニャ。ごめんニャ……」
598:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:46:59.67 ID:IL7gvhYS0
――事務所
小鳥「はぁ。かつての栄光が懐かしいですね……」
高木「何を弱気になっているんだね音無君。私は信じているぞ。彼女たちなら、きっと再びトップアイドルに戻れると……」
春香「ただいま帰りましたー!」
真「ふぅ、今日も疲れたなぁ」
貴音「えぇ、早くかっぷらぁめんを……」
小鳥「おかえりなさい、みんな」
高木「疲れているだろう。どれ、天海君の肩を揉んであげよう」
春香「きゃっ! くすぐったいですよ社長ったらぁ」
608:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:52:54.81 ID:IL7gvhYS0
真「貴音? どこを見ているんだい?」
貴音「プロデューサーが居た時の事務所の方を、見ていたのです」
真「懐かしいね。大きなビルだったなぁ。まぁ僕は今のおんぼろ事務所、嫌いじゃないけどね」
春香「前の事務所は……今の私達には広すぎるかな。この事務所でさえ、広く感じるぐらいだもん」
真「みんな、いなくなっちゃったもんね」
小鳥「あの時と比べると、お給料もすごく下がっちゃって……美希ちゃんは別の事務所に行ったわね」
貴音「そして律子は結婚して退社……羨ましいものです」
小鳥「結婚は、もう諦めてるわね……」
高木「まだまだ3X歳ではないか」
小鳥「全然フォローになってませんよ、社長」
609:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 21:58:51.35 ID:IL7gvhYS0
貴音「他の皆はどうしているのでしょう……」
真「分からない……。プロデューサーが亡くなった直後は連絡取り合ってたけど、今は音沙汰なし……」
春香「あ、昨日……千早ちゃんにあったよ。何だかすごく嬉しそうなかおしてた」
春香「ようやくプロデューサーに会える! とか言ってたよ。話しかけようとしたんだけど、いつの間にか居なくなってたんだ……残念」
真「それ、かなりヤバイんじゃないの……?」
貴音「プロデューサーは、遠くへ行ってしまいました。私達が会うことは、もう二度とないのです」
小鳥「もしかして千早ちゃん、死ぬつもりじゃ……」
春香「うーん、私もそう思ったんだけどね……千早ちゃんのメはすごく輝いてた。だから、きっと大丈夫だと思う」
高木「如月君と付き合いの長い君がそういうのなら、きっとその通りなのだろう」
613:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:03:51.66 ID:IL7gvhYS0
高木「そういえば、こんな事を言うのはあれなんだが……なぜ君たちは別の事務所への移籍をしないんだね?」
真「やだなぁ社長、決まってるじゃないですか」
貴音「愚問ですね、高木殿」
春香「そうそう。私たちは……」
真・貴音・春香「この事務所が大好きだからです!」
616:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:08:40.29 ID:IL7gvhYS0
まゆり「世界線の大きな変動は起きなかったんだね、よかった……」
中鉢「うむ……多少は変化してるだろうがな。そもそも、世界線は常に変動しているもののような気がするぞ」
ダル「あとはこれで過去に戻れば……頼むぞ、ちーちゃん」
千早「えぇ。ありがとう橋田さん」
まゆり「オカリンにボディガードつけてね?」
千早「分かってるわ、まゆり」
フェイリス「仕事、やっちゃだめニャよ?」
千早「そうね。あれが全ての元凶なのだから……」
中鉢「手を尽くしても駄目だったら、おそらく世界線は岡部君が死ぬという結果に収束するだろう」
中鉢「タイムリープマシンの作り方は頭に叩きこんだな?」
千早「大丈夫よ、お父さん」
千早「それじゃ……行ってきます」
624:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:14:39.07 ID:IL7gvhYS0
数年前――
岡部「千早! 連絡ぐらいは……っておい、どうした!?」
千早「…………」
千早(戻って来れたのね、この日に)
美希「千早さん、顔真っ赤なの」
春香「おでこ、すっごく熱い……」
千早「そうね、ごめんなさい。今日はお仕事、休んでもいいですか?」
岡部「そうだな、先方には俺が謝罪しておく。一人で帰れるか?」
千早「はい。明日はオフですし、じっくり身体を休めることにします」
629:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:22:52.46 ID:IL7gvhYS0
――千早の家
千早(まずは手はず通りフェイリスさんに連絡を……)
フェイリス『チヒャー? どうかしたのかニャ?』
千早「フェイリス、私……タイムリープで未来から戻って来たの」
フェイリス『ニャッ、ニャんですとー!?』
千早「次にメイクイーンで行うイベントは男装執事喫茶」
フェイリス『ニャッ、ニャぜそれを!』
千早「未来のあなたに聞いたのよ。未来から来たという証拠のためにね」
フェイリス『ニャるほど……それで、チヒャーは何のためにタイムリープをしてきたのかニャ?』
千早「それは……」
631:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:27:11.19 ID:IL7gvhYS0
フェイリス『そんな、キョーマが!?』
千早「えぇ。だから彼のにボディガードをつけて欲しいの。あと何か起きた時にマスコミを封殺する用意も」
フェイリス『分かったニャ。チヒャーはどうするのかニャ?』
千早「プロデューサーが誰かとふたりきりで帰ろうとしたら阻止する」
千早「とにかくスキャンダルになりかねないことが起きないように、注意するわ」
千早「嫌われるかもしれないけれど……それでプロデューサーが助かるのなら、お安いものね」
635:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:32:18.57 ID:IL7gvhYS0
数ヶ月後――
千早(プロデューサーは、死んでしまった)
千早(以前殺された時と同じ日に……)
千早(警護は完璧だった。周囲に怪しい人物はいなかった)
千早(スキャンダルなんてまったく起きていない)
千早(でも、交通事故なんて……防ぎようがないじゃない)
千早(ううん、そんなことはない。そうよ、あの日だけ事務所にずっと居てもらえばいい)
千早(みんなに相談して、もう一度タイムリープマシンを作らないと……)
642:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:36:55.69 ID:IL7gvhYS0
3回目。プロデューサーはすっ転んだ春香にぶつかり、勢い余って机の角に頭をぶつけて死亡。
4回目。プロデューサーにはずっと座ってもらうことにした。
しかし春香が料理をしているときに包丁がすっぽ抜け、プロデューサーに刺さって死亡。
5回目。春香には悪いけど早めに帰ってもらった。プロデューサーはもちろん座らせている。
しかしトイレに行きたいと言い出したプロデューサーを止めることが出来なかった。
トイレに行く最中に転んで死亡。
6回目。トイレに行きたいと行った所で尿瓶を渡した。しぶしぶ承諾してくれたものの、
大きな方がしたくなった時に対処できず、トイレに行かせてしまい……途中で転んで死亡。
7回目。申し訳ないのだけれど、完全に動きを封じさせてもらった。
でも……心臓麻痺で突然死。どうやって対処すればいいの!?
644:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:37:46.02 ID:AWWw3Hoo0
oh…無残すぎる
647:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:39:58.99 ID:hK9RbNdz0
死因が割と酷いwww
651:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:41:24.00 ID:IL7gvhYS0
千早(心臓麻痺。これはもう……打つ手なし、ね)
千早(プロデューサーの死は、確定事項だと認めるしかないわ)
千早(ならばもう、世界線を大きく移動するしか……方法はない)
千早(でも、それをするということは……)
千早(プロデューサーと私達との思い出が、なかったことになってしまう)
千早(でも、それしかプロデューサーが助かる道がないのなら……)
千早(…………)
千早(それに、プロデューサーだけは覚えていてくれる)
千早(例え私達がすべてを忘れたとしても)
千早(プロデューサーに私が体験してきた全てを話しましょう。再びタイムリープをして……)
658:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:45:58.46 ID:IL7gvhYS0
岡部「この世界線では俺がその日に死亡するということが、確定しているんだな?」
千早「はい。何度も、何度も時間を巻き戻したけれど……駄目でした」
岡部「だが、俺が死ぬだけで済むのなら……」
千早「プロデューサー。それ、本気で言ってるんですか!?」
千早「私はあなたを死なせないために、何度も過去に戻ってきたんです」
千早「今のあなたの発言は、その想いを踏みにじる言葉ですよ……」
岡部「……!」
岡部(俺は何てことを言ってしまったんだ)
岡部(千早同様、俺も大切な人を助けるために何度もタイムリープしてきたというのに)
岡部(なぜ、その想いを踏みにじるようなことを……)
岡部「すまない。軽率な発言だった……」
千早「次に言ったら、許しませんからね」
661:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:49:38.65 ID:IL7gvhYS0
岡部「この世界線もダメなのか……どうすればいいんだ」
千早「何か抜け道があるかもしれない。諦めるのは早いですよ」
岡部「早い? 俺はな……数えきれないほどタイムリープをしてきたんだぞ」
岡部「それなのに、このザマなんだ。全員の身に何も起こらずに済むなんて、望みが高すぎたんだよ……」
千早「…………」
千早「岡部さん、教えてください。あなたが体験してきたことのすべてを」
岡部「フェイリスから聞いたのではないのか?」
千早「えぇ。でも全てを話せたわけではないと、未来のあなたは言いました。言っていない所に、何かヒントになるようなものがあるかもしれません」
岡部「……いいだろう」
663:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:54:15.62 ID:IL7gvhYS0
岡部「すべての始まりは、ラジ館……秋葉原のラジオ会館だ」
岡部「俺はそこで行われる、ドクター中鉢のタイムマシン記者会見を見に行った」
千早「お父さんの……」
岡部「だが彼の会見は正直、残念なものだった。だから俺は途中で席を外した」
岡部「その後、何者かの悲鳴が聞こえた。俺は急いで悲鳴の方向へ向かったんだ」
岡部「そうしてそこで見たのが、血にまみれて倒れる牧瀬紅莉栖だった」
岡部「恐ろしくなった俺は急いでラジ館から逃げ出した。そしてダルにメールを送ったら、その瞬間……眼の前の景色が消え去った」
岡部「そして、気づいたらラジ館の外に居たんだ」
千早「それが初めてのDメール……」
岡部「あぁ」
664:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 22:58:59.81 ID:IL7gvhYS0
千早「ひとつ気になることがあるわね」
岡部「ん?」
千早「私って、本当に死んでたのかしら?」
岡部「あれだけの血が出ていたら、まず死んでいると思うが……」
岡部「いや、恐ろしくなってすぐに逃げたから……絶対に死んだとは言い切れないな」
千早「それなら、私が死んだように見せかければ……」
岡部「見せかける?」
千早「確定した出来事は変えられない。でも、β世界線で私が死ぬことは確定事項ではない」
千早「血まみれで倒れていた……確定してるのはそれだけ」
岡部「つまり、何らかの小細工をして……紅莉栖を死んだように見せかけ、それを俺に目撃させる……ということか!」
667:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:03:16.55 ID:IL7gvhYS0
岡部「しかしそれは無理だ」
岡部「世界線を超えて記憶を継続できるのは俺一人」
岡部「だがそれでは、紅莉栖に細工をすることが出来ない」
岡部「Dメールを使えば過去に干渉できるが、使ったらα世界線に戻ってしまう」
千早「それなら、タイムマシンを使えばいいんじゃ。タイムリープマシンじゃなくて、正真正銘のタイムマシンを」
千早「タイムマシンを用いて、未来から過去に直接干渉する」
千早「エシュロンとかいうのは通信傍受システムよね。それなら、物理的なタイムトラベルを監視するのは無理じゃないかしら?」
岡部「待ってくれ。タイムマシンなんて、どうやって作るというのだ」
千早「私、α世界線ではタイムマシンの母って呼ばれてるんでしょう?」
岡部「それはそうだが、だが今のお前は科学者ではない」
岡部「タイムリープマシンを作ったとは言え、α世界線の紅莉栖ほどの能力があるかは分からない」
岡部「それに、β世界線ではお前の力なんて借りれないじゃないか。だってお前は……」
千早「そう。だから岡部さんと橋田さんに、タイムマシンを作ってもらわないといけない」
671:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:10:54.87 ID:IL7gvhYS0
千早「幸い、時間は無限にあるのだし……今からありとあらゆる学問について学ぶとしましょう」
岡部「時間だと? この世界線では俺の命はさほどないだろう……というか、いきなり勉強の話ってどういうことだ?」
千早「プロデューサーには寿命ぎりぎりまで勉強してもらって、タイムリープで戻ってきてもらいます」
千早「そしてひたすら勉強をする。もちろん、たまには息抜きも必要ですが」
千早「何度繰り返すことになるかは分かりませんが、なんとかして物理的なタイムマシンを創り上げる」
千早「タイムマシンを作ることができたらα世界線へ戻り、β世界線に行きましょう」
千早「β世界線についたら、再びタイムマシンを作ってください」
岡部「そんな無茶苦茶な……」
千早「無茶苦茶じゃありませんよ。α世界線では遅くとも、2036年にはタイムマシンが完成しているんですよね」
千早「無限に時間があれば、何とかなると思いませんか?」
岡部「だが俺は素人もいい所で……」
千早「最初は誰でも素人です。プロデューサーは明日死ぬ、というわけでもないんですし」
千早「正直嫌ですけど、SERNに入社して最先端の科学を学ぶ……そういった手段もありますね」
岡部「フッ、なかなか言うではないか千早。そうだな……では、再び終わりの見えない旅を始めるとしよう」
673:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:15:43.80 ID:IL7gvhYS0
岡部(俺は、何度タイムリープを繰り返したのだろう)
岡部(最初は回数を数えていたが、千を超えたあたりで数えるのをやめてしまった)
岡部(ある時は大学で学び、ある時は研究所で学んだ)
岡部(SERNにも非常に長い間、勤めていたな……)
岡部(吐き気がする行動だったが、SERNに勤めなければタイムマシンは完成しなかっただろうな)
岡部(まぁこの世界線のSERNはディストピアなんて作ってないんだが、やはりα世界線でのことを考えると嫌悪感を抱いてしまう)
岡部(…………)
岡部(千早にはどれだけ世話になったか分からないな)
岡部(休むことも必要だからと、彼女と様々な場所にでかけたりもした)
岡部(しかし……その生活にもとうとう終止符を打つ時が来たようだ)
676:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:17:00.71 ID:hK9RbNdz0
おかりん!
677:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:17:03.09 ID:V+uYIvuV0
チートすぎワロス
679:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:18:40.75 ID:dOna32GG0
オカリンのスペックがβ紅莉栖を超えた…だと…
680:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:20:29.75 ID:IL7gvhYS0
千早「タイムマシン、完成したのね……」
岡部「あぁ……気の遠くなるほどの時間をすごして、ようやくたどり着いたのだ」
岡部「やっと……悲しみのない世界に行けるんだ!」
千早「ねぇ、プロデューサー。最後にひとつ……お願いしたいことがあるの」
岡部「何だ? 何でも言ってくれ!」
千早「その……デート、してくれますか?」
岡部「千早?」
岡部「そうか、これでお前とは……」
千早「そんな悲しそうな顔をしないでください。これは、私が望んだことなんですから」
岡部「…………」
岡部「どこに、行こうか?」
684:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:25:33.62 ID:IL7gvhYS0
千早「今までお世話になったみんなに、お礼を行って言いに行きましょう」
岡部「それは果たしてデートと言えるのだろうか?」
千早「デートで一番重要なのは……どこに行くかじゃなくて、誰と行くかですよ」
岡部「なるほど……確かに、その通りだな。千早と二人で行くなら、どこへ行くとしても楽しいに違いない」
千早「プロデューサー」
岡部「ん?」
千早「今日だけ、岡部君って呼んでも良いですか?」
岡部「……っ!」
千早「嫌、でしたか……」
岡部「フ、フッハッハ! そ、そんなワケがないだろう。ちょっとドキッとしたとかそんなんでもないぞ!」
千早「……ぷっ! 本当にプロデュー……じゃなくて、岡部君は分かりやすいですね。最初の頃と全然変わってないです」
岡部「フッ……今も昔もぶれぬ男、それがこの鳳凰院凶真だッ!」
688:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:31:48.83 ID:IL7gvhYS0
岡部「なぁ、俺もひとつ頼みがあるんだが……」
千早「なんですか?」
岡部「岡部君って呼ぶなら、敬語はやめてくれ。違和感が半端ない(ヘァンパない)のでな」
千早「へぁんぱって何ですか?」
岡部「なぜそんな微妙なところに齧り付くのだ。とにかく、違和感があるということだ」
千早「なるほど……でも、今まで男性と親しい仲になったことがないんです。どうやって話せばいいんでしょう……」
岡部「ふむ……そうだな、俺を春香だと思ってはどうだ?」
千早「春香だと思って……そうね、やってみます」
693:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:38:01.65 ID:IL7gvhYS0
千早「春香、まずは事務所に行きましょう。私達が一番お世話になったところだし」
岡部「カット! カットカット! 春香じゃなくて岡部君で頼む」
千早「あ、そうでした……じゃなくて、そうだったわね」
岡部「よし、さっきの台詞をもう一度だ」
千早「別にその必要はないのでは……」
岡部「この世に必要ないことなどないっ! そして物事は最初が肝心なのだ!」
千早「はぁ……岡部君ってたまに変なこと言うわよね」
岡部「それは違うな千早よ。たまにではなく、常に……だ」
千早「…………」
岡部「む、無視はいけないな。俺のガラスのハートがブロークンしてしまう」
千早「やれやれ……本当に変な人。でも、そんなところも嫌いじゃないかも」
697:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:45:49.90 ID:IL7gvhYS0
――事務所
岡部・千早「おはようございます」
小鳥「あら? 二人とも今日はオフのはずじゃ……」
岡部「今日は事務所の皆にお礼を言いに来たんですよ」
小鳥「お礼……? も、もしかして二人とも……事務所をやめちゃうんですか!?」
千早「結果的には、そういうことになりますね」
岡部「散々お世話になったのに、それを仇で返すような形になってすみません」
高木「君たちがどういう経緯で、やめるという決断を下したかは分からないし、無理に聞こうとも思わない」
高木「だが君たちの顔は非情に晴れ晴れとしている。実にいい顔だ」
岡部「社長……」
高木「君たちの未来に良きものとなるように、祈っているよ」
岡部・千早「今まで、本当にありがとうございました!」
701:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:50:48.91 ID:IL7gvhYS0
小鳥「綺麗に締めた所でアレなんですけど、もうすぐ他の皆も帰ってくると思います。だから、少しだけ待っていてくれると嬉しいです」
岡部「はい、もちろんですよ。ちゃんと皆に別れを告げるつもりですから」
千早「あら、大勢の足音が……噂をすればなんとやらですね」
春香「ただいま帰りましたー……ってあれ、千早ちゃんにプロデューサーさん。今日はオフだったはずじゃ……」
岡部「お帰り、みんな。実は俺と千早は、本日をもって765プロを辞める」
春香「えぇっ!?」
真「いきなり何を言ってるんですかプロデューサー。冗談にしても笑えないですよ」
伊織「ははーん、ドッキリか何かでしょ。この伊織ちゃんには全てお見通しなんだからね」
雪歩「ということは事務所のどこかにカメラが? 何だか恥ずかしいですぅ……」
響「なんだ、ドッキリか。自分、見事に騙されちゃったぞ!」
千早「いいえ。これは、ドッキリなんかじゃないわ」
小鳥「二人は、本当に765プロを辞めるの」
「えぇええええっ!」
704:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/08(木) 23:56:27.97 ID:IL7gvhYS0
貴音「プロデューサー、そして千早……これは一体、どういうことなのですか?」
律子「そうですよ。納得の行く説明をお願いいたします」
亜美「兄ちゃんと千早お姉ちゃんが居なくなるなんてやだよー!」
真美「そうだよ。今度なんとか研究所に行って、一緒にゲームやるって言ったじゃん!」
やよい「うっうー……すごく寂しいです」
美希「なんで千早さんと一緒にやめるの? すっごくアヤシイの……」
あずさ「もしかして、結婚するのかしら?」
雪歩「それとも、駆け落ち……?」
岡部「そういう類のアレではない」
708:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:01:51.58 ID:BkqQqoB90
響「じゃあ何でなのさー! 自分、プロデューサーや千早と離れ離れになるなんて絶対に嫌だぞ!」
伊織「ていうかプロデューサー……私に借りがあることを、忘れてるんじゃないでしょうね?」
岡部「忘れたりなんてしていないさ、一秒たりともな。あの時は本当に助けられたからな、伊織に」
伊織「な、なに真顔で言ってんのよ! まったく……」
美希「あぁ、デコちゃんの顔……真っ赤なの」
伊織「うるさいわねっ! そういうアンタはどうなのよ。あんなにプロデューサーにベッタリしてたくせに」
美希「えっとね……悔しいけど、プロデューサーと千早さんはお似合いだと思うの」
千早「やだ、美希ったら……」
春香「そうだ、みんなで写真取りませんか?」
高木「ほう、いいね……ティンときた! すぐにカメラを持ってくるとしよう」
713:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:07:39.79 ID:BkqQqoB90
高木「四条君、もう少し真ん中に……そうそう、その辺りだ」
高木「寂しいのは分かるが、涙を拭いてくれたまえ萩原君。そう、いい笑顔だ」
高木「よし……タイマーを押すぞ」カチッ
小鳥「ゆっくり慌てずに来てくださいね、社長」
高木「はぁっ、はぁっ……」
春香「大丈夫ですか社長?」
高木「なんのこれしき。まだまだ若い者には負けんよ」
岡部(たかが数メートルだろうというツッコミは野暮だな)
パシャッ
716:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:11:41.65 ID:BkqQqoB90
小鳥「デジカメって便利ねぇ。すぐに見れるんだもの」
亜美「おぉ、いい感じですなぁ」
伊織「ふふん♪ やっぱ私が一番ね!」
響「いや、一番は自分さ!」
あずさ「何だか前にもありましたねぇ、こんなやりとりが」
伊織「プロデューサー!」
響「どっちが一番だと思う!?」
岡部「どっちも一番さ」
718:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:16:38.53 ID:BkqQqoB90
伊織「上手いこと行って誤魔化そうったってそうはいかないんだから! ねぇ響……ってあら?」
響「自分はこれで満足だぞ。だって自分、大人だもんね」
伊織「むっきー! 何だか負けた気がするわ……」
美希「ふたりともまだまだ子どもなの、あふぅ」
岡部(この写真も、世界線が変われば消えてしまう)
岡部(だが俺は絶対に忘れないぞ。この目にしっかりと焼き付けておかねば)
721:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:20:39.09 ID:BkqQqoB90
春香「あ、今日クッキー作ってきたんですよ。作りすぎたのでどうぞ! 餞別っていう程のものでもありませんが」
岡部「ありがとう春香。大切に食べるからな」
やよい「何かあげたいのに、何も持ってないです……」
千早「その気持ちだけで十分よ。ありがとう、高槻さん」
岡部「それじゃ、そろそろ……」
真「プロデューサー、また会えますよねー!?」
雪歩「もし近くに来たら事務所に顔を出して欲しいです」
岡部「あぁ、必ずまた会えるさ! なぜならそれが……」
亜美・真美「運命石の扉の選択だからだー!!」
岡部「おい、流星の双子よ! 人の決め台詞を取るとは……まさに外道!」
岡部「これはこの狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー、鳳凰院凶真による説教が必要だな!」
千早「もう、バカやってないで行くわよ岡部君」ズルズル
岡部「おい! 服を引っ張るな! 歩く、自分で歩くから!」
727:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:26:59.86 ID:BkqQqoB90
――ラボ
岡部「鳳凰院凶真、ただいま帰還したっ! さぁ、ラボの主を盛大に迎え入れるがいい! フゥーハハハッ!」
千早「お邪魔します……」
ダル「生ちーちゃんktkr! うは、こんな間近で見れるとは……感動したっ!」
岡部「俺は無視か!」
ダル「あー、ちーちゃん連れてきたオカリンGJ!」
岡部「あくまで千早にこだわるんだな……」
ダル「当たり前だろ常考。ちーちゃんのためなら死ねる」
まゆり「ただいまー……ってあれ、オカリンに千早ちゃん?」
フェイリス「ニャニャッ、チヒャーがラボにいるなんて珍しいのニャ」
るか「お、お邪魔します……」
千早「椎名さんにフェイリス……それに、漆原さんだったかしら。こんにちは」
732:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:31:38.07 ID:BkqQqoB90
千早「なんだか一気に人が増えたわね……」
岡部「うむ、まぁ丁度いいな」
ダル「ん? なんかやるん?」
千早「えっと……みなさん、今まで本当にありがとうございました!」
岡部「俺からも礼を述べよう。ラボメン諸君、今まで実にご苦労だったな!」
ダル「おいオカリン。まさか、ちーちゃんと結婚するのか?」
岡部「はぁ? なぜそうなる……」
フェイリス「私たち結婚します! のノリとしか見えないニャ……」
まゆり「うんうん。でも、千早ちゃんならオカリンをお願いできるかな。ちょっと羨ましいけど」
るか「その……おめでとうございます」
737:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:38:29.77 ID:BkqQqoB90
千早「あの、私達は今までお世話になった人達にお礼を言っているだけなんだけど……」
岡部「千早の言う通りだ。結婚するわけでもなんでもない」
千早「そこまで言い切られると腹が立つわ」
岡部「いや、決して千早と結婚したくないわけではないのだぞ?」
岡部「しかしだな、やはり結婚というのは二十歳過ぎてからでないとだな……」
千早「それ以上言わないで。恥ずかしいから」
ダル「うん、もうお腹いっぱいだから。ご馳走様です」
フェイリス「ラブラブすぎて見てるこっちがもたれてきそうニャン……」
萌郁「お邪魔、します……」ガチャ
千早「桐生さん?」
萌郁「動かないで」
岡部「……っ!?」
738:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:39:30.59 ID:0Dmq+1BE0
!?
739:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:39:49.72 ID:DuznXwPC0
もえいくさん…
740:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:39:59.22 ID:S2Igz9QR0
何だと…
743:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:40:56.36 ID:BGEeTGcQ0
おいおいおいまじかよ
744:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:41:46.25 ID:BkqQqoB90
萌郁「くっつき虫、取れた」
岡部「驚かせるなよ……」
フェイリス「心臓が止まるかと思ったニャ」
千早「えぇ……」
ダル「なんでみんな、そんなにビビッてるん?」
まゆり「不思議なのです……」
岡部「まぁ色々とあるんだよ……萌郁、なぜここを知っているんだ?」
萌郁「高木社長に教えてもらった。765プロに行ったら大騒ぎしてて、何があったか聞いたら……岡部君がやめるって」
萌郁「本当、なの?」
岡部「あぁ。萌郁にも随分とお世話になったな。今までありがとう」
千早「ありがとうございました、桐生さん」
747:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:43:34.44 ID:BGEeTGcQ0
「驚かせるなよ」
748:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:43:46.95 ID:FHPWn5Oj0
_
σ λ
~~~~
/ ´・ω・)<驚かせやがってなのです
_, ‐'´ \ / `ー、_
/ ' ̄`Y´ ̄`Y´ ̄`レ⌒ヽ
{ 、 ノ、 | _,,ム,_ ノl
'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
\ヽ、 ー / ー 〉
\`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-/
750:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:47:23.22 ID:BkqQqoB90
岡部「よし、大勢集まったことだし……写真を取るか!」
ダル「ちーちゃんと写真とか……駄目だ、今夜は眠れそうにない」
千早「あの、橋田さん……ちょっと近いです」
まゆり「ダメだよダルくん、千早ちゃん怯えさせちゃ」
ダル「まゆ氏の一見ただの細い腕にしか見えない中に、秘められている怪力の方が怖……」
まゆり「何か言ったかな?」
ダル「何でもないでござる! ってこの記者さんもかなりの美人! オカリンマジ爆発しろ!」
萌郁「美人? 私が……?」
るか「萌郁さんはとっても綺麗ですよ……スタイルもいいし」
萌郁「るか君も、とっても可愛い……と思うわ。また記事を、書かせてね」
岡部「タイマー、セーットォ! 行くぞ、とぉっ……ってしまった、身体のバランスが!」ドンガラガッシャーン
千早「岡部君っ!?」
ぱしゃっ
753:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:50:57.98 ID:BkqQqoB90
ダル「これはひどい」
まゆり「見事にずっこけてるねぇ」
フェイリス「カッコ悪いのニャ……」
るか「岡部さん、大丈夫ですか?」
岡部「これぐらい大したことないわ、フゥーハハhッ!」
千早「もう、本当に心配したんだからね! バカッ!」
ダル「ちーちゃんに怒られるオカリンマジ裏山」
萌郁「橋田君って……変態?」
まゆり「その通りなのです☆」
757:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:55:39.07 ID:BkqQqoB90
千早「ラボは本当に騒がしいわね。でもラボのみんなには、本当にお世話になったわ」
岡部「あぁ。みんながいなければ……ここまでたどり着くことはできなかった」
千早「えぇ……」ピロリロリン
岡部「メール?」
From:フェイリス
Subject:運命石の扉の選択
――──────────
キョーマとチヒャーなら、絶対
にみんなが幸せな世界線へと
辿りつけるって信じてるニャ。
さようならは・・・言わないのニ
ャ。
千早「フェイリス……ありがとう」
岡部「さようならは言わないぞ、フェイリス……」
760:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 00:59:38.00 ID:BkqQqoB90
岡部(新幹線に揺られることおよそ三時間……)
岡部「ついたな、青森」
千早「うん。最後は……私のお父さんに会いに行きましょう」
岡部「まるで娘さんをくださいと言わんばかりだな」
千早「違うの?」
岡部「いや……間違いではないな。では、道案内を頼むぞ」
千早「分かったわ」
764:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:04:06.30 ID:BkqQqoB90
――中鉢の家
中鉢「ほう、君が紅莉……ではなく千早のプロデューサーか。いつも娘がお世話になっている」
中鉢「それで、私に何の用だね?」
岡部「あなたにお礼を言いに来たのですよ」
中鉢「? どういう意味なのだ」
千早「お父さんがいなかったら、今の私達はないの。本当にありがとう……」
中鉢「ま、まさか……結婚するのか!?」
中鉢「娘の幸せを願うのが親の役目……しかし、娘にくっつく悪い虫を追い払うのも親の役目」
中鉢「悪いが、君を少し試させてもらうよ」
岡部「ほう……面白い。受けて立ちましょう」
767:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:09:08.65 ID:BkqQqoB90
中鉢「き、君は一体何者なのだね……?」
中鉢「プロデューサーなどではなく、どこかの研究員じゃ……」
岡部「俺は狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー……鳳凰院凶真ですッ!」
千早「ちょっと、親の前でそれやらないでよ……」
中鉢「何を言ってるのかよく分からないが、君には娘を任せられそうだ」
岡部「はい、お任せ下さい!」
千早「お父さんもやっぱりどっか変よね……こんな厨二病に娘を任せるとか」
768:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:12:21.07 ID:BkqQqoB90
千早「今日はありがとう。すごく楽しかった」
岡部「俺もだよ。ドクター中鉢はなかなか手ごわかった」
千早「岡部君、少しあのベンチで休まない?」
岡部「そうだな。今日は随分とはしゃいでしまったし」
千早「ふふ、そうね」
771:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:17:04.96 ID:BkqQqoB90
千早「もう、悔いはないわ」
岡部「千早……」
千早「駄目じゃないですか、そんな顔しちゃ。朝も言いましたよね、プロデューサー?」
岡部「そう、だったな……。しかしそういう千早も、敬語に戻っているぞ」
千早「うーん……私達はこっちの方が自然かな、と思いまして」
岡部「はは、それもそうだな。タメ口の方が何だか堅苦しい気がする……変な話だが」
775:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:21:36.16 ID:BkqQqoB90
千早「プロデューサー、この世界線での私や765プロの皆、そしてラボメンの事……忘れないで下さいね」
岡部「あぁ。俺は、この世界線で起きたことを……ずっと覚えている」
岡部「だめだ……こういう時こそ、笑わなくてはならんと言うのに。涙が、止まらん……」
千早「本当に長い間……ありがとうございました、プロデューサー」
岡部「こちらこそありがとう、千早……」
778:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:27:00.79 ID:BkqQqoB90
千早「プロデューサー、寝ちゃったのね。無理もないか、本当に長い間頑張ってきたのもの」
千早「…………」
千早(消えたく、ない。ずっと、プロデューサーと一緒に居たい)
千早(でも、それは叶わぬ夢)
千早(駄目。これ以上一緒にいると……私の決心が鈍りそう)
千早(寝ている内に立ち去りましょう。最後に一曲、送って……)
千早「いつまでもこのままでいたいね。ずっとずっと一緒にいられたらいいね」
岡部(Zzz……ん? 歌が、聞こえる……)
千早「元気が戻ってきて良かった。フタリでがんばってきたよね。でも、それも終わり……」
岡部(これは『フタリの記憶』……?)
千早「何も言わずにさよならするよ。キミと出会えて、すごく嬉しかったな……」
岡部(千早……ごめんな。俺は如月千早というアイドルを、助けることが出来ない)
千早「いつまでも忘れないでいるよ。ずっとずっと空で見守っているよ――」
千早「さようなら、プロデューサー」
782:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:34:04.39 ID:BkqQqoB90
岡部(……行ったか)
岡部(ようやく、誰も悲しまずにすむ世界線に行けるんじゃないか)
岡部(なのに、なぜだ?)
岡部(なぜ、涙が止まらんのだ!)
岡部「千早……」
岡部「千早、千早……! ちくしょう……俺は、俺は何て無力なんだ!」
岡部「うわあああああああああああああっ!」
786:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:37:45.66 ID:BkqQqoB90
――ラボ
岡部「まずはタイムリープで、この世界線に来た日まで戻ろう」
岡部「この時点でDメールを送り、α世界線に戻ったらどんな状況か分からないからな」
岡部「…………」
岡部「さようなら、如月千早」
789:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:40:54.85 ID:BkqQqoB90
岡部(タイムリープ完了)
岡部(…………)
岡部(今なら、まだ引き返せるんじゃないのか?)
岡部(何も知らないフリをして、千早に会いに行けば)
岡部(また一緒に、765プロの皆と笑い合ったり、デートしたりする日々が……)
岡部(……弱気になるな、それはただの逃げだ)
岡部(俺の主観からすれば、タイムリープを繰り返すことで俺は死なないように見える)
岡部(だが千早や他の皆からすれば、俺の死は絶対的なものだ)
岡部(それに千早は自分の気持ちを犠牲にして、俺をここまで連れてきてくれたのだろう)
791:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:46:27.38 ID:BkqQqoB90
岡部(俺は、何があろうとも前に進まねばならんのだ……もう、迷いはない)
岡部(Dメールの準備を始めよう)
岡部「電話レンジ(仮)セット完了」
岡部「紅莉栖が送ったDメールを打ち消す」
岡部「…………」
岡部「送信!」
793:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:50:11.03 ID:BkqQqoB90
岡部(リーディング・シュタイナーが発動した)
岡部(戻ってきたんだな、α世界線に)
紅莉栖「はぁ、はぁ……舌まで入れるなんて、やっぱりHENTAIじゃない」
岡部(なっ!? こ、これはDメールを送る直前の……)
岡部(α世界線に戻って来る前に行ったタイムリープ、時刻調整を少しミスったようだ!)
紅莉栖「……岡部?」
岡部「ただいま、紅莉栖」
紅莉栖「へ? ま、まさかアンタ……」
岡部「お前がDメールを送った先の世界線に行ってきたぞ。まさか本当にアイドルになるというメールを送るとはな……」
紅莉栖「な、なななななな! うぅ、穴掘って埋まりたい……」
岡部「アイドルの紅莉栖も可愛かったぞ」
紅莉栖「馬鹿! それ以上恥ずかしいこと言うなーっ!」
798:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 01:54:47.88 ID:BkqQqoB90
紅莉栖「へぇ、タイムマシンを……」
岡部「あぁ」
紅莉栖「何だか悔しいわね。あの岡部がタイムマシンなんてものを作り上げるなんて……」
岡部「フッ、嫉妬するなよ」
紅莉栖「嫉妬するに決まってんでしょーが。でも、アンタって本当に強いのね」
岡部「俺が、強いだと?」
紅莉栖「タイムマシンを作り上げるほどの知識なんて、いくらSERNなどを利用したとしても……想像もつかない時間がかかるでしょ」
紅莉栖「人の一生よりも遥かに長い時間でしょう……発狂してもおかしくはない」
岡部「俺一人だったら、くじけてたかもな」
岡部「だが俺は一人ではなかった。お前やダル、まゆり、フェイリスに萌郁、るか子……そして、765プロのみんなが居てくれた」
岡部「だから俺は、ここまで来ることができたんだ」
岡部(ドクター中鉢の名前は出さないでおこう……こっちの世界線では険悪だからな)
806:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:01:21.72 ID:BkqQqoB90
岡部「さて、名残惜しいが……そろそろβ世界線へ行かねばな」
紅莉栖「まだまだ折り返し地点だからね、岡部からしたら」
岡部「あぁ。タイムマシンを作るのには、それなりの設備と時間が必要だ」
紅莉栖「アテはあるわけ?」
岡部「とりあえずフェイリスに頼み込む。今の俺の叡智を持ってすれば説得は容易だ」
紅莉栖「否定出来ないのがムカつくわね……」
岡部「フッ……では、ラボに戻るとしよう。ダルとまゆりがまだいると良いんだが……」
紅莉栖「橋田が居なかったらエシュロンのデータベースにアクセスして、最初のDメールを削除することが出来ないからね」
紅莉栖「……ってそんな訳ないか。今のアンタならそれぐらい余裕じゃない?」
岡部「まぁな。だが、門出を祝う際にはラボメン全員居たほうがいいだろう」
岡部「ようやく、すべてを終わらせることが出来るのだ……」
紅莉栖「ま、岡部がそういうなら好きになさい」
808:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:03:46.03 ID:BkqQqoB90
岡部「これより現在を司る女神作戦(オペレーション・ベルダンディ)最終フェイズを開始する!」
ダル「オカリンの話、正直眉唾ものだけど……牧瀬氏が言うなら本当なんだろうなぁ」
まゆり「オカリンは誰も知らない所で、一生懸命頑張っていたんだね……」
岡部「だがそれも、あと少しで終わる。ダル! 始めてくれ」
ダル「ぶっちゃけオカリンがやったほうが早くね?」
岡部「そのマシンはお前が一番触っているだろう。お前の方が使いこなせるはずだ」
ダル「やれやれ、タイムマシンを作っちゃうような人間にそこまで言われたら……やるしかないっすなぁ」
811:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:07:57.52 ID:BkqQqoB90
ダル「SERNのデータベースにマジであったぞ、オカリンのメール!」
岡部「よし……!」
ダル「Enterキーを押せばメールは削除される。その儀式は、オカリンに任せるぜ」
紅莉栖「岡部」
岡部「なんだ?」
紅莉栖「あと少しだから……頑張ってね」
岡部「無論だ」
岡部「勝利の時は来た! この俺はあらゆる陰謀に屈せず、己の信念を貫き、ついに最終聖戦(ラグナロック)を戦い抜いたのだ!」
岡部「この勝利のため、我が手足となって戦ってくれた仲間たちに感謝を!」
岡部「訪れるのは、俺が望んだ世界なり! すべては運命石の扉(シュタインズ・ゲート)の選択である!」
岡部「世界は、再構築される――!」
820:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:13:54.04 ID:BkqQqoB90
岡部「ここが、β世界線……」
岡部「まゆりは死なないが、紅莉栖が死んでしまう世界線」
岡部「…………」
岡部「まずは、フェイリスに会いに行くとしよう」ピリリリリ
岡部「電話? ……非通知か。もしもし?」
『ラジ館屋上に来てくれるかな、オカリンおじさん』
岡部「その声は……鈴羽?」
鈴羽『あったりー』
岡部「お前がタイムマシンを持ってきてくれたのか」
鈴羽『そういうこと。じゃ、待ってるよー』
岡部「うまくやってくれたみたいだな、未来の俺は」
821:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:17:41.22 ID:BkqQqoB90
――ラジ館屋上
鈴羽「久しぶり、なのかな? オカリンおじさんからしたら」
岡部「!?」
鈴羽「全部聞いたよ、α世界線とかのことも。未来のオカリンおじさんからね」
岡部「そういうことか……やれやれ、未来の俺は随分とお喋りなんだな」
鈴羽「うーん、あまり変わってない気がするなぁ」
岡部「そうなのか?」
鈴羽「うん、見た目はかなり変わってるけどね」
鈴羽「それじゃ、必要なものを揃えたら行こう。すべての始まり、2010年7月28日へ――」
823:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:20:31.41 ID:BkqQqoB90
鈴羽「ついたよ、オカリンおじさん」
岡部「ここからすべては始まったんだな……」
岡部「これが俺の最後のミッション……過去を司る女神作戦(オペレーション・ウルド)だ」
岡部「鈴羽はどうするんだ」
鈴羽「タイムマシンに人が近づかないように見張ってるよ」
鈴羽「あ、いい忘れてた。中鉢を逃がすな……とか言ってたよ、未来のオカリンおじさんが」
岡部「中鉢?」
岡部(おそらくドクター中鉢だろう。しかしなぜ彼の名前がでてくる?)
826:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:26:49.77 ID:BkqQqoB90
岡部(ここが、紅莉栖が血まみれになって倒れていた場所)
岡部(がらくたやダンボールが大量に置いてあり、隠れる場所には困らない。さて、身を潜めるとしよう)
岡部(…………)
岡部(足音が近づいてくる……来た、紅莉栖だ)
岡部(どうやら誰かを待っているようだな)
岡部(再び足音が近づいてくる。ドクター中鉢……なるほど、そういうことか)
紅莉栖「話があるの、パパ」
中鉢「その封筒は何だ」
紅莉栖「私もタイムマシンが作れるかどうか考えてみたの。だからパパの意見を聞いて、手直しして……学会に発表しようと思ってるの」
中鉢「見せてみろ」
中鉢「…………」
中鉢「悪くない内容だ」
829:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:29:28.94 ID:BkqQqoB90
紅莉栖「本当? それ、私とパパの共同署名でもいいと思ってるの……」
中鉢「学会には出すな。この論文は私の名前で発表する!」
紅莉栖「私の論文、盗むの……? そんなことだけはしない人だと思っていたのに!」
中鉢「親に対してなんという口の聞き方だ!」
中鉢「私はお前が憎い、憎くて仕方がない! お前など、お前などいなければ……っ!」
紅莉栖「っ!」
岡部(なんていうことだ……今までいた世界線の中鉢は、あんなにいい人だったのに)
岡部(娘が天才すぎるあまり、嫉妬する気持ちは分かるが……限度があるだろう!)
832:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:32:04.18 ID:BkqQqoB90
中鉢「お前など、首を絞めて……殺してやる!」
紅莉栖「パパッ……! やめて……苦し、いっ!」
岡部「やめろ中鉢!」バキッ
中鉢「がはぁっ!」
紅莉栖「はぁ、はぁっ……!」
中鉢「貴様は……私の会見をメチャクチャにした若造ではないか! そうか、やはり紅莉栖とグルだったのだな」
紅莉栖「私、その人とは今日あった……げほっ、げほっ! 今日あったばかりだよ……」
834:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:35:32.04 ID:BkqQqoB90
中鉢「どいつもこいつも、私をバカにしおって……」
岡部(……ナイフ。そんなもので俺を止められると思っているのか)
岡部(中鉢を逃がすなと言っていたな。ならばとりあえず動きを封じ込めるとしよう。紅莉栖は後回しだ)
中鉢「うぉああああっ!」ヒュン
岡部「当たらんな」
岡部(腕の一本でも折ればおとなしくなるだろう。紅莉栖の目の前であまり乱暴なことはしたくないが、あまり時間もない)
岡部「これも未来のためだ、許せ」バキッ
中鉢「あぎゃぁあああああああああああああああああああっ!!!!!」
紅莉栖「パパ!? やめて、パパに乱暴しないで」
岡部(逃げられると厄介だ。ロープでがんじがらめにしておこう)
835:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:36:35.98 ID:MTzk+/+nO
オカリンつえー
837:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:37:43.70 ID:S2Igz9QR0
まっちょりんか…
838:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:39:16.42 ID:BkqQqoB90
岡部「さて、次は紅莉栖……お前の番だ」
紅莉栖「やだ、来ないで!」
岡部(鈴羽が持ってきた未来のダルお手製スタンガン。人を気絶させるには十分な威力を持っている)
岡部「ごめんな、紅莉栖……」バチィ
紅莉栖「あっ……」バタリ
842:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:42:30.73 ID:BkqQqoB90
岡部(あとは倒れた紅莉栖に、鈴羽が持ってきたサイリウムセーバーver3.16を使う)
岡部(こいつは剣のような形をしたサイリウム。血糊がでる機能付きだ)
岡部(よし、これで血まみれで倒れた紅莉栖……あの時見た光景が再現できたな)
岡部(とりあえず屋上まで中鉢を引っ張っていくか)
845:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:46:39.13 ID:BkqQqoB90
――ラジ館屋上
鈴羽「おっ、上手く行ったみたいだね……って、それ誰? 何で口にガムテープ貼ってるの?」
中鉢「もご! もごごごご!」
岡部「騒ぎになっても困るからな」ベリベリ
中鉢「ぷはぁ! 貴様、こんなことをしてタダで済むと思うなよ!」
岡部「それはこっちの台詞だ! 実の娘によくもあんな真似ができるじゃないか、えぇ!?」
中鉢「黙れ! 貴様に私の気持ちなど分かるまい! 優秀すぎる実の娘と比較され、馬鹿にされ続けた私の気持ちなど!」
岡部「分かるわけないだろう、人の気持ちなんて。だが……あなたが本心から紅莉栖を嫌っていないということは分かる」
中鉢「は! 何を甘っちょろいことを。私は紅莉栖が大嫌いだよ」
岡部「あなたは知る由もないが……別の世界線のあなたは、紅莉栖を本当に愛していた」
岡部「紅莉栖のために必死でタイムリープマシンを……何度も作り上げた!」
岡部「この世界線とあの世界線の分岐点は紅莉栖が小さい頃。既に大人であるあなたの人格はさほど差がないはずだ」
中鉢「何をわけのわからないことを……うぐっ!?」
849:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:50:34.39 ID:BkqQqoB90
中鉢『すまなかった。いくらマスコミが騒いでるとはいえ、すぐに駆けつけてやるべきだったのに』
中鉢『何より娘が助けを求めているのだ。娘を助けるのに理由は必要あるまい』
中鉢『フッ、とうとう念願のタイムマシンが出来たのだな』
中鉢『娘の幸せを願うのが親の役目……しかし、娘にくっつく悪い虫を追い払うのも親の役目』
850:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:53:54.19 ID:BkqQqoB90
中鉢「はぁ、はぁ……! な、なんだったんだ、今のは……?」
中鉢「娘を助けるのに理由はいらないだと? 私が、そんなことを考えるはずが……」
中鉢「それにタイムマシンが完成したとは一体……?」
岡部「見えたんですか、あの世界線のあなたが」
中鉢「…………」
岡部「今からでも遅くはない。まだ、やり直せますよ」
中鉢「はっ。娘の首を絞めた親が、やり直せたりできるものか」
岡部「できますよ。諦めなければ、必ず」
中鉢「…………」
中鉢「この論文は、燃やしてしまおう」ボッ
岡部「いきなり何を……!?」
中鉢「先程、いくつも妙な光景を見た。その中の一つに、タイムマシンを狙い……紅莉栖が狙われる光景が見えた」
中鉢「私のこれまでの全てを否定することになるが……タイムマシンなど、あってはならないのだろう」
852:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:55:21.12 ID:BkqQqoB90
鈴羽「オカリンおじさん、そろそろ戻らないと」
岡部「あぁ」
岡部「さようなら、ドクター中鉢」
中鉢「小僧、名前は?」
岡部「狂気のマッドサイエンティスト兼プロデューサー……鳳凰院凶真」
856:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 02:57:54.32 ID:BkqQqoB90
岡部(鈴羽のタイムマシンで元の時間に戻ってきた)
岡部(しかし目を開けると、そこにタイムマシンなどなかった)
岡部(どうやら上手く行ったようだ)
岡部(あぁ……なんだか、とても疲れた)
岡部(少しだけ、ここで眠ってしまおう……)
861:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:01:36.55 ID:BkqQqoB90
数日後――
岡部「ふぅ、やっぱり765プロは最高だぜ!」
ダル「まさかオカリンがドルオタとはね……いい趣味してるぜ、アンタ」
まゆり「ダルくんは誰が好きなんだっけ?」
ダル「そりゃ、もちろんいおりんだお! 罵られたい! 踏まれたい!」
まゆり「ダルくんはエッチなのです……」
岡部「自重しろ、このHENTAIめ!」
ダル「オカリンは誰が好きなん?」
岡部「俺か? それは……秘密だ」
ダル「えー! なんでだよー」
岡部「少し出かけてくる」
862:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:04:45.96 ID:BkqQqoB90
岡部(765プロのみんなと再び出会えて、よかった)
岡部(もちろん以前とは違い、俺はただのファンだが……)
岡部(そしてみんなとは言ったが、一人だけいない)
岡部(そう……アイドル、如月千早はもういないのだ)
岡部(ググッてみたのだが、彼女の持ち歌である『蒼い鳥』も、この世界線には存在していないようだ)
岡部(俺の一番好きな歌だったんだがな……)
864:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:06:05.62 ID:BkqQqoB90
岡部(千早と、別れた公園に来てしまった)
岡部(感傷に浸っても何の意味もないんだけどな……)
岡部(…………)
岡部(ん? 歌が、聴こえる……)
岡部(この声、そしてこの歌は……!)
紅莉栖「蒼い鳥……もし幸せ、近くにあっても」
岡部「あの空へ、私は飛ぶ……未来を信じて」
紅莉栖「なっ!? あ、あなた……なんでこの歌を?」
867:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:07:16.15 ID:2U/MDlnp0
なにこの良い展開
868:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:08:19.57 ID:9C6f6O5/0
信じてたよこの展開!
869:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:09:06.44 ID:GhAVIvc80
なんというすばらしい展開
873:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:11:51.43 ID:BkqQqoB90
岡部「どうした、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして……らしくないじゃないか、紅莉栖」
紅莉栖「あの……紅莉栖って呼ばないで頂けませんか、プロデューサー」
紅莉栖「ってあれ? 何で本名で呼ばれて困るのかしら」
紅莉栖「そもそもプロデューサーって一体……うーん、何だか今日は脳が上手く働いていないわね」
紅莉栖「……って何ニヤニヤしてるんですか、人の顔を見て。気持ち悪い人ですね」
岡部「すまないな。嬉しくて、つい……」
岡部(これが、運命石の扉の選択だよ――)
おわり
874:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:12:44.20 ID:0Dmq+1BE0
良くやった! 乙!!
879:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:13:51.73 ID:S2Igz9QR0
>>1乙としか言わざるおえない
881:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:14:40.12 ID:FHPWn5Oj0
大作だったな、乙
882:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:15:17.81 ID:9iXJ6RE90
原作のラストシーンにかぶせてくるとか素敵
887:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:15:59.82 ID:t80Sqbuw0
これレベル高かったわ
乙!
すげーーーよかった
890:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:19:43.53 ID:7KfcADzh0
最高だった!乙!
904:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 03:34:17.21 ID:9mQTQErR0
超乙!
めっちゃ面白かった!いい物見れたわ
912:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 04:51:11.71 ID:7//YYwVP0
ちょっと泣いちまったぞ!乙!!
923:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 07:11:35.38 ID:9aCFpaDY0
乙!
スゴいもの見させて貰った
959:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 11:15:36.81 ID:PWylg0pH0
蒼い鳥の歌詞思い浮かべるとやばいな……
ほんと乙!
960:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/03/09(金) 11:19:22.82 ID:EmwYcI8q0
もう千早の歌がクリスにしか聞こえないどうしてくれr
【 関 連 記 事 】
>>1乙