306:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 21:56:18.77 ID:xxUFkxwt0
――8月8日、昼――――――…
瞼の痙攣
そんな日は必ずと言っていいほど良くない事が起こる……
のび太「今日のは特に……嫌な感じだ……」
時刻は昼を回り、のび太が都心部付近に着いた頃
向こうから見覚えのある二人がこちらに近づいて来た……!
出木杉「のび太君!!」
ジャイアン「おおい!!のび太~~ッ!!」
のび太「出木杉……ジャイアン……二人ともどうしたんだッ!?」
311:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 21:58:20.39 ID:xxUFkxwt0
のび太を探し駆け回っていたのか
二人とも息も絶え絶えの様子である……
ジャイアン「のび太……無事だったか………!!」
のび太「うん、少将を倒して来たよ……」
ジャイアン「そうか……だけど安心していられねぇ…!!」
のび太「?」
出木杉は先程町で起こった現象を
のび太に説明した…
312:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 21:58:52.34 ID:xxUFkxwt0
のび太「空から人や車が次々に落ちてくるだって………ッ!?」
ジャイアン「冗談じゃねぇっつうのッ!あんな光景見てられっかよォーーッ!!」
出木杉「テキオー灯を浴びた人達は問題ないんだけど……それ以外の大勢の市民や車が一斉に空へ向かって飛んでいったんだ……!!」
ジャイアン「今、しずちゃんとスネ夫がテキオー灯を使って地上に残っている人の救援に回っているけど、とても人手が足りねぇ!!」
のび太「ちょっと落ち着いてくれよ……言ってる意味が……」
出木杉「ほら、あれ……!!」
出木杉が指差す先…!
100……いや、200名ともあろう人の大群が空から墜ちて来ていた……!
313:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 21:59:36.03 ID:xxUFkxwt0
出木杉「ああやって飛ばされた人々が数分刻みで落下して来ている!!何とかならないのかい!?」
ジャイアン「のび太!!」
のび太「『安全ネット』、この網は墜ちてくる人を自動的に助けてくれる……!」
のび太は『安全ネット』を解き放った
のび太「あの人数なら何とかなりそうだけど……車も墜ちてくるとしたらまだ油断は出来ない……人々を安全な場所に誘導しておいてくれよ!」
ジャイアン「のび太!?どこ行くんだ!?」
のび太「諸悪の根源を突き止めてくる!!」
のび太は都心部へ向かい
走り出した…!
314:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:00:11.28 ID:xxUFkxwt0
のび太〈これ程の規模の災害を起こせる道具を持つ事が許されるのは恐らく一人………〉
残る敵、『中将』
ドラえもんを除けば最難関の敵である
のび太は今になって
准士官の言葉を思い出していた……
のび太〈下の者に道具を渡す役を任されるという事は道具の編成も好きに任されている………〉
中将は道具の支給係
今まで自分を窮地に追い込んできた部下の殆どの道具編成を任されている事になるのだ……
のび太「部下思いの遠慮した奴だったらいいんだけどなぁ……なんて希望的観測を抱いてもしょうがないか……」
のび太「僕も場数を踏んだ……戦いの駆け引きなら自信はある……!」
次の瞬間――――
のび太の甘い考えは一気に吹き飛ぶ事になる……
317:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:01:21.53 ID:xxUFkxwt0
のび太「――――――…」
のび太は絶句していた
高層ビルの密集する都心部に足を踏み入れた瞬間
天地がひっくり返ったのである…
のび太「あ…危うく『上』に落っこちる所だった……」
のび太は丁度、歩道橋を歩いていたため
手すりに掴まった事でかろうじて難を逃れていた……
のび太「地球の引力が……逆に働いているのか………?」
321:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:02:41.45 ID:xxUFkxwt0
のび太「とりあえずこのバッジを付けて元に戻るか…………」
※タテヨコバッジ
使用者のみ、バッジについている針の方向に重力が働く
のび太「……これだけの規模を逆さまにひっくり返す道具なんてあったか……?」
引力ねじ曲げ機など、重力の方向を変えてしまう道具は多くあるが
どれも使用している者にしか効果はない…
自分以外の者に働いている重力の方向まで変える事は出来ないのだ
のび太「周りのものにまで重力の影響を及ぼす道具は『重力調節機』だ……だけどこれは重力の力を調整する道具であって力の方向までは変えられない……」
のび太〈それとも何だ?道具の使い方次第で重力の方向まで変化させる事が出来るのか?………しかしどうやって……〉
324:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:03:22.01 ID:xxUFkxwt0
のび太「実際にどういう使い方をしているのか見てみないとわからないな……早く探さなければ……」
のび太「…………………」
のび太はふと先の一戦を思い返す……
ドンブラ粉の被害を食い止める為、町に誘き出されたのび太は
敵の待ち構える新幹線まで選択肢を迫られ、追い詰められてしまった…
そして現在…
考えてみればこの町の状況も
のび太を誘い出す故である……
のび太〈相手が先に動いている以上……このまま敵の思惑通り動けば僕は間違いなく後手に回る事になる……〉
327:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:03:56.13 ID:xxUFkxwt0
のび太は新たな出方を考える為
長考にふける……
敵の手に対し
何とか奇策を打って出る事は出来ないだろうか……
これまでの経験をもとに
敵が持つ自分の情報を冷静に分析した…
のび太〈中将は恐らく……僕の事を『石橋を叩いて渡るタイプ』だと認識しているだろう……〉
ここに至るまで数々の一撃必殺の采配を凌いできたのだ
あらゆるリスクに警戒し、安全でなければ余計な手段は一切選択しない……そう思われているに違いない
これは自惚れでも何でも無く
相手が抱く正当な評価であろうとのび太は自負していた
328:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:04:35.90 ID:xxUFkxwt0
その先入観を利用して
のび太はあえて大胆な行動に出る……!
『重力調節機』を奪うべく
取り寄せバッグに手を突っ込んだのだ…!
のび太〈まさかこのタイミングで道具を直接奪ってくるとは思うまい……!〉
敵の姿を一度も目視せず
あえて対策されているであろう手段を選ぶのび太
のび太〈たとえ失敗したとしても……この手段は試しておいて損は無い……!〉
330:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:05:06.18 ID:xxUFkxwt0
のび太「――――やっぱり取れないな……手を伸ばそうにも何か強い力で押し戻されてしまう………」
相手も深読みしていたのか……
無難な防衛策を施していただけなのかはともかく
これでまた一つの指針が出来た
のび太「つまりこの街が逆さまになった原因は『重力調節機』によるものであり、敵にとって『重要』な道具という事……!」
片腕を切り離す覚悟で道具の奪取を試みたのび太にとって
何の被害も無く、敵の攻撃の要が判明しただけでも充分であった
取り寄せバッグから腕を引っ込めるのび太…
そのバッグの中から数十ともあろう小さな眼が
のび太を見つめていた……
334:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:06:08.40 ID:xxUFkxwt0
忘れもしない裏山での出来事…
のび太の片腕をすり潰していった道具……
のび太「『玩具の兵隊』――――――ッ!?」
『重力調節機』を守っていた玩具の兵隊が腕を伝い
こちらへやってきたのだ……!
のび太「体ごと引きずり込むのでは無く、僕の元へと送り込む作戦に出たか……ッ!」
しがみついた玩具の兵隊達は
徐々にのび太の腕を上っていく……!
338:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:06:36.78 ID:xxUFkxwt0
のび太「だけどこれは良い手じゃあないな……」
玩具の兵隊達が肩までよじ登ってくる中
のび太はあくまで落ち着いていた
のび太「今は僕以外の重力が逆に働いているんだ。必死にしがみ付いている兵隊等が僕の腕を攻撃することはまず無い……」
のび太「タテヨコバッジを付けている僕とは違い、『空』に落っこちてしまう可能性があるからね。」
のび太はよじ登る玩具の兵隊を
指でつまみブチブチと捻り潰していった
のび太「一体一体がこのスピードなら僕のスーパー手袋の力で処理できる。」
341:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:07:08.05 ID:xxUFkxwt0
安心していたのび太に
またしても予期していない出来事が襲う……!
逆立ちするように腕にぶら下がっていた無数の兵隊達が
うつ伏せに倒れこんだ……!
のび太「……逆に働いていた重力が……元に戻ったのか!?」
脅威再び……
兵隊達が一斉に体勢を立て直し、整列する
のび太「この絶妙なタイミングでの重力方向転換!!これは……!!」
のび太〈敵はどこかで僕の様子を伺っている――――――ッ!?〉
342:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:07:45.13 ID:xxUFkxwt0
襲いかかる兵隊の群…!
丁度その中の一体が飛びかかり、のび太の頬を蹴り飛ばした!
のび太「おうふッ!?」ブシュウウウウ……
あまりの脚力に頬の一部が削り取られ
肉片が飛び散る…!
のび太〈『がん錠』で鉄の硬度を保っているのに……ロボットってのは加減を知らないらしい………!〉
のび太はふと周囲の異変に気付く…
自身の周りを大きな影が覆っていた…
347:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:08:21.90 ID:xxUFkxwt0
のび太「うおォォォォォォーーーーッ!!?」
見上げるとコンテナ搭載のトラックが
のび太の目の前まで迫っていた…!
のび太〈『玩具の兵隊』はブラフ……本命はこっち――――――ッ!?〉
重力の方向が元に戻った事により
空高く上げられていた車が次々と地上に落下していたのだ…!
のび太「 」ゴシャアアッ!!
コンテナは玩具の兵隊ごとのび太を押し潰した……!
350:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:08:54.41 ID:xxUFkxwt0
のび太「……我ながら『石橋を叩いて渡る』って自己分析は間違っちゃいないな………」
落下物が押し潰そうとする直前……!
のび太は例の如く『液体』となって難を逃れていた……!
もしもの時を想定し
のび太はバッグに手を突っ込む際、サンタインを口に一粒含んでいたのだ
のび太「恐ろしい敵だ……貴重な玩具の兵隊達を犠牲にしてまでこのような手段に出るとは…………」
のび太「『サンタイン』はこの二粒で最後、か………」
度重なる戦闘で使い続けたサンタインもとうとう底をついてしまう……
今後、危機に陥ってもこの道具に頼る事は出来ない……
のび太は最後の二粒を頬張り実体に戻った
351:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:09:26.73 ID:xxUFkxwt0
?「成程、判断が良い……部下が全滅させられる訳だ…」
のび太「誰だ………!?」
のび太が振り返ると一人の女性が佇んでおり
その頬には『中将』のワッペンが貼られていた……
のび太「お前が………『中将』……!!」
中将「始めまして……と言っても、お互い自己紹介はいらないわね……」
357:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:10:28.32 ID:xxUFkxwt0
カタカタ……カタカタ……
のび太〈何の音だ………!?〉
足元に目をやると
コンテナに潰されてもなお身体を引きずりながら
のび太へ攻撃を仕掛けようとする無残な兵隊達の姿があった……
中将「大した執念ね……まるでゾンビの兵隊……」
のび太〈くっ………!〉
のび太は『通り抜けフープ』を使い
自身を押し潰そうとしたコンテナの内部に入り込んだ
中将「………?」
360:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:11:11.06 ID:xxUFkxwt0
ーコンテナ内部ー
のび太「今の兵隊達が僕を脅かす事は無いだろう……」
のび太「しかし『中将』相手にこのまま放って置いたんじゃ何をしでかすかわからないぞ………だからその前に…!」ゴソゴソ…
のび太「これで良し……!」
のび太はバッグから
ガソリンの入ったポリタンクを取り寄せ、中身をブチ撒けた
のび太「そしてこのタケコプターを装着して準備完了……!」
のび太「残りの兵隊にとどめ&中将へ奇襲だ……!」
362:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:11:38.89 ID:xxUFkxwt0
のび太はガソリンを垂らしながら
通り抜けフープでコンテナの上へ抜け出した
のび太「これでもくらえ!!」
中将「!!」
のび太はバッグから取り出したニトログリセリンの入った瓶を
上空からコンテナへ落とす……
トラックは瞬く間に燃え上がり
大爆発を起こした!
368:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:13:06.15 ID:xxUFkxwt0
ゴオオオオオオオ・・・・・・
のび太「目の前でこれだけの大爆発が起きたんだ……ただでは済まない筈…!」
中将「それはあなたにも同じ事が言えるわ。」
のび太「―――ッ!?」
声のする方へ振り向いたその時
爆風で吹き飛ばされた残骸のいくつかが
のび太に命中した!
のび太「ーー~~ッ!!」
中将「打撲程度で済むなんて……どうやらかなりの防御力を持っているようね……」
中将〈それにこの男、『重力調節機』の影響を受けていない……何か重力の方向を操る道具で中和している……〉
のび太「……何だこいつは?……宙に浮いてる………!?」
369:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:13:39.52 ID:xxUFkxwt0
のび太「そうか!この辺りを無重力にしたんだな!?通りでここまで破片が勢い良く飛んでくる訳だ………!」
中将「そういう事……!」ヒュッ!
のび太「うわっ……!!」バシャッ!!
のび太に液体が投げつけられた!
のび太「クソッ!!目潰しか……!!」ゴシゴシ…
中将「お気に召さないなら……この『重力調節機』を奪ってみる?」
中将は空高く『重力調節機』を放り投げて
そのままどこかへ飛んで行ってしまった…
370:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:14:20.53 ID:xxUFkxwt0
のび太〈迂闊な奴め………!!〉
のび太は視力を取り戻すと
取り寄せバッグで『重力調節機』を取り寄せた
のび太「このまま壊してしまってもいいけれど……上空に飛んでいってしまった人達はどうなったんだ?……まさか全員墜ちてしまって……」
しずか「のび太さ~~ん!!」
下を見下ろすと
しずかとスネ夫の二人が手を振っていた
のび太「二人とも!無事で何よりだよ!」
スネ夫「凄い爆発音がしたから急いでこっちに来て見たけど…やっぱ誰かと交戦中だったみたいだね」
374:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:15:07.50 ID:xxUFkxwt0
のび太〈そうだ!玩具の兵隊は壊れたんだ……今、ドラえもんの『苦手つくり機』を破壊すれば………!〉
のび太はバッグに手を突っ込むが
『苦手つくり機』を取り寄せる事は出来なかった……
のび太〈『しずめ玉』だな。やはり、二度と弄れない様に沈めている……この分だと『なくし物取り寄せ機』も恐らく……〉
スネ夫「ところでのび太、その手に持っている体重計みたいなのは何だい?」
のび太「ん?ああ……これは『重力調節機』といって……そうだ。二人ともお願いしていいかい?」
のび太はこれまでの経緯と
これからの目的を簡潔に述べた
しずか「……つまり住民を救助するまで、この『重力調節機』のスイッチを切らないほうがいいわけね?」
のび太「中将を不利にさせる為にも本当は今すぐスイッチを止めたいけど……まだ助かっていない人もいるからね。じゃあ二人とも頼んだよ!」
『重力調節機』を二人に託し
のび太は先程飛んで行った中将の後を追った
377:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:15:55.79 ID:xxUFkxwt0
のび太「追いついた……!」
中将「『重力調節機』より私を優先した様ね……フフッ……嬉しいわ……!」
のび太「…あいにく無重力だろうと僕には何のデメリットも無いんでね……!」
中将「へぇ……腕に覚えがあるみたいだけど……!」
中将は『空手ドリンク』を飲み干した……!
※空手ドリンク
飲むと体が鉄のように頑丈になる
また、素手で空き地の土管を粉々に砕く程の力を得る
中将「これでお互い攻撃力も防御力も互角ね……勝負ッ!」
379:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:16:42.88 ID:xxUFkxwt0
中将は飛びかかったのび太の拳をかわし
その姿勢から脇腹目掛けて回し蹴りを放つ…!
のび太「ぐッ……!」
思わぬ動きに体勢を崩されたのび太
続いて中将は深く身を屈め、のび太の懐に潜り込むと
顔面に強烈なハイキックを繰り出した…!
中将「あら、女だからって加減しなくても結構よ!!」
のび太「何を……おうッ!?」
無防備となった胸部に間髪を入れず肘打ちの突進攻撃…!
そのままのび太を壁まで打ち付け、突込絞で首を締め上げる…!
380:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:17:16.92 ID:xxUFkxwt0
のび太〈い……息が……苦しいッ!!〉グググ…
のび太はもがきながらも拳を振るい
背後の壁を全力で打ちつける……!
中将〈ヒビを入れて逃げるつもりね。だけど……!〉
暴打の衝撃により壁の一部が崩れた瞬間……!
中将はのび太の顔面を即座に掴み上げ
壁を抉るようにゴリゴリと押し付けながら移動した……!
のび太〈だ……だめだ……このままでは………!〉
獅子奮迅の如く……
中将の猛追は終わらない
ぐったりしているのび太の体勢を無理矢理起こすと
無重力に身を任せ、空高く飛び上がった……!
384:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:18:06.99 ID:xxUFkxwt0
かなり高い位置まで来たところで
中将はのび太にサブミッションを仕掛ける…!!
中将「あなたは無重力の影響を受けていない……このまま行けば普段通り地面に叩きつけられる事になるわ……!」
のび太〈この高さはまずいな……落ちるわけにはいかない……!〉
中将「な……何!?」
のび太の片腕が
車ほどの大きさに変化する…!
のび太「手を出せず暇だったんでね……『からだポンプ』を取り付けていたのさッ!!」
386:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:18:42.83 ID:xxUFkxwt0
中将「足掻くなッ!」
中将がすかさず『からだポンプ』の吸盤を弾き
のび太の腕は徐々に元に戻っていく……!
しかしこれで関節技から解放され、片腕が自由に動かせる様になったのび太は
胸についた『タテヨコバッジ』の針をでたらめに動かした!!
388:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:19:17.52 ID:xxUFkxwt0
右から左へ……左から右へ……
舵取りの利かない死のジェットコースターが徐々に高度を落とす……!
中将「こんな脅しが私に通じるとでも……!」
のび太「脅してなんかないさ…自分の背後をよく見てみろ!!」
中将「!?」
勢いのついた両者の身体は
ビルの側面に向かって突き進んでいた……!
391:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:20:00.17 ID:xxUFkxwt0
中将〈しまった……ここは離脱を……!!〉
のび太「させるか!お前が後ろだ!!」ガシッ!
掴まれた腕を振り解こうと中将が懸命に手刀を繰り出すも
のび太はその手を緩める事はない……!
両者激しい攻防の末
中将を壁にしてビルの側面と激突!
しかし、それでもなおジェットコースターは続く…!
そのまま削られるように下へ下へと叩きつけながら両者は落ちていった……
394:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:20:33.04 ID:xxUFkxwt0
地表に辿り着く頃……
のび太は中将の束縛からとうとう解放された
のび太「ハァ……ハァ……今のはかなりダメージがあった筈だ!!」
中将「お……お互い様よ……!」
終始戦局を圧倒していた中将が地に伏せている……!
チャンスがあるとすれば今しか無い……!!
のび太は身体を休める事なく
中将に渾身の一打を繰り出した……!
のび太「うおォォォォォーーーーーッ!!」
中将「―――――――――……ッ!!」
ゴキィッ!!
396:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:21:22.75 ID:xxUFkxwt0
のび太「…………痛ッ!!」ビキビキビキ…
中将「フフッ……拳の砕ける音がしたわ……!」
中将は即座に身を立て直し
のび太の拳を膝蹴りで迎撃して見せた……!
のび太〈何て重たい攻撃だ……体格は僕と殆ど変わらないのに……それにこの反応速度は……!!〉
中将「女だからって嘗めていた様ね……こんな身体だけどインナーマッスルだけなら私はボディービルダー級よ………!」
のび太「インナーマッスル…………!?」
399:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:21:52.55 ID:xxUFkxwt0
インナーマッスル
体の内側の筋肉の事を指す
体の外側の筋肉(アウターマッスル)が大きな力や持久力をつかさどるのに対し
インナーマッスルは反射神経等をつかさどる
また筋肉の動きや関節の働きを補助する役割がある
のび太〈聞いた事あるぞ……確か鍛えるのが難しいと言われる筋肉……!〉
のび太「無重力化での変則的な戦法は……その筋肉が可能にしているという事か……!?」
中将「絶望的な身体能力の差を実感できた?」
のび太「くっ……!!」
中将「あなたがこの場にいるという事は、いくつもの道具を看破してきた事になるわけだけど……」
中将「この劣勢な状況……私に対してはどんなミラクルで凌ぎ切るつもりなのかしら……?」
402:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:22:34.22 ID:xxUFkxwt0
のび太は取り寄せバッグから
バイオリンを取り寄せた…!
中将「肉弾戦の望みは捨てて今度は自棄……?」
のび太「情けないが……戦闘技術<マーシャルアーツ>に関しては君の方が遥かに上だ……!!」
のび太「……だから君の戦闘技術に対し……僕は『知恵』で挑む………!!」
中将「知恵、ね………で、そのバイオリンでどうやって戦うというのかしら……?」
のび太は自分のタテヨコバッジを外し
バイオリン本体ではなく弓にそれを取り付ける…
のび太「こんな物でも……何が出来るか考えるのが『知恵』ってもんだよ……!」
404:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:23:20.13 ID:xxUFkxwt0
中将の真上に
バイオリンの弓を放り投げた!
中将「――!?」
のび太「今だッ!!」
のび太はバイオリンの弓に『もどりライト』を照射…!
バイオリンの弓は徐々に『原料』へと姿を変える……!
中将「これはッ!?」
のび太「『ヒゲクジラ』まで戻ったッ!!潰れてしまえッ!!」
体長30メートルともあろうクジラが
中将に圧し掛かった!
407:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:24:24.01 ID:xxUFkxwt0
ズシーーーーーン・・・
のび太「やった……!!」
のび太「……厄介な相手だった……!」
緊張の糸が切れたように
尻餅を着くのび太…
空を見上げると
そこには軽トラックを持った中将が目の前まで迫っていた…!
のび太「ゲェェーーーーッ!?」
中将「今度はあなたが避ける番よッ!!」
411:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:25:10.81 ID:xxUFkxwt0
ゴシャアアアアッ!!
のび太「ハァー……ハァー………!」
中将「無重力下のおかげでとっさに身体が動かせた様ね……!」
のび太〈さ……さっきのクジラは決定打だった筈だ……あの攻撃を回避できる方法はひとつ……!〉
中将の頭の上には先程まで無かった
『エスパー帽子』が被せてあった!
のび太〈やはり……ッ!!『瞬間移動』でかわしたんだッ!!〉
※エスパー帽子
被ることで透視、瞬間移動、念力の3つの超能力が使えるようになる
のび太〈無重力下なら『エスパー帽子』に全神経を集中させる事で……町の人達や車を『念力』で空へ飛ばす事も可能という訳か……〉
417:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:26:18.41 ID:xxUFkxwt0
のび太「こんな物………!」
のび太は取り寄せバッグで『エスパー帽子』を奪い取り
紙クズの様に丸めて押しつぶした…!
中将「やけに焦っている様だけど大丈夫……?」
のび太〈そりゃあ焦りもするさ……!〉
中将の戦闘技術に圧倒されるばかりで
まだ道具を三つ程しか使わせていないのだ……!
のび太〈今までの目安から推測すると……中将はあと二つか三つ道具を持っている……!〉
420:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:26:54.57 ID:xxUFkxwt0
今度は取り寄せバッグで
『車』を取り寄せるのび太…
のび太〈やはり……無重力空間が功を奏した……スーパー手袋さえあれば片腕でも『車』を取り寄せられる……!〉
中将「まるで帽子から鳩を出すマジシャンね……」
のび太「そして『ゾウ印口紅』……これを唇に塗れば上唇がゾウの鼻のように扱える……!」
のび太は『ゾウ印口紅』で生えた鼻で建物の柱を掴み
車を投げる体勢に入った……!
のび太「この柱を軸足にして、遠心力を加え……車を放つッ!!」ブンッ!
中将〈速い…!〉
のび太〈この一撃で……残りの道具を炙り出してやる……ッ!!〉
422:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:27:43.14 ID:xxUFkxwt0
のび太「……!!」
中将「あなたがマジシャンなら……私は本物の魔法使いってところかしら……?」
のび太の投げつけた車は
中将の手前でピタリと静止していた……!
のび太「まいったな……『エスパー帽子』を壊したにもかかわらず……手も使わずに車を止めてしまうなんてね………」
中将「……その割にはあまり驚いていない様だけど……!」
425:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:28:13.58 ID:xxUFkxwt0
のび太〈………手を使わずに物体を止めるとすれば……やはり念力(テレキネシス)以外にないだろう………〉
のび太〈そしてこの中将は……『玩具の兵隊』を囮にしてコンテナで押し潰す様な戦法を得意とする……つまり………〉
のび太「『エスパー帽子』をあえて破壊させて油断した所を……事前にさしていた『念力目薬』の力を使って奇襲ってのが僕の見解だけど………!」
中将「へえー、当たり…ッ!」
中将はそのまま車を念力で操り
のび太に向けて放り返した!
426:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:29:20.94 ID:xxUFkxwt0
のび太はゾウの鼻を駆使し
車をかわす……!
のび太「君の道具の秘密が段々と解けてきたぞ……!」
中将「あら、そうかしら?」
のび太「……?」
中将「渇ッ!!」
中将が大きく息を吐いた瞬間!
避けたはずの車がバラバラに分解した!!
のび太「うわッ!?」
飛散した車の部品が
のび太を容赦なく襲う……!
432:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:30:58.81 ID:xxUFkxwt0
のび太「………ッ!!」
中将「一方向に物体を移動させる念力(テレキネシス)も……多方向に力を分散させれば爆弾の様に物を扱う事だって出来るわ……!」
テレキネシスの一種
いわゆる念分裂〈サイコクラッシュ〉と言われる物である
中将は車を放った後、急激に息を吐く事によって横隔膜を収縮…
瞬間的に血圧を上げる事で念力を分散させ、念分裂〈サイコクラッシュ〉を発生させたのだ……!
435:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:31:33.03 ID:xxUFkxwt0
のび太「だけど肝心の威力は疎か……これじゃあただの出来の悪い花火だ…………」
のび太の言う通り
飛散した部品のダメージは
致命傷には遠く及ばないものであった
中将「……どうやらあなたの事を少々買いかぶり過ぎていた様ね……」
のび太「………?」
中将「自分の身体をよく見てみなさいッ!!」
440:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:32:24.66 ID:xxUFkxwt0
のび太「………えッ!?」
飛散したボルトやネジ等の細かい部品……
それだけでは無く
細かい金属の欠片やコンクリートの岩片……
本来なら動いている内に落ちる程度の物から
明らかに許容量をオーバーした握りこぶし程の石までもが
のび太の衣服に付着していたのだ……
中将「戦いに気取られて全く意識していなかった様ね……」
のび太「何だ……これ……一体どうなって………?」
中将「私が『重力調節機』を放り投げる前から既に……戦いは始まっていたのよ……!」
443:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:32:49.07 ID:xxUFkxwt0
のび太〈『重力調節機』を投げる前……?確か僕は目潰しを喰らって……『目潰し』………?〉
のび太「ま……まさかあの液体は………」
中将「そう……『重力ペンキ』よ……!!」
※重力ペンキ
これを塗った部分に重力が働く様になる。壁などに塗ればそこを歩く事も可能。
中将「衣服や身体に付着した『重力ペンキ』は……あなたが動いている間、この無重力に浮かぶ様々な破片〈デブリ〉を吸い寄せた……!」
のび太「………!!」
中将「そして……これが私の奥の手……ッ!」
451:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:34:16.85 ID:xxUFkxwt0
中将は『おもかる灯』を取り出し
のび太に向けて照射した!
のび太「何を………ッ!?」
中将「あなたに付着した破片〈デブリ〉は『おもかる灯』によって徐々に質量を大きくするッ!」
のび太「うッ!?」ミシミシミシ…!
付着した破片は重量を増し
のび太の肉体に深くめり込んでいく……!!
中将「……まるで人の重みに耐えられなくなった地球ね………そのままミンチになるといいわッ!」
454:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:34:47.48 ID:xxUFkxwt0
のび太「……ふふ……くっくっく……!」ズブズブズブ…
中将「……ッ!?」
のび太「あっはっはっはっは……!」ブシュウウウ……!
中将「き、気でも狂ったの……!?」
のび太「計画通り……!!」
中将「なんですって……ッ!?」
のび太「しぶとく喰らい付いて君の切り札を搾り出すのに専念していたのさ!」
のび太はバッグからメガホンを取り出し
口に当てて叫んだ…!
のび太「『無生物催眠メガホン』ッ!!僕に食い込んだ破片は全て……僕の細胞になるッ!!」
456:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:35:11.85 ID:xxUFkxwt0
のび太に食い込んだ破片の傷が
徐々に治癒していく…!
中将「な……なんて奴なの……ッ!!」
のび太「それより気付いたかい……周囲の異変に……!」
中将「異変……ハッ!?」
あらゆる方位から
何か大きな物が落下したような轟音が響く……!
のび太「『重力調節機』が止まったんだ……重力が元に戻ったッ!」
459:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:35:33.71 ID:xxUFkxwt0
のび太「君が僕に足止めされている間に、僕の仲間が上空に飛んで行った市民の救助をしてくれた……それが今、終わったんだ!」
中将「まさか……時間稼ぎをしていたとでも言うの……っ!?」
のび太「そう、時間を稼ぎながら………万が一逆転される事の無い様に君の切り札を先に見せてもらった……!」
中将「へぇ……まるで何時でも私を倒せたかの様な口ぶりじゃない……!」
のび太「ああ、いつでも倒せたさ……!」
中将「……っ!?」
のび太「だけどこの手段は君の事を思うとあまりに不憫でね。他の方法で君を倒せないか幾つか考えた………!」」
のび太「しかし君の戦闘技術だけは正直、計算外だ……だから、やはり当初の方法で君を裁く……ッ!」
461:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:36:05.46 ID:xxUFkxwt0
のび太が指差す先……
中将の肩に『玩具の兵隊』がぽつりと乗っかっていた……!
中将「これはっ!?何時の間に!?」
のび太「その『玩具の兵隊』……壊れた内の一体だけ回収して『魂ふき込み銃』で操った物だ……ッ!」
※魂ふき込み銃
自分の魂の半分を対象に吹き込むことで、もう1つの体のように対象を意のままに動かすことができる
のび太「戦いは……終わりだ……!!」
中将「!!」
玩具の兵隊は手に持っている武器を
中将の首筋に突き刺した!
467:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:36:50.80 ID:xxUFkxwt0
中将「あ……ああ……………!」
のび太「勝負あった……!!」
中将が『重力ペンキ』を投げつけるより前……
のび太は既に戦いを仕掛けていた!
コンテナ内部に逃げ込んだ際
壊れた『玩具の兵隊』の一体を取り寄せバッグで回収し『魂ふき込み銃』を撃つ……
その後、接近戦に乗じて
武器を持たせた『玩具の兵隊』を中将の衣服に忍ばせていたのである……!
中将〈そ……そんな………!〉 ドクン… ドクン…
のび太〈君の『今後の事』を思うと可哀想だが……これしか手はなかった………〉
469:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:37:33.82 ID:xxUFkxwt0
中将「『玩具の兵隊』は………私に何を刺したの……?」モジモジ…
のび太〈……戸惑っているな。無理もない……何故なら今の君は『玩具の兵隊』に―――…〉
中将「一体何を刺したの!?あ、こらッ!?待ちなさい!!」がしっ!
のび太「は……離せッ!いでで…ぐるじい……」
中将「さぁ!『玩具の兵隊』が私に刺した物は何だったの!?言いなさい!!」
のび太「きゅ……『キューピッドの矢』……だよ……!!」
中将「………え?」 ズキュウウゥゥ―――z___ン!
のび太「『キューピッドの矢』!テレビでも恋のキューピッドが云々って言うだろ!あれと一緒だよ!」
中将「な……ッ!?///」カァァ…
475:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:38:03.15 ID:xxUFkxwt0
中将「何て事するのよッ!?信じられないッ!!」
のび太「だから言っただろう!?僕は必死に悩んだ!!だけど君を止める方法が思いつかなかったんだよ!!」
中将「さっきの……ゾウの鼻を出す道具とか使えば、私を絞め殺す事ぐらい出来たでしょう!?」
のび太「いや……その……君だって苦しいのは嫌だろ………?」
中将「……ッ///」ボッ
のび太〈何にしても…これで彼女は『玩具の兵隊』にメロメロの筈だ。これ以上暴れる事は無いだろう………〉
のび太は『魂ふきこみ銃』から息を吸い込み
『玩具の兵隊』に宿った魂を回収した
のび太〈……これからは野蛮な命令を受ける事無く、その玩具の兵隊と共に自由に生きていくがいい……!!」
476:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:38:26.83 ID:FMxqTbb1P
こののび太はどこまでイケメンなんだよw
478:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:38:40.52 ID:xxUFkxwt0
中将「ま、待ちなさいよ!」グイッ!
のび太「!?」
中将「こんな場所に……か弱い女の子一人を置いてどこへ行く気!?」
のび太〈……な……何言ってんだコイツ……?ちゃんと兵隊はここに置いて……〉
中将「っ!」ゲシッ!
のび太「おぅふ!」
中将「せ……責任……とってよね……!///」
のび太「責任………!?」
のび太〈まさか……玩具の兵隊が壊れた事を根に持っているのか……!?〉
のび太〈大体コンテナを落としてきたのはそっちだろ!?……女ってのはみんなこういう生き物なのか……!?〉
480:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:39:20.82 ID:xxUFkxwt0
のび太〈……しかし『キューピッドの矢』さえなければ彼女は人形にこんな想いを抱く事も無かったのか……う~ん……〉
のび太「そりゃあ…お互い悪かったけどさ……どうしようもなかったじゃないか……」
中将「だ、だから責任とってって言ってるじゃない……!」
のび太〈まいったな~……壊れた未来デパートの道具は『復元光線』や『タイム風呂敷』でも直せないというのに……〉
のび太「……君はどうしたら許してくれるんだい?」
中将「……え?ちょ……ちょっと何よいきなり!それを私に言わせるわけ!?」
のび太「だって責任とらなきゃ」
中将「あ……うぅ……///」ドキドキドキ…
483:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:39:55.29 ID:xxUFkxwt0
中将〈あああ……なんでこんな奴にドキドキしちゃってるのよ……!〉
中将〈そうよ!所詮道具の力……!この男は私を誑かそうとしているんだわ……!〉
中将「そ……そうね……じゃあ証明してみせてよ………!」
のび太「証明?」
中将「私達の仲が…本物かどうか……」
のび太〈だから一人になれる様に気を使ってるのに……もしかして人形遊びしてる所を覗かれるのが嫌で僕に釘をさしているのか?〉
のび太「……君の言いたい事はよーくわかったよ。」
中将「えっ?〈ど……どどどどうしよう……まだ心の準備が……!///〉カァァ…
のび太「それじゃ、僕はこのへんで御暇させてもらうよ。」スタスタスタスタ……
中将「…………へ?」
487:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:40:16.54 ID:JuJl3QOx0
まさかのメロドラマ
490:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:40:24.28 ID:xxUFkxwt0
のび太〈ふう……やっと開放された……〉
中将「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」がしっ!
のび太「!?」
中将「やましい気持ちが無いのはわかったけど普通そこまでする!?」
のび太「だって証明しろって……!」
中将「証明しろって言ったけど、もっと他にも色々方法があるじゃない!?」
のび太「ー~ッッッ!???」
493:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:40:53.11 ID:xxUFkxwt0
のび太〈馬鹿なッ!?僕は離れる、彼女は人形と一緒、今のはお互い最良の選択だったはずだ……!〉
のび太〈先程から奴は僕が射程圏外に出るのを異常に恐れている……!〉
のび太〈考えられる理由は恐らく……まだドラえもんによる『洗脳』が解けていないという事……ッ!!〉
のび太〈考えてみればこの中将が得意とする戦法は『何かを囮にして油断した所を一気に叩く』……いわば陽動戦術!!〉
のび太「先程のコンテナの一撃や『念力目薬』での攻撃から推測すると………つまり……!」
のび太〈人形を好きだと思わせておいて、その一連の所作は『フェイク』!!実際は僕の隙を伺っている……ッ!?〉
のび太〈『桃太郎印のきび団子』と『階級ワッペン』の効力が『キューピッドの矢』の効果を打ち消してしまった、という事なのか……!?〉
500:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:41:53.19 ID:xxUFkxwt0
のび太は嘘発見器を取り出し
中将に向けた……!
のび太「君は今もドラえもんに忠誠を誓っているのかッ!?」
中将〈と、突然何よこいつ!私にあんな矢を刺しておいて……そこまで自分の事をどう思ってるか言わせたい訳!?///〉
中将〈それとも……はは~ん、さては嫉妬してるのね?〉
中将「そ、そうね…!私にとってボスの命令は絶対よ!!」 ブブー!
のび太〈嘘発見器が反応した!…という事は『洗脳』は解け、『キューピッドの矢』の効果を受けている……思い過ごしか……?〉
のび太〈とすれば……やはりどうあっても兵隊を壊した責任を僕にとらせたいらしいな……困ったぞ………〉
中将〈ふふん、ショックを受けている様ね……さっきのお返しよ…!〉
中将〈………でもちょっと言い過ぎたかしら……だ、だめじゃない…これじゃあせっかく近づいた二人の距離が……〉
中将〈でも……でも……!ああああああああどうしよどうしよーーー!〉
502:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:42:48.84 ID:xxUFkxwt0
のび太「わかった……責任は取るよ。だから少しの間待っててくれないかい?」
中将「…ひぇ?」
のび太「今すぐには無理なんだ……だから……」
中将〈そ……それってつまり……それってつまり………!〉
のび太「時期がくるまで我慢出来るかい?」
中将〈そ……そうよね……考えたら私達まだ10代前半よ………!〉
中将「わかったわ…!その代わり……忘れたら許さないんだから……っ!」
のび太「ありがとう……!」
中将〈………っ!///〉ボッ
のび太〈こればかりはタイムマシンがないと修理も出来ないからなー……〉
505:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:43:25.81 ID:xxUFkxwt0
のび太〈とにかく一件落着だ……みんなと合流しないと……!〉
中将「……」ジーッ…
のび太「ん?」
中将〈っ!///〉ジーッ…
のび太〈な……なんだ!?まだ何かあるのか……!?〉
中将「き、気付きなさいよ……」ボソ…
のび太「へ?」
のび太〈そういえばさっきから『玩具の兵隊』を拾おうとしないな……〉
のび太〈『玩具の兵隊』にトラップが張ってあると警戒しているのか……?〉
508:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:44:13.72 ID:FMxqTbb1P
中将自重しろww
509:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:44:14.66 ID:xxUFkxwt0
のび太は壊れた玩具の兵隊を拾い上げ
中将に差し出した……
中将「……何よ」
のび太「ほら、何ともないだろ?あげるよ」
中将「あ、アンタってデリカシーの欠片も無いのね!普通渡す!?」
のび太「あ、ああゴメン……〈じ……自分で拾うつもりだったのか……?〉」
中将〈……ったく、こんな薄気味悪い人形拾って渡すなんてどういう神経してるのかしら……〉
中将〈でも……さっそく貰っちゃった……プレゼント………〉
中将〈考えてみれば……この人形があったから………今の私達があるのよね………〉
中将「………///」ギュッ・・・・
のび太〈やはり……『玩具の兵隊』にただならぬ愛着を示している様だ………〉
511:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:44:49.09 ID:A0bR9ZGr0
中将wwwwww
514:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:45:13.74 ID:xxUFkxwt0
のび太「………」スタスタ…
中将「………」テクテク…
のび太「………!?」クルッ!
中将「………」ジーッ…
のび太〈ま……まだ着いてくる!?どうなってんだッ!?〉
のび太〈………これ以上僕に付きまとう理由があるとすれば…………!!〉
中将〈な……何よ~人の顔ジロジロ見て……今更私のサインに気付いたって……///〉ドキドキドキ…
のび太〈こいつ……僕の『取り寄せバッグ』を奪うつもりだッ!!〉
のび太〈僕が遠くから『玩具の兵隊』を奪う可能性を潰そうとしているんだ………それしか考えられない!!〉
のび太〈何という人形への執着心だ…!!完全にイッちまってる……ッ!!〉
522:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:47:34.30 ID:xxUFkxwt0
「おお~い!のび太~~!!」
遠くから呼びかけるジャイアンの声
救助に出ていた四人が戻って来たのだ
のび太「みんな!!無事だったか!!」
中将「……?」
しずか「こっちは何とか区切りがついたわ。」
ジャイアン「それより敵はやっつけたか!?」
のび太「そ…その事なんだけど………」
526:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:48:24.38 ID:xxUFkxwt0
スネ夫「……ところでそっちの女の子は誰だい?」
中将「え……ええと私は……」
出木杉「え……!?」
全員がほぼ同時に
中将の頬に貼られているワッペンに気付いた……!
のび太〈しまった!!剥がすのを忘れてた!!〉
しずか「これって……!!」
ジャイアン「おい!どういう事だよのび太!!」
529:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:49:09.50 ID:xxUFkxwt0
しずか「のび太さん……何か複雑な事情があるんでしょう?」
のび太「彼女は……さっきまで中将だった。だけどもう洗脳が解けたから……」
ジャイアン「洗脳が解けたから何だ!?こんだけ町に被害を出しておきながら……沢山の人を殺しておきながら関係ねぇことあるかよ!!」
スネ夫「そうだぞ!救助だってどれだけ大変だったことか!」
中将「被害……人殺し……………?」
出木杉「ちょっと二人とも落ち着いて!……大体僕等だってワッペンを貼られてたじゃないか。」
スネ夫「まだこの女にはワッペンが貼ってあるじゃあないか!それに『中将』だぞ!?わかったもんじゃない!!」
中将「違う……私……違うもの…………」
533:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:49:52.21 ID:xxUFkxwt0
ジャイアン「おい!とりあえず取り押さえとかないと……!」
中将「……いや…………やめて……!」
スネ夫「のび太。もしかしてお前……洗脳されたんじゃあ………!」
のび太「な……何を……何をバカな事言ってるんだ!?どうしたんだ二人とも!?」
出木杉「無理もない……町であんな転落死体の山を見たんだ……元凶と会った事で二人とも恐慌状態に陥っている……!」
ジャイアン「悪いけどよ……しばらくの間拘束させて貰うぜ………!」
中将「やめて……いやあああああああああ!!」
パァン!!
ジャイアン「 」ピューピューッ…
スネ夫「へっ?」
536:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:50:41.07 ID:xxUFkxwt0
ジャイアン「」ドサっ・・・
スネ夫「ジャ……ジャイアン?」
のび太「え…………!?」
その場にいた誰一人もが
現状を飲み込めずにいた……
ジャイアンの頭部が突然
無残にも弾け飛んでしまったのだ……!
出木杉「あ……ああ…………!!」
しずか「うそよ……たけしさん……?」
540:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:51:33.29 ID:xxUFkxwt0
のび太〈まさか……念分裂!?彼女が……!?〉
スネ夫「ま……魔女だ!お前がやったんだ!!」
中将「違う!……私じゃない!……私じゃない!」
横たわったジャイアンの体が
次々に弾け飛んでいく………!!
しずか「もう嫌よ……やめてええええ!」
のび太「う……うう………!?」
出木杉「のび太君……い……今の見たかい………!?」
のび太「……え?」
出木杉「この中でかろうじて平常を保っているとすれば君だけだ……落ち着いて……よく落ち着いて聞いてほしい……!」
549:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:52:32.44 ID:xxUFkxwt0
出木杉「ジャイアンに……『小型のミサイル』が着弾したんだ……!!」
のび太「小型……ミサイルだって………!?」
出木杉「『小型のミサイル』が高速で飛来してきた……心当たりは!?」
のび太「………!!」
出木杉「僕の恐慌状態による幻覚じゃなければ早急な対策が必要になる!!このままじゃ全滅だぞのび太君!!」
小型ミサイルを有し
残っている敵……
該当する者は一名しかいない……!
のび太「まさか………!?」
ドラえもん「のび太くんご苦労様。」
553:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:53:30.48 ID:xxUFkxwt0
スネ夫「うわああああああああああああああああ!!!」
最初に大声を上げたのはスネ夫だった
中将やのび太に半信半疑を抱いている状況の中
この戦いの元凶となる者が現れたのだ……
彼の頭の中の欠けたピースが埋め合わされ
のび太達とは別の解が導き出される……!
ドラえもん「のび太君。僕らの計画通りだね^^」
のび太「は………!?」
556:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:53:58.17 ID:xxUFkxwt0
スネ夫「やっぱり!!やっぱりだ!!!」
出木杉「スネ夫君……!?」
スネ夫「お前達……!グルだったんだな!?」
のび太「スネ夫……!?」
スネ夫「だ、だっておかしいじゃあないか!?何でのび太と中将とドラえもんが平然とそこにいるんだ!!」
ドラえもん「バレちゃあしょうがない。」
のび太「ドラえもん何を言って……!?おいスネ夫!!耳をかしちゃ駄目だ!!」
ドラえもん「いつも君とジャイアンがのび太君を虐めるからね。僕等でじっくり懲らしめてやろうと思ったんだ」
561:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:54:38.28 ID:xxUFkxwt0
スネ夫「うわああああああああ!!」ダッ!
しずか「スネ夫さん!!」
のび太「スネ夫!!」
ドラえもん「逃がさないよ……!」 パァン!
無敵砲台のミサイルが飛来し
スネ夫の足に直撃した…!
スネ夫「ぎゃあああああ!!痛いよ!!ママーーーーーーーーーッ!!!」
ドラえもん「ウフフフフ。」
564:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:55:26.37 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「『らくらくシャベル』~!」てってれっててってってーー
※らくらくシャベル
どんな硬い岩や地面でも、豆腐のように簡単に掘ることのできる道具
スネ夫「助」スパァン!!
ドラえもん「ウフ、ウフフフフフ。」ザクッ!ザクッ!ザクッ!
頭を刎ね、崩れるようにして倒れたスネ夫の肉体を
ただひたすらにシャベルで削り取っていくドラえもん……
その腕に貼られた『大将』の階級ワッペンが返り血を浴び
みるみる内に赤く染まっていった……
中将「あ………」
出木杉「は……はは…………」
しずか「いやあああああああああああ!!」
のび太「スネ夫ーーーーーーーッ!!」
568:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:56:36.23 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「さて……」クルッ!
のび太「ッ!!」ゾクッ…
のび太達の方へ振り返るドラえもん…
その表情に情けの二文字は無く
全てを破壊し尽くさんと言わんばかりの殺気に満ち溢れていた…!
ドラえもん「次は裏切り者の番だ……出木杉か……中将か………!」
出木杉「……!」
ドラえもん「ターゲット補足……!」
しずか「中将さん……貴方の名前を教えて……」
中将「私の……名前…………?」
ドラえもん「無敵砲台発射ッ!!」
571:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:57:20.73 ID:xxUFkxwt0
ドゴオオオオオオン・・・・・・
しずか「残念だったわね………!」
ドラえもん「ミサイルが全て迎撃された……いや、何かにぶつかったような感じがしたな……!」
しずか「そう……この『バリヤーポイント』は全ての攻撃を拒絶する………!」
ドラえもん「ほう……半径2メートル内にみんなを入れる事で守ったわけか……くふふふふ……!」
のび太〈何が可笑しいんだ……ドラえもんのやつ………!〉
ドラえもん「それにしても中将。この町でこれだけの被害を出しておきながらノコノコ生き長らえるなんて虫が良すぎるんじゃないかい?」
中将「ひっ…………!!」
のび太「ドラえもんッ!訂正しろッ!」
575:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:57:54.77 ID:xxUFkxwt0
のび太「君が『桃太郎印のきび団子』で洗脳して『殺戮マシーン』に仕立て上げたんじゃあないか!!」
中将「…………」
ドラえもん「『殺戮マシーン』に仕立て上げた、か……クックック…!」
のび太「何が可笑しい……!?」
ドラえもん「僕は『階級ワッペン』以外に『洗脳』なんか施した覚えはないよ。」
のび太「……なんだって………!?」
580:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:58:20.93 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「僕はいくつかの道具と残りのワッペンを与えて『のび太を殺せ』としか命令していない」
ドラえもん「一般人に危害を加えたのは彼等の独断だよ。」
のび太「馬鹿な……ッ!?『階級ワッペン』だけであれほどの統率がとれるわけがない!!」
ドラえもん「中将、どうやらのび太君は君たちの事を『殺戮マシーン』だと思ってるみたいだよ。」
のび太「な……ッ!?」
中将「ううっ………違う……!」
584:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 22:59:20.55 ID:xxUFkxwt0
のび太「ドラえもん!嘘をつくんじゃあ無い!!ジャイアンやスネ夫に比べて他の部下の統率は異常だったんだ!!」
ドラえもん「人聞きの悪い事を言うねぇ。それは君の思い込みだろう?とにかく『桃太郎印のきび団子』なんてものは僕は一切使っていないよ。」
のび太「嘘だっ!!連続殺人犯だった『少佐』を除けば……君の部下の殆どが普通の生活を送っていた人間じゃあないか!それを君が洗脳して悪人に仕立て……!」
ドラえもん「『復讐の為なら殺人すら厭わない孤児』、『小動物を殺生して喜ぶ高校生』、『影で過度の暴力を振るう教師』『完全犯罪で罪を逃れた殺人犯』etc………」
のび太「……?」
ドラえもん「彼らの殆どは『怒りエネルギー観測チャート』で探し当て吟味、選出した……元々クレイジーな人材なのさ……!」
のび太「……そ……そんな……!」
ドラえもん「ほら……取り乱した彼女を見てごらんよ……!」
中将「あ………あ…………」
のび太「……!?」
589:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:00:12.01 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「彼女は私生活で色々と問題があったみたいだねぇ。自分の家族に手をかけるなんて……」
中将「いや!……やめてママ!!」
しずか「離れてはダメよ!落ち着いて!!」
出木杉「駄目だ…フラッシュバックに陥ってしまっている!しずちゃん!無理やりにでも取り押さえて!!」
中将「やめて!離してママ!いや!!」
のび太「くっ………!」
ドラえもん「おいおいのび太君。見かけで判断されるのを人一倍嫌っていた君が……まさか同じものの見方で人を判断していたというのかい?」
ドラえもん「それじゃあ君が見た目で判断されようが自業自得ってもんだよ!くひゃひゃひゃひゃひゃ!」
593:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:00:58.99 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「何よりのび太君。そんなクレイジーな人材を葬ってきた君こそ本物の『殺戮マシーン』だよ………!」
のび太「僕が……『殺戮マシーン』だって……!?」
出木杉「のび太君!耳をかしたら駄目だ!!」
ドラえもん「出木杉君。僕は事実を述べているまでだよ。」
のび太「僕は……『殺戮マシーン』なんかじゃない………!」
ドラえもん「ほう……じゃあ君は今まで僕の部下をどうやって退けてきたんだい………!?」
のび太「それは………!」
ドラえもん「そういえば動物園を襲撃した大佐の死体がニュースで取り上げられてたけど……彼は頭部を撃ち抜かれていたそうだ………!」
のび太「う………!」
596:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:01:43.57 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「ジャイアンに虐められ、帰ってきた時にいつも喉元で押し殺していた言葉を思い出してごらん?」
ドラえもん「私利私欲で弱い者を虐げているクズどもはいなくなればいい!……そしてその願望を君は叶えた!清々したろう…?」
のび太「ち……違う……僕は…ッ!」
ドラえもん「まさか僕の部下達を倒したときも、自分の都合の良い様に言い訳をして責任から逃れていたというのかい?」
のび太「う……うう……ッ!」
ドラえもん「綺麗事を吐いておきながら我が身がかわいくてしょうがないんだねぇ」
598:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:02:12.95 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「君は立ちはだかる反対派を抹殺する事で己の身を守った……」
のび太「ち……違うッ!あれは……正当防衛で………!」
ドラえもん「いいや、それでも君は殺したんだよ。」
のび太「警察じゃどうにもならなかった……それに彼等は無関係の人を……!」
ドラえもん「暴力に対し同じ暴力でねじ伏せたんじゃないか。清々したろう?」
のび太「違う……ッ!」
ドラえもん「何が違うんだい?やっている事は同じだろう?」
ドラえもん「やっぱり君は……クズだよ。」ニタァ…
603:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:03:38.11 ID:xxUFkxwt0
のび太「うう………僕は……僕はァ………ッ!」
しずか「……口車に乗せられてはダメよ!」
のび太「しず……ちゃん……」
しずか「のび太さんも……中将も……二人ともしっかりしなさい!!」
しずか「特にのび太さんの方よ!こんな事になってしまった元々の原因は何!?」
のび太「……?」
606:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:04:16.47 ID:xxUFkxwt0
しずか「相手の過去だとか貴方が人を殺してしまっただとか……そんな事は今、関係無いでしょう!?」
しずか「あなたが今、悩んでいるのも……これだけの被害が出てしまっているのも……全てドラちゃんがバラ撒いた道具がもたらしたものよ!」
のび太「………!」
しずか「ドラちゃんもよ!自分の非を認めないあなたに……のび太さんの事を悪く言う資格なんてないわ!!」
ドラえもん「心外だなぁ。君の言う通りだとしても、のび太君が人を殺した事実は消えないだろう?」
611:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:05:25.74 ID:xxUFkxwt0
のび太「そうだ……僕は人を……人を………!」
しずか「事実は変えられない……だけど私達には幸いにも、全てをやり直す事が出来る道具があるでしょう……?」
のび太「全てを……やり直す………」
しずか「全て変えてしまえばいいのよ……ドラちゃんを倒して……タイムマシンで過去を変えるの!!」
615:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:05:43.96 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「おや、しずちゃん。そんな簡単に人の過去を変えてしまってもいいのかい?」
ドラえもん「どんな過去であれ……そういう過ちがあったからこそ今の君達が築かれているわけだよ?」
ドラえもん「君は自分の積み重ねた努力や過去の過ちを平気で否定するような人なんだねぇ」
しずか「ドラちゃん……あなたの戯言にはうんざりだわ……!」
しずか「努力や過ちで築かれてきた今の私たちが『過去を変える』という事を決めたのなら……」
しずか「私達にとっては何も間違ってはいないし、決して無意味なんかじゃないわ……!」
しずか「それに私達は過去を否定するんじゃない……受け入れた上で、先へ進む為に……過去を変えるのよ……!」
619:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:06:45.64 ID:xxUFkxwt0
虚ろだったのび太の目に光が宿る……
それは希望にも似た一筋の輝きであった…!
のび太「ドラえもん…僕は過去も、これからも変えてみせる……僕の過ちも……君の過ちもだ!」
ドラえもん「ちっ……!あともう少しで自滅を促せたものを……!」
しずか「当然よ…!元凶であるあなたの言葉には何の重みも感じないもの……!!」
ドラえもん「くふふ……ふふふふふふ……!」
ドラえもん「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!」
のび太「……!?」
ドラえもん「こんな単純なマインドコントロールに揺さぶられてしまうなんて!君は本当に脆いなぁ。」
622:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:07:07.13 ID:xxUFkxwt0
のび太「ドラえもん……君は………!」
しずか「!」
のび太「どこまで人をバカにすれば気が済むんだァーーッ!!」
出木杉「ダメだ!!飛び掛っては敵の思うツボ…!」
ドラえもん「出たな……?」
ドラえもんの挑発により
のび太はバリヤーポイントの結界から飛び出してしまった……!
のび太「……!!」
ドラえもん「かかったなアホが!!」
629:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:07:49.26 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「『ひらりマント』ッ!!これを全身に纏えば……僕が体を逸らすだけで君の攻撃は全て外れるッ!」
のび太「くっ……!!」ブンッ!
ドラえもん〈そして……しずかのバリヤーポイントはのび太を受け入れた、という事はつまり……!〉
ドラえもんは先端に手の付いた
長い棒の様な物を取り出し、静香達の方へと向ける…!!
ドラえもん〈頭文字はのび太と同じ『の』ッ!!よって『ノビールハンド』はバリヤーポイントを貫通するッ!!〉
のび太「マズい!!『ノビールハンド』だ!!しずちゃん!!!」
632:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:08:42.68 ID:xxUFkxwt0
ガキィンッ!!
しずか「のび太さん……!」
ドラえもん「拒絶したか……だけどこれでのび太はバリヤーポイントから離れた!!!」
のび太「これが狙いだったのか……!!」
ドラえもん「うふふふふ……楽しいバトルの始まりだッ!」
のび太〈……………〉
635:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:10:06.84 ID:xxUFkxwt0
のび太「しずちゃん……さっきはありがとう…」
しずか「え…ええ………」
のび太「おかげで大分気持ちが楽になったよ……」
しずか「のび太さん……?」
のび太「出木杉も……この戦いに着いて来てくれた事……本当に感謝してる……!」
出木杉「の……のび太君……突然何を……!?」
のび太「それと……お願いがあるんだ……」
中将「………」
のび太「中将……」
641:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:11:11.77 ID:xxUFkxwt0
のび太「僕がやられてしまったら……しずちゃんのバリヤーポイントしか身を守る術が無い……」
のび太「だから……その時は中将……君の持っている道具の力で二人を助けて欲しい……」
中将「私が………?」
のび太「そうだ……!」
中将「私………」
のび太「じゃあ……頼んだよ……!」
のび太はタケコプターで空へ飛び上がり
しずか達から離れて行った…!
ドラえもん「あッ!!逃がすかッ!!」
647:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:12:02.23 ID:xxUFkxwt0
出木杉「行ってしまった……!」
しずか「のび太さんは……私達を戦いから遠ざけようと……自分から遠くへ行ったんだわ……!!」
出木杉「僕らには……のび太君の帰りを祈る事しか出来ないというのか……!?」
しずか「そんな……祈っている暇なんてないわ!!私達にも何か出来る事が……きっと出来る事があるはずよ……!」
中将「私達に…出来ること……」
しずか「どうしたの……?」
中将「二人とも……しっかりつかまってて……!」
650:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:12:38.80 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「どこへ逃げても無駄だぞ!!」
ドゴオオオン・・・・!ドゴオオオン・・・・!
のび太「くっ………!」
ドラえもん「残念だけど『ひらりマント』と『無敵砲台』を確保している時点で僕の勝利は約束されたようなものだ!諦めて死ねっ!」
のび太「それはどうかな………!」
ドラえもん「………!?」
のび太は『空気ピストルの元』を手に垂らし
ドラえもんの方へ振り返った
653:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:13:51.69 ID:xxUFkxwt0
のび太「ドラえもん………無敵の道具って何だと思う…?」
ドラえもん「無敵の道具?そりゃ今の僕が使っている………」
のび太「例えば君が使った『ウソ8OO』や『タイムベルト』……これらも効果だけを見ると無敵そうに見える……』
のび太「けどね……君が失敗した様に……道具ってのは必ず弱点があるものなんだ……!!」
ドラえもん「……何が言いたい………?」
のび太「君の『ひらりマント』だって『無敵砲台』だって無敵じゃない……決して無敵じゃないんだ……!」
ドラえもん「僕の道具が……無敵じゃないだって……!?」
660:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:15:00.11 ID:xxUFkxwt0
のび太「例えばその『ひらりマント』は『電磁波の反発』を利用する事で攻撃を逸らしてしまうらしいね……!」
ドラえもん「な……なんだ!?」
ドラえもんの纏う『ひらりマント』の周りに
気流のようなものが浮かび上がる……!
のび太「それが『電磁波の反発』だ……実際目で見る事は出来ないが『具象化鏡』で映してやれば視覚で見る事が出来る……!」
※具象化鏡
『時の流れ』等、言葉の表現を具象化させる
のび太「そして……視覚化させた後は簡単だ……その『電磁波の反発』を『実体化』させる!」
※イメージベレー帽
イメージを実体化させる
ドラえもん「う……!?」
663:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:16:19.90 ID:xxUFkxwt0
のび太「全身を取り巻いていた気流……『電磁波』が実体化したことによって君は身動きがとれない!!」
ドラえもん「くっ……だからどうした!?僕を殴ろうとしても全身のマントが反動でぶれる事によって攻撃は逸れる!!」
のび太「何も殴ろうってわけじゃあない……!」
のび太はバッグから
『NSワッペン』を取り出した
のび太「実体化した『電磁波』……マントの周囲で反発し合っている電磁波の部分に『NSワッペン』を貼り付ければッ!その間、電磁波の反発は行われなくなるッ!!」
ドラえもん「!?」
のび太は空気ピストルで『NSワッペン』を弾き
実体化した『電磁波』に命中させた!!
のび太「これで君の『ひらりマント』はただの布切れと化した………!!」
667:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:17:04.40 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「だ……だったら何だというんだ!?『ひらりマント』は保険!!攻撃も防御も『無敵砲台』で補えるんだッ!!」
のび太「そうだろうね……君に近づけばミサイルが僕を迎撃しにかかるだろう……」
ドラえもん「……それなのに……君はなんで平然と僕に近づいて来れるんだァァーーーッ!?」
のび太はドラえもんと腕ひとつ分の距離まで迫っていた……!
ドラえもん「何故だッ!?何故ミサイルは迎撃しないッ!?」
のび太「……仲間を捨てゴマ同然の様に扱ってきた君にはわかるまい……!!」
671:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:17:55.27 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「仲間!?仲間だと!?」
のび太「さっき別れた三人さ……!!」
ドラえもん「何処だ!?何処にいるッ!?」キョロキョロ…
のび太「ここにはいない……恐らく君が設置した『無敵砲台』の本体の所だろう……!」
ドラえもん「………何だって!?」
のび太「しずちゃんには『バリヤーポイント』があるからね……それに中将の『念力目薬』があれば浮遊する事だって出来る……」
ドラえもん「まさか………先程の会話だけで……のび太の為に『無敵砲台』を止めに行ったと言うのかッ!?」
のび太「僕はさっき彼等の目を見て確信した…………同じ立場なら………僕だってそうする…………!!」
674:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:18:43.71 ID:xxUFkxwt0
ドラえもん「バカな!?くだらない友情ごっこに命をかけたと……ッ!?」
のび太「これでも……追い詰められたこの状況でも……くだらないと思えるのかい……!?」
ドラえもん「……ッ!?」
のび太「ドラえもん……君は一体………どうしたんだ……!?」
ドラえもん「寄るな……僕のそばに寄るなァーーーーーッ!!」
ドラえもんは懐から束になったダイナマイトの様な物を取り出し
自身の口に含んだ!!
676:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:19:18.57 ID:xxUFkxwt0
のび太「!?」
ドラえもん「我……ピピ………ッ!!」
のび太〈まさか……『自爆』――――――!?〉
――――――………
691:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:21:36.41 ID:xxUFkxwt0
夕暮れ時……
のび太は窓の外を眺めながら
ドラえもんとのこれまでの日々を思い返していた……
しずか「のび太さん……目が覚めたのね……」
のび太「………二人は……?」
しずか「出木杉さんは帰ったわ……中将さんもよほど疲れたんでしょうね……寝室でぐっすり眠ってる………」
のび太「そう………」
しずか「…………」
695:以下、魔王にかわりまして勇者がお送りします:2012/05/11(金) 23:22:15.04 ID:xxUFkxwt0
戦いはあっけなく幕を閉じた…
ドラえもんの突然の自爆……
復元光線やタイム風呂敷など、あらゆる処置を施すも
ドラえもんが再び目を覚ます事は無く……
暴走した真意もわからぬまま
それぞれに癒える事の無い深い傷跡だけを残す結果となった
ドラえもん「道具を使って本気で戦ったらどうなるかって?」【最終話】へ続く!
【 関 連 記 事 】